超一流ヴィランの俺様だが貴様らがどうしてもというならヒーローになってやらんこともない!   作:阿弥陀乃トンマージ

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第16話(2)歓声の多い料理店

「ふむ……これでとりあえず花巻各地のMSPはひととおり確認したな……」

 

 花巻の市街地に戻ってきたジンライは車から降りて呟く。

 

「……コンゴハドウサレマスカ?」

 

 車から通常の形態に戻ったドッポが問う。

 

「……夕食には少し早いが、軽く食事でもとるか……どうだ?」

 

「いいわよ」

 

「ええ」

 

 舞とドトウが頷く。

 

「決まりだな」

 

「いや、俺にも聞けよ」

 

 ジッチョクが口を開く。

 

「なんだ、放っておけばなんでも食べるだろう、貴様は」

 

「酷い言われようだな」

 

「腹が減ってなくても、どこかで落ち着いて話をしておきたいと思ってな」

 

「ああ、そういうことか、構わないぜ」

 

「では、ドッポ……」

 

「ハイ、ケンサクシマス……コノジカンニエイギョウシテイルオミセハ……ココカラナントウニジュップンアルイタバショニアリマス」

 

 ドッポが空中に映し出した地図をジンライが見る。

 

「む、通り道にちょうど見落としていたMSPがあるな。確認がてら、この店にいくとするか……」

 

 ジンライたちは揃って歩き出す。

 

「美味しいのかしら?」

 

「コノアタリデハイチバンニンキノオミセデス」

 

 舞の問いにドッポが答える。

 

「へえ、それは楽しみね」

 

 ドトウが笑みを浮かべる。ジッチョクが尋ねる。

 

「なんていう名前の店だ?」

 

「『ヤマネコテイ』デス……」

 

「『山猫亭』?」

 

「ふふっ、なんだか注文が多そうね……」

 

 舞が微笑む。ジッチョクが首を傾げる。

 

「どういう意味だ、舞?」

 

「はあ、もうちょっと教養をつけなさいよ……」

 

 舞が呆れながら先を歩く。ジッチョクが焦る。

 

「マ、マズいぞ……舞のポイントが下がっている……!」

 

「そう焦らなくてもいいわ……」 

 

「え?」

 

 ジッチョクがドトウを見る。

 

「元々ポイントなんて貯まってないわよ」

 

「ええっ⁉」

 

「おい、さっさと行くぞ」

 

 愕然とするジッチョクにジンライが振り返って声をかける。

 

「トウチャクシマシタ……」

 

「ここが『山猫亭』か……」

 

「なるほど、素敵な雰囲気ね……」

 

「入るぞ」

 

「いらっしゃいませ♪」

 

 銀髪をセンター分けにした、長身のハンサムなルックスの青年が迎え入れる。

 

「4名だ」

 

「かしこまりました。こちらの窓際の席にどうぞ」

 

 銀髪の青年はジンライを席に案内する。

 

「……」

 

「こちらがメニューになります」

 

「……を頼む」

 

「かしこまりました。少々お待ちください……」

 

 青年は軽く一礼すると、カウンターに向かい、厨房に声をかける。厨房の椅子に腰かけていた、短髪の黒髪の青年が立ち上がる。精悍な顔つきをしているこの青年はコック帽を被り直し、注文を確認すると、料理にとりかかる。ほどなくして、料理が運ばれてきた。ジンライたちは料理を口にする。

 

「この『天の川パスタ』、美味しい~♪」

 

「ありがとうございます」

 

 銀髪の青年が頭を下げる。

 

「こんなに美味しいのに、期間限定なんですか?」

 

「はい、夏季のみです」

 

「どうして?」

 

「当店では季節ごとに見られる星座にちなんだメニューを提供しています。こちらは夏の星座の代表格である『夏の大三角形』を形成するベガとアルタイル……いわゆる七夕伝説から着想を得ています」

 

「へ~ロマンチック~」

 

 銀髪の青年の澱みのない説明に舞が感心したように頷く。

 

「……これは美味しいわね、シェフを呼んできてちょうだい」

 

 ドトウが銀髪の青年に声をかける。

 

「かしこまりました。お待ちください」

 

 青年が厨房に声をかける。シェフの青年がドトウの近くまできて、コック帽を取って頭を下げる。ドトウが尋ねる。

 

「『シェフの気まぐれ料理』を頼んだのだけど、何故こういう味付けに?」

 

「はい。失礼ながら、さきほど食された駅弁と食べてみたい駅弁の話をされていたのが耳に入ったので、それとは違った味付けにさせてもらいました」

 

「! そんなわずかな時間で……なかなかやるわね」

 

「駅弁に関しては頭に入っておりますので……ありがとうございます」

 

 シェフの青年があらためて頭を下げる。銀髪の青年が告げる。

 

「それでは引き続きお食事をお楽しみください」

 

「は~い」

 

「そうさせてもらうわ」

 

「ふん、気に入らんな……」

 

 ジンライが頬杖をつく。

 

「シットハミットモアリマセン」

 

「うるさい……」

 

 ジンライがドッポを小突く。ジッチョクが食事をすすめる。

 

「うん……このキーマスープカレー、美味いな!」

 

「……おい、ジッチョク」

 

「なんだ?」

 

「なんだ?じゃない、本当にレポルーがこの岩手県を狙っているのか?」

 

「ああ、間違いないぜ」

 

「あらためて確認するがどこでその情報を?」

 

「改造されたときの名残か、奴らの通信をたまたま傍受したんだよ、この数日間の内に岩手県のMSPに手を出すためにやってくるはずだ」

 

「きゃあ~!」

 

 女子高生たちが店に入ってきて、青年たちを見て黄色い声を上げる。

 

「……今のところ学校終わりの地元の女子高生しかやってきていないようだがな」

 

「イケメン二人がやっている店だからね、人気一番っていうのも納得だわ」

 

 ジンライが舞の言葉に面白くなさそうな反応をして、視線をカウンターに向ける。

 

「ふん、くだらん……ん? あの白衣とサングラスの女は……」

 

銀至仁(しろがねしじん)鉄鳴鐘(くろがねめいしょう)……東京の一流レストランに勤務していた伝説のイケメンウェイターとシェフ……まさかこんな所で会えるとは……東北での任務も悪くないわね……」

 

「ド、ドクターMAX⁉ レポルーの科学者がこんなところに⁉」

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