超一流ヴィランの俺様だが貴様らがどうしてもというならヒーローになってやらんこともない!   作:阿弥陀乃トンマージ

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第4話(1)イベントに向かう

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「ふ、二人とも、そんな怖い顔をしてどうしたのかな?」

 

 疾風宅の茶の間にてジンライと舞が険しい顔で大二郎を睨み付ける。

 

「……」

 

「おじいちゃん、本当に理由が分からない?」

 

「ええっと……?」

 

 大二郎はわざとらしく首を傾げる。ジンライがちゃぶ台を強めに叩く。

 

「単刀直入に聞く! NSPをどこにばら撒いた⁉」

 

「ば、ばら撒いたって……」

 

「NSPを狙う勢力が多いのは分かっているだろう! 何故一か所に保管していない⁉」

 

「ま、前も言ったけど、リスク分散の為にだね……」

 

「私、さらわれたんだけど⁉」

 

 舞が声を上げる。

 

「孫娘を思いっ切りリスクに晒してしまっているぞ」

 

「そ、それは大変だったけど、ジンライ君がいるから大丈夫だと信じていたよ」

 

「都合のいいことを……」

 

 舞が顔をしかめる。ジンライがいくらか冷静さを取り戻して尋ねる。

 

「百歩譲って、リスクを分散させるというのは理解出来なくもないとして……それをしっかりと管理出来なければ意味が無いだろう……」

 

「異常が発生した場合は通知が来るようにはしてあるよ。それにファム・グラスやクラブマンの様に、志あるヒーローやヒロインが駆けつけてくれるからね」

 

「……他力本願が過ぎないか?」

 

「その点については否定できないね」

 

「なんだって、赤レンガ通りなんて人が多く集まるところに石碑を設置するのよ?」

 

 舞が問う。

 

「NSPは設置場所や周囲の環境によってその力に変化が生まれるようなのだよ」

 

「ほう……?」

 

 ジンライは顎に手をやって呟く。舞が重ねて問う。

 

「それで? どういう変化が確認されたのよ?」

 

「えっと……」

 

「ヘンカ・エイキョウニツイテハ、モッカチョウサチュウデス……」

 

 口ごもる大二郎に代わって、ドッポが答える。

 

「なによそれ?」

 

「ショウサイハマダワカラナイトイウコトデス……」

 

「……これ以上一般の人に危険が及ぶようなことは避けるべきだわ。即刻、石碑等の撤去、回収をするべきよ」

 

「それは至極もっともな考えなのだけどね……」

 

「歯切れが悪いわね?」

 

「時間も費用も大分かかるからね……」

 

「どれだけばら撒いたのよ⁉」

 

「ざっと……函館だけでも50ヶ所くらいかな……」

 

「そ、そんなに⁉」

 

「う、うん……実験も兼ねて……」

 

「実験だと? なんの実験だ?」

 

 ジンライの眼光が鋭くなる。大二郎はしまったという風に口元を抑える。

 

「あ、ああ、それについてはまだ言えないのだよ……」

 

「なんで! どうしてよ⁉」

 

 舞は大二郎の肩を掴んで揺らす。

 

「こ、事はなるべく慎重に運びたいからね……」

 

 ジンライはドッポに視線を向ける。

 

「ドッポ……?」

 

「ワタシモシリマセン……」

 

「ふむ……リスク分散云々より、どうやら本命はその実験のようだな……」

 

「さ、さすがの洞察力だね……」

 

「NSPが解明されるのは俺様にとっても都合が良い……この件については終いだな」

 

「勝手に終わらせないでよ! 一般の人をさらに危険に晒すかもしれないのよ⁉」

 

「……と言っているが?」

 

「と、時が来たら伝えるよ、約束する。そ、それにこれは一般の人たちをむしろ守ることに繋がるはずなのだよ。僕の仮説が正しければだけど……」

 

「どう思う?」

 

 舞はジンライに尋ねる。ジンライは苦笑気味に答える。

 

「……一つの平和的発明が科学者の狂気じみた研究から生み出されるというのは、銀河中でありふれた皮肉ではあるな」

 

「ちょ、ちょっと! マッドサイエンティスト扱いかい⁉」

 

「限りなくそれに近いだろう。自覚なしか?」

 

「まあ、なくはないね……」

 

「本当に大丈夫なの⁉」

 

「舞、盲信しろとまでは言わんが、少しくらい信じてやれ……身内だろう」

 

「……分かったわ」

 

「ああ、と、とりあえず理解してくれて良かったよ、そうだ、これをあげよう」

 

 大二郎が複数枚のチケットを舞に差し出す。

 

「なによこれ?」

 

「今度、この近所の空き地で開催されるイベントのチケットだよ、お友達を誘うと良い、バックステージにも入ることが出来るよ。責任者とは顔見知りでね」

 

「ふ~ん……」

 

「興味深いな……」

 

 数日後、疾風宅の近所に設営された大きなテントの前に四人が立っていた。

 

「PACATF? なんて読むのかしら?」

 

「それよりも舞! 誘ってくれて嬉しいぞ!」

 

「ジッチョク、うるさい」

 

「俺にもまだ脈があるということだな⁉」

 

「ただ単にチケットが余っていたからよ……」

 

「ジンライっち、誘ってくれてどーもね♪」

 

 ジッチョクが舞にあしらわれている横で、アイスがジンライに声をかける。

 

「先日のゲームセンターはなかなか面白かったからな、その礼だ」

 

「……まさか、こっちがモーションをかける前に先手を打たれるとはね……」

 

 アイスは小声で呟く。

 

「? なにか言ったか?」

 

「うんにゃ、なにも」

 

「そうか、今日のこのイベントもそうだが、貴様に興味があってな……」

 

「うえっ⁉ な、なにっ⁉ 急展開過ぎない⁉」

 

 アイスは狼狽える。

 

「? 貴様に聞きたいことがあってだな……」

 

「き、聞きたいこと?」

 

「ああ、『多次元犯罪組織ミルアム』だとか、『プロフェッサーレオイ』だとか、どこかで見聞きした覚えがあるのだが……?」

 

「そ、そうなんだ……」

 

「この星に来て間もない俺様が知っているのはどうもおかしい……と思ってな」

 

「ふ、ふ~ん……」

 

「最近、見ているものといえば、もっぱら漫画なのだが……」

 

「ゴホッ、ゴホッ!」

 

 アイスは咳き込む。

 

「大丈夫か?」

 

「う、うん……」

 

「疾風大二郎さんの関係者ね、お待たせしたわ!」

 

「あ、祖父がお世話になっています……ってええ⁉」

 

 挨拶をしようとした舞が驚いた。赤を基調とした派手な燕尾服を着た小柄な女性と身長2メートル以上ありそうな熊の顔をした男が現れたからである。

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