超一流ヴィランの俺様だが貴様らがどうしてもというならヒーローになってやらんこともない!   作:阿弥陀乃トンマージ

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第14話(2)学園の地元ヒーロー集結!

「ふ~ん、ここが学校ね……」

 

 ドトウが校舎を見上げる。ジンライが頷く。

 

「ああ、そうだ。ここが俺様たちが通う『国立五稜郭学園』だ」

 

「宇宙広しといえども、五芒星型の堀に囲まれた学校はなかなか無いでしょうね」

 

「ふふん、それはそうでしょうね」

 

 ドトウの言葉に舞が得意げに胸を張る。ジンライが呟く。

 

「堀で囲んでいる時点であまり穏やかな話ではないのだがな……」

 

「って、アンタ、なんで着いてきたのよ?」

 

 舞がドトウに尋ねる。ドトウが首を傾げる。

 

「あら、いけなかった?」

 

「いけないっていうか……」

 

「どうせ家に居ても暇だし。貴女の私服、貸してくれてありがとう」

 

「別にいいけど……」

 

「ちょっとサイズがキツいけどね」

 

「一言余計なのよ。ってか、私服でウロウロしていたらすぐ見つかってつまみ出されるわよ」

 

「その辺に関してはぬかりないわ。学園のサイトにチョロチョロっと侵入して、本日の見学者だということにしたから」

 

「い、いつの間に……」

 

 舞に対してウインクするドトウにジンライは驚く。舞は肩をすくめる。

 

「まあいいわ……さっさと教室に行きましょう」

 

 ジンライたちは教室に着く。データをいじっているとはいっても、他の生徒にとってはあずかり知らぬところだ。クラスメイトたちの関心が早速ドトウに集まる。

 

「この子誰? カワイイ!」

 

「舞の知り合い?」

 

「ええっと……ジンライの妹さんよ」

 

 ここで嘘をついても仕方がないと思った舞は正直に話す。クラスメイトたちは驚く。

 

「ジンライ君の妹さん⁉」

 

「……ってことは、小姑さんだね!」

 

「……ちょっと待って、小姑ってどういうこと?」

 

 それまで当たり障りのない笑顔を浮かべていたドトウがすっと表情を変えてクラスメイトの1人に問う。問われたクラスメイトは戸惑い気味に答える。

 

「え? えっと……ジンライ君と舞は夫婦なわけだから……」

 

「はあっ⁉ 夫婦⁉」

 

 ドトウが素っ頓狂な声を上げ、ジンライに目をやる。ジンライは後頭部を掻く。

 

「……成り行き上、そうなった」

 

「どんな成り行きよ! アタシは認めないからね!」

 

 ドトウの言葉にクラスはざわつく。

 

「認めないだって……⁉」

 

「こ、これは修羅場の予感!」

 

「勝手に盛り上がらないでよ!」

 

 舞が声を上げる。

 

「おい、舞!」

 

 赤茶色で短髪の生徒が教室に駆け込んできた。舞が頭を抱える。

 

「また面倒な奴が来たわね……」

 

「小姑さんとトラブっているって本当か⁉」

 

「うるさい、ジッチョク! 大声でデマを叫ばないで!」

 

「まさか俺の母親や姉以外の奴と……」

 

「だからがっかりするな! それにまさかってなによ、まさかって!」

 

 赤茶色の生徒はガクッとうなだれる。ドトウが舞に尋ねる。

 

「誰? この一段とやかましい奴は?」

 

「隣のクラスの仁川実直(にかわさねなお)……皆ジッチョクって呼んでいるわ。悪い奴じゃないけど……」

 

「……話しぶりから判断するに、貴女に惚れているみたいじゃない。こっちになさいよ」

 

「そ、そんなこと、アンタが決めないでよ!」

 

「ゴホッ、ゴホッ……なんだか面白そうなことしてるじゃん、舞ちん」

 

 舞たちが視線を向けた先には白髪でスタイルの良い女子が立っている。

 

「アイス、今日は学校に来ていたのね。ってか、極度の寒がりなんだから、その校則ギリギリのミニスカートをいい加減に止めなさいよ。せめてストッキングを穿くとか……」

 

「生足ミニスカートでこそのギャルでしょ! そればかりは譲れない! ズズッ……」

 

「だから譲りなさいよ! 思いっきり鼻水が出ているわよ! あ~もう、せっかくのかわいい顔が台無しじゃないの……ほらっ、ティッシュ」

 

「あ、ありがと……」

 

「誰、そのかわいい子は?」

 

 ドトウが尋ねる。

 

「同じクラスの香里愛衣子(こおりあいこ)よ……体調悪くて休みがちなんだけどね。この白くて綺麗な髪がチャームポイントだから、皆アイスって呼んでいるわ」

 

「よろしくね~ジンライっちの妹さん」

 

 アイスは透き通るように綺麗な白い髪を揺らしながらドトウに手を振る。

 

「ジ、ジンライっちって! ……ちょっと待って、貴女どこかで見覚えがあるような……」

 

「え? き、気のせいじゃないかな?」

 

「いや、確かにどこかで……⁉」

 

 そこに警報が鳴り響く。校内放送が流れる。

 

「秘密結社レポルーが校内に侵入した模様です……皆さん、注意して下さい」

 

「なんですって⁉」

 

 思わぬ放送内容にドトウが驚く。ジンライが冷静に説明する。

 

「この学園の中庭にも、NSPの一部を用いた石碑がある。それを狙っているのだ」

 

「な、なるほど……」

 

「皆、落ち着いて、教室に入っていて!」

 

 舞がクラスメイトたちに呼びかけた後、ジンライたちとともに廊下に出る。

 

「どうするつもり?」

 

「もちろん、私たちが奴らを撃退するのよ! 私たちの学校ですもの!」

 

 後をついてきたドトウの問いに舞が力強く答える。ドトウが首を傾げる。

 

「私たち?」

 

「吹けよ、疾風! 轟け、迅雷! 疾風迅雷参上! 貴様らの邪な野望は俺様が打ち砕く‼」

 

「甲殻機動! この世の悪を挟み込み! 正義の心で切り刻む! クラブマン参上!」

 

「フリージング! ファム・グラス、参上! 愛すべきこの三次元の世界はウチが守る!」

 

「えええっ⁉」

 

 ドトウが驚く。ジンライだけでなくジッチョクは頭部がカニで、両腕が大きなハサミを持った姿になり、アイスが真っ白なドレス調のスーツに身を包んで現れたからだ。舞が頷く。

 

「よし! 三人とも、頼んだわよ!」

 

「おう!」

 

 疾風迅雷たちが中庭に向かう。ドトウがあっけにとられる。

 

「あ、あれは……」

 

「地元ヒーローよ」

 

「じ、地元ヒーロー?」

 

「そう、その地域の平和を守る為に日夜働くの」

 

「……もしかして地域ごとにいるの?」

 

「よく分かったわね……この日本には数万のヒーローがいると言われているわ」

 

「そ、そんなにいるの⁉」

 

「ええ、強弱合わせてだけどね」

 

「強弱⁉ そこは大小合わせてじゃないの? 弱ってなによ、弱って。必要、それ?」

 

「日本は悪の勢力の標的になりやすいからね、ヒーローはいくらいても足りないのよ」

 

「そういうものなの……」

 

「さあ、私たちも中庭に向かうわよ!」

 

 舞たちが中庭に到着すると、多数のレポルー戦闘員たちがそこにはひしめいていた。

 

「こ、こんなに……⁉」

 

「気を付けてね! 三人とも!」

 

「問題ない! 『疾風モード』!」

 

 疾風迅雷は群がる戦闘員たちを一蹴する。舞がドトウに解説する。

 

「あれが一度に多人数の相手と戦う時に便利な『疾風』モードよ!」

 

「スピードに特化したモードってわけね」

 

「そういうこと。流石に察しがいいわね」

 

「うおおっ! 『高速横歩き』!」

 

 クラブマンが横歩きをする。ドトウが尋ねる。

 

「……あれは?」

 

「高速に横歩きが出来るのよ」

 

「それだけ?」

 

「まあ、そうね……」

 

「なんの意味があるのよ、それ……」

 

「私に聞かないでよ、ジッチョクにサイボーグ手術を施したレポルーに聞いてよ」

 

「え? あいつ、秘密結社側なの?」

 

「マインドコントロールも受けたらしいけど、回りくどい言い方が理解出来ないのが幸いしたのか、今はああしてヒーロー側ね」

 

「な、なにそれ……」

 

「うおおっ! 『ハサミ斬り』!」

 

 クラブマンのハサミによる攻撃で戦闘員たちはたじたじになる。舞が呟く。

 

「ご覧のとおり戦力としてはそれなりに頼りになるわ」

 

「ウチも負けてらんないね! 『スケートオンアイス・テクニック』!」

 

 ファム・グラスの周囲の地面が一瞬で凍りつき、彼女はそこを滑り出す。まるでフィギュアスケートをこなすかのような華麗な動きで戦闘員たちの群れに近づく。ドトウが驚く。

 

「く、靴の裏に刃が⁉」

 

「ステップシークエンス!」

 

 ファム・グラスは戦闘員たちの繰り出してくる攻撃を優雅なターンやステップを駆使して次々とかわしていく。ドトウが感嘆の声を上げる。

 

「凄い! 相手が全く捉えきれていない!」

 

「まとめてケリをつける! キャメルスピン!」

 

 ファム・グラスは上半身を倒し、右足を腰より上の位置に上げ、T字になるようにして高速でスピンする。すると、巻き上がった氷が戦闘員たちの体を凍らせてしまった。

 

「こ、凍った⁉」

 

「て、撤退だ!」

 

 戦闘員たちは一部を残してたまらず撤退する。

 

「これが我が五稜郭学園が誇る地元ヒーローたちよ!」

 

 舞がドトウに対し、誇らしげに胸を張ってみせる。

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