とある御坂の暗部加入   作:ルシフェル

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 御坂美琴はある場所に場所に案内された。

 いや案内されたというよりもただ目的に下ろされただけであろう。

 ある少女に操られた運転手はある建物の前で車を止めた。

 美琴はそれに何も疑いをせず車から降りた。

 もちろん警戒は怠らない。

 ひょいとトラックの荷台からジャンプして軽々と飛び降りる。

 ここが目的地、と美琴は思っていると一人物陰から少女が姿を現す。

 美琴とは対照的な少女であった。

 どこがとはいわないが美琴とは違い彼女は全体的にスタイルが良い。

 そう彼女こそ美琴と同じ超能力者である食蜂操祈だ。

 これで同じ美琴と同じ学年というのだから、美琴が疑うのも無理はないであろう。

 そしてさらに彼女はいつもの常盤台の制服とは違い、大覇星祭であるために体操服を着ていた。

 それによってさらにスタイルの良さが際立って見えていた。

 それに少しむっと顔を顰めるが、美琴はそれ以上に不快なことの連続であったのだ。

 今は少々なことは口に出さないでおく。

 

 美琴は自然と食蜂に目を合わせていた。

 食蜂も同様に美琴の目を見ていた。

 そして首でくいっと後を指す。

 着いて来いということなのだろう。

 美琴は歩き出した食蜂に大人しく着いて行く。

 ここで話せないことも多い。

 話せる場所に案内してくれるということなのだろうか。

 

 しばらく歩くとまたもやトラックがあった。

 これに乗れということなのだろう。

 それを見て足の歩みを止める。

 

「どうしたのかしら? こっちだって時間は惜しいのよ」

 

 美琴が急に立ち止まったことに疑問に思ったのであろう。

 ここで少し億劫そうに美琴に声をかける。

 

「……またトラック移動で嫌気が差しただけよ」

 

 

 

 

 

 それから美琴は渋々トラックに乗り込んだ。

 二人を乗せるとエンジン音をたてトラックは走り出す。

 中では食蜂は誰かに作らせたと思われる椅子に座り、美琴は壁に持たれかかりつつ食蜂から今回の騒動の一部を聞かされていた。

 妹達と母親のこと、それに敵について。

 前者については近くの病院に搬送され無事に保護している。

 後者については食蜂の組織と敵対するグループであり、狙っているのは『妹達』で狙いがおそらくだがミサカネットワークであるということなど。

 そして美琴が知らないことの多くを食蜂はやはり知っていた。

 美琴が動く前からすでに彼女は動いていたのであろう。

 敵が襲撃されたと言っていたのも話の流れからすると食蜂、もしくは食蜂の所属する組織によるものであろう。

 

「それでアイツらが『妹達』を狙っていたのはわかったけど、人質を取ってまで私を狙っていたのはなんで?」

 

「御坂さんは『妹達』の計画を妨害した前科があるから警戒されてみたい」

 

 やはりそうかと心の中で納得する。

 敵対する組織はミサカネットワークで何かしようとしているのだ。

 それならば美琴を拘束しようとするのもわかるというものだ。

 邪魔が入ることがわかっているのならば先に抑えようとしていたと思われる。

 

「じゃああいつらがミサカネットワークでしようとしていることは何なの? また馬鹿な実験でも再開しようとしているっていうの?」

 

「わからないわ。でもロクでもないことっていうことは断言できるわ。なんせ今回の相手は――」

 

 一拍置いてその人物の名前を出した。

 

「木原幻生」

 

 息が詰まった。

 美琴が彼に直接は会った経歴はない。

 だが暗部に関わるもの。

 いや暗部だけでなく、学園都市の実験に携わる研究者であれば誰もが知っている名であった。

 学園都市におけるSYSTEM研究分野の元老であるが、それと同時に彼の探究心によってさまざまな者を破滅に追い込んできた。

 能力者や研究者あるいは研究所など。

 まさしく学園都市の研究者を研究者としてたらしめる狂った人物の代表格とも言えるだろう。

 

 

 

 そして――

 

『「絶対能力進化」計画の提唱者』

 

 同時に口に出した。

 そう彼は絶対能力進化計画を立てた本人と言えるだろう。

 全ての原因、元凶。

 妹達を作り出し、狂気の実験道具(モルモット)にし、そして美琴を暗部に落ちるきっかけを作った者。

 それが彼だ。

 ギリリと歯を食いしばる。

 もう実験が誰のせいかなどは考えないことにしていた。

 だが改めて声に出すと怒りや憎悪などが体の中から湧き出す。

 それを感じ取ったのか食蜂が切り出した。

 

「怒るのもいいけど、少し冷静になって欲しいわぁ あのジーサンのことよ。計画再開になんて言わないでしょうねぇ。また変態な実験でも考えてるんじゃないからしらぁ?」

 

「じゃあ今向かっているのは……」

 

「そうよ。神出鬼没なジーサンで苦労させられたけど、ようやくよ。内部の人間から情報を読んで第九学区の研究会議で来ることがわかったわ」

 

「そう……」

 

 美琴はそれを聞かされて少し納得はした。

 だが美琴の心にはまだ蟠りが残っていた。

 なぜなら――

 

「あんたのことは信じられるの?」

 

 その言葉に集約されていた。

 互いが互いを見つめる。

 お互いの心理でも見るかのように見る。

 美琴だけではない、食蜂も同様に心の中信じているわけではないのだ。

 美琴は今までの出来事、暗部の仕事からすぐに人を信じるような考えはなくなっていた。

 全てが全てを疑っているわけではないが、それでも常盤台にいたころから反りが合わなかった食蜂をすぐに信じられるわけがない。

 貰った情報だって全てが真実だとは限らないのだ。

 保護といいつつ人質として使っているかもしれない。

 信じた結果、あの実験に繋がったのだから……。

 それだけに信じることはできないのだ。

 対して食蜂も美琴を安易に信じることができない。

 食蜂が信じられるのは頭の中がわかるもの、思考が読めるものだけだ。

 美琴には美琴自身の能力が邪魔して思考が読めない。

 そういう人間を食蜂は信じることはしないのだ。

 

「信じる? そんなの必要ないわ。これは一時的な協力、同盟なんかじゃないわ。私もあなたもあいつらの計画を潰したい。だから一緒にいるだけ。それでいいでしょ?」

 

 そうだ信じる必要はない。

 今は同じ目的を達成するためだけに動いている。

 後から寝首をかかれなければそれでいいのかもしれない。

 

「それに信じた結果があの(・・)計画でじゃない」

 

 そうだ、美琴が安易に人の言うことを信じた結果が、『量産型能力者』と『絶対能力進化』計画の二つであったのだ。

 何を今更信じるなどの問題があるのだ。

 信用するまでの心を許す存在でなくてもいいのだ。

 少しの間後を預けるだけなのだから。

 どうせこの案件が終われば敵対するかもしれないのだ。

 そうであればこの距離感でいるのも悪くないのかもしれない。

 そう美琴は思ってしまっていた。

 

「御坂さん変わりましたわね」

 

「まさか心を読んだの?」

 

「それこそまさか――そんなことしなくても顔に出てるわよ」

 

 顔が笑っていたのだ。

 いや違うそれは確かに良い笑顔であったであろう。

 だがその笑顔は堅気のものが察することはできない裏の顔であった。

 

「私は御坂さんと反りが合わないと思ってたわ。でも今の顔なら少し気が合うかもしれないわね」

 

 美琴にとってそれは嫌な言葉である。

 だがそれと同時に納得する感情もあった美琴であった。

 彼女は今暗部に入る前に形成された性格と暗部加入後の性格が混じり合っている。

 徐々に後者の色が濃くなっていた。

 

 

 

 

 

 そして彼女らは第九学区にある会議場の近くに到着した。

 時間にして数十分であったであろうか。

 二人がついに動き出す。

 超能力者2人だ。

 進入など造作もなかった。

 と同時にこの建物の制圧も始まっていた。

 元々食蜂の力は対人においては最強の能力である。

 疑心暗鬼による同士討ちや敵を操ってそのまま逆に制圧するなど相手に認識される間もなく鎮圧されていく。

 そしてそこに美琴による撹乱と対兵器能力だ。

 もはや誰が勝てようものか。

 警備警護に当たっていた人あるいは研究職員にいたるまで、その制圧が進んでいく。

 彼女らの侵入から制圧にいたるまで、時間はかからなかった。

 

「少し時間かかったわね」

 

「そっちが着替えなんかしてるからでしょぉ」

 

「あなたと違って姿を見られたら困るのよ。ただでさえ有名なのに」

 

「私が記憶操作してあげましょうか?」

 

「……遠慮しておくわ」

 

 実際は遠慮などではない。

 あくまで建前だ。

 実際には食蜂に借りを作りたくないのと記憶操作によってデメリットとなるようなことを上書きされるのを嫌ってである。

 それくらいの分別などは暗部に入らずとも常盤台にいたときの食蜂の性格からわかっていた。

 そのためあくまで協力体制という形でどちらかが上や貸し借りなどは無しでいたかったのだ。

 

 ビルの制圧はほぼほぼ完了していた。

 二人の最終目的人物である木原幻生もどこかに隠れているみたいであるが食蜂が操っている人らが虱潰しで探しているので次第に見つかるであろう。

 逃げ出そうにも出口は全て塞いでいる。

 逃がすことはない。

 

 そして――

 

「幻生の確保いたしました」

 

 あっさりつかまった。

 二人も拍子抜けという感じで脱力した。

 もっと何かあるのかと思ったが、思ったよりも苦労せずに捕獲することができた。

 やはり超能力者2人には適わなかったということであろうか。

 その幻生は椅子に固定され、視覚や口を塞いで相手に情報を与えないようにしている。

 こちらには食蜂がいるのだ。

 直接脳を覗けばそれだけで終わる。

 

 そうそれが『本物の』木原幻生であったならばであるが。

 

「ッ!」

 

 食蜂が彼の脳に触る。

 そして彼女は気づいた。

 彼が偽者であるということを。

 そして特殊メイクのような顔を剥ぐと偽者の顔が現れ、美琴も偽者に気づいた。

 

 まだだ。

 この事件が終わることはまだない。

 今回の事件の闇の深さはこんなものではなかったのであった。

 




どうもルシフェルです

今回はほぼ原作をなぞった話でしたね
まあ原作と変わってるんで違う部分もでてきてはいますが
次回も原作寄りの話かな?たぶん


で次回なんですが、研修が3月末から始まりそこからあとはすぐに仕事が始まるので投稿予定は不明です
できるだけ合間を縫って書いていきますが…どうなるか完全にわかりません
如何せん1年目なので…


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