ダンガンロンパR~おかえり絶望学園~   作:パルティアン

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CHAPTER5 学級裁判 後半

【裁判再開】

 

この裁判の本番はここからだ。これまでの推理の結果から久見が犯人ではないということはほぼ確実なはずだ。それでも俺含め犯人広報はまだ5人いる状態だ。ここからさっきまでよりも更に集中して犯人を見つけ出してみせる!

 

「じゃあ久見が犯人じゃないとしたら誰が犯人なんだ?」

「と言ってもさすがにいきなり犯人を当てるってのは無理だよねー。」

「だとしたらどこから考えていくよ?」

「うーん、まずは犯行可能な時間から考えていくか。」

 

 

 

議論開始

 

「犯行可能な時間か…」

 

 

「確か【死亡推定時刻は書いてなかった】よね?」

 

 

「あー、確かに」

 

 

「とは言っても昨日はずっとみんな部屋にいたし、」

 

 

「誰がどこにいついたかなんて」

 

 

「【分からない】んじゃない?」

 

 

「せめて犯行時刻の範囲だけでも」

 

 

「分かりゃいいんだけどなぁ」

 

 

「それもさすがに」

 

 

「【絞れない】よねー」

 

 

確か決まった時間にアレが行われていたはずだ。

 

【花壇の世話)→【絞れない】

 

「それは違うぞ!」

 

 

 

「いや、犯行可能時刻の終わりは分かる。」

「え、なんでー?」

「決まった時間に行われていたものがあったからだよ。」

「それって何だ?」

「花壇の世話だよ。植物庭園にみんなで作った花壇の世話を玉城が裏切り者って分かってみんなが気まずくなった後も女子は続けてくれていた。そしてそれは毎日決まった時間に行われてたんだ。」

「そうなんか?」

 

そしてその時間は…

 

 

 

選択肢セレクト

 

1.8時

 

2.9時

 

3.10時

 

→3.

 

「これだ!」

 

 

 

「10時だ。朝食の後少し経ってから行われていたんだ。」

「あ、ちょっと待って!」

 

説明をしていると甘寺に一度止められた。

 

「それならもう少し絞れるかも!」

 

もう少し絞れる…?

 

「ほら、花壇の世話以外にもあったはずだよ。毎日決まった時間に行われているもの。」

 

毎日決まった時間に行われているもの…?それって…!

 

 

 

選択肢セレクト

 

1.朝食

 

2.スプリンクラーによる水撒き

 

3.水島の起床

 

→2.

 

「これだ!」

 

 

 

「それってスプリンクラーの水撒きだよな?」

「その通り!」

「あー、毎朝7時半にってやつか。」

 

 

 

「そんなんじゃ溺れちまうぜ!」

 

 

 

「いや、オレだって7時半にスプリンクラーが水撒いてるっつーのくらいは分かってるぜ?だけどよー、それって事件にゃ関係ねーんじゃねーか?」

「それがそうとも言いきれないんだ。」

 

 

 

反論ショーダウン

 

「7時半に水が撒かれてるっつーのは」

 

 

「分かってるぜ?」

 

 

「だけどよー、」

 

 

「その時間ってのが」

 

 

「事件に何の関係があんだ?」

 

 

-発展-

 

「確かに一見関係ないように見えるかも知れないけど」

 

「よくよく考えてみると」

 

「事件にとって大きな要素になるんだ!」

 

 

「事件にとって大きな要素つったってよ、」

 

 

「スプリンクラーが水を撒く時間から」

 

 

「犯行可能時刻を絞るなんて」

 

 

「オレは【無理】だと思うぜ?」

 

 

「やっぱスプリンクラーは」

 

 

「事件にゃ関係ねーって!」

 

 

いや、あの証拠の状況を考えればそうは言いきれないはずだ!

 

【血溜まり)→【無理】

 

「その言葉、斬らせてもらう!」

 

 

 

「いや、植物庭園のスプリンクラーの時間から犯行可能時刻の終わりを絞ることはできるんだ。これを見てほしい。」

「コイツは…。」

「血溜まり、だね。」

「これがどう関係してんだよ?」

「この血溜まりをよく見てほしいんだ。この血溜まりは少し流れてしまっているだろ?」

「あ、ほんとだ!」

「この血が流れてしまう要因としてはあそこにはスプリンクラーしかないだろ?」

「でもそれが玉城の血とは限んねーだろ?実際久見もそこでケガしてんだしよ。」

「いや、今回の事件は先に植物庭園で始まってると考えた方がしっくりくるんだ。」

 

そう、逆にそうでなければありえない証拠も残ってる。

 

 

 

証拠提出

【床の血痕)

 

「これだ!」

 

 

 

「こいつを見てくれ。これは植物庭園、武道場、そしてその間をつなぐ廊下に残されていた血痕だ。そしてこの血痕は植物庭園の血溜まりから始まって武道場の玉城の死体までずっと続いていたんだ。こんな繋がり方をしてるなんてこの血が玉城のものだってこと以外考えられないだろ?」

「それは…、そうだな…。」

「そしてこれが十中八九玉城の血だとしてそれが少し流れているってことは玉城の頭の傷がつけられたのは朝の7時半より前ってことになる。でも俺達は夜時間が明けてからすぐ朝食のために集合するから7時から7時半の時間は考えにくいし、夜時間前もいくらみんな部屋に篭もっていたとは言え誰かに見られるリスクがあるから恐らくこの傷は夜時間中につけられた物だろう。」

「これだけ血溜まりとして残ってるってことはー、血がそれなりに乾いてたってことだからー、もしかしたら夜時間の中でも早めの時間かも知れないねー。」

 

とここまで時間を絞ってきたのはいいけどその夜時間なんてなおさら誰も明らかなアリバイを持っているはずがない。

 

「でも夜時間中じゃみんなアリバイなんてないよね…。」

「まあ、みんな部屋にいたよな。」

「だとしたらー、まずどう犯行が行われたかってのを考えてみよっかー。」

「今更か?」

「いやー、結構重要だよー?犯行の手順が分かったら犯人の動きも分かるわけだからねー。」

 

確かにそれは久見の言うとおりだ。一度犯行の手順を整理しておく必要があるかもしれないな。

 

 

 

議論開始

 

「えっと犯人はまず、」

 

 

「植物庭園で玉城を【殴った】んだよね?」

 

 

「それで、あれ、殴った道具は」

 

 

「【適当に放り投げた】んだったか?」

 

 

「えっととりあえず気絶させた玉城君を」

 

 

「武道場に運んで」

 

 

「巻き藁に拘束して」

 

 

「矢を使って殺害したんだよね」

 

 

「確かそんで矢を床に【ぶっ刺して】」

 

 

「偽装工作したんだよな!」

 

 

あれ…、その道具はそんな単純な状態だったっけ…?

 

【スコップ)→【適当に放り投げた】

 

「それは違うぞ!」

 

 

 

「いや、確か玉城を殴った道具は隠されていたはずだ。それはこの泥だらけのスコップが証明してる。」

「え、その泥って花壇を作ったときの汚れとかじゃないの?」

「その時はきちんと洗ったぞ。」

「じゃあ世話したときに使ったとか?あたしは使ってないけど。」

「オレも使ってねーぞ。」

「僕もー。心愛ちゃんはー?」

 

確かそもそも今日の甘寺は世話すらできていないはずだ。

 

 

 

証拠提出

【甘寺の証言)

 

「これだ!」

 

 

 

「実は私今日そもそも世話できてないんだよね…。まず血溜まりを見つけちゃって周りを探して回っちゃったし…。」

「そういや第一発見者は甘寺だったな。」

「ってことは…、そのスコップはやっぱ玉城を殴るのに使った道具を隠すのに使われたんだね!」

「いや、でも分かんなくねえか?だって道具自体見つかってねえだろ?花壇に隠したとは限らねえんじゃねえか?」

 

確か花壇の中から見つかった物があったはずだ…!

 

 

 

証拠提出

【模擬刀)

 

「これだ!」

 

 

 

「恐らく玉城を殴った道具はこの模擬刀だ。この模擬刀は元々武道場の鎧兜が佩いていた物だったんだけど事件発生時には行方不明になってたんだ。だけどそれが捜査中に植物庭園の花壇の中から見つかったんだ。」

「それが偽装工作の可能性はねえのか?」

「それも低いと思う。」

 

それを証明するのは…

 

 

 

選択肢セレクト

 

1.玉城の傷と一致した

 

2.血痕が付いていた

 

3.植物庭園に空振りで殴った後があった

 

→2.

 

「これだ!」

 

 

 

「この模擬刀には峰の部分に血痕が残っていたんだ。さすがにそんな状態で隠されていたのにこれで殴っていないってのは考えにくいだろ?」

「そりゃそうだな!」

 

ここまでの犯行をまとめると、犯人は模擬刀で玉城を殴った後、その模擬刀を花壇に隠し、玉城を武道場に連れて行った後、巻き藁に縛りつけて矢を使って殺害した。そして床に矢を刺して矢で射たように偽装工作をした、ってところか。でもこの犯行の流れも夜時間にアリバイがなければ誰でも可能だ。

 

「うーん…、でもこの犯行の手順も誰にでもできるな…。」

 

いや、でもこれを他の証拠と組み合わせたら何か見えてくる物があるかもしれないぞ…?

 

 

 

議論開始

 

「結局犯行の手順も」

 

 

「アリバイさえなければ【誰でもできる】よなぁ」

 

 

「どうにかここまでの情報から」

 

 

「犯人を導き出せないかなぁ」

 

 

「他に何か」

 

 

「『ヒントがあれば』いいんだけどねー」

 

 

「意外とどこかで」

 

 

「『見落としがある』かもしれねーぞ?」

 

 

「と言ってももう一回振り返るのは」

 

 

「大変だしねえ…」

 

 

確かちょうど夜時間中に関係しそうなものがあそこに置かれていた気がするな…。

 

【呼び出しメモ)→『ヒントがあれば』

 

「それに賛成だ!」

 

 

 

「夜時間中に関係しそうなものが玉城の部屋から見つかってはいるんだ。」

「それって何ー?」

「玉城を呼び出すメモだ。夜11時に植物庭園に集合って書いてある。」

「っつーことはよー、玉城はこのメモを見て植物庭園に呼び出されて行ったところに何者かによって殺されちまったっつーことか!」

「でもそんなうかつなことをあの玉城君がするのかな?しかもみんなに裏切り者として認識されていた分余計に。」

「そこに関しては考えられる可能性はあるんだ。」

 

 

 

選択肢セレクト

 

1.もう1人裏切り者がいる

 

2.メモの送り主はモノトラ

 

3.玉城は誰かを買収していた

 

→1.

 

「これだ!」

 

 

 

「この中にもう1人モノトラからの裏切り者がいて、この呼び出しのメモがそのもう1人から渡された物だとしたら警戒心の強い玉城が呼び出されたとしてもあり得るだろ?」

 

一見考えにくい、いや、考えられない推理、でも状況を考えたらそうとしか考えられない推理を伝える。

 

「…いやいやいや!そりゃありえねーだろ!!この中にもう1人裏切り者がいるって!?」

「さすがに俺もそう思うぜ?さすがに突飛すぎるって!」

「うーん、でもそれなら辻褄は合うんだよねー。」

「でもでも、あたし仲間の中にまだ裏切り者がいるなんて思いたくないよ!」

「でも可能性は考えてみるべきだと思うよ?」

 

…やっぱりこうなるよな。信じられないと拒否する者、真実はどうあれ可能性は考えてみるべきだと思う者、完全に意見は割れてしまった。

 

 

「おうおう!オマエラの意見がちょうど半々になってるみてーだな!ってことはアレの出番ってことじゃねーか?」

 

と言うとモノトラはまたあの裁判場を起動した。

 

「さあさあ、意見のぶつかり合いをしっかり見せてくれよ?」

 

 

 

議論スクラム

 

 

〈生き残りの中にもう1人裏切り者がいるのか?〉

 

いない!       いる!

薬師         水島

涼風         甘寺

九鬼         久見

 

 

九鬼「いやいや、まだ【裏切り者】がいるなんてありえねーだろ!」

「久見!」

久見「でもー、みんな玉城君が【裏切り者】だなんて誰も思ってなかったよねー?」

 

 

涼風「普通に誰かに【呼び出された】可能性もあるんじゃないの?」

「俺が!」

水島「みんなに警戒されているのに玉城が簡単に【呼び出された】とは思えない!」

 

 

薬師「これ以上【仲間】を疑えって言うのかよ!?」

「甘寺!」

甘寺「【仲間】だからこそ疑わなきゃいけないんだよ。」

 

 

涼風「【モノトラ】が犯人って可能性はないの?」

「甘寺!」

甘寺「せっかく動機発表までしたのにわざわざ【モノトラ】が自分で殺すのかな?」

 

 

薬師「裏切り者同士が殺し合う【理由】がねえじぇねえか!」

「久見!」

久見「モノトラが怒りながら裏切り者を発表したことに【理由】があるのかもよー?」

 

 

九鬼「つーかそもそも裏切り者が2人いるって【証拠】はあんのかよ!?」

「俺が!」

水島「もちろんそうとしか思えない【証拠】も存在してるんだ!」

 

 

 

CROUCH BIND

 

 

SET!

 

 

「これが俺達の答えだ!!」

 

 

 

「やっぱり裏切り者は俺達の中に2人いたんだ。」

「そう言ったって証拠がねえだろ?」

「いや、証拠もきちんと存在してる。」

 

 

 

証拠提出

【引き出し)

 

「これだ!」

 

 

 

「玉城の部屋の引き出しを探してみたんだけど、そこからは玉城が誰かと秘密にやり取りしていたと思われる痕跡が多く発見されたんだ。今からその一部を見せるぞ。」

 

 

 

『4月○日

  モノトラからの指令通り対象者の監視を開始します。

  モノトラとのやり取りを任せてもよいですか?   』

 

 

『4月□日

  コロシアイが始まって1週間以上経過しますが、監視対象が真実に気付く様子は見ら   

  れません。引き続き監視を行います。』

 

 

『4月☆日

  モノトラの思惑と反して他の生き残りのみんながコロシアイに発展する様子は現状見  

  られません。安心してください。これからのことはこのほとぼりが冷めてから改めて  

  考えることにしましょう。』

 

 

 

「これは…、」

「まさにって感じだねー。」

「筆跡もあの呼び出しメモとおんなじだね。」

「でもこれがモノトラとのやりとりって可能性はないの?」

「その可能性は低いだろう。」

 

モノトラとのやり取りである可能性が低い理由は…

 

 

 

選択肢セレクト

 

1.モノトラは字が書けない

 

2.玉城はモノトラが嫌い

 

3.度々モノトラについて言及している

 

→3.

 

「これだ!」

 

 

 

「だってこれがもしモノトラとのやり取りだとしたらこんなにモノトラについて言及するのはおかしいだろ?」

「あ、確かに!」

「モノトラ本人とのやり取りだったらー、モノトラのことを示すワードは二人称だよねー。」

「ってことは、やっぱ俺達ん中にもう1人裏切り者がいるっつーことなのか…?」

「でもそれならそのもう1人の裏切り者って誰なの…?」

「それはまだこれから推理していかないと正直分からない…。」

「つったって何も取っ掛かりがねえよな…。だって今まででほぼ全部調べた証拠は出ちまったろ?」

 

確かに、ここまでで証拠はほぼ全て使い果たしてしまった。でも取っ掛かり自体はあるはずだ。

 

「いや、取っ掛かりは1つだけある。それは…」

 

 

 

選択肢セレクト

 

1.手紙に使われた紙

 

2.手紙に使われたペン

 

3.手紙の筆跡

 

→3.

 

「これだ!」

 

 

 

「この手紙の筆跡には俺は見覚えがあるんだ。」

「そうなのか!?」

「ああ。」

「それって誰なの!?」

「…それが誰のものなのかは分からないんだ…。」

「それじゃ意味ねーじゃねーか!」

「すまない…。」

「仕方ないよー。これまでの事件でも青山君とか畔田君とかメモをよく使ってたしー、結果色んな筆跡を見ることになっちゃったもんねー。」

「…そうだよな、すまねえ…。」

 

そう、この筆跡は確実に俺がどこかで見たことのあるはずのものだ。だけど俺は色んなところで色んな人の筆跡を見てきてしまった。それ故にこの筆跡が今まで見てきた誰のものなのか分からなくなってしまっている。その悔しさと無力感の中で俺は無意識に学ランのポケットに手を入れていた。学ランだからそんなに汚れることもなかったし洗うのも難しいから最初の頃からずっとそのまま使い続けてきた学ラン。俺はこの学ランを着てこの学園に足を踏み入れて、この学ランを着てコロシアイに巻き込まれて、この学ランを着て学級裁判を乗り越えてきた。そのここまでの生活の軌跡がこの学ランには残されていると言っても良い。それ故にその学ランのポケットで指先にカサッと何かが当たる感触があった。

 

「…?」

 

恐らく何かの紙ゴミを入れっぱなしにしてしまったものだろうと思っていた。そうは思いつつも念のためそのポケットの中の紙を取り出してみる。するとそれは一番最初の事件の時に動機となった凶器、そのナイフとピストルをそれぞれ誰が持っているのかがまとめられたメモだった。その筆跡はこれまで議論してきた玉城を呼び出したメモ、そしてこれまでずっと玉城とやり取りをしてきたメモの筆跡と同じ物だった。でも、この筆跡は…。

 

 

コトダマゲット!

【最初の事件のメモ)

最初の事件の動機となった凶器をそれぞれ誰が持っていたのかを記したメモ。筆跡は呼び出しメモとやり取りの手紙のそれぞれのものと一致している。

 

 

「だーっ!結局誰が犯人なんだよー!!」

 

どうにもならない状況に九鬼が叫び声を上げる。でも、もうその答えは出た。

 

 

 

議論開始

 

「結局どうすんだよ!?」

 

 

「頼みの綱の水島も」

 

 

「筆跡が誰のものか【分かんねー】んだろ!?」

 

 

「現状唯一の手掛かりが」

 

 

「その【筆跡の記憶】だったもんね…」

 

 

「そもそも水島頼りすぎたんだって」

 

 

「水島だって分かんないこともあるよ…」

 

 

「でもー、その筆跡が誰のものか分からないとー」

 

 

「【犯人は判明しないよー】」

 

 

「くそっ!」

 

 

「どうすりゃいいってんだよ!!」

 

 

いや、俺にはもう、分かっているはずだ。

 

【最初の事件のメモ)→【分かんねー】

 

「それは違うぞ!」

 

 

 

「いや、でもオメー今分かんねーって言ってたじゃねーか!」

「気付いたんだよ。このメモが誰によって書かれたものか。まずは気付くきっかけになったこれを見てもらおうか。」

 

そう言って俺はポケットの中の紙を広げてみせる。

 

「この紙は何だよ?」

「最初の事件の時のメモだよ。動機の凶器どちらを誰が持っていたのかがまとめてある。」

「それは分かったけどよ、そのメモが何だってんだよ?」

「よく見てほしい。」

 

俺はメモのピストルのト、ナイフのイ、アンリのア、モノトラのト、そしてコロシアイのアとイを順番に指し示した。

 

「そんなにサンプルが多いわけではないけどこのそれぞれの対応している文字の筆跡が同じだと思わないか?」

「ああ、確かにそんな感じだな!」

「この字の筆跡から俺は誰がもう1人の裏切り者なのか、引いては誰がこの事件の犯人なのか気付くことができたんだ。」

 

いや、俺はもっと前には気付いていたのかも知れない。気付いていながらそれを指摘するのが怖くて、間違いであってくれと願って、それを認めなかっただけなのかもしれない。

 

「それは誰なの!?」

「それはな…。」

 

俺は少し逡巡した後周りを見回す。するとみんながその犯人の名を聞こうと身を乗り出している。たった1人、穏やかな笑顔でこちらを見ているその犯人を除いて。これは言え、ということなのだろう。躊躇うな、怖がるな、お前は間違っていない、と。その笑顔に背中を押されて俺はその人物の名前を指名した。

 

 

 

 

 

 

 

 

指名しろ!

 

【アマデラココア】

 

「お前しか、いない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…は?」

 

周りから困惑の声が上がる。それもそのはずだ。誰もソイツだけは、彼女だけはあり得ないと思っていたはずだ。

 

「いやいやいや、水島、こんな時に冗談やめろって…!甘寺が犯人なわけねーだろ…?」

「そうだよ!今まで心愛ちゃんはあたしたちをいっぱい助けてきてくれたじゃん!」

「こんな場面で冗談なんか言わない。」

「それが冗談じゃねーっつーならオメーはオカしくなっちまってんだよ!裏切り者が2人いるっつーのは良いとしてもよ、それが甘寺でしかも玉城を殺した犯人なんてフザけたことを言うのも大概にしとけよ!!!」

「おい九鬼、落ち着けって!」

「こんなこと、口が裂けてもフザけて言うわけないだろ!!」

「水島もらしくないよ!!」

「うるせぇうるせぇうるせぇ!!!俺はぜってー認めねーかんな!!アイツが犯人なんてぜってーに認めねー!!!」

 

それならこっちも本気で論破してねじ伏せるまでだ!!!

 

 

 

パニックトークアクション

 

「うるせぇうるせぇうるせぇ!!」

 

 

「認めねーかんな!!」

 

 

「フザけんのも大概にしろよ!!」

 

 

「オカしくなっちまったんじゃねーのか!?」

 

 

「ぜってーにありえねー!!」

 

 

「アイツが裏切り者なわけねー!!!」

 

 

「アイツが犯人だと!?」

 

 

「冗談言ってんじゃねーそ!!!」

 

 

「甘寺は大事な仲間だ!!」

 

 

「疑うなんて俺は許さねーぞ!!」

 

『サンプルが足りてねーんだろ!?だったら筆跡が同じだって言いきれねーじゃねーか!!』

 

 

《レシ》《ピの》《筆》《跡》

 

 

「これで終わりだ!!」

 

 

 

「…サンプルが足りないって言うならもう1つサンプルを出してやるよ。甘寺、いつもの手帳を見せてもらえるか?」

「いいよ。」

 

九鬼とは対照的に疑われている本人である甘寺は落ち着き払っており、こちらの要求にも素直に従っている。

そして甘寺から差し出された手帳を開き、そこに書かれたレシピの文字をみんなに見せる。そしてその文字と手紙やメモの文字を比較すると疑いようもないくらいその筆跡は一致していた。

 

「…コイツは…。」

「…疑いようも、ないねー。」

「…そんな…。」

「………。」

 

みんなは信じられない、いや、信じたくない、といった面持ちでそれを見ている。そして一番甘寺が犯人だと言うことを否定していた九鬼は完全に黙りこくってしまっている。

 

「…ホントに…甘寺が犯人だってのかよ…。裏切り者だってのかよ…!」

「…それは甘寺の口から直接聞くべきだ。そのためにも、この事件の全貌を振り返って終わりにするよ…。」

 

                   ・

                   ・

                   ・

 

【生存者】

超高校級の幸運?      水島輝(ミズシマアキラ)

超高校級のショコラティエ  甘寺心愛(アマデラココア)

超高校級の射撃選手     薬師弾(ヤクシダン)

超高校級の長距離ランナー  涼風紫(スズカゼユカリ)

超高校級の漫画家      久見晴香(ヒサミハルカ)

超高校級の海賊       九鬼海波(クキミナミ)

 

残り6人




さてさて、これで今回の犯人も判明したわけですが、皆さんどうでしたでしょうか?正直バレバレだよ!って思われた方もいらっしゃったでしょうか?少しでも多くの方に驚いていただけると幸いです。
次回はこの裁判が閉廷していくわけですが、彼女は何を思ってこの犯行を行ったのでしょうか?その真相が明らかになっていきますのでお楽しみに!ということでまた次回お会いしましょう!

最終盤まできておいてなんですが、皆さんの推しを教えてください!!

  • 水島輝
  • 甘寺心愛
  • 薬師弾
  • 玉城将
  • 二木駆
  • 涼風紫
  • 山吹巴
  • 有浜鈴奈
  • アンリ・シャークネード
  • 畔田鋼之助
  • 久見晴香
  • 太宰直哉
  • 美上三香子
  • 青山蓬生
  • 九鬼海波
  • 比嘉拳太郎

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