どうやら比嘉の検死の方も終わったみたいだ。久見の話を聞きに行ってみよう。
「久見、検死の結果を聞かせてくれ。」
「分かったー。といってもー、ほぼこのモノトラファイルに書かれたとおり、って感じー。」
「そうか・・・。」
「あ、でもー、書かれてないこともあったよー。」
「それは?」
「えっとねー、まずは傷がねー、綺麗にほぼ水平に付いてたんだー。ホントに正面から比嘉君のことを刺したんだねー。」
「つまり、正面から行っても警戒されないくらい上手く持ってったってことだな。」
「あとはー、巴ちゃんのときと違ってー、具体的な凶器は分からなかったー。でも傷から推理するにー、多分形状としては巴ちゃんのお腹に刺さってた槍と近い形状のものだったんじゃないかなー。」
「なるほどな、ありがとう。」
つまり比嘉は特にトリックとかはなく殺された、という感じか。まさかあの比嘉を正面から殺しに行き、成功してみせる奴がいるとはな。
コトダマゲット!
【比嘉の死体)
腹部を水平に刺されていた。
【比嘉殺しの凶器)
不明。しかし、傷から推測するに形状としては山吹殺しの凶器と近いかたちをしていると思われる。
よし、あとはここにいる薬師と九鬼にもあのことを聞いておこう。
「薬師、九鬼、ちょっといいか?」
「おう!」
「どした?」
「いや、一昨日の夜から昨日の朝にかけての時間帯でモノトラに何か言われなかったか?誰かの陰口みたいなの。」
「あー、言われたな。俺はまあ、本人の前でどうかとも思うが玉城のことを言われたぞ?」
「オレは確か・・・、そうだ!アンリだ!ま、奴の戯れ言だとは思うけどよ。」
「そうか。ありがとう。」
「いいってことよ!」
この確認が終わったところで物理室に甘寺がやってきた。
「ごめーん、1回みんなに情報を聞いてとりあえずのところで整理したいから娯楽室に来てくれない?それにみんなに聞きたいこともあるし!」
「ああ、分かった。」
「うし、行くか!」
甘寺の要請を受けて一度俺達は娯楽室に集合することにした。
みんなで集まってここまでの捜査の結果を報告し合った。報告が一段落したところで玉城が口を開いた。
「で、なんだ。その聞きたいこととやらは。」
「えっとね、みんなのここに1度目に来た時間を整理したいと思って!」
「アリバイだな。」
「それならー、最初に10時半ちょうどに僕と薬師君が来たよー。」
「その後2分くらいしてから水島と甘寺が来たよな!」
「確か35分くらいにアンリと畔田が来たはずだ。」
「確かあたしは40分くらいだった!で、5分後くらいに九鬼ちゃんが来たよ!」
「そこから10分ちょっと経ってから玉城君が来たよねー。」
「正確には57分だったはずだ。時計が間違っていなければだがな。」
「それで、僕が来たのがギリギリ1分前の59分だったよ。」
「よし、じゃあこれをまとめるか。」
かなり正確にみんなが娯楽室に集合してきた時間が分かったな。
コトダマゲット!
【娯楽室に集まる順番)
10:30に久見と薬師、10:32に水島と甘寺、10:35にアンリと畔田、10:40に涼風、10:45に九鬼、10:57に玉城、10:59に太宰が来た。
「さて、捜査を再開するぞ。」
「あ、それなら残りの甘寺にもアレを聞こう。」
「そうだな。」
「甘寺、ちょっといいか?」
「うん、いいよ!」
「ちょっと聞きたいことがあってな。おとといの夜から昨日の朝くらいの時間にかけて1人でいるときとかにモノトラに何か吹き込まれなかったか?」
「何かって?」
「あー、例えば誰かが甘寺にこう思ってる、こうしようと企んでる、みたいなことを言ってなかったか、って話だ。」
「あ、それなら確か薬師君がなんとかって言ってた気がする!」
「そうか、ありがとな。」
「あ、そうだ!一応なんだけど、今日の捜索メンバーの班分けをまとめてもらえると助かる!」
「ああ、分かった。」
「じゃあ、私も捜査してくるね!」
「ああ。」
こうしてとりあえず甘寺と分かれて捜査を再開することにした。
「さて、動機の対象の方向をまとめるぞ。」
「ああ。そうするか。」
ここまででみんなから聞いた情報を元に全員の殺意が向く方向をまとめてみた。
すると、水島→甘寺→薬師→玉城→九鬼→アンリ→畔田→久見→太宰→涼風→山吹という全員が一列に繋がる形になった。
「・・・これは・・・。」
「ちょうど全員が繋がる形になっているな。」
「分かりやすくていいな。」
「これなら動機の対象が分かっていないところも推理可能だ。とりあえずこの状態でまとめておくぞ。」
「ああ。」
コトダマアップデート!
【動機)
今回モノトラは動機だと明言していないが、お互いの猜疑心を呼ぶ発言は今回の動機であると考えられる。
動機の向く方向は水島→甘寺→薬師→玉城→九鬼→アンリ→畔田→久見→太宰→涼風→山吹の順になっている。
あとはアレもまとめなきゃな。甘寺に頼まれた捜索の班分け。
確か、1階を太宰、久見、九鬼、薬師の4人が捜索した。そしてこのメンバーが寄宿舎で山吹の死体を発見した。2階を玉城、アンリ、畔田が捜索した。そして3階を俺、甘寺、涼風のメンバーで捜索し、俺達が物理室で比嘉の死体を発見した。確かこの班分けを提案してくれたのは太宰だったはずだ。勢いで分けた割には上手く分かれたと思う。この情報もまとめておこう。
コトダマゲット!
【捜索の班分け)
1F:太宰、久見、九鬼、薬師
2F:玉城、アンリ、畔田
3F:水島、甘寺、涼風
班分けをすることを太宰が提案してくれた。
とりあえずそれぞれの動機の対象と捜索の班分けをまとめ終わって顔を上げると玉城が薬師に話しかけていた。
「おい薬師、確認したいことがある。」
「ん、何だ?」
「お前、ホントにちゃんと確認したんだろうな?」
「何を?」
「ゲームに使う道具だよ。キューが1本ないだろう。」
「あ、ホントだ!おっかしいなぁ?昨日見たときはちゃんとあったんだぜ?」
「本当だろうな?」
「んなことで嘘吐かねえって!」
「そいつもそうだな。という訳だ、水島。どうやらキューが1本無くなっている。行方を追うぞ。」
「あ、ああ。」
昨日はあったはずのキューがなくなっている?なぜそんなことに・・・?
コトダマゲット!
【キュー)
1本行方不明になっている。薬師が昨日確認したときには確実に全部あった。
玉城に促されて娯楽室を出ようとした瞬間、足に何かが当たった。
「ん?これは・・・接着剤か?」
「何をしている。」
「いや、ここに接着剤が落ちてたんだ。」
「昨日使ったのか?」
「まあ、太宰が使ってたな。」
「ならその時のものが落ちていたんだろう。」
「でも空だ。昨日太宰は使い切ってはなかった。」
「何だと・・・?」
「一応覚えといて損はないだろ?」
「勝手にしろ。」
コトダマゲット!
【接着剤の容器)
床に落ちていた。昨日太宰が将棋盤を直すのに使ったものだと思われるが、昨日使い切ってはいないのに空になっていた。
とは言ったものの、キューがどこに行ったのかなんて全く見当も付かない。どうしたものか・・・。
「さて、どこにキューを探しに行く?」
「なんだ、お前も見当が付いていないのにあんなこと言ったのか。」
「昨日はあったはずのものが今日はなくなっていて、その今日にコロシアイが起きた。全くの無関係と考える方が無茶な話だ。」
「それはそうだが・・・。」
とりあえずキューがどこに行ったのか、推理するしかあるまい。
「キューがどこに行ったのか・・・。」
「推理してみるか。」
まさか学級裁判より前に推理することになろうとは・・・。
「まずは誰がキューを持ち出したのか。」
「まあ、それは犯人だろうな。それ以外の奴が持っていく必要が無い。」
「じゃあ、次は何の目的だ。」
「そこだ。そこが分からん。何か高いところのものを取りたかったのか?」
「それなら未だに持っている理由がないんじゃないか?恐らく持ち出したのは昨日の夜。何かを取ったならその後すぐに娯楽室に戻してしまえば誰かがこうやって怪しむこともない。」
「それはそうだな。だとしたらなぜ戻さなかった?」
「戻せなかった、の方が正しいのかもしれないな。」
「どういうことだ?」
「犯人が何かしらの理由でキューを持ち出したは良いものの、何かに使った結果、戻せない状況になってしまった、としたら犯人がキューを戻さなかったことにも説明が付く。」
「それならば何か不可逆的な変化を加えた、ということか?」
「恐らくな。」
「不可逆的な変化を加えるとしたらあそこしかないな。」
「ちょうどキューは木製だ。その可能性が一番高いな。」
そう。木製のものを加工するのにうってつけな道具が揃っている部屋、美術室に。
この推理を元に俺と玉城は美術室に向かった。
「おい、何もないじゃないか。」
「そんなはずは・・・。」
「そもそも加工したとして加工した痕跡を残すはずがなかったな。」
「いや、準備室はまだ見てないな・・・。」
「まさかそんなはず・・・。」
そう言いながら玉城は渋々準備室に入る。
「・・・あったとはな。」
「ああ、正直俺もダメ元だった。」
美術準備室に入り、調べて見ると、隅々まで調べるまでもなくゴミ箱の中から30cmほどの木の棒が見つかった。
「やっぱりこの棒って・・・。」
「恐らくだがそうだな。まあ、それでも気になることはあるがな。」
「気になること?」
「この残りの部分はどこに行ったのか、って話だ。」
確かに、キューは130cmを超える長さがある。でもここにあるのはせいぜいが30cm。残りの1メートル超はどこに行ったんだ?
「この続きは学級裁判だ。わざわざここで2人きりで推理することでもあるまい。」
「それもそうだ。」
「おい、水島。娯楽室に戻るぞ。」
「ああ。」
コトダマゲット!
【木の棒)
美術準備室のゴミ箱の中に捨てられていた。長さは30cm程度。恐らくはキューの一部だと思われるが、他の部分がどこに行ったのかは分からない。
娯楽室に戻ると既にみんなが戻ってきていた。みんなの捜査の結果は聞いてみたが、さっきの報告会以上の情報は無かった。俺達が落胆していると。
キーン、コーン・・・ カーン、コーン・・・
「よお!オマエラ捜査は順調か?まあ、順調だろうが不調だろうが関係ねーがな!!ってな訳でオマエラ全員赤い扉の前に集合だぜ!!」
モノトラによる非情な宣告。捜査があまり進んでいないのにもかかわらず学級裁判の時間が来てしまった。
「マジか・・・。」
「全く捜査が終わった感じがしませんね・・・。」
「だが仕方あるまい。こうなったらこの少ない情報量の中でクロを導き出すしかあるまい。」
そう。モノトラが捜査を打ち切ってしまった以上仕方が無いのだ。諦めてこの情報量から犯人を見つける努力をしなければならない。
どうやらみんなも腹をくくったようだ。必ず犯人を見つけるというその決意を込めてみんなは裁判場へと向かっていく。
「あ、水島君ちょっといい?」
俺も裁判場へと向かおうとすると、甘寺に呼び止められた。
「ん?どうした?」
「いや、そう言えばみんなに言いそびれちゃったことがあったのを思いだして!せめて水島君にだけでも伝えておこうと思って!」
「何だ?」
「実はね、今日朝食の準備をしているときに比嘉君に話しかけられてね。その時にこう言われたんだ。」
『甘寺!すまん!!今日のゲーム大会少々おくれるかもしれん!!約束があるんだ!!』
『誰が相手かは言えん!そいつも秘密の相談のようでな!!言わないという約束なんだ!!』
「・・・。」
秘密の相談ならその相談があるということ自体言わない方がよかったんじゃ・・・。
「でね、もしかしたらこの相談の相手が犯人じゃないかと思って・・・。」
「確かに可能性があるな。裁判の時にも気にかけてみるよ。」
「うん!」
コトダマゲット!
【甘寺の証言)
比嘉が今日のゲーム大会に遅れると言っていた。
どうやら誰かとの約束があったようだが、その相手は不明。
情報は足りていないというのが正直なところだ。だが、今手に入れられる情報は全て手に入れたと言えるだろう。あとはもう犯人を見つけるために全力で推理をするだけだ。
俺達は赤い扉をくぐる。そしてエレベーターで降りていく。
不安は拭えない。それでも俺達は3度目の戦いをくぐり抜けなければならない。この中の誰かは分からないが、今回の犯人は俺達の仲間を殺した。しかも2人も。
比嘉はやかましいと感じるときもあったが、常に俺達に明るさをもたらしてくれた。
山吹は姉御肌で、俺たちの事を精神的に支えてくれていた。
死んだ2人は確かに俺達にとって大切な仲間だった。
2人を殺して見せた凶悪なクロを俺達は許すわけには行かない。必ず、真実を突き止めてみせる。
3度目の学級裁判が、今、始まる。
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【生存者】
超高校級の幸運? 水島輝(ミズシマアキラ)
超高校級のショコラティエ 甘寺心愛(アマデラココア)
超高校級の射撃選手 薬師弾(ヤクシダン)
超高校級の棋士 玉城将(タマシロショウ)
超高校級の長距離ランナー 涼風紫(スズカゼユカリ)
超高校級の資本家 アンリ・シャークネード
超高校級の執事 畔田鋼之助(クロダコウノスケ)
超高校級の漫画家 久見晴香(ヒサミハルカ)
超高校級の図書委員 太宰直哉(ダザイナオヤ)
超高校級の海賊 九鬼海波(クキミナミ)
残り10人
第3章捜査編はここまで!次回からは第3章学級裁判スタートです!!一体誰が2人を殺したのか!乞うご期待!!
さて、今回の裏話ですが、今回は第2章おしおきの元ネタ紹介と参りましょう!
第2章のおしおきの名前は「冥途イン」ですが、これは気付いた方もいるでしょうが、ダブルミーニングです!1つ目は分かりやすく「冥途にインする」ということでクロの有浜さんが死に向かっていくことをそのまま表しています。そしてもう1つはQueenの曲、「Made In Heaven」、そしてこの曲を元ネタにしたジョジョの奇妙な冒険のスタンド、「メイド・イン・ヘブン」です!もともとの曲名の方は和訳すると「天の思し召し」となり、彼女を天国へは行かせない、という天の思し召しがそのまま現れています。またスタンド名の方は、最初はこの名前ではなく、「ステアウェイ・トゥ・ヘブン」、意味はそのまま「天国への階段」であった、という話から天国への階段を登っていく、というおしおきになりました!
さあ、今回の第3章は誰が犯人で、誰がおしおきされてしまうんでしょうか・・・?期待してお待ちいただければ幸いです!
最終盤まできておいてなんですが、皆さんの推しを教えてください!!
-
水島輝
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甘寺心愛
-
薬師弾
-
玉城将
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二木駆
-
涼風紫
-
山吹巴
-
有浜鈴奈
-
アンリ・シャークネード
-
畔田鋼之助
-
久見晴香
-
太宰直哉
-
美上三香子
-
青山蓬生
-
九鬼海波
-
比嘉拳太郎