そこは戦場であった。
一人の少女との間に繰り広げられる能力と銃撃戦の嵐。
工事中のビルの鉄骨や鉄筋の残骸に横転し銃弾の穴が多数に空いた車、幾人か倒されたのであろう人が転がっていた。
そしてその一人の少女が発する光がまた数人を継続して倒していた。
そうその中心人物こそ御坂美琴であった。
普通ならば大人数に囲まれればやられるしかない。
だが彼女は違う。
一人で軍隊と戦えるほどの力を持っていると言われている学園都市に7人しかいない人の人物。
それを美琴はまさしく体現していた。
美琴の周りには遮蔽物などない。
だが彼女は銃などものともしない。
雷撃の槍で昏倒させ、 磁力操作によって相手の妨害、 周囲の砂鉄を集めての防御など。
またそれだけでなく能力を使って後ろを取られないように動き、また手から電撃を発して銃弾を防いだりそれでいてと彼女は相手を着々と無力化していた。
この能力の凄まじい力の差によって彼たちもしくは彼女たちは立ちすくみ、怯えるものも多くいた。
彼女はまさに
彼女からしてみれば雑魚相手なんて手間取ることもない。
いや彼女からしてみれば全員まとめて倒すこともできだろう。
だがそれは無関係の一般人もまとめて攻撃してしまうことになる。
美琴自身正義心など折れ始めていて、悪党には躊躇などしなくなってきている。
だがそれはあくまで悪党だけだ。
一般人には関係ない。
今も少数ではあるが、横転したバスの後ろやビルの中に隠れている気配がある。
隠れているのが敵としてはないであろうとは言い切れないがそれが確証できないため無闇やたらに攻撃することはできないのだ。
「このッ!!」
苛立ちを覚え始める。
それでも撹乱しながらでも応戦してくる敵。
壁を背にして撃ってくるものや能力者には電撃をお見舞いする。
それである程度一気に倒すことはできるが電力の消費が激しい。
相手を戦闘不能の状態にできるぎりぎりの電力で対応しているが如何せん人数が多い。
怪我の手当てしている間にでも向こうもかき集めたのだろう。
美琴に比べたらレベルが段違いのため何の問題もなく今いるやつらを倒すことはできるだろう。
だがこの後の結標戦が問題だ。
こちらは考えて使わなくてはならない。
こいつらに手間取って長引けばそれだけ不利になっていく。
時間と電力量、周りへの配慮。
それは美琴の精神に負担をかけており、それは間違いなく積み重なっていっている。
さらには怪我のこともある。
応急処置をしたとはいえ、体力もまだしっかりとは戻っていない。
今は力の差が大きいため、圧倒しているがこれも確実に響いてくるだろう。
彼女もまだ子供なのだから体力にも限界はあるのだ。
「ハァッ!!」
また数人倒す。
と美琴は敵の勢いが弱まってきているのを実感していた。
最初のころとは違い人数が減ってきたということだろう。
こちらの限界のこともあったが、この調子であれば先に向こうが限界に達するだろう。
余裕が大分出てきたので、美琴はボス気取りの結標淡希を見る。
相変わらずほくそ笑んでいるように見える。
だが相手をよく見ると貧乏揺すりをしている。
なぜというのはおかしな話だろう。
間違いなく美琴をし止めれてないことか、時間稼ぎができてないことの苛立ちだろう。
さらにここで美琴は余裕であると見せ付けるかのように結標に声をかけた。
「あんたと相手するのはもう少しのようね」
「そう? いくら超能力者でもかなり疲弊しているように見えるけど? 怪我のこともあるし、少し休憩してはどうかしら?」
冗談を。
そもそも怪我を負ったのは結標が原因だ。
そんな笑うこともない冗談を受ける気もない。
美琴はその間にも着実に銃を持ち能力を行使してくる男女を無力化していく。
ラスト一人、電撃で昏倒させリタイアだ。
ふう……と美琴は一息つく。
傷も、まだ大丈夫。
夜空を見ながら息を整え心臓を落ち着かせる。
今立っているのは美琴だけだ。
周りには美琴にやられた男女が幾人も倒れている。
死んではいないが、まだ当分は起きることはないであろう。
改めて建設中のビルに座っていた結標の方向を見る。
結標の側に控えていた男もすでにいない。
有象無象の群れの一人としてすでに倒していたようだ。
彼女の笑みも最初の比べて素の顔色に近づいていた。
「さあ、終わったわよ! 降りてきなさいよ、卑怯者」
構える。
上にいる結標に向けて
逃がす気はない。
なおも結標に侮蔑の目を向ける。
「あら、卑怯者なんて失礼ね。参謀のように作戦指示してるだけよ」
「参謀ねぇ。わずか
「いいえ、貴女が本気を出していたら、この一帯は壊滅しているでしょう。怪我の分を差し引いたとしても余裕でね」
美琴は自然と怪我している箇所に手を当てる。
戯言だ。
向こうも時間稼ぎのつもりで話しているのだろう。
何をそこまで時間稼ぐのか、美琴にはわからないが向こうは自身のペースに持ちこもうとしているのはわかる。
「それにしても今回はずいぶんと焦っているのね。以前は情報戦が主流で、どれだけ力を持っていても超電磁砲という直接的な暴力を使った『実験』の妨害には入らなかった……。いえ、最後に実験に妨害に入って失敗したんだっけ? 滑稽よね」
「……、言葉の汚い女は口を噤んでいなさい」
いや結標の言ったことは本当である。
今さらあのときのことを否定する気はない。
「本当情けない話よね。弱いものなんてほっとけばいいのに。結局は自分のためだったんだから、何もかも最初から壊しておけば落ちることもなかったのにねぇ」
嘲る。
「貴女も自分のために戦っているんだったら、自分の好きなように力を振舞えば良かったのよ。私と同じように自分の好きなように振るって他者を傷つける。力をわざわざ我慢して相手に合わせることって無駄で傲慢な行動でしかないでしょ?」
味方を指揮だけして味方がやられても平然としている女は美琴と同族であると言っているのだ。
あのときはあれが最善だと思っていた。
結果論だとも思わない。
だが
「うるさいって言ってるでしょ!!」
前髪から全身へと青白い火花を散らす。
頭の中が沸騰しそうなほど彼女は怒っていた。
あの実験のことを突かれたから?
それだけではない。
「『樹形図の設計者』の残骸を掘り返そうとしたり、私欲のためにそれを強奪する馬鹿が現れたり、やっとこさっと皆で治めた『実験』を再び蒸し返そうとされたり。確かにそれはムカつく。この件に関わってる機関の中枢を情報戦でまとめてぶち壊したいぐらいには。けどそれ以上に」
その眼光はさらに結標をにらめつけながら言った。
「仲間や元後輩まで巻き込んだあなたに」
そして
「私自身にムカついているのよッ!!」
美琴はこの状況すべてに怒っていた。
様々な人々を巻き込み、あの実験がきっかけで起きた連鎖の事件を彼女は怒っていた。
そしてそれは自分自身のせいでもあると。
美琴はこの連鎖を止めるのは自分自身であると思っていた。
そしてそれはくしくも結標に言われて改めて顧みたことであった。
この一件があの実験の発端であるのならばその責任は美琴にあるものである。
そのために美琴はすべての力を使って止めるつもりだ。
「これで終わりにしてあげるわ」
鋭く見ていた眼はさらに目が細くなり、結標の照準を合わせるように捕捉した。
必殺一撃である超電磁砲、それを結標に方向を合わせていた。
「そう……でも私が捕まるわけにはいかないの。私だって理由があるんだからね」
「ここから逃げられると思ってるの? 照準だってもうすでに合ってる。いつでも打てる状態なのよ」
「どうかしら? こっちは転移があるのよ。瞬間的に避けることすら造作ないわ」
結標の能力である座標移動。
それを使えば容易いという。
空間移動能力者の特有の瞬間的な移動を持ちえれば確かに避けることも容易いだろう。
だが結標には欠点があるのを美琴は知っている。
だがらそれを簡単に否定した。
「無理ね。あなたは自身を転移できない。いえ、正確にはできるけどトラウマがあるからしたくないだけってところかしら?」
相手の笑みは消えない。
だが美琴からは見えないが彼女の両手の指は不自然に少し震えていた。
様々な理由が重なっているのであろうが、確実に彼女を追い詰めている。
「アンタは自身以外ならためらわない。けど自身の体は違う。いくら私が怪我を負負って反応が少し鈍っているからってその時のラグの間に打つことはできるわ」
「そうね。――――
これでチェックメイトだと、美琴の最終警告だ。
もう逃がす気は美琴にはない。
なおも逃げ切る気でいる結標を美琴は電気を指先に力を入れた。
すぐにでも打つことができる。
だが結標が美琴の背を見ていることに美琴は気づいていない。
「戯言なんて――」
「お姉様ッ!!」
聞いてしまった。
誰の声なんて疑う必要もない。
その声は今日の昼間も聞いたのだから。
「黒子!!」
叫ぶように名前を言いながら振り向いた。
白井黒子。
本日二度目の邂逅であるが、それは願っていない出会いであった。
もちろん来ることは彼女の性格からわかっていた。
だがその隙は数秒という常人には一瞬でも戦いの中では長い時間を結標に与えてしまった。
「じゃあね」
小さい声で結標は別れを告げ、どこか転移してしまった。
すでに超電磁砲として構えていたのは無意識のうちにといてしまっていた。
タイミングが悪かった。
いや狙っていたのだろう。
ある一時から時間稼ぎとしていたのは逃げ出すため、それも対美琴であれば最高の隙を生み出せる黒子を使って行われた。
向こうもこちらひいては黒子のことも情報を少しは調べていたのであろう。
してやられた。
美琴は後悔する。
さっさと攻撃すればこういう結果にはならなかったであろう。
口車に乗せられたといえばそうであるが、言い返さずにはいられない言葉を向こうもしっかりと選んでいたのだと振り返るとそう思わせる。
だが現状過ぎてしまったことはどうしようもない。
現在の結果に目を向けなければならない。
すぐにでも追いかけたい。
「やっと追いつきましたわね、お姉様」
だがそれには目の前の黒子を突破しなければならない。
向こうも応急とはいえ治療しているみたいだ。
リボンで作ったツインテールを靡かせながらまっさらになった新しい制服に着替えたみたいだが包帯が脛と服の袖から覗かしているのが見えている。
元後輩に怪我を負わせたという事実にさらに胸を痛めるが、今はそうは言っていられない。
空間移動から逃れるすべはないこともないが、かなり難しいだろう。
「黒子、今はあなたに構っていられないの。わかるでしょ? さっきのやつを追いかけて捕まえないといけないから」
突き放すような言いようであるが、今は急いでいるのだ。
急いで追いかけねば手遅れになるかもしれない。
それにこれ以上は巻き込みたくないための言い回しだ。
これは黒子のためでもあるのだ。
「じゃあ行――」
「そんなことはどうでもいいですの」
美琴の言葉を遮った。
それもきっぱりと。
黒子は言ったのだ、どうでもいいと。
変態的言動行動を美琴によくしてくるから勘違いされやすいかもしれないが風紀委員として真面目な彼女がだ。
通常であれば「私も一緒に行きますの」とでも言うと思っていた。
それくらいならば予期していたのだが、どうでもいいとはどういうことであろうか。
美琴は少し戸惑ってしまった。
初めは美琴もわからないことであったが改めて思考する。
黒子にとっての優先順位は仕事よりも美琴自身。
それほどまでに敬愛し、信頼していたのであろう。
出会った当初以上に様々な事件や思い出を共有した結果の末黒子は仕事以上に美琴を思っていたことは美琴自身も予想を超えていたのである。
もちろんその共有した思い出というものは美琴にとっても重要なウェイトを占めているものであるが、黒子は相手を尊敬する存在として美琴は後輩という守るべき存在としての心の在りようが違いとして出たのだ。
寸秒の思考であったが美琴はそう推測した。
少なくとも自分の考えの違いが現在の結果だ。
受け入れなければならない。
そして、
「お姉様、話を聞かせてもらいますの」
「さっきもいったけど今は構っている暇はないの。だから……」
「そうですわね。……拘束させてもらいますの」
嫌なことであるが戦わなければならない。
本来戦わなくてもいい相手。
それが運命に翻弄され譲れない戦いへと発展してしまってしまった。
二人の引けない戦いが始ろうとしていた。
どうもルシフェルです
今回は2ヶ月弱くらいの更新ですね
さて今回も原作でいう8巻3章あたりですね
とくに今回の中盤あたりは原作よりかな?
まあでもわかるように原作とは全く違って最後はああういう展開になっていますけど
しっかし戦闘シーン難しい~
上手い人は上手いんだろうけど自分はがんばってこれですからねぇw
話は変わりますが今更なことを二つほど連絡
まず布束砥信の口調について
これは謝罪もので、接続詞などが英語になるというものをつい先日気づきました
本当原作持ってるのになんで気づかなかったんだよ、と自分でも思いましたw
しかも気づいたのもハーメルンで二次創作読んでたときですしねぇ
これについては後日ちょいちょい修正入れると思います
まあ英単語が少し混ざるくらいだけなんで苦にはならないと思います
そういえばアニメだとどうなってたんだろう
ギョロ目がジト目になってたのは覚えているけどさすがに口調まで覚えてないやw
2つ目
アニメオリジナル改革未明について
これについてはこの作品ではなかったことになっております
というか布束さんいないから結果的には事件が起きなかったということですかね
他はあったと思いますがそこまで考えていない(笑)
ちなみにゲームも今作では扱いません
とある魔術の禁書目録はあるけどさすがにややこしすぎる
さてこの残骸編の予定としてはあと2話くらいで終わると思います
あくまで予定ですけど
では感想・評価・誤字・疑問等お願いします