超一流ヴィランの俺様だが貴様らがどうしてもというならヒーローになってやらんこともない!   作:阿弥陀乃トンマージ

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第8話(3)新連載開始

「「「「連載開始!」」」」

 

 飛び降りた四人が光に包まれ、一人の姿になって地上に着地した。青と朱と白と黒の四色が混ざり合ったカラーリングのパワードスーツを身に纏っている。

 

「「「「風花雪月(ふうかせつげつ)、見参!」」」」

 

「ヒ、ヒーローだったのね……四人の身体が一つになったわ」

 

「舞! 俺たちも下りるぞ!」

 

 舞に声をかけ、ジンライは階段を急いで駆け下りる。

 

「貴様らは……地元ヒーローとかいう存在か?」

 

 茶色のスーツが銃口を向けながら、風花雪月と名乗った者に尋ねる。

 

「そうです」「中身は全国的だ!」「大した存在ではない……」「周りが騒いでいるだけだ」

 

「⁉ ええい! な、なんだ⁉」

 

「どうかされましたか?」「怒っているな」「気に障ったならすまない……」「ふん……」

 

「! 四人で一斉にしゃべるな! 聞き取れん!」

 

「ああ!」「またやってしまったな!」「つい癖で……」「別に大したことは言っていない」

 

「だから!」

 

 茶色スーツは苛立った様子で地団太を踏む。店の外に出てきたジンライは呆れた表情でそのやりとりを見つめる。

 

「何をやっているのだ……」

 

「ちょ、ちょっとよろしいですか⁉ 皆さん!」

 

 風花雪月が右手を挙げる。

 

「なんだよ」「発言して構わない……」「大声を出さなくても聞こえる……」

 

「ここは代表して僕がしゃべっても良いでしょうか⁉」

 

「良いぜ!」「任せる」「だから大声を出すな、同じ身体なのだから……」

 

「ありがとうございます」

 

 右腕の動きに答えるように、左腕、右脚、左脚がそれぞれ違う方向に動き、顔も忙しなく左右に動く。そのなんとも奇妙な動作に、茶色スーツは思わず後ずさりする。

 

「な、なんなのだ……?」

 

「……ええっと、僕らは風花雪月と言います。ご察しの通り、この札幌を中心に活動させて頂いている地元ヒーローです」

 

「なぜ、そんな状態に?」

 

「細かい原因は不明なのですが、四人で一人の身体を共有するのが通常状態でして……」

 

「そ、それが通常なのか⁉」

 

「ええ、説明は省略させて頂きますが、この力を得たときからこういう状態でしたね」

 

「四人の人格が共存しているのか?」

 

「まあ、そのように考えてもらっても問題ないかと思います」

 

「他の三人の声が脳内に響いている状態で戦うのか? 大変ではないのか」

 

「正直言うと、最初の内は大変でしたね……後は慣れです」

 

「慣れか……」

 

「ご心配頂きありがとうございます」

 

「い、いやいや……」

 

 頭を下げる風花雪月に茶色スーツは持っていた銃を左右に振る。ジンライが呆れる。

 

「何を馴れ合っているのだ……」

 

「こ、これはどういう状況なの?」

 

 店の外に出てきた舞がジンライに尋ねる。ジンライが肩をすくめる。

 

「さあな、こちらが聞きたい……」

 

「ご挨拶も済んだところで……撃退させて頂きます!」

 

 風花雪月が構える。茶色スーツも銃を構え直す。

 

「ふん! やれるものならやってみろ!」

 

「朱夏っち!」

 

「……なんですか、花さん……」

 

「ああ、この場合は風って呼ぶのか。風、ここは俺に任せてくれ!」

 

「分かりました……『ページチェンジ』!」

 

 風花雪月が青色一色になる。茶色スーツが驚く。

 

「スーツの色が変わった⁉ お、お前ら、かかれ!」

 

 茶色スーツの指示に従い、灰色スーツの者たちが風花雪月に一斉に飛び掛かる。

 

「へへっ! エモい攻撃を見せてやるぜ!」

 

 風花雪月は短い棒のようなものを手に構える。

 

「馬鹿め! そのようなもので戦えるか!」

 

「『集中線』!」

 

「⁉」

 

 風花雪月を中心にして、周囲に無数の線状の帯が放たれ、群がった者たちは倒れ込む。

 

「なっ⁉ レーザー光線か⁉」

 

「違うな、効果線の一種だ」

 

「効果線? そ、その短剣から発したのか?」

 

「短剣? いいや、これは丸ペンだ!」

 

「丸ペン?」

 

「ああ、『ペンは剣よりも強し』っていうだろう!」

 

「わけの分からんことを!」

 

 茶色スーツは銃を発射しようとする。

 

「花さん! 僕が行きます!」

 

「任せた! 『ページチェンジ』!」

 

 風花雪月が今度は朱色一色になる。

 

「尊い気分にさせてあげます! 『トーン:柄』!」

 

「なっ⁉」

 

 茶色スーツの周りをキラキラとした球体がいくつも浮かび上がる。

 

「どうです!」

 

「こ、心が不思議な高揚感に包まれる……戦いなんて愚かな行為だ」

 

 茶色スーツが胸を抑え、自然と銃を投げ捨てる。風花雪月が笑う。

 

「どうやらここまでですね」

 

「い、いや! まだだ! おかしな能力を使いおって!」

 

 茶色スーツが首を激しく左右に振って、風花雪月に殴りかかろうとする。

 

「ふむ……隊長格だけあって、なかなかの精神力ですね」

 

「風、自分に変わってくれ」

 

「雪さん! お願いします! 『ページチェンジ』!」

 

 風花雪月が黒色一色の姿になる。

 

「これがチルい攻撃かどうか自分も分からんが……『吹き出し:モノローグ』!」

 

「どあっ⁉」

 

 風花雪月のペンから白い雲のような煙が吹き出る。飛び掛かろうとした茶色スーツは押し出されるように吹き飛ばされる。

 

「大声を出すのは苦手だ。周囲への影響も考えて、叫び声の吹き出しは極力使いたくない」

 

「ま、またもや妙な能力を!」

 

「いい加減しぶといな……雪、それがしに変われ」

 

「月か、任せた。『ページチェンジ』!」

 

 風花雪月が白色一色に染まり、ペンを掲げる。

 

「エグい攻撃を見せてやる……『効果音』……」

 

「⁉」

 

「『ゴキ』……」

 

「! がはっ……」

 

 鈍い音と同時に茶色スーツが力なく倒れ込み、動かなくなる。

 

「ふん……」

 

「あ、ああ……」「うわあ、流石に引くわ……」「奴らの狙いを聞きそびれた……」

 

「い、一斉にしゃべるな! お主らのやり方が手ぬるいからだ!」

 

「蛮族の星かと思っていたら……なかなか面白そうなやつがいるな……」

 

「⁉」「な、なんだ、タコが喋っている⁉」「異星人だな」「新手か、面倒だ……」

 

「私と遊んでもらおうか」

 

「アマザ⁉」

 

 ジンライが自らを陥れようとした元副官の姿を見て、怒りで目を見開く。

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