学園長の個室の扉を開けるとこれまでの部屋とは大きく異なる雰囲気が漂っていた。というより、学園長の個室とは言うものの、そこに誰かがいたような形跡は残されていなかった。
「こんなに人がいた形跡ってないものか…?仮にも学園長が暮らしていたはずだろ…?」
「オメーもそう思うか?」
「おお、九鬼か。あまりにも人がいた形跡がなさ過ぎて不気味だ。」
「オレもそう思うぜ。でも色々証拠になりそうなものもありそうだけどな。」
「ああ、そうだな。探索してみるか。」
この部屋の異様な雰囲気に不気味さを感じはしたものの、気合いを入れ直して部屋の探索を開始した。
一番可能性があるとしたらこの部屋の本棚だろう。実際のところこの部屋の本棚はほぼ空っぽになっていたのだが、その中をよく調べて見ると本棚の奥の方に1冊のファイルが隠されていた。そのファイルの表紙には衝撃の文字が書かれていた。
「"絶望再建プロジェクト"…?」
それは書庫に置かれていたファイルの"希望ヶ峰学園再建プロジェクト"、通称"プロジェクトR"に対抗するかのように付けられた物騒な名前だった。
中身を見てみると更に驚くような内容ばかりであった。
『絶望再建プロジェクト
我々はこの計画を以て再び世の人々を絶望へと堕とすことを最終目的としていく。
その第1歩として我々は希望ヶ峰学園の教員の排除に成功。ここから超高校級の生徒達
の記憶を奪い、その状態でのコロシアイを2カ所で同時多発的に開催。希望同士のコロ
シアイを全国中継することで世の人々の希望を再び奪う。』
…なんだよこれ…!もしかして今の状況のことか…?2カ所…?もう1カ所で同じことが行われているって言うのか…!?
コトダマゲット!
【絶望再建プロジェクト)
世の人々を再び絶望に堕とすためのプロジェクト。
超高校級の生徒達の記憶を消し、2カ所で同時多発的にコロシアイを行わせ、それを全国中継することで再び人々を絶望させる計画のようだ。
「おーい水島!これなんだと思うよ!!」
手元のファイルに意識を取られていると遠くから九鬼に呼ばれた。
「ん?どした?あんまり顔色よくねーぞ?」
「その話は後でするよ。で、どうしたんだ?」
「ああ、そうだ!ちょっとこれを見てくれよ!」
そう言って九鬼が差し出してきたのは何かの薄い冊子だった。
その表紙に大きく取扱説明書と書いてあった。
「何の説明書だ?」
「うーん、よく分かんねーんだよなー。だからちっとオメーに見てもらおうと思ってよ。」
「そういうことか。」
それならばと冊子を九鬼から受け取るとペラペラとそのページをめくっていった。
『心臓一体型スイッチ 取扱説明書
これは様々な機械と連動させることでその機械を半永久的に動かし続けることのできる
スイッチです。使用手順は次のようになっております。
①電波受信端末を対象の機械の中心となる基盤に取り付けてください。
②電波発信端末と受信端末の電源を入れ、2つの端末を連携させてください。
③電波発信端末を対象生物の心臓に取り付けてください。
しばらくは内蔵のバッテリーで稼働しますが、一定期間を過ぎると発信端末は対象生物
の生物電気によって、受信端末は対象の機械に流れる電気で動くようになります。
以降は対象生物が生きている限り機械は半永久的に動くようになります。
また、生死に関わらず対象生物の心臓が止まると対象の機械も止まります。』
何だ、そんなスイッチが存在しているって言うのか…?だけどそんなものの説明書が何でこんなところに…?
「で、何か分かったかよ?」
「ああ。どうやらこれは生き物の心臓に取り付けてその生き物が生きてる限り何かしらの機械を動かし続けることができるっていうスイッチらしい。」
「何じゃそりゃ?んなもんどこに使うってんだ?」
「さあ?この辺の話も裁判を通してってところだろうな。」
「ま、そうだな!」
コトダマゲット!
【心臓一体型スイッチ)
生物の心臓に取り付けて対象の生物が生きている限り対応する機械を動かし続けることのできるスイッチ。
対象の生物に生死に関わらず心臓が止まってしまうと対応する機械も止まってしまう。
とりあえずこれで寄宿舎の2階の捜査は全部終わっただろうか?
ちょうど俺と九鬼が学園長の個室を出ると他のみんなも捜査を終えて2階のホールに集合しているところだった。
「それじゃー次のところに行こっかー。」
久見がそう切り出したので俺達はみんなで次のところに向かうことにした。
次に向かったのは4階の情報処理室。寄宿舎の2階と並び、他の開いていなかった場所とは違ってなぜ開いていないのか想像もつかなかった空間。その扉の鍵穴に扉と同じ色をしたカギを差し込むとガチャ、という音と共に扉が開いた。
「これは…!」
部屋の中に入るとまず目に入ってたのは部屋の壁の1つを覆い尽くす大量のモニター。そこには学園の各所の映像が映されていた。
「ここで俺達のことを監視してたっつうことか…!」
「わっ!あれ僕の部屋だよー。」
「プライバシーも何もあったもんじゃないね。」
1つ1つのモニターを見てみると実際、教室や食堂、果ては俺達それぞれの個室までほとんどの部屋が映像として映されていた。ただその中で1枚だけ妙な映像のモニターがあった。
「なあ、あの映像ってここだよな?」
「あ!ほんとだ!あたしたちみんなが映ってる!」
その映像の左上には"LIVE"の4文字が書かれており、その他の部分にもまるでテレビのバラエティー番組のようなテロップが書かれている。
「これってもしかして生中継とかされてんのか…?」
「どこにだよ?」
「それは分かんねーけどよー…。」
その可能性はあるはずだ。だって学園長の個室に残されていたファイルには…。
コトダマゲット!
【モニター)
壁一面を埋め尽くす、学校各所の映像が映されているモニター。
その中の1枚にはバラエティー番組の生中継のようなテロップが入れられている。
この異様な1枚のモニターが持つ可能性を頭に浮かべつつ他に何か関わりがありそうなものはないかと周囲を調べて見ると部屋の奥の方にモノトラの顔が描かれた、これまでの中でも特に異様な雰囲気を湛えた扉があった。
「あの扉は…、」
「輝くんも気になったー?」
「ああ。」
「さっきちょっと扉を開けてみようしたんだけどー、開かないんだよねー。」
だとしたらもしかして…?
手元のカギ束を取り出すとその中の1本にモノトラの顔の造形が施されたカギがあった。もしかしてこれを使えば開けられるんじゃないか…?
その勘は当たりのようで、カギを捻ると確かな手応えと共に扉が開いた。
部屋の中に入るとそこにはまるでロボットアニメのコクピットのような操作室があった。
「これは…。」
「すごいねー。」
そしてその部屋のドアを除く5方向を覆うモニターはちょうどモノトラの身長くらいの高さのところを映していた。
「もしかしてこれってー、モノトラの操作室かなー?」
「だとしたらこの映像の高さの理由も説明が付くな。ちょうど映ってる映像の高さもそれくらいだ。」
ここの部屋を調べたら何か見つかるかもしれないな…。
「でもさー、モノトラをここで捜査してたって事はさー、黒幕もここにいたってことじゃないー?」
「…確かにそうだな。」
「もしかして隠し部屋があるのか…?」
「うーん、でもここには特にそういう感じの扉ってないよねー?」
部屋の壁や床を久見と一緒に調べて回ったが、それらしきものは見つからなかった。
「やっぱり隠し部屋なんかないな…。」
「じゃあ一体黒幕はどこに行っちゃったんだろうねー?」
「うーん…。ん…?」
部屋を見回しているとその操作室のシートが目に入った。そのシートを見てみるとその座面には埃が積もっていた。
「なあ、このシート長いこと誰も座ってない感じがするんだけど…。」
「あ、ほんとだー。」
ということは、ここの部屋でモノトラを長いこと操作した形跡がないってことだ。隠し部屋もないのにどこで、どうやって黒幕はモノトラを操作していたんだ…?
コトダマゲット!
【モノトラ操作室)
情報処理室の奥の扉から入ることができる。
ロボットアニメのコクピットのようになっており、そこでモノトラを操作できるようだが、そのシートには埃が積もっており、長い間誰かが座った形跡がないようだ。
また、部屋の中には隠し部屋もない。
この部屋に入って色々分かったこともあるけど、逆にそのせいで色々謎が深まってしまったような気がする。
「さてと、情報処理室で調べられそうなのはこんなところか…。」
「あと開いてないとこと言えば…、学園長室か!」
「何言ってんだ?学園長の部屋ならさっき調べたじゃねーか?」
「そうじゃねえよ!4階の学園長室!さっきの学園長が寝泊まりするための部屋じゃなくて、学園長が仕事する部屋!」
「あ、校長室みてーなもんか。」
「そういうこった。」
…全く、この2人は緊張感というものが感じられない。まあ、最終決戦を前にガチガチでいられるよりかはいいか。
案の定、あのカギ束の残りの1本のカギを使うと学園長室のカギは簡単に開いた。その中に入ると思ってたよりも整理整頓され、捜査がしやすい状態になっていた。ここにはきっともっと重要な何かが眠っていると考えて良いだろう。
「やっぱり探すとしたらこの本棚か…。」
目の前にあったファイルを取り出すとその表紙には『希望ヶ峰学園生徒情報』と書かれている。
その1ページ1ページに俺達新1期生全員のプロフィールが書かれている。その最後のページには俺の情報が書かれている。
「何だよ、これ…?」
俺の目を一番引いたのはその才能の欄。確かに俺の才能に関する記憶はなかったけど、その才能欄にはどうやら2つの才能が書かれていたようだった。ただその片方は幸運、そしてもう1つの才能は黒塗りで潰されていた。
「…俺には才能が2つあった…?」
何もおかしいことではない。過去の希望ヶ峰学園の生徒の中には"文学少女"と"殺人鬼"を兼ねていた人物もいたようだ。これはプロジェクトRの資料にも書かれていた。だから忘れているだけで俺が2つの才能を持っていた、というのは何らおかしいことではない。だけど…
「なんで俺の才能の片方だけ黒塗りにされているんだ…?」
コトダマゲット!
【生徒プロフィール)
希望ヶ峰学園の新1期生のプロフィールが1つのファイルにまとめられている。
水島輝のプロフィールの才能欄には2つの才能が書かれていたが、その片方は幸運、もう片方は黒く塗りつぶされていた。
「えっ、何これ…!?」
俺がファイルの内容に衝撃を受けているとその隣で同じように本棚を捜査していた涼風が驚いたような声を上げた。
「どうしたんだ?」
「あ、水島!ちょっとこれ見てよ!」
そう言って涼風が見せてきたのは何かのアルバムのようだった。そしてその中の写真を見るとあり得ない写真ばかりが収められていた。
「なんだよ…、これ…?」
アルバムの中の写真には普段の生活に加え、体育祭や文化祭、林間学校といった様々な学校行事を楽しんでいる
そしてその写真の横には様々な筆跡でコメントが書かれている。一度アルバムを閉じて表紙を見てみるとそこには『新1期の思い出』と書かれていた。
「俺達こんなイベントやった記憶ないぞ…?」
「だよね…。あとさ、1枚目の写真がないんだよね。」
「1枚目?」
「ほら。」
もう1度アルバムを開くと1ページ目の1番最初の写真がなくなっていた。そしてその写真のコメントには『これからよろしくね!』と書かれている。
「ほんとだな。」
「しかもこれあたしの字だ…。」
「どういうことだ…?」
コトダマゲット!
【アルバム)
表紙には『新1期の思い出』と書かれている。
中には水島達16人のの普段の生活や学校行事の様々な場面を切り取った写真が収められており、その横にはそれぞれの文字でコメントが書かれている。
その中の最初のページの最初の写真がなくなっており、そのコメントには涼風の字で『これからよろしくね!』と書かれている。
そういえばあり得ない写真と言えばあの時の…。
『写真は俺達16人が写った集合写真。だけどそんなものは撮った記憶はなかった。』
職員室の探索中に拾った俺達全員が映った集合写真。あれもこのアルバムの写真と同じで俺は撮った記憶がない。もしかしたらあのなくなっていた1枚はあの写真だったのかも知れないな…。だけどあの写真については学級裁判になるまで言及するのは避けておこう。逸ってここでいきなり処刑なんてのはごめんだ。
コトダマゲット!
【集合写真)
職員室の探索中に拾った水島達16人全員が写った写真。しかしそれを撮った記憶はない。
もしかしたらアルバムの空いている1枚はこの写真だったのかも知れない。
本棚はこんなところか。それなら次は学園長の机なんかは何か隠されているんじゃないだろうか。
そう思って机に向かうと既に久見が机で何かを弄っていた。
「何してるんだ?」
「えっとねー、机にノートパソコンが放置されてたからちょっと調べてみてるんだー。」
「パスワードが分からないだろ?」
「それがねー、ロックがかかってなかったんだよねー。」
「そんな重要そうなパソコンにか?」
「うーん、もしかしたら最初からロックがかかってなかったのかもねー。」
「そんな不用心なことあるか?」
「でもー。元々この部屋は僕達が入れる場所じゃなかったわけだしー。」
「確かにそれはそうだが…。」
「ま、入れるんだからどっちでもいいよー。何か分かったら教えるねー。」
「ああ、頼む。」
久見がパソコンを調べてくれているのであれば俺は他の引き出しとかを調べて見よう。
順番に引き出しを開けていくとそのうちの1つに分厚い紙が2つ折りになった何かを見つけた。
それを開いてみたがその内容は俺に混乱をもたらした。
「…これはエコー写真、か…?」
中身は2枚のエコー写真。そのうちの片方は双子のもの。もう片方は1人の胎児のものだった。
「何でこんなものが置かれているんだ…?もしかして前学園長のものとか…?」
コトダマゲット!
【エコー写真)
2枚の子宮の中の胎児を写したエコー写真。
写真の片方は双子の胎児を、もう片方は1人の胎児を写していた。
「あ、輝くんー。とりあえず中身を見終わったよー。」
「そうか。何か分かったか?」
「えっとねー、まずここにはとあるプログラムが組み込まれていたみたい。」
「プログラム?」
「うん。人工知能プログラム"アルターエゴ"。」
「それって確か超高校級のプログラマーが組んだっていうプログラムか?」
「そうそうー。でねー、このパソコンの中のプログラムを解析してたらねー、何かしらの人格を組んだ形跡が残されてたんだー。」
「解析ってそんなことまで…。で、人格を組んだ?」
「そうー。多分モノトラの人格なのかなー?形跡があるってだけでデータそのものが残ってるわけじゃないからそこは分かんないやー。」
でも人工知能で制御していたのだとしたらあのモノトラ操作室で誰かが操作した形跡がないのも納得いくな…。
コトダマゲット!
【ノートパソコン)
中には人工知能プログラム"アルターエゴ"が組み込まれていた。
そのアルターエゴを解析してみると何かしらの人格を組んだ形跡があるが、その人格のデータそのものは持ち出されておりどのような人格かは不明。
「あ、あともう1つー!アルターエゴとは別に1つだけファイルが残ってたよー。」
「ファイル?」
「うん、ちょっと見てみてくれないかなー?」
「ああ。」
そのファイルタイトルには『超中学級の絶望について』と書かれていた。これはきっと重要な情報に違いない。ファイルをスクロールしていくと前半部分はプロジェクトRのファイルにも書かれていたような内容だったが、後半部分で気になる文章を見つけた。
『コードネームについて
超中学級の絶望はその構成員の中でも特に能力が高く、将来の幹部候補の人物にはコー
ドネームを与えていた。
今回取り逃がした超中学級の絶望の子どもたちもいずれもコードネームを持ち、それぞ
れユニオン、ストリング、スコアと呼ばれていたことが更生プログラムを受けた者の証
言によって明らかになっている。』
コードネーム…。ファイルの中身を見る限りそれに当たる人物の誰もが高い能力を持っていたようだな。もしかして今回の黒幕もそのコードネーム持ちの人物ってことか…。それならば江ノ島盾子同様、たった1人でこの規模の事件を起こせたとしても納得だ。それにしても連合に糸、得点。どういう意味で付けられたコードネームなんだ…?
コトダマゲット!
【コードネーム)
超中学級の絶望の中でも将来の幹部候補となる者にはコードネームが与えられていた。
取り逃がした超中学級の絶望も全てコードネーム持ちであり、それぞれユニオン、ストリング、スコアと呼ばれていたようだ。
「どうー?何か分かったー?」
「恐らくこのコロシアイの黒幕にも関係しそうなことが少し分かったよ。」
「おー、それは期待ー。」
「プレッシャーかかるからやめてくれ…。」
「でもー、輝くんの土壇場の判断が間違ってたこと無いもん、信用してるよー。」
「そりゃどうも。さて、俺は少し行きたいところがあるからここはみんなに任せて良いか?」
「おう!どこだか知らんが行ってこい!」
「助かる。」
みんなに一言断りを入れて俺は単独行動を取らせてもらうことにした。時間的にはこれが最後。その俺が行きたかった場所は寄宿舎1階、玉城の部屋。
「結局2人からは何のためにモノトラに従っていて、何を知っていたのか、聞くことができなかったからな。すまない、玉城。少し部屋を漁らせてもらう。」
もう届かない言葉を呟きながら玉城の机の中の手紙を1枚1枚見ていく。
結果を言えばあの事件の始まりのメモ以外はほぼみんな似たような内容だった。
「ここからは何か得られそうな感じではないか…。」
ただ1つだけ気になるポイントを挙げるとするのであればその似たような内容の中で度々出てくる"監視対象"という言葉。これを見る限り2人はモノトラ、いや、その裏にいる黒幕の指示で俺達の中の誰かを監視していた、ということになる。そしてその監視対象に関するやり取りは2人が死ぬ直前まで続けられていることを考えると恐らくその"監視対象"とやらは今生き残っている俺達の中にいるのだろう。2人は誰を何のために監視していたのだろう?
コトダマゲット!
【監視対象)
甘寺と玉城の2人は黒幕の指示を受けて俺達の中の誰かを監視していたようだ。
関係するやり取りがつい最近まで続いていることからその対象は今生き残っているメンバーの中にいると考えられる。
「甘寺、玉城。俺達、絶対勝つから。」
そう呟いた瞬間その宣告は響いた。
キーン、コーン… カーン、コーン…
「さてさて、そろそろ良い頃じゃねーか?ってなワケでオマエラとオレの最終決戦だぜ!!オマエラいつもの赤い扉の前に集合してくれ!!!」
来たか…。俺は、俺達は絶対に黒幕には負けない。このコロシアイの全貌を、黒幕の正体を暴いてみんなでこの学園を出てみせる…!死んだ仲間達のためにも…!
覚悟を決めて1歩を踏み出す。その時、大きさの違う2つの手から背中を押されたような、そんな気がした。
俺が赤い扉の前に来たときには他のみんなはもう集まっていた。
「お、水島!やっと来たか!みんな揃ったことだし行くか!」
薬師の音頭でみんなで扉の中に入る。これまでの学級裁判でも5回もやってきた部屋。でも最後となるとこれまでとはまた違った緊張感がある。
「…これで最後、全部決まっちゃうんだね…!」
「ああ、これでオレ達が勝ってここを出るのか、負けてここで死ぬのか決まるんだ…。」
「緊張しちまうからそんなこと言うんじゃねえよ…。」
「でもー、言っても言わなくても状況は一緒だよー。」
「そりゃそうだけどさぁ…。」
「…大丈夫だ。きっと俺達は黒幕に勝てる。きっとここを生きて出られるさ。」
「…ああ、そうだよな!これまでずっと一緒に戦ってきたオレ達だもんな!」
「うん、きっとそうだよー。」
「よーし、絶対に勝つぞー!!」
「「「「「おー!!!!」」」」」
全員で声を出して気合いを入れる。そして5人横並びでエレベーターに乗り込む。全員が乗り込むと扉が閉じてエレベーターが動き出す。
でもこれまでの暗い気持ちじゃない。俺達はみんなここを生きて出るっていう希望を胸に最後の学級裁判に向かう。その希望に満ちた俺達を運ぶ舟はゆっくりとだけど確実に決戦の場へと向かっていた。
・
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【生存者】
超高校級の幸運? 水島輝(ミズシマアキラ)
超高校級の射撃選手 薬師弾(ヤクシダン)
超高校級の長距離ランナー 涼風紫(スズカゼユカリ)
超高校級の漫画家 久見晴香(ヒサミハルカ)
超高校級の海賊 九鬼海波(クキミナミ)
残り5人
第6章、捜査編はここまでです!次回からは遂に、最後の学級裁判となっていきます。物語もどんどん終わりへ向かっていきます。ここから最後に向かって頑張って書いていきますので皆さんどうか見届けてやってください!
それでは設定裏話、今回は第5章おしおき編です!
第5章のおしおきのタイトルは「チョコレートロス」です。元ネタは和ぬかさんの曲である「シュガーロス」となっております。このタイトルは完全に水島くんの視点からのタイトルかなという感じです。超高校級のショコラティエである甘寺さんをチョコレートに喩え、その彼女がチョコレートを作る過程で、チョコレートの中に消えていく、という状況を表現したいと思って付けたタイトルになっています。この甘寺さんの様子を見ているときの水島くんの心の裡は「さよならなんて言わないで」、そんな言葉でいっぱいだったのかも知れません。
ということで今回はここまでです。次回からの最後の学級裁判も楽しんでいただければ幸いです。それではまた次回お会いしましょう!!
最終盤まできておいてなんですが、皆さんの推しを教えてください!!
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水島輝
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甘寺心愛
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薬師弾
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玉城将
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二木駆
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涼風紫
-
山吹巴
-
有浜鈴奈
-
アンリ・シャークネード
-
畔田鋼之助
-
久見晴香
-
太宰直哉
-
美上三香子
-
青山蓬生
-
九鬼海波
-
比嘉拳太郎