というわけで、夏休み、半ば強引に女子たちに肝試しに連れていかれることになる慎吾・・・
「楽しいな夏休み♫ 新たな出会いが始まる♪」
楽しそうでいいですな・・・
と恨みのこもった視線で、知佳以外の2人を睨んでいる慎吾・・・・
現在、慎吾・知佳・明子・楓の4人は飛行機に乗り、福岡へ向かって進行中・・・・
4人は3日分の荷物をそれぞれキャリーケースに詰め込んできた・・・・
知佳「ごめんね、慎吾君、私たちの興味につきあわせちゃって・・・」
知佳が申し訳なさそうに、頭を下げる。
慎吾「い、いえ! と、とんでもないっす・・お、俺も犬鳴峠めっちゃ行きたかったんで・・・」
噓だ!!
知佳さんが、あんまりに不安そうだったからナイト(騎士)としての役目でついてきたが
本来ならば、心霊スポットなんて、恐ろしすぎて行くはずがない!
プロフィールにも書いてあるだろ?
何事も完璧(?)な俺様の唯一の弱点は心霊現象とかがそういう類なんだ!
ま、知佳さんのお美しい私服姿を見ることができたし・・・・
こうやってお話もすることができるし、幸せと言えば幸せなんだが・・・
俺は、本来知佳さんと2人きりになるチャンスをつかもうとしてたのにー!
と、またまた楽しそうな明子と楓をにらむ慎吾君・・・
慎吾「ていうか、そもそも何で犬鳴峠に肝試しをしに行こうってなったんすか?」
明子「ああ、そうだった。その話を慎吾君にしてなかったわね。」
楓「私がネットで犬鳴村について調べてたら一瞬、画面が暗くなったの。これってさ、もう犬鳴村からの呪いなんじゃないかって・・・それで調査をしに行こうってなったの。夏の思い出作りにね。」
は? それってさ・・・・ただの偶然じゃね?
とあきれ返る慎吾氏・・・
にしても、さすが、C組の変わり者2人娘(お前が変わり者とか言うな)・・・・男よりも度胸が座ってら・・・
普通、JKが犬鳴トンネルなんて恐ろしい心霊スポットに行こうとするか?
しかも、高校生で東京から福岡まで行こうとするこの行動力・・・
ただただ驚嘆するばかりだ・・・
慎吾「そ、そう言えば知佳さんって、心霊スポットに興味があったんですね、知らなかったす」
知佳「・・・・・う、うん・・興味があるっていうか何だろう、何て言えばいいかな・・」
やっぱ、知佳さんもあの2人の勢いにのってついてきただけで、本当は怖いのかな?
ならば尚更、男米倉慎吾・・・知佳さんの心の支えとしてお守りしなければ・・・
「ごめんね・・・慎吾君、ボディーガードお願いできるかな?」
あの時の知佳さんのすがるような顔・・・
知佳さんに、あんな不安そうな顔されたら 断れねえじゃねーか!!
慎吾「おっしゃあああああ!!」
慎吾が気合いの雄叫びを上げる。
明子 楓 「うわああ!!な、何?」
知佳「も、もしかして、犬鳴の呪い?」
明子 楓「え、まだ着いてすらいないのに、もう呪われんの?」
くだらないコントをやっているうちに、福岡県に着き、犬鳴山がある宮若市には、バスで向かっていくことになる・・・
やがて、4人は長旅を終え、予約していた小さな古い宿で身体を休めた・・・
そこは、犬鳴峠に割と近い位置にあり、犬鳴山の緑森の中に存在する【黄若荘】という名前の宿で
地元の人もあまり通らなさそうな寂しい場所に立っている。
外観も中も、随分と古びた寂しい所で、建物の柱の木もだいぶ腐っているようだ。
やはり、4人とも少し不気味そうに顔をしかめた・・・・
なんだか、急に犬鳴に近づいたという事実を目の当たりにし、
心も重たくなり、夏だというのに寒気がして、身体が緊張でこわばり
誰も喋らなくなった・・・・
「いらっしゃいませ・・・」
迎え出てくれた宿の女将のお婆ちゃんも、なんか妖怪みたいで怖いし・・・・・
電車に乗っていた時の元気は見る影もない・・・・
とは言うものの、宿のもてなしは申し分ないほど、4人は満足した。
温泉も気持ちよかったし、料理も最高だ・・・
おかげで、それぞれ小遣いやバイト代は吹っ飛んだけど・・・・
今、4人は浴衣に着替え、ご飯を食べている・・・
あ~、知佳さんと温泉旅行・・・至極の幸せ・・・・
明子「ねえ、慎吾君、さっきから顔がだらしなくなってるわよ」
楓「どうせ、知佳と旅行に来れたことの喜びをかみしめてるんでしょ、これでボディーガードが務まるんだか・・・」(じゃあ、なんで連れてきたんだよ!)
知佳「あ、女将さん、とてもご飯美味しいです。」
女将「ありがとうございます・・・ところで学生さんたちは・・・犬鳴へ旅行へ来たのかい?」
!!
さっき玄関で迎え出てくれた女将のお婆ちゃんが、いつの間にか、そこにいた・・・
慎吾「うお、ビックリしたあ!!」
明子・楓も ひい!!と女将さんを見てブルブル震える・・・・
どうやら、知佳以外の誰も女将さんの気配に気付かなかったらしい・・・
知佳「はい、東京から夏休みの思い出作りに・・・」
女将「そうかい、そうかい・・・まあ大体ここに来るお客さんは、犬鳴峠に肝試しに行く連中だって相場は決まってるんだが、お姉さんぐらい若い人達は、この宿を始めて以来2回目だねえ・・・・」
知佳「え、私たちと同じ年代の子達が前にも一回来たんですか?」
女将「そう、今から30年ぐらい前になるかねえ・・・5人の男の子たちがここで、ご飯を食べていったよ・・・その後まさかその子達が誰かを殺めるなんてねえ・・・・」
知佳「え、それってまさか・・・・」
知佳と3人の顔が一気に青ざめる・・・・