超一流ヴィランの俺様だが貴様らがどうしてもというならヒーローになってやらんこともない!   作:阿弥陀乃トンマージ

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第5話(3)カルテット躍動

「!」

 

 ステージ上に色とりどりの特殊なスーツに身を包んだ四人が立っていた。

 

「勝利の凱歌を轟かす! シャウトブラウン!」

 

「栄光の姿を世に示す! メロディーパープル!」

 

「輝く未来を書き記す! リズムグリーン!」

 

「蔓延る悪を叩き伏す! ビートオレンジ!」

 

「四人揃って!」

 

「「「「カラーズ・カルテット」」」」

 

 四人が名乗りと共にポーズを決めると、その後方が爆発する。舞が驚く。

 

「ば、爆発した⁉」

 

「あ、大丈夫、安全面にはきちんと配慮しているから」

 

 ブラウンがポーズを取りながら横目で答える。

 

「は、配慮しているんですか……」

 

「それより唱さん……いえ、ブラウン!」

 

「なによ、たのちん……じゃなかった、パープル?」

 

「立ち位置がおかしいですわ! ちょっと真ん中に寄りすぎではありませんか⁉」

 

「え? いや、一応、アタシがリーダーなんだから、中央に立った方が良いでしょ?」

 

「い、いつ、貴女がリーダーになったのですか⁉」

 

「え、まあ、自然な流れで……」

 

「そんな流れ、どこにもありませんでしたわ!」

 

「なによ、パープル、ひょっとしてリーダーやりたいの?」

 

「そ、そういうわけでは……ま、まあ、どうしてもというなら……」

 

「……正直、ブラウンとパープルだとどちらも子供人気が出なそうだよね~」

 

「マジで、ひびぽん⁉ じゃなくて、オレンジ⁉」

 

「マジ、マジ、ここは間を取って、ボクがリーダーってことで……」

 

「なんの間ですか⁉」

 

「パープル、話がズレてる……結局何が言いたいの?」

 

「あ、し、失礼しましたわ! 奏さん……グリーン! えっと……わたくしが言いたいのは、四人なのだから、もっとバランスの取れた並び方をするべきだということですわ! これだと全体的に右寄りな気がいたしますわ!」

 

「ちょっと左側に余裕があった方が良いかなって気がして……」

 

「なんの余裕ですか、なんの⁉」

 

「まあ、その話は後で良くないかな?」

 

「オレンジの言う通り、この体勢を維持しているのはなかなか辛い……」

 

 グリーンが体をプルプルとさせながら呟く。

 

「よし! 皆行くわよ! ソウダイの連中を倒すのよ!」

 

「承知しましたわ!」

 

「さっさと終わらそう……」

 

「うおおっ!」

 

 四人がステージから勢いよく飛び降り、白いタイツの集団に突っ込む。

 

「せい!」

 

 ブラウンが相手を蹴り飛ばす。ジンライと舞がそれを見て呟く。

 

「ふむ、歌唱力はともかくとして、戦闘力は水準以上か……」

 

「オーソドックスな戦闘スタイルね」

 

「退きなさい、三下!」

 

 パープルが相手に向かって、弓矢を数本同時に放つ。そして、それを連射する。

 

「弓矢の斉射を連続で行うとは……相手は容易に近づけんな」

 

「ギターの弦を弾くようにスムーズだわ」

 

「ちくしょう! タココラッ!」

 

 グリーンがラリアットとエルボーで次々と相手を薙ぎ倒す。

 

「なっ⁉」

 

「ま、まさかのパワースタイルね……人が変わったみたい」

 

「ほい! ほい!」

 

 オレンジが二本のスティックを器用に使いこなし、相手を叩きのめす。

 

「こちらも近距離戦タイプか」

 

「ノリの良い攻撃ね」

 

 ジンライと舞が眺めている内に、白タイツ集団はほとんど倒されてしまった。

 

「そろそろ降参した方が良いわよ」

 

「ぐっ……な、なめるな! ぐはっ!」

 

 リーダー格らしき男がブラウンに向かって殴りかかるが、ブラウンにあっけなく返り討ちにあい、その場に崩れ落ちる。パープルが笑う。

 

「ふっ、他愛もないですわね……」

 

「おのれら……調子に乗るのもそこまでだ!」

 

「ぐはっ⁉」

 

 ブラウンが狼の顔をした男によって殴り倒される。

 

「ブラウン! がはっ!」

 

「はっ、スーパー油断してやがったな?」

 

 パープルが空から舞い降りた鷲の頭をした男の爪の攻撃を喰らい、倒れる。

 

「パープル! むっ⁉」

 

「おらあっ!」

 

 グリーンが低い位置から飛び込んできたカブトムシの頭をした男の頭突きを喰らい、足元から豪快にひっくり返される。

 

「グリーン! つうっ!」

 

「遅い!」

 

 オレンジが鮫の頭をした男に肩を噛み付かれ、倒れ込む。カラーズ・カルテットが次々と倒され、ジンライは戸惑う。

 

「な、なんだ⁉」

 

「幹部の皆様が来て下さった!」

 

 白タイツ集団が歓声を上げる。

 

「おのれら……後は俺たちに任せろ」

 

「ヤンク様! 誇り高き狼の獣人!」

 

「スーパーな戦いぶりを見せてやるよ」

 

「ポイズ様! 偉大なる鷲の鳥人!」

 

「格の違いを思い知れ……」

 

「ドラン様! 剛力無双のカブトムシの虫人!」

 

「貴女たちにかける言葉はありません……」

 

「キントキ様! 情け容赦のない鮫の魚人!」

 

「ふむ……人類とは違うのか?」

 

 ジンライの言葉にヤンクが振り返る。

 

「一緒にするな……俺たちは人類に裁きの鉄槌を下すものだ……」

 

「裁きの鉄槌?」

 

「俺たちの祖先はそれぞれ、忌々しい人類の連中によって住む場所を追われた……俺たち獣人は地の果てに追いやられ……」

 

「オレら鳥人は雲の上に……」

 

「ワシら虫人は山の奥に……」

 

「私たち魚人は海の底に……」

 

「それぞれじっと、息を潜めていた……」

 

「そうなのか……」

 

「近年、俺たちの間で行われている定期的な会合で……」

 

「ちょ、ちょっと待て!」

 

「なんだ?」

 

 話の腰を折られ、ヤンクは不機嫌そうにジンライを見る。

 

「な、なんだ、定期的な会合って! それぞれじっと息を潜めていたのじゃないのか⁉」

 

「会合って言うとちょっと堅苦しいわな、要は飲み会だ」

 

 ポイズがジンライに向かってウィンクする。

 

「の、飲み会……⁉」

 

「とにかく、そこで具体的な話がまとまり……俺たちの『ソラ』と『ウミ』と『ダイチ』を取り戻す、『ソウダイ奪還同盟』が結成される運びとなった!」

 

「うおおっ!」

 

「……」

 

 拍手して、歓声を上げる白タイツ集団をヤンクが手で制す。ジンライが尋ねる。

 

「こいつらは? 見たところ人類のようだが?」

 

「人類の協力者だ……ソルジャーと呼んでいる。もの分かりの良い奴らとも言える……」

 

「彼らは腐った人類ではありません」

 

 キントキが口を開く。ドランが倒れている者も含めて、ソルジャーたちに声をかける。

 

「お前ら、まだくたばってないだろう!」

 

「ううっ……」

 

「こいつらの後始末はワシらがする。あくまで狙いはこの近くの灯台にあるNSPだ!」

 

「何⁉」

 

 ジンライが目を見開く。ドランが叫ぶ。

 

「命と志ある奴こそ灯台へ行け!」

 

「お、おおおっ!」

 

「先住民族と新たに勢力を伸ばした民族の内輪もめかと思い、静観しても構わんかと考えたが……NSPを狙うなら話は別だ! ……吹けよ、疾風! 轟け、迅雷!」 

 

「な、なんだ⁉」

 

「疾風迅雷、参上! 貴様らの邪な野望は俺様が打ち砕く‼」

 

 パワードスーツを纏ったジンライを見て、ヤンクたちだけでなくブラウンたちも驚く。

 

「ア、アンタ、ヒーローだったの⁉」

 

「バイオフォーム、『狂犬』モード!」

 

「どわあああっ!」

 

 ソルジャーたちを疾風迅雷があっという間に蹴散らし、ヤンクの喉元に迫る。

 

「ふん!」

 

「ぐはっ!」

 

 疾風迅雷が噛み付こうとしたが、ヤンクによって地面に叩き付けられる。

 

「犬が狼に勝てる道理が無えだろう!」

 

「ぐうっ……」

 

「みんな、耳を塞いで!」

 

「⁉」

 

 ブラウンがマイクを取り出し、思いっ切り叫ぶ。

 

「『ライブスペース、襟裳岬にようこそ‼』」

 

「ぬおっ⁉」

 

 ブラウンが発した声が凄まじい衝撃波となり、ヤンクたちがふっ飛ばされる。

 

「よし! カラーズ・カルテット! 反撃開始よ!」

 

 ブラウンが力強く叫ぶ。

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