転生したら蒙古タンメンだった件   作:チギッチ

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初投稿です。



始まり

「これ、世界一旨いカップ麺。蒙古タンメン中本」

 

 僕は笑いながらみんなに蒙古タンメンのカップ麺を配る。

 

「やっぱ、蒙古タンメンは最高だな!」

 

 まあ、最高かどうかは人それぞれだけどね。

 

 これが蒙古タンメンを愛し蒙古タンメンに愛された(?)男の日常だった。

 

 

 

 

 

 

 さて、ここは僕がすむ国、日清帝国。特に平和な国と言うわけでもなく、ラ王民族、いわゆるラ王朝による独裁政権がしかれている。ラ王朝はラーメン至上主義を掲げ、クーデターを起こしカップヌードル族から政権を乗っ取った。だからラーメン以外の民族が差別されている。当然差別がある国が平和であるわけがない。

 

 そして僕は蒙古タンメン族の将軍、蒙古聖郎の次男の蒙古タン次郎。驚いたことに僕は蒙古タンメンに転生してしまった。蒙古タンメン族はタンメンであってラーメンとは若干違う。似たようなものも許したくはないようで僕らも迫害を受けている。現在、どん兵衛族、UFO族と三民族同盟を結んでラ王朝に抵抗している。活動拠点となるのは日清帝国の属国の明星共和国。ここ明星共和国はカップヌードル族時代に自治が許されていたこともあり、今のところはあまりラ王朝の手が届いておらず安全だ。明星共和国の最有力民族は一平ちゃん之介をトップとした一平ちゃん一族。彼らも焼きそば系民族であることから我々を快く迎えてくれた。

 

「我々は蒙古タンメン族である」

 

 僕の父が一平ちゃん之介に言う。一平ちゃん之介は答える。

 

「よく耐えてここまで来たな……」

 

 僕の父は深々とお辞儀をした。

 

「おい、お前たちも頭を下げろ」

 

 父は小声で僕と僕の兄に言う。僕は父の言葉に従った。 ちなみに僕はUFO派なので、このおじさんに従う気はない。

 

「そんなかしこまらんでええよ」

 

 一平ちゃん之介は優しく笑いながら言った。

 

「当たり前だボケ」と心の中で思いながら僕は頭を上げた。

 

「近々ラ王朝を攻める」

 

 一平ちゃん之介は大きな声で言った。

 

「ラーメン系民族を滅ぼし、我々の国を建てよう」

 

 と続けた。

 

「ついにこの時が来たか」

 

 僕の父は答えた。 ほかの人々も歓声を上げている。

 

 奥から見たことのない強そうな男が出てきた。

 

「紹介しよう、新しく同盟を組むことになったペヤング族のペヤン・グンスだ」

 

 ペヤング族と言えばマルカ王国にすむ民族で、古代魔法の”激辛”を操って戦うと本で読んだことがある。蒙古タンメン族の伝説である激辛ソード”北極剣”に劣らないと聞く。ふーん、ペヤングは肉以外嫌いじゃない。肉はないほうがいいって教えてあげようかと考えた。

 

「最近いい肉が入りまして、これで本気を出せます」

 

 ぺヤン・グンスが言った。僕は小声で

 

「肉が邪魔しているのに」

 

 と言った。するとペヤン・グンスがものすごい形相で僕を睨みつけてこう言った。

 

「おい小僧、ちょっとこい」

 

 そのまま僕はぺヤン・グンスに防音室と書かれた部屋に連れて行かれた。

 

「お前、転生者か? ペヤング食ったことがあるのか?」

 

「えっ?」

 

 なんでばれたんだ!? もしかしてぺヤン・グンスも転生者なのか?

 

「転生を口外しなければ殺しはしない。あと肉はうまいからいれてるんだ」

 

 そんなことわかっている。ホリエモンかこいつは? 

 

「味の話をするのは転生者だけだ。なぜならこの世界にカップ麺は存在しないからだ。転生を絶対に口外するんじゃないぞ」

 

「わ、わかりました」

 

 転生者は自分以外にもいるのか……。僕は驚きながらもうれしさを感じていた。

 

 部屋に戻り、夕食の時間に父親が僕と僕の兄に口を開いた。

 

「ラ王朝出発は3日後、お前たちも準備をしておくように」

 

 三日って短すぎない? と思ったが、そんなことより転生者のことで頭がいっぱいだった。ぺヤン・グンス以外にも転生者はいるのか。そもそも転生できたのはなぜなのか。色々気になってばかりで今日は寝れなさそうだな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「タン次郎起きろ、訓練の時間だ。親父が待ってるぞ」

 

 兄が僕を呼ぶ。結局昨日は全然寝る事ができなかった。だが、訓練は蒙古タンメン一族の義務として定められており、休むわけにはいかない。訓練では戦いに備え、馬術から射撃まで様々な訓練をしている。人間のころの僕は運動神経が悪かった。毎日訓練なんてあったら逃げ出していただろう。だが、こちらの世界では運動センスを授かったのか、訓練も楽しく思えてくる。そして僕の代わりなのか知らないけれど、兄は全然運動センスがない。頭は良いけどね。将来は蒙古タンメン族の軍師になりたいと言っていた覚えがある。兄が軍師なら弟は将軍かな。今回の戦いで実を上げて副将軍くらいになれたらいいんだけど。

 

「射撃の腕がいいな。タン次郎」

 

 僕を褒めてくれたのは蒙古タンメン族が誇る天才軍師の蒙古神久である。その頭脳で何年も蒙古タンメン軍を支えてきた智将だ。

 

「ありがとうございます!!!!!!!!」

 

 僕が答える。射撃を褒められたことは何度かあったがあの蒙古神久に褒められたのは初めてだ。今日は良いことがありそうだな。まあ、結局何もなかったんだけど。

 

 こんな調子で三日が経ち、僕たちはラ王朝に向け出発した。我々の軍の先頭には一平ちゃん之介、ペヤン・グンス、どん兵まさる、UFO竹内など様々な強者が見える。 僕の父親はというとその一平ちゃん之介と談笑しながら歩いていた。

 

 決戦の場はかやく丘で明星共和国の兵1万3千に対しラ王朝の兵は3万2千だそうだ。

 

 ペヤン・グンスは袋を取り出し矛の先端に粉末を振りかけている。袋には獄激辛と書かれていた。人間だったころに一度食べたことがあるが、辛すぎて吐いてしまった覚えがある。ここでは辛さが強さなのか? ふと疑問に思う。

 

 そんなことを考えているうちにラ王朝の軍が見えてきた。やはり数では圧倒的に負けている。ラ王朝軍の先頭には麵職人族で日清帝国最強の戦士と呼ばれるメン=ショクジンの姿もある。立っているだけですごい威圧感を感じる。ラ王朝はしょうゆ味、みそ味、しお味、とんこつ味、豚骨しょうゆ味で部隊別になっていた。決戦はいよいよ明日。蒙古神久の作戦があれば大丈夫だろう。

 

「さて、今回の作戦を発表する」

 

 蒙古神久は大きな地図を机に広げた。 蒙古タンメン族はみそ部隊、一平ちゃん族はしょうゆ部隊、どん兵衛族はしお部隊、UFO族はとんこつ部隊の相手をする配置だった。豚骨しょうゆ部隊はぺヤン・グンスが一人で相手をするらしい。

 

「やはり気を付けてほしいのはメン=ショクジンのいる豚骨しょうゆ部隊だ」

 

 蒙古神久は参謀になる前、メン=ショクジンと戦って敗北したことがあるらしい。蒙古神久は今となっては軍師として軍を裏から支えているが、戦闘の実力も一級品だ。そんな蒙古神久が負けたとなると敵も相当手強いということだ。ペヤン・グンスは自慢の矛に粉末を振りかけながら答えた。

 

「辛味こそ正義。辛ければ辛いほど勝率は上がる」

 

 このおじさんはやっぱり頭がおかしい。全然魔法らしさもないし。だが転生者という事は何か知っているのかもしれない。しかし今は戦いに勝ち、生き残ることが最優先である。僕は蒙古神久の話に集中することにした。

 

「蒙古タン次郎、お前は単独で将軍を奇襲しろ」

 

 険しい表情で蒙古神久は俺に言った。

 

「え?」

 

 僕の頭は真っ白になった。しかし、あの天才軍師の蒙古神久のいうことである。 なんとか平静を保ち、話の続きを聞く。

 

「本陣を迂回して指定の場所で待機し、お前は合図が出たら後ろから蒙古汁攻撃だ」

 

 真剣な面持ちで蒙古神久は説明した。まさか自分にこんな重大な役が回ってくると思ってもいなかった。

 

「大出世じゃねえか!」

 

 ぺヤン・グンスは僕に笑いながら話しかけてきた。声がでかいんだよこいつ。

 

 一通り蒙古神久の説明が終わり、僕が休憩所に行こうとすると一平ちゃん乃介が言った。

 

「もうすぐ決戦の時間だ! 皆の者! 配置に着け!」

 

 え? 決戦の日は明日じゃなかったのか? 僕だけが慌てふためく中、他の人達は淡々と準備を進める。

 

「タン次郎、君なら上手く行くさ。さあ、行って来い」

 

 蒙古神久に促され、急いで指定の場所に向かった。

 

 両軍の大きな笛の音が鳴る。遂に決戦の時間だ。両軍とも吶喊の声を上げ、一斉に攻め入る。ややこちらが不利だ。僕は静かに奇襲の合図を待った。

 

 しかしそこに予想外の敵が近づいてきた。あの日清帝国最強の戦士と呼ばれるメン=ショクジンの部隊だ。

 

「ぺヤン・グンスは何をやってるんだ……」

 

 僕は小さく呟いた。バレないように茂みの中に寝そべり体を隠す。メン=ショクジンの部隊が父の部隊の裏に回ろうとしている。 このままでは父が危ない。だが、蒙古神久の作戦を破るわけにもいかず、心の中で父の無事を願うことしかできなかった。

 

 合図はまだか。心臓の鼓動がどんどん大きくなってくる。でも将軍になるにはこれも乗り越えなければならない壁だろうな。こんなところで失敗するわけにはいかない。

 

 ピロロロロ、奇襲合図の鏑矢の音が響く。 僕は音とともに戦場の裏に開いた道を全力で走りだした。今回の標的のラ・王騎将軍が見えてきた。矛を掲げて馬に乗っている。僕は蒙古汁が装填された蒙古銃を、走りながらも静かに構える。

 

 今だっ!! パンッ!! 

 

 銃声が響き渡る。 銃先から吹き出す煙が晴れていく。ラ・王騎将軍は馬から落ちて地面に倒れている。

 

「やった……のか……?」

 

 呆然と立ちすくむ僕の後ろに、ある人影が現れた。父に奇襲を仕掛けていたはずのメン=ショクジンの部隊だった。どうやって逃げよう。そんなことを考えている暇はなかった。メン=ショクジンの矛が銃を持っていた右腕に突き刺さる。

 

「王の仇!」

 

 メン=ショクジンが叫ぶ。俺はもう死んでしまうのか…………? だれか! 誰でもいいから助けてくれ…………!

 

「私が来た!」

 

 そう言って現れたのはぺヤン・グンスだった。

 

「俺が相手をする、お前は逃げろ!」

 

 刺さった矛を引き抜き、全力で走った。奇襲の待機していた場所に戻ると蒙古神久と父が待っていた。

 

「よくやったタン次郎。ここからはわしらに任せろ」

 

 父が言った。どうやらここまで蒙古神久の作戦通りみたいだ。

 

 用意されてあった蒙古汁をかけて傷を癒す。

 

「君が逃げ出しちまうかと思って、あえて戦いの直前に作戦を伝えたのだがその必要はなかったみたいだ。私の想像以上によくやってくれた」

 

 なるほど。と思ったと同時に、あの蒙古神久に褒められたうれしさが込み上げてくる。

 

「タン次郎に負けるな! わしらも行くぞ──ー!」

 

 父が蒙古タンメン族を鼓舞し、蒙古タンメン部隊は突撃を始めた。不利だった状況は一変し今度はこちらがラ王朝を押している。このまま押していけば勝てる。そんなことを思いながら戦況を眺めていると遠くからメン=ショクジンの部隊がこちらに向かってきているのが見えた。

 

「さて、ここが私の作戦で唯一の不確定要素だ。だが、私は必ず雪辱を果たす」

 

 僕の横にいた蒙古神久が立ち上がる。物凄く殺気立っており、大きなエネルギーを感じる。蒙古神久は剣を手に取り馬にまたがる。メン=ショクジンが見えるところまで近づいてきた。血で赤く染まったメン=ショクジンの矛の先端にはペヤン・グンスの首が突き刺さっていた……。

 

 

 

 

 

 

 僕は船の病室で目が覚めた。

 

「目覚めたか、戦いは終わったよ」

 

 父が言った。

 

「ぺヤン・グンスは? 大丈夫なのか?」

 

 意識が朦朧としながらも私は父に問う。

 

「彼は立派に戦ったよ……」

 

 父は悲しそうな表情で話した。

 

「蒙古神久さんは? お礼を言わなきゃ!」

 

 父は俯いたまま何も言ってくれない、そこで何かを察した。

 

「戦いには勝ったの? 勝ったんだよね!? たた……かい……には…………勝った…………よね?」

 

 父は静かに答えた。

 

「私たちは……負けたんだ……」

 

「勇猛なぺヤン・グンス、そして蒙古タンメン族の頭脳である蒙古神久をも失ってしまった」

 

 悲しみがこみ上げてくる。

 

「メン=ショクジンを倒す」

 

 僕は心にそう誓った。




みんなも蒙古タンメン食べよう!辛いけど美味しいので!
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