超一流ヴィランの俺様だが貴様らがどうしてもというならヒーローになってやらんこともない!   作:阿弥陀乃トンマージ

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第2話(2)ドタバタ自己紹介

「この日本にはいくつかこういう学校があるわよ」

 

「い、いくつかあるのか……日本、不思議な国だな」

 

「ある土地は有効に活用しないとね」

 

「……城郭ということは有事の際にも活用出来るわけだな」

 

「立ち入り禁止の区画も多いし、全貌は私たちも恐らく教職員の方も把握してないわ」

 

「生徒や教員がよく分かってないというのもなかなかな話だな……」

 

「それは置いといて……まず職員室に案内するわ」

 

 玄関を通り、職員室前に着く。舞が教師に挨拶する。

 

「……」

 

「ジンライ、私とアンタは同じクラスになるから」

 

「そうなのか?」

 

「おじいちゃんが色々と根回しした結果ね。まあ、その方が都合が良いでしょう」

 

「確かにな」

 

「じゃあ、私は先に教室に行っているから。先生についてきてね……くれぐれもおかしな言行は慎んで頂戴よ。おじいちゃんとも昨日話していたと思うけど……」

 

「みなまで言うな……いたずらに目立つような真似はしない」

 

「なら良いわ、それじゃあ教室で」

 

 舞は自らの教室に向かった。少し間を置いて、ジンライは教師とともに教室に向かい、女性教師の後に続いて、教室に入る。見知らぬ顔の登場に生徒たちはざわつく。

 

「はいはい、皆さん、お静かに……少し珍しい時期ですが、転入生を紹介します。それでは自己紹介をお願い出来るかしら?」

 

 教師に促され、ジンライが教壇の中央に立つ。教室中の注目が彼に集まる。

 

疾風迅雷(はやてじんらい)だ……銀河では『超一流のヴィラン』として鳴らした。そんな俺様と机を並べられる機会を得たこと……光栄に思うが良い……」

 

 教室が再びざわつく。舞は両手で頭を抱える。教師が戸惑いながら口を開く。

 

「は、はい……疾風君どうもありがとう。皆さん仲良くしてあげて下さいね」

 

 一人の女子生徒が手を挙げる。

 

「せ、先生、疾風君に質問いいですか⁉」

 

「そういうのは休み時間に……」

 

「よかろう、質問を許可する」

 

「えっ⁉」

 

 腕組みをして勝手に仕切り出したジンライを教師は唖然とした表情で見つめる。

 

「名字が疾風ってことは、舞となにか関係があるの?」

 

「ぬっ⁉ き、貴様、なかなか鋭い質問をしてくるな……」

 

「そ、そうかな?」

 

「ああ、想定外の質問だ……」

 

「十分想定出来るでしょうが……」

 

 露骨に困惑するジンライの様子を見て、舞は呆れて小声で呟く。

 

「ジンライサマ……」

 

「な、なんだ、ドッポ?」

 

 ジンライの左肩に乗っていたドッポが囁く。

 

「ゴニョゴニョ……」

 

「そ、そう答えれば良いのか?」

 

「エエ、コノヘントウガイチバン、フシゼンサガアリマセン……」

 

「そ、そうか……」

 

「ドッポの存在がもう不自然なのよ……」

 

 舞が目を細める。

 

「あ、あの、疾風君……?」

 

「ああ、待たせたな、俺様と舞は『夫婦』だ!」

 

「ええっ⁉」

 

「!」

 

 教室中がさらにざわつく。舞は頭を勢いよく机に打ち付ける。

 

「み、皆さん、静かに! そ、それじゃあ、疾風君の席はええと……疾風さん、舞さんの隣ね。座って頂戴」

 

「分かった」

 

 ホームルームが終わった後、案の定、ジンライは主に女子生徒から質問責めにあう。

 

「舞とはいつから付き合っていたの⁉」

 

「婿養子ってこと⁉」

 

「い、いや……うおっ⁉」

 

 質問責めに困惑していたジンライの首根っこを舞が引っ張り、教室の隅まで引きずる。

 

「なんで、あんなことを言ったのよ……⁉」

 

 ジンライに顔を近づけながら、舞は小さいが怒気をはらんだ声で尋ねる。

 

「ド、ドッポの進言を容れたまでだ」

 

「進言? どんな?」

 

「同じファミリーネームとはいえ、いきなり現れた俺様と貴様が兄妹というのはいささか無理が生じる……ならば夫婦と答えるのが一番自然だと……」

 

「それならいとことか、はとことかでも良かったでしょうが!」

 

「あ、ああ……」

 

「ソノハッソウハナカッタ」

 

「馬鹿しかいないの⁉」

 

「おい、舞!」

 

 赤茶色で短髪の生徒が教室に駆け込んできた。舞が舌打ちする。

 

「面倒な奴が来たわね……」

 

「結婚したって本当か⁉」

 

「うるさい、ジッチョク! 大声でデマを叫ぶな!」

 

「まさか俺以外の奴と……」

 

「だからがっかりするな! それにまさかってなによ、まさかって!」

 

 赤茶色の生徒はガクッとうなだれる。ジンライが舞に尋ねる。

 

「このやかましい奴は?」

 

「隣のクラスの仁川実直(にかわさねなお)……皆ジッチョクって呼んでいるわ。悪い奴じゃないけど……」

 

「けど?」

 

 ジッチョクが顔をガバッと上げる。

 

「考え直せ、舞! 君はまだ若い! 将来のことを決めるのはまだ早い!」

 

「こういう風に人の話を聞かないのよ!」

 

「なるほどな……」

 

「舞!」

 

「落ち着いて! まだこのジンライは婚姻可能な年齢に達していないわ!」

 

「?」

 

「ちょっと難しい言葉を使ったら、すぐ頭がショートすんのやめなさいよ!」

 

「ねえ、今の聞いた?」

 

「うん、まだってことは、いずれは……」

 

 女子生徒たちの反応に舞は慌てる。

 

「そ、それは言葉のあやってやつよ!」

 

「否定するところがますます怪しいわよね……」

 

「だ・か・ら~!」

 

「お~い、舞!」

 

「えっ⁉ あ、あれはおじいちゃんのドローン⁉」

 

 窓の外に、風呂敷をぶら下げたドローンが飛んでいる。大二郎の声が響く。

 

「お前がジンライ君の為に作ってあげた弁当、忘れていたから届けにきたぞ~」

 

「えっ、愛妻弁当⁉」

 

「やばっ! これはもう確定じゃん!」

 

「やばくないし! なにも確定してないから! ⁉」

 

 舞が否定した時、校内放送が流れる。

 

「秘密結社レポルーが校内に侵入した模様です……皆さん、注意して下さい」

 

「なんだと⁉」

 

 思わぬ放送内容にジンライが驚く。

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