超一流ヴィランの俺様だが貴様らがどうしてもというならヒーローになってやらんこともない!   作:阿弥陀乃トンマージ

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第17話(1)突然の秋田美人

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「本当にここで間違いないの~?」

 

 舞が先を歩くジンライに問う。

 

「ああ、間違いない……」

 

「その割にはさっきからマップとにらめっこしているじゃないの」

 

 舞の横を歩くドトウがケラケラと笑う。

 

「む……これは念には念を、ということだ」

 

 ジンライがムッとする。

 

「それならドッポの充電もしっかりしておいて欲しかったわ~」

 

 ドトウが呆れた様子で両手を広げる。

 

「……まさかオート充電がマニュアル充電に切り替わっていようとは……油断した」

 

「油断? そういうのは単に確認不足って言うのよ!」

 

「ぬ……」

 

 ジンライが口を真一文字に結ぶ。

 

「これは完全なる失態よ!」

 

 ドトウがジンライをビシっと指差す。

 

「なにを……」

 

 ジンライが振り返って、ドトウのことを睨み付ける。

 

「まあまあ二人とも、ケンカしないで……」

 

 舞は抱えたドッポを優しく撫でながら、苦笑交じりに呟く。

 

「……舞」

 

 ジンライが舞に視線を向ける。

 

「え、何?」

 

「昨晩ドッポを何やら使っていたな?」

 

「ああ、ちょっと調べものがあって……」

 

「……」

 

 ジンライが舞をじっと見つめる。

 

「何よ?」

 

「……その時にオートをマニュアルに切り替えてしまったのではないか?」

 

「! はあっ⁉ 何よ、私のせいだって言いたいわけ⁉」

 

「……可能性は高い」

 

「何もしていないわよ!」

 

「何もしていないやつほどそう言う……」

 

「はああっ⁉」

 

「ようこそ!」

 

「「「!」」」

 

 ジンライたちが声のした方に振り返ると、そこには赤を基調とした派手な燕尾服を着た小柄な女性、坂田杏美が立っていたからである。

 

「招待メールがギリギリになっちゃったけど……良かった、届いていたのね」

 

「招待メール?」

 

 ジンライが首を傾げる。

 

「ええ、今朝送ったでしょ?」

 

「それはギリギリとは言わん……」

 

 ジンライが呆れて目を細める。

 

「そ? でもほら、あなたたち、フットワーク軽いし」

 

「だからといって、函館から秋田県とは……」

 

「でも来てくれたじゃないの」

 

「いや、これは別件で……」

 

「別件?」

 

 杏美が首を捻る。舞が慌てて口を挟む。

 

「ど、どうしてこちらに?」

 

「? メール見なかった?」

 

「えっと……今朝から色々とバタバタしていたもので……」

 

 舞が両手でドッポを撫でまわす。

 

「あらそう? 今日はね、興行に来たのよ」

 

「興行?」

 

「そう。我がPACATFの記念すべき、東北地方初巡業よ!」

 

 杏美が両手を目一杯広げてみせる。

 

「へえ……」

 

「ほう……そんな予算があったとはな」

 

 感心する舞の隣でジンライが自らの顎を撫でながら呟く。

 

「招待してもらったもので……」

 

「きゃっ⁉」

 

 ドトウがびっくりしてのけ反る。身長2メートル以上ありそうな熊の顔をした男、光八が背後に立っていたからである。

 

「招待?」

 

「はい、こちらの秋田県を拠点とする『きりたんぽプロレス』さんが一緒に興行を打とうと声を掛けてくださいまして……諸々の費用も半額負担してくださいました……」

 

 舞の問いに光八が淡々と答える。

 

「なるほどな」

 

 ジンライが頷く。

 

「というわけで、北海道を飛び出してきたのよ!」

 

 杏美が右手の親指をサムズアップする。

 

「……あなたたち、本来の職務を忘れていない?」

 

 体勢を立て直したドトウが呆れ気味に杏美に尋ねる。

 

「あれ? 知っていたっけ? PACATFの真の姿」

 

「調べたわ」

 

「ほう、優秀ね……まあ、治安維持活動の活動を維持するにあたっては先立つものが無いとね……」

 

 杏美が右手の人差し指と親指で丸をつくってみせる。

 

「ふむ……それにしても田沢湖湖畔でプロレス&サーカス興行とはね」

 

 ドトウが近くの湖に視線をやりながら両手を広げる。

 

「どうせなら話題になりそうなところでやらないとなって思ってね♪」

 

 杏美がウィンクする。

 

「坂田団長……」

 

「?」

 

 杏美が振り返ると、綺麗な長い黒髪の細身で長身の女性が立っていた。センター分けの髪から覗く顔は美人という言葉がしっくりくる。

 

「そろそろ最終の確認をさせていただきたいかと思いまして……」

 

「えっと……」

 

「申し遅れました、わたくし、きりたんぽプロレスの専務、高西紅(たかにしべに)と申します。社長が今席を外しておりまして、わたくしが代理で確認させていただきます」

 

「ああ、そう」

 

「ではこちらに……」

 

 紅と名乗った女性に促されて、杏美が運営テントの方に向かう。

 

「……美人だな」

 

「え、ええ、まさに秋田美人です……」

 

 ジンライの言葉に光八が同調する。

 

「良かったな」

 

「え?」

 

「プロレスに携わる者同士で繋がりを持てるではないか」

 

「い、いや、繋がりって……選手とスタッフさんですから……」

 

 光八が苦笑する。しばらくして、試合の時間となった。

 

「さあ、本日のメインイベント! 北海道からやってきた脅威、ベアーマスク! 対するのはきりたんぽプロレスの看板娘、BENIだ!」

 

「⁉」

 

 光八が驚く。マットの上で自らと対峙するのが、真紅の華やかなリングコスチュームに着替えた紅がいたからだ。

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