ダンガンロンパR~おかえり絶望学園~   作:パルティアン

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CHAPTER1 (非)日常編2

 キーン、コーン・・・ カーン、コーン・・・

 

「おはようございます。7時です。今日も一日元気に頑張りましょう。」

 

 チャイムと不快なアナウンスで目が覚めた。俺は時間を確認して昨日の約束の通り、朝食をみんなで食べるために食堂へと向かった。食堂に入ると既にもう何人かが食事の準備を進めてくれていた。その場にいたのは美上、青山、そして畔田。

 

「畔田おはよう。」

「ああ、水島さんおはようございます。お嬢、水島さんがいらっしゃいました。」

「ほんとかい?やあ、水島君、おはよう。」

「おはよう。この良い匂いは誰が・・・?」

「ああ、これは海波だよ。彼女料理が得意みたいだ。」

「意外だ・・・。」

料理ができるというのも、そもそも時間通りに起きてくるのも。

 

「聞こえてんぞー!!!」

これは失敬。

 

6人で準備をしていると、またぞろぞろと入ってくる。ここで入ってくるのが太宰、甘寺、薬師、涼風、有浜。彼らは俺らが準備をしているのを見ると手伝いに参加してくれる。

ほぼほぼ準備が終わった段階で入ってくるのがビックリするほどマイペースなメンバー。ここに該当するのが二木、山吹、久見、比嘉。コイツらは遅れてきたことにも悪びれはしない。

 

朝食を摂りながらみんなで談笑する。朝食を食べ終わり、その流れのまま、今日の探索の話をしようとしたその時。

 

 

「よう!!オマエラ元気か!?」

 

今だけは見たくない顔が現れた。

 

「何の用だよ?」

「つれねえなぁ。オマエ、つまんねーってよく言われるだろ?」

「やかましい。早く用件を話せ。」

「そう思ったんだが、1人足んねぇじゃねぇか。」

 

恐らく玉城の事だろう。

 

「アイツは恐らくここには来ないぞ。」

「何でだ?」

「アイツが俺らとツルむ気が無いみたいだからな。」

「いいから、早く用件を話してくれないかしら?玉城君にはあとでこちらから伝えておくわ。」

 

有浜が不機嫌そうに催促する。

 

「いや、めんどくせえが勝手にこっちで行くから気にすんな!端的に言うとだな、オマエラ真面目にコロシアイする気あんのか!?」

「あるわけないでしょ」

「ばっかじゃねーの?」

 

同時に美上と薬師に罵倒され、少しシュンとするモノトラ。そもそも今日で2日目だ。そんなことする気になるほど極限状態でもない。何よりまだ俺たちには脱出する希望がある。

 

「まあ、何にせよ、オマエラは思いの外コロシアイに対してビビりのようだからな。オレはオマエラに対して早々に対策を講じることにした!!」

 

「どういうことだい?」

「動機を準備したぜ!!!」

「は?」

「閉鎖空間に集められた高校生、コロシアイが起こるにこれほど適した環境はないというのにオマエラはコロシアイどころか協力して脱出なんかしようとしてやがる。」

 

バレていたのか・・・。

 

「じゃあ何が足りねえのかと考えたんだが、まーだオマエラには動機がねえ事に気づいてな?それならこっちで用意してやればいいって思ったんだ。という訳で、どどん!!」

 

俺たちはモノトラが出してきた“それ”を見て一気に血の気が引いた。

ナイフとピストルがそれぞれ8つずつ。これがあれば簡単に人の命なんて奪えてしまう。この事実にみんな気づいているのだろう。だから誰も口を開かない。開けない。

 

「ぐぷぷ・・・。今回の動機は『殺られる前に殺れ』だ!!!この武器をひとつずつオマエラに配っていく。全員が武器を持っていて誰がいつ何をしでかすか分からない。そんな状況で最初に行動を起こすのは一体誰なんだろうなぁ・・・?」

 

つまり、早々に武器を俺たちに与えて精神を摩耗させようという魂胆だ。そして最初に摩耗しきった奴がコロシアイの口火を切る。それを奴は望んでいるのだ。

 

「何と悪趣味な・・・!」

 

アンリがこぼす。それにモノトラが反応する。

 

「悪趣味?ぐひゃひゃひゃ!!!悪趣味で結構!!こっちはオマエラの絶望が見られればそれで良いんだからな!!!気をつけろよ?オマエみたいなリーダー役は早々に殺されるか気持ちがすり減っちまうのがこういうののお約束だぞ?」

「貴様っ!!!」

「落ち着いてください、お嬢!!!」

 

今にも掴みかからんとするアンリを畔田が抱えて止める。

 

「じゃあ、一人一つ、配ってくから大事にしろよ?殺しの道具にもなれば、もしかしたら身を守るための道具にもなるかも知れねえんだからな!」

 

俺に渡されたのはナイフ。他のみんなにもそれぞれナイフとピストルのどちらかが配られる。誰も拒まない。分かっているのだ。これによって誰がいつ、どのようにしてクロになるのか誰にも判別がつかないということに。モノトラはこの場にいる全員に配り終えると早々にいなくなってしまった。

重苦しい空気が俺たちの中に流れる。それを打ち破ったのは甘寺だった。

 

「まあ、みんなくよくよしててもしょうが無いし、デザート食べよ?チョコレートアイス、冷やしといたんだ!」

 

彼女の提案にみんな乗ることにした。そうでもしないと、不安に押しつぶされそうだった。みんな今は逆に誰かと一緒にいたかった。自分の心が削れてしまわないように。ふとした瞬間、彼女が手帳か何かにメモを走らせているのが見えたが、他のみんなは気づいていないようだったので、俺は言及しないことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 食事の後、俺たちは昨日の取り決め通り、それぞれの担当箇所を探索することにした。俺と甘寺と薬師は体育館に向かった。

 

「さて、今日はここだよな・・・。」

「つったって、見るとこなんてあんのか?」

「取りあえず隅々まで見てみようよ!」

 

甘寺の提案通り、俺たちは体育館をくまなく調べてみた。しかし、そのどこにも俺たちが脱出するのに使えそうな抜け道なんて無かった。心のどこかで分かっていたこととは言え、俺たちにとってその事実は心に重くのしかかった。タダでさえキツい事実なのに、今朝のことも相まって、そのキツさは数倍、数十倍にも感じられた。

これからどうしたものか考えていたとき、おもむろに薬師がそう言えば、と声を上げた。

 

「どうした?」

「いや、ふと思い出したんだけどよ、今朝モノトラの野郎は急に出てきたよな?」

「ああ。どこからともなく、突然にな。」

「昨日のここでのときもそうだよな?」

「そうだな。」

「ってことはよ?あのモノトラが使ってる秘密の通路見てえなモンがあるって考えられねえか?」

「確かにな・・・。」

「現にアイツは学園にも上手いこと潜入しているわけだし、そいつを見つけりゃ脱出の糸口がつかめるんじゃねえか?」

「そうかも!!」

 

横にいた甘寺も声を上げた。

 

「じゃあ、探してみるか。」

 

俺もその意見には賛成だったので、一緒に探してみることにした。こうしてもう1回、1時間ほど探索をしたのだが、結局のところそのような通路は見つけることはできなかった。いいアイディアだと思ったのだが徒労に終わり、余分に疲れたという感じだった。

 

 

 

 

 

 

 

 昼食の時、俺たちは探索の結果を報告し合ったが、やはりどこの班も新しい発見は無かったようだった。重苦しい雰囲気のまま俺たちは一度解散し、部屋に戻ることになった。

と言っても昨日ほどいろいろあった訳ではないから、そこまで疲れているわけでも無い。と言うことで少しだけ外をうろついてみることにした。

 

思いつきでふらふらしてみたのだが、寄宿舎の共同スペースに行ってみると、ラウンジで九鬼が昼寝をしていた。今日は朝食も作ってくれていたし、疲れているのだろうと起こさないように近くを通り過ぎようとすると・・・

 

「おい。水島ちょっと待てや。」

 

起きてたみたいだ。

 

「今朝は随分いろいろ言ってくれたなぁ?」

「いろいろって意外だとしか言ってないだろ!?」

 

今朝のことでこってりと絞られるハメになった。

そう言えば・・・

 

「それこそ今日の朝も思ったんだけどさ、海賊って意外と規則正しい生活を送っているモンなのか?」

「何だよ急に?」

 

九鬼が怪訝そうな顔をする。

 

「いや、何となく。」

「まあ、厳密にではないけどきちんと起きてきちんと飯食ってきちんと寝るな。」

「海賊ってそういうとこルーズなもんだと思ってたよ。」

「まあ、そう思われても仕方ねえかもなあ。」

 

九鬼は苦笑いした。

 

「なんてことはないぜ?オレ達は基本海の上にいるだろ?時間感覚とかが狂ってっと天候とかを読み違うんだよ。どうせ充電なんかできねえってのもあって、ケータイとかも持たねえからよ、日付とかが陸に上がったときにしか確認できねえ。でもオレ達は数ヶ月海の上なんてザラだからな。変な生活してっと季節と場所が分かんなくなっちまうときがある。季節と場所がちゃんと分かってねえと、場合によってはすげえ危険なときもある。だからオレ達は厳密ではなくても規則正しい生活を心がけるようにしてんだ。」

 

なるほど、規則正しい生活を送ることが人によっては命を守ることにも繋がることがあるんだなぁ。海賊の生活リズムについて聞いて少し勉強になった。

 

「じゃあな、興味深い話をありがとう。すごく面白かったよ。」

「おう、じゃあな。」

 

 

 

 

もう少し時間がありそうだな・・・。もうちょっとだけふらふらしてみるか。

小腹が空いたのでキッチンの方に向かってみると、そこで甘寺が何やら唸っていた。どうやら新しいチョコレート菓子のレシピを考えているようだ。

 

「あ、ちょうど良いところに来たね、水島君。ちょっと新作の味見していってよ!それで忌憚なき意見をもらえると嬉しいな。」

 

そもそもコイツのお菓子のどこが悪いなどと指摘できるほど舌は肥えていないのだが、おいしいお菓子は大歓迎なので、味見を引き受けることにした。やっぱり甘寺の作るチョコレート菓子はとんでもなくおいしいということが分かった。この気持ちを率直に伝えると、甘寺はなんだか照れくさそうにしていた。そんな顔をされたらこっちまで照れくさくなるんだが・・・。

 

味見をしながらふと甘寺の胸ポケットに目が行った。そこにはチョコレートと同じ色をした手帳が入っていた。そう言えば、今日モノトラが来たあと、みんなでデザートを食べているときに甘寺がその手帳に何かを一心不乱に書き留めていたのを思い出した。一体、何を書き留めていたのだろうか?ちょっと聞いてみることにした。

 

「なあ、甘寺。」

「ん、どうしたの?」

「その胸ポケットにさ、手帳が入ってるだろ?」

「そうだね。」

「何を書いてるんだ?」

 

彼女は少し驚いた顔をしている。

 

「もしかして、今朝、見てた?」

「すまない。偶然目に入ってしまったんだ。」

「ううん、全然問題ないよ。ただちょっと恥ずかしいなって思っただけ。」

「何でだよ。」

「だって、まだおいしいかどうか分かんないレシピがいっぱい書いてあるんだもん。」

 

そう言って彼女は俺にその手帳の中身を見せてくれた。確かにお菓子の大まかな完成図とそれに使う材料とその分量、そして工程がびっしりと書いてあった。

 

「これ、すごいな。」

「そんなことないよ。」

 

また彼女は照れくさそうにする。

 

「ただ忘れちゃうから急いで書き留めてるだけなんだ。」

「そうなのか?」

「うん。もちろん今までいっぱい作ったお菓子のレシピとか技術とかは覚えてるよ?でも新しいレシピはその瞬間にチョコレートの神様がくれた贈物だから、見逃しちゃうと二度と思い出せないんだよね。」

「チョコレートの神様・・・?」

「そう。私のお菓子がみんなにおいしいっていってもらえるのも全部チョコレートの神様のおかげ。神様が作ってみろって私にくれたレシピを私が勝手に人間に合わせて改良して食べてもらってるだけなんだと思う。だからホントはこれは私の才能なんかじゃないって思うときもあるんだ。」

 

甘寺はそう言って少しだけ寂しそうな顔をする。

 

「いや、充分才能はあると思うぞ?」

「そうなのかな?」

「そもそも普通の人間じゃその神様のレシピを受け取ることもできないだろ。それに、神様のレシピを再現して更に改良する技術も持ってるじゃないか。それは才能以外の何物でも無い。お前は胸を張っていい。」

「そう、かな・・・?ありがとう。じゃあもっとがんばらないとね!」

「ああ。応援してる。」

 

この時俺は甘寺の言葉とレシピのすさまじさに圧倒されて気づいていなかったんだ。その手帳が一部切りとられていたことに。

 

 

 

 

 

キーン、コーン・・・ カーン、コーン・・・

 

「午後10時になりました。ただ今より夜時間になります。食堂はロックされますので、速やかに退出してください。それではいい夢を。おやすみなさい。」

 

明日も校内の探索があるので、俺は夜時間になって早々に眠ることにした。そして意外なほど早く俺は眠りに落ちていった。

 

 

 

 

 

 

【モノトラ劇場】

 

「みんなは知ってるか?」

 

 

「チョコレートってのは元々南米で薬として重宝されていたらしいぜ!」

 

 

「薬だというくらいだから苦くて今のチョコレートのようにおいしく食べられるような代物ではなかったみたいだけどな!」

 

 

「ってなわけでお菓子にとして食べるようになったのは意外とそんなに長い歴史じゃないみたいだぜ。」

 

 

「だから大量に食べて鼻血を出すのも体から悪い血を出してるだけのはずだからどんどん食べると良いんだぜ」

 

                    ・

                    ・

                    ・

 

 

 

【生存者】

超高校級の???      水島輝(ミズシマアキラ)

超高校級のショコラティエ  甘寺心愛(アマデラココア)

超高校級の射撃選手     薬師弾(ヤクシダン)

超高校級の棋士       玉城将(タマシロショウ)

超高校級のサッカー選手   二木駆(フタキカケル)

超高校級の長距離ランナー  涼風紫(スズカゼユカリ)

超高校級のドラマー     山吹巴(ヤマブキトモエ)

超高校級の女優       有浜鈴奈(アリハマスズナ)

超高校級の資本家      アンリ・シャークネード

超高校級の執事       畔田鋼之助(クロダコウノスケ)

超高校級の漫画家      久見晴香(ヒサミハルカ)

超高校級の図書委員     太宰直哉(ダザイナオヤ)

超高校級の画家       美上三香子(ミカミミカコ)

超高校級のテーラー     青山蓬生(アオヤマホウセイ)

超高校級の海賊       九鬼海波(クキミナミ)

超高校級の空手家      比嘉拳太郎(ヒガケンタロウ)

 

残り16人

 




ということで1章は早々に動機を配ってみました。こんな状況で近くに武器があるというのはきっと死を身近に感じて精神的にキツいんじゃないかなぁって勝手な想像ではありますが。



では今回の裏話に移りましょう!今回は甘寺さんです!
甘寺さんは各シリーズにいるヒロイン枠として設定しました。時に主人公に寄り添い、時に主人公を助け、時に主人公を導く。そんな優しくて強いヒロインがほしいなって思って考えました。才能は僕がチョコレートが大好きだからという個人的な理由です笑。
続いて名前の由来ですが、すごく分かりやすいですね!チョコが甘くておいしいから「甘」の字が入った苗字ということで甘寺、チョコレート要素が欲しくて心愛(ココア)です。
今回の自由行動パートでちょっとスピリチュアルな女の子みたいになっちゃいましたが、それは彼女がずっとチョコレートばかりに触れてきたが故の境地であり、一周回って自分には才能が無いと思ってしまった悩みなのです。

自分の才能に葛藤しながら向き合う、そんな強い女の子の甘寺さんが水島君とどんな化学反応を起こしていくのか、楽しみにしていただければと思います!

最終盤まできておいてなんですが、皆さんの推しを教えてください!!

  • 水島輝
  • 甘寺心愛
  • 薬師弾
  • 玉城将
  • 二木駆
  • 涼風紫
  • 山吹巴
  • 有浜鈴奈
  • アンリ・シャークネード
  • 畔田鋼之助
  • 久見晴香
  • 太宰直哉
  • 美上三香子
  • 青山蓬生
  • 九鬼海波
  • 比嘉拳太郎
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