CHAPTER4 (非)日常編1
深い深い眠りの中、俺は遠くからの声を聞いた。
「待ってください!まだ採寸は終わってませんよ!!」
「何で今やってんだよ!!?」
「今やらなきゃ間に合わないからです!!代表の会見は来週でしょう!?」
「だからって飯時にやらなくてもいいじゃんかぁ!!」
聞き覚えのある声。また別の声が聞こえる。
「美上さん、ちょっと良いかしら。」
「ん?どしたの?」
「実はね、私の親友が今度映画の主演をやるんだけど、そのポスターを写真を元にした絵にしようって話なってるみたいで、その絵を美上さんにお願いしたいのだけれど。」
「私なんかでよければいくらでもやるよ!」
また聞き覚えのある声。声はまだ聞こえてくる。
「何だ、山吹!そんなことを気にしていたのか!!」
「そんなことってお前の弟だろ!?」
「そこで助からなかったのも天命だ!!多分お前が救急車を呼んでくれていても別の理由で助からなかったと俺は思う。理屈じゃなくそんな気がしているんだ。だからそんなに気にするな!」
「比嘉ぁ・・・。」
「超高校級同士の絆・・・、なんて素晴らしいんだろうね・・・。」
何だろう、知っている声のハズなのに、会話の内容は全く知らない。
何だろう、知らない会話のハズなのに、何だか懐かしい感じがする。
この矛盾は何だ・・・?
答えが出ることはなくより深い眠りに落ちていく。そして俺はそのうちにこのことも忘れてしまうのだった。
CHAPTER4 死に逝く者に蜘蛛の糸を (非)日常編
キーン、コーン・・・ カーン、コーン・・・
海面から顔を上げるように、深い眠りから目覚める。
何か妙な夢を見たような気がするが全く思い出すことはできない。
記憶にないものを掘り出すことはできないので諦めて体を起こし、食堂に向かうことにした。
食堂に入ると食堂に飾られているものが増えていた。まずはドラムセット。人数が減ってしまったことで使わなくなったテーブルを少しずらしてこの大きいものを置くスペースを確保したようだ。そして、他のみんなのものを飾ったテーブルの上には黒い帯が置かれていた。そして、その隣にはステッカーなどは何も貼られていない、ただただシンプルなノートパソコンも。
「これは・・・。」
「お、水島はよっす!」
「あれ、珍しいな、薬師がこんなに早く起きてくるなんて。」
「失礼な!でもま、人数も減っちまったからな!手伝わねえと!ついでにアレも運びたかったしな!」
そう言いつつ新しく飾られたものを指さす。
「これはお前が?」
「ああ。まあ、ドラムセットは畔田に手伝ってもらったんだけどな!」
「・・・ノートパソコンも・・・?」
「・・・ああ。太宰はああ言ったけど、やっぱ俺、アイツだけ仲間じゃねえなんて言えねえや。水島は、嫌か?」
「・・・いや、俺もお前と同じ気持ちだよ。逆に同じ気持ちの奴がいてくれて嬉しい。ありがとう。」
「・・・そっか!あ、でも昨日のあの後の話は聞かせてもらうからな!!逃げんなよ!!」
昨日あれだけ聞いただろうが。
「おや、水島君ももう来ていたのかい。」
「ああ、アンリおはよう。すまない、準備手伝うよ。」
「ああ、ありがたいよ。」
アンリが朝食の配膳をしに出てきたので俺と薬師も手伝うことにした。
準備をしている内に残りのみんなも集まってきたので、全員で朝食を摂ることができた。
朝食が終わるとアンリが口を開いた。
「さて、不本意ながら3度目の学級裁判が終わったわけだけど、学級裁判が終わったということは新しいエリアが開放される、ということじゃないかと思うんだけどどうかな。」
「確かにー。」
「ということはそろそろ奴が・・・」
と玉城が口を開いた瞬間に想像通り奴が現れた。
「よお!オマエラ元気かよ!」
「うわ、出た・・・。」
「ガチのドン引き顔!?さすがのオレもそれは傷つくんだぜ!?」
「さっさと用件を済ませろ。」
「みんながオレに冷たいんだぜ・・・。でもまあ、オマエラの想像通りなんだぜ!昨日の学級裁判をクリアしたことで、校舎の4階が探索可能になったんだぜ!!!」
「やっぱりねー。」
「んじゃ、新しいコロシアイを楽しみにしてるぜ!!」
「二度と起こすかこのスカタン!!」
最後に余計な一言を残してモノトラは帰って行った。
「・・・じゃあ、調査してみるかい?」
アンリがとりあえず、とばかり口を開く。
「・・・ま、そうだな。」
うだうだしていても仕方ないので俺達はみんなで新しく開放された4階を調査することにした。
「さて、新しいフロアに来たわけだけど・・・。」
「どう人数を分けよっかー?」
「つってもなー、かなり人数減っちまっただろ?各自で良いんじゃねーか?」
「まあそれもそうだな。」
ということで各々が自分の思うとおりに調査をすることになった。
さて、俺はどこから調査を開始するか・・・。
とりあえず一番近いところからいくか。
ということで俺はまず階段から一番近い情報処理室から調査をしてみることにした。したのだが・・・。
「・・・開かない。」
情報処理室はカギが掛かっていて開けることができなかった。おい、解放されたんじゃなかったのか。
「あ、わりーわりー、言うの忘れてたぜ!そこはカギの調子が悪いんでもうちょっと待ってくれや!あと学園長室もオレのプライベート空間なんで勘弁だぜ!」
「ホントにカギの調子の問題か?学園長室も含め、何か隠してんじゃないのか?」
「そそそ、そんなわけ、な、ないんだぜ!じゃ、じゃーな!」
「あっ、おい!」
そう言うとモノトラはすぐいなくなってしまった。完全に何か隠してる奴の言いぶりじゃないか。
まあ、開かないものに文句を言っていても仕方ない。とりあえず次のところに向かうとするか。
いきなりアテが外れて気分は下がっているがそうも言っていられないので、廊下の奥にある音楽室に向かうことにした。
音楽室は音楽室というよりもむしろ小さな劇場と言った方が正しいだろう。大きな舞台の前にある机は教室っぽいが、その大きな舞台とその真ん中に置かれたグランドピアノ、そしてそこに当たるスポットライトという組み合わせはまさしく劇場と言うにふさわしい。
「すごいねー。」
「おお、久見もここに来てたのか。」
「うんー。学園長室は入れないって言われちゃってさー?仕方ないからー、次に気になったここに来たんだー。」
「何だ、仲間か。俺も情報処理室は入れないとか言われたんで次にここに来たんだ。」
「もう1カ所入れないところがあるんだねー。でもそれならー、僕たち思ってたよりも気が合うのかもー。」
「確かにそうかもな。」
「冗談のつもりだったのにー。」
…。冗談、か…。そうか…。
「落ち込んでるー。ごめんねー、さっきの方が冗談だからー。」
「お、おう…。」
「それじゃー僕も次のところに行くねー。」
「ああ。」
そう言って久見は俺にひらひらと手を振って去っていく。
このまま出ていくのかと思いきや、久見は唐突に振り返る。
「あ、そうだー。これから僕も輝くんって呼ぶからねー。」
「お、おう。」
そんなの許可を取らなくたっていいのに。
「またねー、輝くんー。」
「ああ、またな。」
昨日の甘寺といい、意図がよく分からないまま分かれてしまった。
その後多少散策はしてみたものの、見事なグランドピアノがあるということと、音楽室っぽい机と椅子を除いてすごく本格的な劇場になっている、ということ以外大した情報を得ることはできなかった。
音楽室を出た俺は職員室に向かった。
特に教員の姿をこれまで見た記憶はないし、もしかしたら情報処理室みたいに閉じられているかもしれない。そう思ったのだが、普通にカギは開いていて中に入ることができた。
「ああ、水島君か。」
「なんだ、アンリも来ていたのか。」
「教員もいないのに開いているのが気になってね。」
「まあ、それは同感だな。そう言えば畔田はどうした?」
「畔田ならあそこで。」
アンリの指さした方向を見ると畔田が熱心に探索していた。
「おーい畔田ー!」
「おや、水島さんじゃないですか。水島さんもこちらに?」
「ああ。何か目新しいものがないかと思ってな。」
「それなら残念ながらそういったものは特には見つかりませんでしたね。」
「そうか・・・。」
やはりここにも何もなかったか。
「それじゃあ水島君、私たちは次のところに行ってみるよ。」
「ああ、分かった。」
「水島さんはどうされるんですか?」
「俺は来たばかりだし、せっかくだからもう少し探索してみるよ。」
「そうですか。そういうことならお先に失礼しますね。」
「ああ。」
そう言うとアンリと畔田は職員室を出て行った。
さて、俺はもう少し探索してみるか。
とは言っても大して気になるところはない。教員用の机が並んでおり、その上にそれぞれ黄色い花が挿された花瓶が置いてあるだけだ。普段なら予定や生徒の実績が書かれているであろう黒板にも何も書かれたり貼られたりしているわけではない。まあ、少しだけ期待はしたがこんなもんだろう。そう思って出ようとしたとき、ふと扉の上に隠すように差し込まれた紙のようなものが目に入った。背伸びをすればどうにか届きそうなので腕を伸ばしてその紙を取ってみた。紙は2つ折りになっていて、それを開いてみるとどうやら写真のようだった。
「何の写真だ・・・?」
そう思い写真を開いてみると、衝撃の写真だった。
「集合写真か?しかも俺達全員の?こんなもの撮った記憶はないぞ?」
写真は俺達16人が写った集合写真。だけどそんなものは撮った記憶はなかった。
「そう言えば・・・。」
そう言えば、以前この希望ヶ峰学園において行われたコロシアイにおいても、過去の写真が高校生活の記憶を消された生徒達を攪乱するためにばらまかれた、という話があった気がする。まさか・・・。
「俺達も入学してから時間が経っているのか・・・!?俺達の記憶も・・・」
「おっと、余計な詮索はそこまでだぜ。」
考えを口に出して整理していると、目の前にモノトラが現れ、俺の手にあった写真を奪い去った。
「あっおい!」
「いやー、失策失策!まさか写真がこんなところにあったとはな・・・!おい、水島。今見たものは誰にも言うんじゃねーぜ。言ったときは最期、オマエを殺すだけだからな・・・。」
「なっ・・・!」
それだけ言うとモノトラは俺の前から姿を消した。でもあれほどモノトラが焦った様子を見せるといことは俺の考えもあながち間違いではないようだ。だが、みんなに伝えることはできない。すごく歯がゆい思いではあるが、言っても仕方ないので俺は諦めて職員室を後にすることにした。
さて、後残っているのは化学室だけか。そこだけ探索して食堂に戻ろう。
科学室に入ると甘寺、薬師、玉城、涼風、九鬼といっぱい集まっていた。
「みんなこんなところに集まって何してるんだ?」
「水島か。ここの薬品棚を確認している。」
「薬品棚?」
「ああ。ここの薬品棚には色んな薬物が揃っていてな。睡眠薬や胃薬といった普段使う薬から猛毒まで色々ある。」
「何だって?」
「だが、幸いここに薬品とそれがどれくらいあるのかを記したリストがあったからな。コイツを確認して全員に共有できるようにしている。何があるのか分かっていればコロシアイに使うこともできんだろうしな。」
「なるほどな。」
それならと俺も薬品を数えるのに協力することにした。
実際数えてみて分かったことだが、薬の強さなどに応じて棚も分けられていることが分かった。一番扉に近い薬品棚Aには睡眠薬や胃薬のような日常的に服用する薬であったり、プロテインだったりが入っていた。何でこんなところにプロテインがあるんだ。真ん中の薬品棚Bには実験によく使う薬品が置いてあった。そこまで毒性は強くないが、扱いを誤ると大変なことになりかねないだろう。そして扉から見て一番奥の薬品棚Cには実験でも稀にしか使わない猛毒の薬品が置いてある。この薬品棚は気を付けないと本当に大変なことになってしまう。
「とりあえずこんなところだな。」
「いやー、以外とあんなコレ!」
「だがここまでしっかり確認しておけば万が一も防げるだろう。」
「用心に越したことはないよね!」
薬品の種類と数の確認が終わり、この確認したという事実が万が一の防止にも繋がるだろうと一安心したところで薬師が声を挙げた。
「じゃー、食堂に行くか!」
「ああ、そうだな。」
作業が終わったところで薬師の温度に合わせて食堂に向かうことにした。
食堂に入ると他のみんなは既に勢揃いしていた。
「随分時間がかかったようだね。」
「ごめーん!化学室の薬品の種類と数を確認してたら時間かかっちゃって!」
「ああ、あの棚の薬品かい?」
「そうだ。劇薬もあったのでな、念には念を入れ、だ。」
「それなら呼んでいただければ手伝いましたのに・・・。」
「ま、6人もいたからな!」
「それならそれで呼んでもらえないのは寂しいんだけどー。」
なんてみんなが化学室の件で会話を弾ませている。
「さてと、だ。今回の報告を進めよう。」
「そうだな!まー、化学室は今ので良いとして・・・。」
「学園長室があったんだけどー、そこは閉まってたー!モノトラのー、プライベートな部屋なんだってさー。」
「そう言えば情報処理室もカギの調子が悪いとかで閉まってたな。」
「つまり、2部屋は入ることすら叶わなかった、と。」
「いかにも怪しいー、って感じだぜ。」
「後は音楽室もあったな!」
「とは言え、特に何か特徴的なものはなかったがな。」
「職員室もだったね。まあ、あそこも特に何も、って感じだったけど・・・。」
職員室・・・。ふと職員室で見つけたあの写真のことが頭を過ぎる。
「あれ?輝君難しい顔してどうしたの?」
「!ああ、いや、なんでもない。今回も出口に繋がるものはなかったなって思っただけだ。」
「そっか・・・?」
危ない・・・。あの写真のことを口に出してしまったら俺が死ぬことになる・・・。あの写真のことは気にならないわけではないが、今のところは口には出さないようにしておこう。
「まあ、実際水島君が言ってくれたとおり、今回も出口に繋がる手掛かりはなかったわけだけど、肩を落とさずに行こう!いつかはきっと外に繋がるはずだからね!」
「喫緊の課題はそこまでにこれ以上コロシアイを起こさせないことだな。」
「ま、そういうことになるわな。」
「それじゃ、今日は一旦ここで解散だな!また夕飯のときになー!」
とりあえず報告が終わったところで今回も解散することにした。
特にすることもなかったので俺は部屋の中で読書をしながら時間を過ごし、夜を迎えることになった。
キーン、コーン・・・ カーン、コーン・・・
「午後10時になりました。ただ今より夜時間になります。食堂はロックされますので速やかに退出してください。それではよい夢を。お休みなさい。」
【モノトラ劇場】
「よくサスペンスなんかでも“毒殺”なんて言葉が出てくるがよ、」
「オレは実際のところ“毒殺”なんてものは存在しないと思ってるんだぜ。」
「だって半数致死量がかなり少ない物質を便宜的にオレ達は“毒”って呼んでるだけなんだからな。」
「そんなことを言っちまったらよ、」
「致死量のチョコレートを喰わせたとしても」
「そいつは“毒殺”ってことになっちまうと思うしな・・・。」
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【生存者】
超高校級の幸運? 水島輝(ミズシマアキラ)
超高校級のショコラティエ 甘寺心愛(アマデラココア)
超高校級の射撃選手 薬師弾(ヤクシダン)
超高校級の棋士 玉城将(タマシロショウ)
超高校級の長距離ランナー 涼風紫(スズカゼユカリ)
超高校級の資本家 アンリ・シャークネード
超高校級の執事 畔田鋼之助(クロダコウノスケ)
超高校級の漫画家 久見晴香(ヒサミハルカ)
超高校級の海賊 九鬼海波(クキミナミ)
残り9人
ということで、お待たせしました!今回から第4章がスタートして参ります!水島君達はああ言ってはいましたが、今回は一体どんな事件が起こっていってしまうのでしょうか…。是非ともお楽しみに!!
さて、第3章が終わったということで、今回から数回にわたって第3章の裏話をしていこうかな、と思います!
それでは今回はタイトル編といきたいと思います!第3章のタイトルは「その感情は最も遠く」な訳ですが、20~30代くらいの方だとタイトルの元ネタが一瞬で分かった方も多いのではないかと思います!そう、BLEACHの藍染惣右介の名言、「憧れは理解から最も遠い感情だよ」です!太宰君の超高校級に対する憧れとそれ故の無理解を表すのにこれ以上ピッタリな言葉はないかな、と思いこの言葉を選びました!もしかしたらこんな状況でなければ太宰君ももっとみんなと理解を深め合うことができたんでしょうか…?
ということで今回はここまで!それではまた次回お会いしましょう!!!
最終盤まできておいてなんですが、皆さんの推しを教えてください!!
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水島輝
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甘寺心愛
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薬師弾
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玉城将
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二木駆
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涼風紫
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山吹巴
-
有浜鈴奈
-
アンリ・シャークネード
-
畔田鋼之助
-
久見晴香
-
太宰直哉
-
美上三香子
-
青山蓬生
-
九鬼海波
-
比嘉拳太郎