超一流ヴィランの俺様だが貴様らがどうしてもというならヒーローになってやらんこともない!   作:阿弥陀乃トンマージ

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第15話(4)次元を超えるイタコ

「いわゆる巫女さんの恰好とはまたちょっと違うような……」

 

「青い袴だしね」

 

 舞の言葉にアイスが頷く。りんごが頭を掻く。

 

「まあ、ちょっとしたオリジナリティっていうか……本当は袴もわざわざ穿かなくてもいいんすけど、雰囲気づくりの一環というが……」

 

「色々と工夫してるのね……」

 

「そうだよ~地元ヒーローは一日にしてならず!ってね~」

 

 舞が感心する横でアイスが腕を組んで頷く。ドトウが叫ぶ。

 

「そんなことより、アイツをどうするのよ!」

 

 ドトウが巨大な竜を指差す。レオイが笑う。

 

「まあ、レベルも初期の段階で、強ボスと遭遇してしまうのもよくある話だ……」

 

「そんな、ちょっと前のRPGじゃないんだから!」

 

 アイスが声を上げる。レオイが手を掲げて叫ぶ。

 

「喰らえ!」

 

 巨大な竜が大きな氷塊を吐き出す。

 

「ぐおっ⁉」

 

「お兄ちゃん⁉」

 

 ジンライが氷塊に弾き飛ばされる。

 

「う、打ち砕こうとしたが、硬いな……それにあのスピード……厄介だ」

 

「ははっ! どんどん行くぞ!」

 

 レオイの言葉通り、氷塊が次々と吐き出される。

 

「くっ! 受け止めようとするのは難しい、各自回避行動を取れ!」

 

「舞! りんごちゃん!」

 

「ドトウサマ!」

 

 アイスが舞とりんごを両脇に抱え、滑りながら氷塊の雨をかわす。ドトウもドッポに乗り込んで、一旦距離を取る。それでも氷塊は学園のグラウンドに降り注ぎ続ける。

 

「ちっ、どうするか……」

 

 氷塊を回避しながら、ジンライは舌打ちをする。

 

「吹けよ、疾風! 迫れ、怒涛! 疾風怒涛、参上! 邪な野望はアタシがぶっ壊す‼」

 

 ドトウが疾風怒涛に変身する。

 

「どうするつもりだ、ドトウ⁉」

 

「こうするつもりよ!」

 

「なっ⁉」

 

 疾風怒涛が降り注ぐ氷塊を足場代わりにして、器用にジャンプしていき、巨大な竜に迫る。

 

「う、うまい! 竜の懐に入れる!」

 

「アクションアールピージーノヨウリョウデスネ」

 

 舞とドッポが感心している内に、疾風怒涛が竜に接近する。

 

「生憎、巨大なモンスターを相手にした経験は少ないけど、生き物ならば喉元搔っ切ればそれで終いでしょう⁉」

 

「甘いな!」

 

「⁉」

 

 突然、猛吹雪が吹き、疾風怒涛はそれに押し流され、地面に落下する。ジンライが叫ぶ。

 

「ドトウ!」

 

「な、なんとか、大丈夫……」

 

 ドトウは倒れ込みながらも片手を挙げる。いつの間にか空が薄暗くなり、強い吹雪が吹き荒れている。舞が戸惑う。

 

「て、天気が急変した……」

 

「天候操作とか、なるほど、いよいよ強ボス感あるね……」

 

 アイスが苦笑する。レオイが不敵な笑みを浮かべる。

 

「この地の持つ独特な空気もこのキャラを具現化するのに適していたのかもな……」

 

「くっ、まずこの吹雪による視界の悪さをなんとかせねば……」

 

 ジンライが顔をしかめる。

 

「ここはわに任せて下さい!」

 

 めんこいイタコが進み出る。アイスが驚く。

 

「めんコちゃん⁉」

 

「もう略称で呼んでる⁉ ギャルの距離の詰め方!」

 

 愛の言葉をよそにジンライがめんこいイタコに尋ねる。

 

「どうするつもりだ?」

 

「こうします! 『二次元降霊』!」

 

「⁉」

 

 めんこいイタコがゲームの魔法使いのような恰好に変化し、手に持った杖を掲げる。

 

「『聖なる光』!」

 

 杖から発せられた眩い光が薄暗い空をあっという間に明るく照らす。光の熱によるものか、吹雪もすっかり止む。レオイが驚く。

 

「なっ⁉」

 

「あの恰好は国民的RPGでストーリーの途中で亡くなったヒロインのコスチューム……それに全く同じ魔法を使っていた……」

 

 アイスが信じられないといった表情でめんこいイタコを見る。めんこいイタコは衣服の裾をつまみながら照れ臭そうにする。

 

「ははっ、この恰好さ、露出が多くてめぐせ……」

 

「も、もしかして、めんコちゃん……」

 

「ふ、吹雪を止めたくらいで良い気になるなよ!」

 

「!」

 

「まだこれがある!」

 

 レオイが再び手を掲げると、竜がさらに大きな氷塊を吐き出した。グラウンドの半分以上を覆いつくすほどの大きさである。ドトウが驚く。アイスが頭を抱える。

 

「お、大きい!」

 

「あのサイズじゃ避け切れない!」

 

「ちっ……」

 

 ジンライが舌打ちする。そこに再びめんこいイタコが前に進み出る。

 

「ここもわに任せて!」

 

「‼」

 

 めんこいイタコがワイルドな服装の男性の姿に変化し、拳を突き出す。

 

「『火炎の拳』!」

 

「⁉」

 

 めんこいイタコの拳から巨大な火の玉が発生する。火の玉は氷塊を溶かし、さらに竜をも飲み込んでしまった。愛が呆然と呟く。

 

「す、すごい……」

 

「……形勢逆転か?」

 

「ま、まさか、あの竜を……ここは撤退しよう!」

 

 レオイが姿を消す。

 

「ふう……」

 

「! だ、大丈夫⁉」

 

 元の姿に戻ったりんごが倒れそうになったため、アイスが慌てて抱き留める。

 

「こ、この降霊は特に体力を消耗するので……」

 

「やっぱり……」

 

「アイス、どういうこと?」

 

 ドトウがアイスに問う。

 

「彼女は漫画やアニメやゲームの……いわゆる『二次元世界』の亡くなったキャラクターを降霊させることが出来るんだよ。そしてその力で戦えるんだ」

 

「さきほどの男は国民的漫画で死ぬキャラクターだったな」

 

「そ、そんなことが出来るの? イタコの方って……」

 

 ジンライが腕を組んで頷く横で、愛が戸惑う。りんごが呟く。

 

「近年、高まってきたニーズに応えるべく、一生懸命修行しました……」

 

「た、大変なのね……」

 

「時代の変化に適応せねばいけませんから……いごともあります。コスプレし放題です」

 

「ふっ、趣味と実益を兼ねた能力というわけか……」

 

 笑顔を浮かべるめんこいイタコに対し、ジンライが笑みを浮かべる。

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