転生したけど、どうやら魔法があるらしい   作:木林 森

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今回は多分この小説で一番長い話です。テンポ良くとか言っておいてこのザマです。
それに不自然な部分があったりするかもしれません。
それでも良ければ楽しんでって下さい。




一応纏まった(?)話

どうも。完全復活した転生者、悟です。いや、実際は完全では無い。ある程度回復した程度です。

さて、そんな俺は今ここの艦長さんと対面している。俺の意識が戻って、それを看護師さんらしき人がこの艦長さんに報告したら、すぐ呼び出された。一応さっきまでボロボロだったんだけど...。

ていうかあれだけの傷がまさかもう治るとは。これ多分サイヤ人のスペックってだけじゃ無いと思う。いくら何でも早すぎだし。そこら辺の説明とかしてくれんのかな?してくれたら嬉しいんだけどな。

 

「天宮 悟さん、傷の具合はどうですか?」

 

艦長さんが話しかけてきた。てか、え?何で俺の名前知ってんの?俺、この人と初対面なんだけど。

俺が困惑してるのが分かったのか、艦長さんが少し申し訳なさそうに言ってきた。

 

「ごめんなさい。あなたの事は軽くなのはさんから聞いていたのよ」

 

なのはちゃーーーーん!?何勝手に人の事教えてんの!?

て、なのはちゃんから聞いたってどういう事だ?

 

「あの、すいません。何でなのはちゃんはあそこに居て、気絶してたんですか?あと、他の子達も」

 

艦長さんは俺の疑問を聞いて、少し迷った表情をしながらため息をついた。

 

「そうですね。まず、我々が何なのか。そして、何故なのはさん達があそこにいたのか。話す必要がありそうです」

 

そして、艦長さんは話した。魔法の事。魔導士の事。自分達管理局の事。今、海鳴市で起こってる事。今回の事について全部。

驚かなかったと言えば嘘になるが、でも、正直そこまで驚かなかった。だって、家にはそれよりもすごい人が二人いるし。俺の父さんと母さんなんだけど。

そんなこんなで話が全部終わった。

 

「理解していただけたでしょうか?」

 

艦長さんはそう言った。いや、まあ理解したけども。それになのはちゃん達が関わってるってのはなんか信じられないけど、でも、やっとあの奇妙な気の正体が分かった。

あれは、リンカーコアから出てる魔力だったってことか。そりゃあ普通とは違うわな。

んで、今重要なのがジュエルシードっていう宝石みたいなのらしい。多分あれだよな。あの化け物が使ったやつ。あと、あれだ。金髪の変態少女にあげたやつ。

いや~、多分この説明聞かなかったら換金してたろうなー。もしそんな事したら被害が広がって大分面倒な事になったろうな。面倒ってレベルじゃないだろうけど。

 

「ジュエルシードは人の願いを歪な形で叶えるものです。ここ最近海鳴市で奇妙な事件が起こってるのはこのジュエルシードが原因なのです」

 

なるほど。動物病院が半壊したとか、木の怪物が暴れたとか。そんなのがニュースでやってたけど、そういうことだったんだな。

ていうか、歪にとは言え人の願いを叶える事が出来るって凄すぎだろ。何?劣化番ドラゴンボールみたいな?違うかな?

ん?じゃあ、俺が戦かったあの化け物も願いを叶えたってことなのか?そんな風には見えなかったけど。

 

「ですが、今回の事件は他の事件とは違うケースになっています。それはジュエルシードが今まで暴走だったのに対して発動だったこと。つまり使用者の願いきっちり叶えたということになります」

 

いや、多分だけど違うと思う。あれは願いを叶えたというよりも、願いを叶える為の力を取り込んであの姿になったんじゃないかと思う。まあ、カンなんだけど。

 

「ですが、私達はそう思っていません」

 

え?そうなの?何かスゴい自信満々に「願いを叶えた事になります」とか言ってる様な気がしたんだが。

 

「今回の事件では、封印したジュエルシードは他のものとは違い、まるでごっそりと抜き取られたかのように魔力がなくなっていました」

 

いや、他のものがどんなのかは知らないけどさ。

でも、あの時は血を流しすぎて意識が朦朧としてたから分からなかったけど、今冷静に思い出して見ると、確かにあの時化け物から出てきたのは何も感じなかった気がする。

 

「私達が最初暴走だと思ったのは多分間違いではなかったのでしょう。あの化け物はジュエルシードの力を放出するため暴走させ、暴走しきる前にジュエルシードの魔力を取り込んだのでしょう。そして、暴走にしてはしっかりとした魔力の流れになっていたから、暴走ではなく発動と勘違いした。そんなところでしょう」

 

魔法についてはまるで素人の俺に言われてもあんまり理解出来ないんだけど。

えっと、だから.............つまり?

 

「つまりどういう事ですか?」

「つまり彼はジュエルシードについてある程度理解しているということです」

「理解されてるとマズイんですか?」

「味方なら心強いが、もし敵なら厄介なんてものじゃいな」

 

そう言って来たのは、確かクロノ君だっけ?一応彼とは自己紹介したけど、彼の方が一歳年上なんだよな。身長はアレだけど。俺?俺は一般的ですよ?

 

「何か失礼な事を考えてないか?」

 

あ、ちょっとコンプレックスっぽい。なら、これ以上は止めておこう。他人の心を抉るような事はしない男ですので。

 

「いや、気のせいだろ。それより何でマズイんだ?」

 

一歳だけとはいえ年上にタメ口で話しているけど、これはちゃんと許可もらってるのであしからず。

 

「歪にとは言えたった一個で人の願いを叶える程の魔力が内包されているんだぞ。それを理解出来るって事はしっかりと使えるってことだ。そんなもの使われてみろ。絶望的だぞ」

 

えっと、つまり超サイヤ人4のゴジータに界王拳百倍くらいをプラスして、それでかめはめ波を打たれる感じか?さすがに言い過ぎだな。

でも、それくらいヤバイってことなんだな。うん、確かに絶望的だわ。

 

「さて、そんな敵と戦った悟さんに聞きたい事があります。なぜあなたはあの化け物と戦う事になったのですか?」

 

と、艦長さんは聞いてきた。

そういえば何でだっけ?.........................あ、思い出した。

 

「いや、何故かいきなり襲われたんですよ」

「襲われた?」

「はい。遊園地でアリサとのデートの帰りに。あ、アリサっていうのは俺の彼女で、もうすっっっごく可愛くて、綺麗でもうマジて女神みたいな「いや、そこは今どうでもいいから」え?あ、ハイ。えーと、とにかくその帰りに何か気配を感じて見てみると、最初はなよっとした男だったんですけど、俺が天宮 悟だって分かったら気持ち悪い笑顔を浮かべて、そのジュエルシードってやつを取り出してあの化け物に変身したんです」

「つまり悟さんを狙ってのことだったと」

「多分そうだと思います。俺に名前を確認したし。でも、何故かまでは言ってなかったです」

「そう、ですか」

 

艦長さんはゆっくりと深呼吸して、しばらく何かを考えるように目を閉じていた。

そして、数秒くらいして目を開け、こちらを真っ直ぐ見て言った。

 

「では、あのジュエルシードを取り込んだ化け物に勝ったあなたは一体何者ですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リンディは緊張していた。

自分の息子と一つしか違わない目の前の子供相手に。

しかし、彼は、天宮 悟は普通ではない。

アースラの魔導士が束になっても勝てるかどうかという化け物相手に勝利を収めた、規格外な子供なのだから。

そんな彼にリンディは問いかけた。

 

『あのジュエルシードを取り込んだ化け物に勝ったあなたは一体何者ですか?』

 

いきなりこんなことを言われて悟は一瞬ポカンとした顔になったが、すぐに表情を引き締めた。

 

「何者......とは?」

「そのままの意味です。あれほどの強さを持っている化け物相手にたった一人で勝つなんてどう考えても異常です」

「異常だったらどうなんですか?それが貴方達に関係があるんですか?確かに俺の強さは規格外ですが別に俺は貴方達に敵対していないし、それに今回の件は感謝はされても、こんな風に詰問される謂れはありませんよ」

 

悟は少し怒った表情で言う。

 

「おい!何だその言い方は!艦長に対して失礼だろ!」

 

悟の言い方にクロノも怒りながら言う。

しかし悟は表情を変えず、リンディを睨む。

 

「っ!いい加減に「止めなさいクロノ」艦長......」

「すいません。確かに今回貴方は私達に貢献してくれました。ですが、それとこれとは別です。はっきり言って貴方のその強さは放っておけるものではないのです。今回は敵じゃないとしても次は敵にならないという保証は無いのですから」

「つまり俺を信用していないと?」

「ええ、そうです。ですが、これは当たり前だと思いますよ。今日が初対面なのに何を信用すればよろしいというのですか?」

「それは、そうですが」

 

そのまま悩む悟にリンディは内心ほくそ笑んだ。

 

(やはり目の前にいる少年はそこまで頭が良くない。そもそも彼が私達から信用を得る必要は無いというのに。彼がその気になれば我々アースラのメンバーに勝ち目は無い。まあ、もし彼がこっちに攻撃するのならばなのはちゃん達の名前を使って止めるだけなんだけど)

 

腹黒いを通り越して、もう全身がダークマターでコーティングされているような黒さを持つ女。それがリンディ・ハラオウンである。

 

「どうすれば信用してくれるんですか?」

 

悟が、いろいろと策略を頭の中で巡らせているリンディに話しかける。

リンディは即座に

 

「ならば、我々に協力してくれませんか?」

 

と、言った。

 

「協力ですか?」

「はい。今回のように我々の手には負えないような事態が起こるかもしれません。そういった時の為にも貴方がいてくれた方が非常に助かるのです」

「そうですか........」

 

また悩んでいる悟。

リンディは心の中ではもう笑いが止まらない状態になっている。

 

(まさかここまで思い通りに行くなんて、逆に怖いくらいね)

 

つまり、悟はチョロい。少なくともリンディはそう思っている。

ならこれも聞こうと、リンディは悟に尋ねる。

 

「悟さん。少し聞きたい事があるのですが」

「え?あ、はい。何でしょうか?」

「あの化け物を倒した最後の一撃。あれは一体何ですか?」

「え?何って、言われましても」

「いえ、普通に攻撃してもそこまで怯む事が無かったのに、どうして最後のだけあんなに効いたのか少し疑問に思いまして」

「ああ。あれは技を使っただけですよ」

「技......ですか?」

「はい。結構強いですよ」

「いえ、それはあの最後を見れば分かりますけど、技ですか。一体どのような技なんですか?」

「一瞬で二撃喰らわせて相手を破壊する技、名前は『二重の極み』です」

「『二重の極み』...ですか。相手を破壊すると言いましたが、一体どういう事ですか?」

「そうですね。俺があいつを倒したところを見たなら分かるとは思いますけど、破壊と言っても別に相手を破裂させたりするようなものじゃなくて、相手の内側を壊すみたいな感じですかね?」

「相手の内側を壊す.........」

「はい。この技は一撃目に当てた攻撃の衝撃が相手の全身に行き渡る前にもう一撃叩き込むっていう技なんです」

「聞いた限りだと簡単そうに思えますが」

「いえ、実際かなり難しいですよこれ。衝撃が行き渡るまでの時間は刹那、つまりは一瞬ですからね。一瞬で二撃ってのはキツイですよ。まあ、コツを掴めば簡単なんですが、コツを掴むまでが中々難しいんですよね」

 

やれやれと言わんばかりに溜め息を吐く悟。

しかし、リンディは冷や汗をかいていた。

 

(なんて技を持ってるのこの子。それって一般人であればほぼ絶命させれるじゃない。そんな危険な技を(化け物だからと言って)相手に放ったっていうの?まともな神経してたら少しは躊躇ってもおかしくはないのに...。でも、クロノのデバイスの映像を見る限り、そんな感じはしなかった)

 

リンディは目の前の少年が思った以上に普通から外れている事に恐怖を覚えた。

ちなみに悪王相手に躊躇なく二重の極みを打ち込めたのは、悟の父親の「例え相手が何であろうと、敵ならば絶対に容赦はするな」という教えがあったからである。

 

「悟さん、どうでしょうか。協力してくれますか?」

 

悟の異常さの一部を知ったリンディは、早く協力までもっていきたかった。

だから、少し不自然だが話を切り出す事にした。

 

「え?ああ。そうですね」

 

うーん。と、のんきに悩んでいる悟を他所に、リンディはかなり緊張していた。

なるべく顔を出さないようにしているはずだが、自分はポーカーフェイスを保てているだろうか。

今までそれなりに修羅場を潜ってきたつもりだが、ここまで緊張したのは久しぶりかもしれない。

そんなことを考えながら、悟の返事を待つ。

そして

 

「別にいいですよ」

 

と、あっさりと悟は了承した。

 

「そうですか。ありがとうございます」

 

感謝しながらも、嬉しそうな声音で言う。

内心は思いっきり安堵して、緊張の糸が解けているが。

 

「そろそろ時間ね。悟さんも一旦家に帰って下さい。家族の方が心配なさっているはずです」

「そうですね。そろそろ帰らないと。腹も減ってきたし」

「なら、僕が送っていくよ。艦長、よろしいですか?」

「ええ。構わないわ。ちゃんと送ってあげてね」

 

そして、クロノの後に着いていきそのまま部屋を出ようとすると、悟が扉の前で止まった。

 

「艦長さん。一ついいですか?」

「何ですか?」

「いや、別に協力の件は了承しましたけども、だからって正直あんまり信用していないんですよ。そっちが俺を信用していないようにね」

「!?」

「何考えてるか知りませんけど、俺の日常を壊すようなことするんだったら、許しませんよ?」

 

そう言って悟は扉の横の壁を殴った。

 

ズガンッ!!

 

すると、その壁の殴った部分が粉々になっていた。

 

「こうなりたくなかったら、あまり変な気は起こさないで下さいね」

 

そして、唖然としているクロノを促して、部屋から出ていった。

 

その出ていった扉と粉々になった壁の一部を見て、リンディは深い溜め息をついた。

 

(どうやら思っていた以上に厄介だったようね。普通に流されていたから、チョロいなんて思ってしまったけど、そんな事は無かったみたいだわ。はあ、私もヤキが回ったかしら。それにしてもあの壁を壊れ方...。なるほど、アレが『二重の極み』ってやつね。想像通りの危ない技ね。まあ、想像以上じゃないだけマシなのかしら。というか)

 

さらに溜め息をつき、壊れた壁を見る。

 

「あれ、誰が直すと思っているのかしら」

 

呆れたように、また疲れたように言うリンディだった。

 

 

 




今回の話はリンディの黒い部分を書いてみたかったんですが、対して黒く無かったですね。
それと、悟君の必殺技は『二重の極み』でした。引っ張といてそれかよって感じですよね。
次回は日常パート。久々にヒロインのアリサが登場です。



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