とある御坂の暗部加入   作:ルシフェル

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大覇星祭編


 大覇星祭。

 9月19日から25日の7日間にわたって学園都市で催される行事である。

 それは一般的に言われる運動会を大規模にしたものと思えば簡単だが、普通とは違いここは学園都市だ。

 街中絡みで行う体育祭でありそれと同時に学生全体、それも能力者たちの運動会なのだ。

 まさにそれは桁違いとなる。

 さらにそれだけではない。

 父兄の保護者たち、メディアなどの一般開放もされておりいつもより一層喧騒とした雰囲気に包まれていた。

 学園都市で暮らしている人々は普段から能力という超常現象には慣れっこでいるが、一般の人たちは違う。

 不思議な力である能力というのは一般人にとっては未知なもので、とても人気のあるものなのだ。

 

 毎年のことではあるが今年の大覇星祭はさらに盛り上がるであろう。

 今年のデモンストレーションは超能力者(レベル5)の人たちでやるという話が上がっているからだ。

 それは一般人だけではない。

 この街の住人である人たちも同様に賑わう話題であった。

 デモンストレーションであろうがそれは注目の的になるのはやはり学園都市最強であるからだろう。

 

 その一方で大覇星祭のお祭自体には関係なく、ただそれを利用してに動いている人物たちもいた。

 大覇星祭初日それはあるものからすれば学園都市の危機であった。

 ローマ正教のシスターと運び屋の二人が学園都市の危機に陥れようとしていたのだ。

 それは色々な人々を巻き込んだ事件であった。

 イギリス清教神父と多重スパイ、不幸体質の少年、さらには一般人にいたるまで。

 この事件は最終的に幻想殺しの少年が敵を撃破し、学園都市の催しものによりこの事件は未然に防ぐことができたことにより終息した。

 これが大覇星祭初日の出来事。

 これはあくまで大覇星祭の事件の始まりにしかすきず、この他にも事件は起きたのであった。

 

 そうここまで御坂美琴が巻き込まれたことはなかった。

 大覇星祭に彼女は記録的に出ていることにし、実際に出ることもなかったのだ。

 彼女が巻き込まれた事件、関わったのは2日目である。

 

 その日も彼女は記録的に大覇星祭に出ていることにし、暗部で過ごそうとしていた。

 だがある情報が彼女を狂わせてしまった。

 些細な情報であるが、彼女にとってはとても重要な情報。

 その日も彼女は定期的に宿泊先を変えている家から暗部のアジトに向かおうとしていた。

 いつも通り目立たないように、人通りのできるだけ少ない道を選びただ向かうだけ。

 大覇星祭のためどこもかしこも人で溢れかえっているが、それでも行くのには変わりはない。

 ただそれだけである。

 だがその向かう途中である話声が。

『まさか御坂様が……』『常盤台の超電磁砲がねぇ』

 と道すがらいくつも聞こえてしまったのだ。

 

「どういうことかしら……」

 

 それは自分自身の事。

 だがそれはおかしいことだ。

 なぜなら美琴はほとんどの時間を暗部にて過ごしていたからだ。

 もちろん外に出ていた時間もあるにはある。

 記録的にも出ていることになっている。

 だが噂や注目されないように外に出たときは細心の注意を払い動いていた。

 実際に見たという人はほとんどいないであろう。

 これも暗部で自然に身についたテクニックである。

 大雑把な彼女は今まで正体を隠すのに変装などしていたが、それも必要なくなった。

 だがなぜ私のことがこうまで話題に上がるのか。

 その子の話を聞く限り私を見かけたというだけであったが、それだけでも十分おかしい。

 大覇星祭にも出てないどころか外に出て話題になるようなこともしていないのだから。

 ならばなぜか。

 美琴はすぐに思い当たった。

 

「妹達だ……」

 

 間違いない。

 もうほぼ確定であろう。

 わざわざ情報を流す人物がいるのか。

 それとも妹たちを強制的に動かしている人物いるのかはわからないが、ほぼそうに違いだろう。

 実際に見たという人もいるという話であればただ単に噂話を流しているだけに留まらないのである。

 自分の品位を落としたいのか、動きを抑制されたいのか、それとも別の目的があるのか。

 さらには『救急車に運ばれた』という声が聞こえたときにはそいつの胸倉をつかんで事情を聞こうかと思ったほどに怒りと動揺が走った。

 手が出そうになったのをぐっと抑える。

 しかしそれは御坂の怒りを完全に買ったことになっていた。

 

「まだ呪縛は解けないの……」

 

 まただ。

 一度、二度、そして三度目と負の連鎖が起きる。

 またもや妹達が事件に関わってしまった。

 胸が軋む。

 一度目、二度目はたまたま運がよくて解決した事件だ。

 本当に偶然が重なり美琴だけでなく妹達も無事であった。

 一つずれていれば実験の犠牲者以上に誰か亡くなっていたかもしれない。

 

 だからこそ再三のこの話は宣戦布告として受け取った。

 もはや躊躇の余地などない。

 自分の力だけでない。

 暗部の力を持ってしてでもこの相手に相対しようと考えていた。

 そうまさに怒りを治めて、相手にどういう作戦で反撃しようかそう考える。

 まずは手始めに学園都市内にある防犯カメラをハッキングして妹達がどこに運ばれたかを調べるか。

 妹達が運ばれたとすればカエル顔のあの医者のところかどこかの実験施設しか考えられなかったからだ。

 路地裏から足を運ぼうとしていたときであった。

 

『探し物は私のことかしら?』

 

 配水管の中からそいつは現れた。

 それは不気味な水の人形のようであった。

 ただ色からしてそれは鉛色のようなドロとしたもので液体金属みたいである。

 それが何かはわからない。

 だが能力者によるものには間違いないだろう。

 そしてそれと同様に美琴に接触してきた。

 ということは暗部のもの、もしくはそれに関するものであろう。

 美琴にとってそれは願ってもない接触であった。

 勝手にこちらの妹達(・・)を酷い目に合わしてくれたのだ。

 それに報いる相手がのこのこと現れたのだがら、好都合である。

 もちろん相手も生身の人間ではないためそのまま倒して人質にはできないが、それでもやりようはある。

 交渉などを駆使すればこちらが有利にすることだってできるのだ。

 そう彼女は高をくくっていた。

 

「あなたが私の目的の人物かどうかは知らない。けど、私のことについて何か知っているようね」

 

『そりゃあ、もちろん。私たちのことを嗅ぎ回っていたらね。ねぇ、元常盤台の超電磁砲さん?』

 

 嗅ぎ回っていたとはどういうことであろうか。

 美琴がこの事件に関わったのはつい先ほどの出来事である。

 いやむしろ関わろうとして先に向こうが勝手に現れたのだ。

 まだ噂話にしかなかったものをこちらがつかんで動こうとしていたところなのだから、相手が美琴の仕業と誤解して接触してきたのであろう。

 そうであれば誤解を美琴が犯人だと差し向けてきた第三勢力もいるということであろう。

 聞かなければいけないことが増えた。

 

『とりあえずこれを見てもらえるかしら?』

 

 とその人形からぬるっとでてきたのは携帯電話の画面であった。

 見せ付けるようにさらしてきた。

 

「!?」

 

 美琴は画面を見て目を見開いた。

 

(なんでママがここにいるのよッ)

 

 その画像に移っていたのは美琴の肉親の一人である母親の御坂美鈴であった。

 美琴は知らないことであるが、美琴の母親である美鈴は大覇星祭で美琴が活躍する姿を見るために学園都市にやってきていた。

 最近連絡がないので久しぶりに自分の娘の晴れ姿を見ようとしてこちらにやってきていた。

 もちろん彼女は自分の娘がどうなったか知る由もないため、ただ娘に会いに来て家族のひと時を楽しもうとしていただけである。

 

『ちょっと拘束させてもらったわ。随分と若いお母さんなのね』

 

 その声と同時に目の前の人形に電撃を浴びせようとするが。

 

『別に人形をいくら壊しても代用利くからいいけど……』

 

 ぬるっともう一体背後から刃物を首に押し当ててきた……いや違う、美琴は感じ取っていた。

 

「私の協力者があなたのお母さんを殺すわよ?」

 

 こちらが本物。

 フードを被って全く顔は見せないが、美琴の細かい電磁波によって生身の人間であるそして声から女であるということがわかった。

 だからといって後のこいつを電撃で気絶させるわけにはいかない。

 目の前の人形がこいつの能力によってできたものとは限らず、さらには画面に映っている母を死なしてしまうこともあるからだ。

 反撃はできなかった。

 手を上にあげて降伏のサインを出す。

 もちろん納得はしてないが、反撃の機会を伺うためだ。

 ここは大人しくしておくべきであろう。

 

「ようやく静かにしてくれたわね。先に言っとくけど、私の通信が途絶したら即殺すように言ってあるから無理はしないことね」

 

 そう言うとナイフは構えたままであるが、首筋からナイフを離した。

 目の前の人形も画面を閉じ、気持ち悪い笑みを浮かべてどこかに姿を消した。

 警戒は怠らないだろうし、どこかに潜んでいるのであろう。

 

「さてこれで話せる状況になっかかしら」

 

「抵抗はしないけど、私が素直に話すようになったと思う?」

 

「アハハハハッ、あなた最高ね。こっちに人質がいるっていうのに、そんな勇気があるわね」

 

「ふん、これでも暗部にいたのよ。度胸だけはつくわ」

 

 目の前の人物が笑っているが、美琴からすればこれくらいの度胸など暗部にどっぷり浸かってしまったものからすればこれくらい慣れてしまうくらいついてしまうものだ。

 むしろこれくらいの駆け引きが身につかなければ暗部はやっていけないだろう。

 目の前の人物が笑っているのももしかしたら『あなたもこっち側にすっかり染まったのね』という嘲笑かもしれない。

 

「まあ、いいわ。移動しながら話しましょ」

 

 親指で後を指す。

 そこにはすでに小型のトラックがあった。

 そこの荷台に乗れということであろう。

 姿を外から隠しつつ、移動できるということでよく狩犬部隊(ハウンドドッグ)などの暗部部隊がよく使われる車種である。

 

 美琴はそこに乗るということしか選択肢はなかった。

 




どうもルシフェルです
お久しぶりです
どうにか卒論も終わりようやく本腰入れて小説が書けるようになりました
しかしながら今度は4月から仕事が始まるんだよなぁと思いつつw
まあそのときはそのときで…

さて今回から大覇星祭編です
小説はすっ飛ばして一気に漫画8巻に入っていきます
小説9巻、10巻見たけど、絡ます意義を見出せなかったので…
本編は美琴がいきなり事件に絡まれます
まあ大覇星祭参加してなかったらそうなるよね…

とりあえず次回以降の4月まではできるだけ、更新してそれ以降はゆっくりと更新となると思います

それと章管理をしてサブタイトル変更しました
これで少しわかりやすくなったかと思います


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