「うわっ!?」
叫び声が口から出る。目の前で人が血を吐いて倒れているのだ。突然の非日常的な風景に頭がフリーズする。
固まったまま十秒くらいたっただろうか。ようやく頭が動き出す。とりあえず声をかけないといけないだろう。
「大丈夫ですか!?」
何度か呼び掛けると女性がゆっくりと目を開けた良かった。どうやら無事らしい。
いや、血を吐いているので無事と言うべきかはわからないが。そうして眺めていると女性はそれに返すようにこちらをじっと見つめてきた。とても綺麗な顔で、動揺してしまう。
「あ、あの…大丈夫、ですか?」
そう聞いても彼女は何も言わない。
そのままお互いに見つめ合っているといきなり女性が立ち上がる。倒れていたのに急に立ち上がって大丈夫なのだろうか。そんなことを考えていると何故か顔を近づけてきた。
「あの…?」
何をしているのだろう。まさか感謝のキスでもされるのだろうか。そして…と、この数十年で培った妄想力により色々な妄想が頭の中を駆け巡る。
結局キスはされず、彼女は顔を見たあとに俺の肩に顔を近づけて来た。そんな都合のいい展開にはならないか、というか何を…
「い゛っ!?」
いきなり首筋を食い千切られた。あまりの痛さに声にならない悲鳴が出る。突然のことで訳がわからない。
とりあえず逃げ出そうとするがその瞬間肩を捕まれ地面に押さえつけられる。
助けて。そう叫ぼうとするが痛みのせいで口がまともに動かない。
彼女はそのまま顔を肩に付けている。
どうやっているのかはわからないが凄い勢いで肩から血が抜かれていくのを、そして自分の体が冷たくなっていくのを感じる。
あ、ダメだわ…これ死ぬ…
「いつまで寝てるんですか」
誰かの声が聞こえる。
目を開けると知らない天井…いや、天井がなかった。
清清しい青空が美しい一本の線となり、その横には壁がある。路地裏だろうか。何で外で寝ているんだ俺は。
「ちょっと。起きたなら何か返事してくださいよ」
声のする方に顔を向ける。
そこには…
「うわあぁぁぁっ!?」
俺を襲ってきた何かが居た。
今なら判る。
これは人間じゃない。
何か…もっと得たいの知れない化け物だ。
「返事してとは言いましたが…別に叫ばなくても」
「ひっ、誰か、誰かたすっ」
「ちょっと。五月蝿いですよ」
手で口を塞がれる。
ダメだ、絶対殺される。
何とか逃げないと。
「そんなに怯えなくても。別にとって食ったりしませんよ。まぁ噛みましたが」
そうだ。
俺は肩を…
「あれ?治って…る?」
「やっと落ち着きましたか」
どうなっているんだ?
俺は確かに肩を噛まれた筈だ。ちょっと噛まれたとかではなくがっつり食い千切られたのだ。
「何で…?」
「そういうものなんですよ」
訳がわからない。あれがそんな簡単に治るとは思えないが…
とりあえず、
「えーっと、貴女は?」
「結月ゆかりです」
「そうじゃなくて…」
「あぁ。吸血鬼ですよ」
普通なら何を言っているんだと笑うところだが昨日の事はハッキリと覚えているため笑えない。
「何で起きるのを待っていたんですか?」
「顔を見られたからですよ。昨日はお腹空いてて何も考えずにやっちゃったんですよね」
普通で言えばヤバいことをして顔を見られたなら殺されそうなものだが、起きるのを待つ理由がわからない。
「変なこと考えてそうですけど、飲みきれないのに殺すのはマナー違反でしょう。私は少食なんです」
どうやらいきなり人を襲うのはマナー違反じゃないらしい。しかも気絶するまで吸っておいて少食と。まぁ吸血鬼には吸血鬼のマナーと常識があるんだろう。
「それで貴方が他の人に言い触らさないように…」
「言い触らさないように…?」
まさか口封じでもされるのだろうか。
でもさっきマナー違反って言っていたし…
「一緒に住もうかなと」
「何で!?」
なんかこう…文章の伸ばしかた?がマシになった気がする
多分続く