新世紀エヴァンゲリオン for Mothers ~母親達の戦い~   作:朝陽晴空

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用語解説
『ノブレス・オブリージュ』
 高貴な身分に生まれた人間は、清高な言動と、社会的弱者への慈愛の精神を持つ責任があると言うフランス発祥の格言。


第十三話 少年は神になる

 

【挿絵表示】

 

 

<ネルフ本部 作戦会議室>

 

 エヴァに寄生して操る使徒との戦いで、初号機はシンジの意志に反して使徒に寄生された拾参号機を攻撃した。

 しかしそれは拾参号機の動きを止めるための必要最小限の攻撃で、拾参号機と乗って居たトウジの命が両方助かったと知ると、シンジはユイとゲンドウと和解した。

 雨降って地固まると言うべきか、シンジは時間が空けば初号機ケージでユイと話をするようになった。

 

「シンジはまだ帰って来ないのか」

「アタシ達を差し置いて、ママとベッタリだなんて」

「碇君が居ないと夕ご飯も少し寂しいわ」

 

 シンジの家ではゲンドウが夕食を作りに行き、アスカとレイと3人で食べると言う日が続いていた。

 ゲンドウは毎日欠かさずシンジに料理を披露するのが楽しみだったし、アスカもシンジとファーストキスをして恋人のような関係になったと思っていたし、レイはシンジと話せる時間が限られている。

 3人ともシンジを独占するユイにヤキモチのようなものを感じていた。

 そんな時、ネルフ本部に悪夢のようなニュースが飛び込んで来た。

 

「ロシア全土が使徒の攻撃で壊滅……!?」

「一週間足らずで、シベリア全土にアダム樹の北方林が広がったそうよ」

 

 驚愕したミサトの呟きに、リツコがそう答えた。

 ロシアに広がる針葉樹林地帯、タイガは地球の二酸化炭素の7分の1を吸収していた。

 今までそのタイガの森林破壊が地球環境問題になっていたが、大きく改善された結果となった。

 多くのロシアの人々の命を犠牲にして。

 ライバルである軍事国家ロシアの消滅を、アメリカなどが喜ぶほど愚かではなく、自分の国に使徒がやって来ないかガタガタと震えていた。

 犬猿の仲だったウクライナからもロシアへの応援部隊が駆け付けたのに、人々が国境を乗り越えて力を合わせた日が国家最後の時となるのは悲劇である。

 ロシアを壊滅させた使徒は後1日足らずで朝鮮半島を壊滅させて日本に迫って来ると予想されていた。

 

「あれだけの核爆弾と軍隊とエヴァを持ったロシアを滅亡させるなんて……おそロシア……」

 

 マコトの渾身の呟きも、会議室の空気をさらに冷たくするだけだった。

 シンジとアスカは、ロシアを壊滅させた使徒はレリエルが話していた最強の使徒ゼルエルではないかと思った。

 話し合いなど一切通じず、人間も第二使徒リリスも滅ぼしてしまおうとする武闘派の使徒。

 

「急いで朝鮮半島に向かって使徒を迎撃しましょう!」

「恐らく、今から行っても間に合わないわ」

 

 ミサトの意見に対して、MAGIで使徒の侵攻スピードを予測したリツコはそう答えた。

 

「だが日本に上陸をさせてしまえば大きな被害が出る事になるぞ」

 

 コウゾウの言う通り、今までは奇跡的に海から第三新東京市の間の鶴真岬周辺しか

被害は出ていなかった。

 今回の使徒が第三新東京市を狙ったコースを通れば、大阪・京都・名古屋の大都市が壊滅的な被害を受ける可能性がある。

 

「朝鮮半島と日本の中間に小さな島がある。その島の韓国軍基地で朝鮮半島の状況の情報を収集しろ」

「しかし司令、その島に韓国軍は居るのでしょうか? 使徒に恐れをなして逃げてしまっている可能性もあるのでは?」

 

 ミサトが質問をすると、ゲンドウは皮肉めいた口調でアダム樹になっても韓国軍は島から離れないだろうと言い放った。

 

「ですがあの島に日本のエヴァが近づいても、韓国軍が協力的な態度をとるとは限りません」

「今まで国境線を挟んでいがみ合っていた国同士が、打倒使徒の目的で団結しているのだ、そこまで彼らも愚かではないよ」

 

 マコトの言葉にコウゾウはそう答えた。

 日本と韓国の間のジーソミアはセカンドインパクト前から形骸化していて、ロシア壊滅の情報も、国内で大混乱を起こしている中国から遅れて伝え聞いたものだった。 

 最近はアメリカも自国第一主義の動きが目立っていて、日本は核の傘に守られていないとの話もある。

 在日アメリカ軍の主力が本土防衛のために呼び戻されているのだ。

 

「それでは即座にエヴァ3機の出撃準備にかかります」

 

 ミサトやリツコ達は急ぎ足で作戦会議室を出て行く。

 朝鮮半島の救援に間に合わなくても、日本海上で使徒を迎撃しなければ大きな被害が出る。

 拾参号機は命に別状は無いが、戦闘が出来る状態では無かった。

 無理してシンクロ率が低い状態で行っても、足を引っ張るだけだ。

 

「シンジ、使徒が日本に上陸する前にやっつけるわよ」

 

 アスカは気合いの入った声でシンジに呼び掛けた。

 

「そして、もう一度あの観覧車でキスをするのよ。だからあの観覧車は守らないとね!」

「うん」

 

 シンジもしっかりとした声でアスカに答えた。

 

「シンジ、待て」

 

 作戦会議室を出ようとしたところで、シンジはゲンドウに呼び止められた。

 

「お前に渡しておくものがある」

 

 ゲンドウはそう言って、シンジに頭に被るヘルメットのような器械と、金色に光る手のひらサイズの鍵を渡した。

 

「父さん、これは?」

「エヴァの深層意識に潜るための『ナープギア』と、心の扉を開く『ネブカドネザルの鍵』だ。シンクロ率を急激に高める必要が出て来た時、初号機を『シン化』させるために使え。……これが不要で終わる事を祈っている」

「分かったよ。行って来るよ、父さん」

 

 シンジはゲンドウにそう言って、アスカの後を追いかけて出て行った。

 

 

 

<日本海 日韓国境付近の島周辺>

 

 エヴァ3機を吊り下げた輸送機は、島のかなり手前でエヴァを降ろして引き揚げた。

 輸送機は通常兵器でも撃ち落されてしまうため、警戒していたのだ。

 敵意が無いことを示すため、戦略自衛隊の戦闘機も護衛しなかった。

 初号機はギリギリ肉眼で確認できない強さのA.T.フィールドを展開しながら島に近づいた。

 弐号機と零号機は離れた場所で待機している。

 初号機が手に持ったプレートには『친구(TOMODACHI)』と書かれている。

 韓国軍の基地からの攻撃は無かった。

 安心した初号機はタブレット型の通信器を韓国軍の司令官に渡した。

 衛星の数もかなり減ってしまったが、衛星通信はまだ使えるようだった。

 韓国語が話せるコウゾウと司令官の話の内容はシンジには分からなかったが、司令官が無念の涙を流すのを見て、朝鮮半島の都市は壊滅してしまったのではないかとシンジは胸が痛んだ。

 ゲンドウは家で料理を作る時、純韓国産の唐辛子はコクがあって辛さのバランスも丁度良いと絶賛していた事を思い返した。

 

「みんな、使徒はそちらに向かっているらしいわ。迎撃の準備をして」

 

 ミサトの通信がエヴァ各機に入る。

 それほど時間が掛からずに使徒と思われる浮遊生物が豆粒のようだがこちらに近づいて来るのが見えた。

 初号機は韓国軍の人々に、ジェスチャーで逃げるように伝えたが、外で使徒を肉眼で確認しているはずの司令官や兵士達は島から逃げる様子が無かった。

 

「僕達がこの人達を守らないと……!」

 

 エントリープラグの中で呟くシンジと初号機であるユイの気持ちは同じのようで、初号機は島を護る様に使徒の前に立ちはだかった。

 しかし、使徒の両目が光を放つと、初号機の背後にあった島は文字通り消滅した。

 島のあった場所には大きな緑色の柱が上がっている。

 初号機のA.T.フィールドを貫通した様子は無かったのに。

 

「そんな……島を丸ごと1個消してしまうなんて……!」

 

 弐号機に乗っていたアスカも驚きの声を上げた。

 今までの使徒は爆発の威力も加減されていて、人間の緑化が目的だった。

 だがこの使徒は力の加減と言うものをしない。

 壊滅したロシアの大地も大きな穴が穿たれているのだろう。

 使徒の攻撃が方法が見えない。

 ビーム光線を放ってくるのならば避けようがあるが、今の様に初号機の背後の島を消してしまうだなんて、第三新東京市に使徒が来たら人々が避難しているシェルターは何の意味も持たなくなる。

 後ろで待機していた弐号機が突然走り出し、初号機の前へと躍り出た。

 そして両腕を広げて使徒の前に立ちはだかった。

 浮遊する使徒は、カミソリのような腕を伸ばし、弐号機の両腕を根元から切り落とした!

 弐号機の両肩からL.C.L.が噴き出す!

 

「きゃぁぁぁぁっ!」

 

 弐号機のエントリープラグの中でアスカが両肩を手で押さえて悲鳴を上げた。

 そして弐号機はそのまま横倒しとなった。

 

「アスカっ!」

 

 弐号機が腕では無く、首をはねられていたら即死だった。

 このままでは初号機を庇った弐号機が死んでしまう。

 後ろに居る零号機も無事では済まない。

 そう判断したシンジはためらいも無くゲンドウから受け取った『ナープギア』を頭に被り、『ネブカドネザル』の鍵を手で握った。

 

『LINK START』

 

 ナープギアから発せされる機械音声と共に、シンジは自分の心が現実世界から引き離されるのを感じた。

 

 

 

<初号機 ユイの精神世界>

 

 シンジが再び気が付くと、自分が日本の街の中に居る事に気が付いた。

 周りにはたくさんの人々が歩いている。

 走って来た人にシンジはぶつかりそうになったが、シンジの身体をすり抜けて行った。

 

「僕は幽霊になったのかな?」

 

 自分が幽霊なのか、それともこの世界の住民が幽霊なのか。

 使徒の体内でマイナス宇宙空間を体験したシンジにとってはショックが少なかった。

 周囲の様子を見回してみると、ゲームで有名な『任人堂』の本社ビルがあった。

 碁盤のような真っ直ぐな街並み、至る方向に見える神社や寺などからも、ここは京都に違いないと思った。

 京都と言えば、母さんの生まれた家がある街だ。

 京都大学に入るまで、母さんはずっと京都で暮らしていたと聞いていた。

 その割には京都弁が出てこないけど、京都に住んでいる人すべてが京都弁が出て来るとは限らないと父さんもと言っていたとシンジは思った。

 

「母さんの家はどこなんだろう……」

 

 シンジは自分が京都観光のためにユイの精神世界に入ったとは思っていなかった。

 この手の中にある『ネブカドネザルの鍵』で何かの扉を開けるのが目的なのだろう。

 その時、数人の女子学生と一緒に、中学生の制服を着たユイが歩いて来た。

 学校に登校するのか、それとも下校しているのか。

 シンジはユイの姿を見失わないように後を追いかけた。

 この世界の人々にはシンジが見えていないようなので尾行は楽だった。

 ユイ達のグループの行く手で、1人の中学生の少年が上級生の少年グループに袋叩きにされていた。

 

「やだ、また六分儀君がいじめられている」

「巻き込まれないうちに、早く行こう」

 

 ユイを取り巻く女子生徒達はそう言ってユイの手を引っ張って脇を通り過ぎて行った。

 もしかして、いじめに遭っているのは中学生の頃の父さん?

 シンジは上級生にボコられて放置されたゲンドウの様子が気になったが、自分ではどうにも出来ない。

 ユイを見失っては大変だと、シンジはユイ達の方へと向かった。

 

「私、やっぱり六分儀君が気になる。みんなは先に行ってて!」

 

 ユイは取り巻きの女生徒達にそう言うと、ゲンドウの下へと引き返した。

 

「何よ、お嬢様だからって『ノブレス・オブリージュ』を果たすわけ?」

 

 眼鏡を掛けたお下げ髪の女子生徒は特に憎しみを込めた表情で言い放った。

 彼女は学校の成績でも一番を取るユイの事を尊敬していると言いながら煙たがっているのだ。

 周りに居る女子も、ユイの親友だとは思えない。

 本当に取り巻きと言った感じだった。

 シンジは嫌悪感を覚えながら、ユイの後を追いかけた。

 

「ゲンドウ君、いじめられている事、先生には言わないの?」

 

 ユイは唇の端が切れたゲンドウの口をハンカチで拭いながら言った。

 

「話したって無駄だよ。誰だって、僕を助けちゃくれないよ。君だって素通りしたじゃないか」

 

 ゲンドウの言った言葉に、ユイは言い返すことが出来なかった。

 

「それに、祖母ちゃんに迷惑かけたくないし……」

 

 ゲンドウは両親が離婚し、祖母と2人となっていた。

 さっきは上級生のグループに万引きする事を強要されて、拒否して上級生に殴られた。

 

「ゲンドウ君は優しすぎるんだよ。私のような偽者の優しさと違って」

「あいつらは、僕が弱い事に感づいて、僕を狙っているんだ。だから碇さんもこれ以上、僕と関わらないで」

 

 ゲンドウはそう言うと、ユイの前から走り去った。

 孤立した草食動物は、肉食動物の群れに狙われる。

 ゲンドウは自分が人の目を気にしてビクビクしている弱い人間だから狙われるのだと理解していた。

 ユイは草食動物の群れの中に居るべきだと、ゲンドウはユイを突き放した。

 

「父さんって昔は僕と変わらなかったんだ……」

 

 精神世界の中では時間の流れや空間は現実時間とは違う。

 シンジは直ぐに別の場面へと飛ばされた。

 河川敷でユイとゲンドウが話していた。

 

「いじめられないようになるには、ゲンドウ君が強くなればいいのよ!」

「君はとんでもない事を言うね。大きな会社のお嬢さんだとは思えない言葉だ」

「私はもう、お父さんやお母さんの言いなりになってばかり居るのは嫌になったの。張り付いた笑顔を皆に向けているのも、もうウンザリ」

 

 シンジはユイとゲンドウが自分を変えようとしている姿を目の当たりにして、自分もアスカやレイ、大切な人を守るために最強の使徒が相手だろうが諦めるわけにはいかないと熱い闘志を燃やした。

 中学生時代のゲンドウは、ユイに守ってもらってばかりだったが、高校生になるとたくましい体付きになり、ゲンドウがユイを守るようになった。

 

「結婚相手は、親が決めるものではありません。私が決めます!」

 

 大学生になったユイは家族親戚一同の反対を押しのけ、ゲンドウと結婚。

 ゲンドウは生きているうちにお祖母ちゃん孝行が出来たと喜んでいた。

 京都大学の冬月コウゾウの研究室に入った2人は、そのまま研究所勤務となる。

 そして2人が京都に居る間にセカンドインパクトが起きる。

 何とか最初の使徒アダムを倒す事に人類は成功したが、再びの使徒襲来が予言されていた。

 

「人類滅亡が危ぶまれる世界を生きて行くのか、この子は」

「私はこの子を護り抜くわ。その為の力を手に入れたんですもの」

 

 シンジの目の前には、赤ん坊の自分を抱いたユイとゲンドウが居た。

 そして場面は見慣れたネルフ本部へと移る。

 実験室の水槽のようなものに入れられたユイの身体に、何本もの注射が撃ち込まれる。

 徐々にではあるが、ユイの身体は大きくなり、人間とは違う形に異形化して行った。

 その姿を見て苦しみに喘ぐゲンドウ。

 まだ話せるうちにと、ユイは自分は後悔していない、あなたは悪くないとゲンドウに声を掛け続けた。

 幼いシンジも実験室から水槽に張り付いて、変化していく母親の身体を見ていた。

 するとシンジの前に金色に輝く金属製の大きな扉が姿を現した。

 ユイの記憶を全て垣間見た事で、シンクロ率が100パーセントに達したのだろう。

 金色の扉には、鍵穴が付いていた。

 シンジの持っている金色の鍵がピタリとハマる。

 扉の鍵を開けると、シンジは金色に輝くL.C.L.に飲み込まれた。

 

「シンジ、あなた自身が初号機を動かすのよ。全てはあなたに任せたわ」

 

 シンジの頭に直接、ユイの言葉が響き渡った。

 前の使徒との戦いでは、ユイはシンジとのシンクロ率を全面カットした。

 今は逆に、シンジがユイの全てを飲み込んでいるのだ。

 ユイの意志に頼ることが出来ない、シンジの戦いが、今始まる。

 

 

 

<日本海 日韓国境付近>

 

 シンジが現実世界と精神を戻すと、初号機にダイブする直前と同じ状況だった。

 島は完全に消滅していて、両腕を失った弐号機が海の底へと沈みかけている。

 まずシンジは弐号機の両肩を掴み、弐号機の両腕を復元させた。

 これで弐号機は泳いでこの戦闘区域を離脱できる。

 

「初号機のシンクロ率、400パーセントを超えています、測定不能です!」

「エヴァがシン化している! まさかシンジ君は人の身体を捨てたの!?」

 

 金色に輝く初号機を見て、マヤとリツコは驚きの声を上げた。

 初号機のエントリープラグの中もモニターする事が不可能となっている。

 

「シンジ!」

 

 気がついたアスカは、初号機に向かってそう呼びかけた。

 初号機から返事は無かったが、後は自分に任せろと言っているように感じた。

 自分は足手纏いだと考えた弐号機は急いで初号機から離れて泳いで行く。

 使徒は初号機の変化に驚いている様子で動きを止めていた。

 

「触った弐号機の両腕を復元してしまうなんて、凄いですね」

「まだシン化したエヴァの能力の1つに過ぎないわ」

 

 感心した様子のマヤの言葉に、リツコはそう答えた。

 リツコはシン化したエヴァの強さを知っているかのようだった。

 初号機の両目が光ると、ピンク色の光が使徒を包み込む。

 使徒も目を光らせて反撃するが、島を消し飛ばすほどの威力は弱まっているように見えた。

 威力が落ちたならば、手数で勝負と考えたのか、使徒は連続で目を光らせる。

 しかしその前に初号機の目が光を放ち、灰色の光が使徒を包み込むと、使徒の身体は後ろ向きになって、狙いとは違う場所に連続攻撃をしてしまった。

 その間に初号機は自分の身体を白い光で包んで、損傷度を回復させた。

 さらに初号機が目を光らせて黒い光が使徒を包み込むと、使徒の身体は後方へと吹き飛んだ。

 

「凄い、まるで超能力みたいな力で使徒を圧してますね!」

 

 発令所で戦う様子を見ているシゲルが歓声を上げた。

 格闘戦で戦っていたエヴァがどうやって浮遊する使徒を倒すのか心配だったが、その不安は晴れた。

 遠距離戦は不利と悟った使徒は、シン化初号機に一気に近づき、弐号機の腕を切断したカミソリで初号機を殴った。

 初号機は青白い光をトゲの様に放ち、使徒にカウンター攻撃を加えた。

 使徒がカウンター攻撃を受けてよろめいている間に、初号機は力を溜めて赤い光を身体から放った。

 初号機の身体から周囲に発生した火柱に燃え上がる使徒。

 うろたえる使徒に初号機は渾身の青白い光のパンチを叩き込む!

 恐れをなして逃げようと距離を離した使徒に、両目を光らせた初号機の青い光が直撃する!

 使徒は氷の塊に包まれ、凍り付いてしまった。

 そして止めとばかりに、目を光らせた初号機から放たれたのは、青白い光と真っ黒な光が混じったものだった。

 凍り付いた使徒は避けることも出来ず、白と黒の光の渦に包まれて、爆発を起こして消滅した。

 

「パターン緑、完全に消滅しました」

 

 マヤが報告すると、発令所は大歓声に包まれた。

 日本滅亡の危機は避けられたのだ。

 戦いを終えると、初号機は金色から元の紫色に戻った。

 しかしとんでもない事がシンジの身に起こっていたのだ……。

 

 

 




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