余の最後はさんざんだった。誰からも愛されず疎まれる、ベネディクトだけは余を愛してくれていたと思う、
そう思いながら近づいてくる地面を見て「もし赤子の時からやり直せるなら…人を愛し愛されたい」
……なんでだろうなぁ。余は乳母の乳を吸いながら黄昏ていた。
余は実際に願った通りに赤子の時からやり直せたのだが、赤子であるからかいくら乳を吸っていても性欲もわかず、腹が減ったら余の意思とは関係なく泣いてしまう。
精神はそのままで赤子に戻るというのは存外に不便である。そしてとにかく退屈であった。王族の赤子ゆえに王宮を退屈しのぎに回ろうとしたが使用人に止められ、危険なことができないように見張りをつけられた。
何かできることはないかと考えて寝ていたら突然真っ白な空間にいた。「やあ、初めましてボクはヒトガミ」そしたら後ろにモヤのかかった全身白の男でも女でも無いようなヒトガタがいた。「キミとっても面白いねー、赤子にその似つかわしくない精神!まるで龍神のようにタイムリープしたような…」こう捲し立てられて呆けていて話半分で聞いていたら
いきなり顔を近づけられ「…そうキミはボクのお先真っ暗だった未来にさす一筋の希望なんだよ」
いきなりそんなことを言われてもと戸惑っていても、ベラベラと一人で「アイツに勝てる」とか「やっと安心できる」とブツブツと呟いた後、急に静かになり
「パックスよ聞きなさい、暇な時に土魔術を使いなさい、さすればあなたにとって良き望んでいた未来に一歩近づくでしょう…でしょう……でしょう」
知っている天井だ、さっきの夢は何だったのだろうと考察していたが余にはさっぱりわからなかった。しかしどうせ暇なので言われた通り土魔術を使ってみるのも良いかもなと思った。
あの天才だった泥沼のルーデウスも土魔術が得意でたしか兄上に出会ったきっかけのロキシー人形は土魔術で作られたものだったと思い出し
「…ロキシー」と呟きかつて自分をルーデウスと比べこんなものかといった態度をとった初恋だったかもしれない相手を思い出た。
もしも自分がルーデウスより優れていたならばロキシーも自分を認めてくれるのでは無いかと紳士的に接していたならば余のことを愛してくれていたのかもしれないと
そして余はまたルーデウスが作ったロキシー人形を思い出し、ルーデウスはいつロキシー人形を作ったのだ、余がアレを手に入れた年齢からから考えて幼少期から魔術を行使していたとしか考えられず
幼少期から魔術を行使していたからあの膨大な魔力を有していて、余もいまからならあの天才に勝てるかもしれないとあのヒトガミを名乗る変なやつの助言に関係なく土魔術を使おうと決意した。
願い通りに人生をやり直せたのだから余も本気を出そうと
ヒトガミにとっての希望のパックス君
オルステッドのルーデウスに対する切り札となるのか