転生したけど、どうやら魔法があるらしい   作:木林 森

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今回はようやくなのはとフェイトの戦いです。
しかし、フェイトはいつもと違う感じになってます。


なのはVSフェイト

夜。

大抵の人が寝静まっている時間帯。

そんな時間に空を縦横無尽に飛びながら、戦う二人の少女がいた。

お互いの想いをぶつけ合い、本気で闘う少女達。

そんな二人の少女を黙って見守る者達。

その中の一人がポツリと呟いた。

 

「今時の女の子って熱いなぁ......」

 

上空を見て、悟はそんな風に考えていた。

 

二人の少女、なのはとフェイトが戦う事に関しては特に不思議な事ではない。

何故なら二人はジュエルシードを巡って争う敵同士だからだ。

が、しかし。なのははフェイトと違い、味方がたくさんいる。睦海や王幻、ユーノ。更に時空管理局の魔導士、そして悟も一応含まれる。

対して、フェイトの味方はアルフのみ。

ハッキリ言って戦力差は圧倒的だ。

だから、戦うにしても一対一でする必要は全く無い。なのに何故一対一で戦っているのか。

切っ掛けはアルフが語ったフェイトの状況だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐっ...!」

 

アルフは動物の状態で海鳴の街を徘徊していた。しかし、アルフはボロボロで無数の傷を負っていた。だが、アルフは歩き続ける。

 

(もう、アタシじゃ無理だ......。アタシにはあいつを止めることは出来ない。フェイトを説得する事も出来ない。あの子達に、なのはって子に頼るしか...ない)

 

都合がいいというのは分かっている。だが、アルフにはもう頼ることしか出来なかった。

そして、力尽きてその場に倒れてしまう。

朦朧とした意識の中で、アルフは少し強気な女の子の声を聞いた。

 

アルフは目を覚ますと、見知らぬ場所にいた事に驚いた。

 

(えっ?ここどこだい!?な、何でこんなところに?って、アレ?アタシ今、ケージの中じゃないか。誰かが拾ってくれた?)

 

でも誰が?アルフがそう考えていると、遠くから誰かがこちらにやって来た。

 

「あ、良かった。目を覚ましたのね」

 

(この子が助けてくれたのか?)

 

アルフは目の前の少々我の強そうな女の子を見た。

 

(フェイトと同い年くらいかな?)

 

長めの金髪の少女、アリサは心配そうな声でアルフに話しかける。

 

「あなたケガをして倒れていたのよ。手当てはしておいたけど、暫くは動けないかもね。」

 

って、動物にこんなこと言っても分かんないか。

そう言ってアリサは苦笑する。

 

「一応、お腹が空いてるかもしれないと思って、ご飯持ってきたから食べてね」

 

カタンとドッグフードの入った犬のエサ用の皿をケージの中に置く。

 

「じゃあ、とりあえず今日はおやすみなさい。また、明日ね」

 

アルフはそのまま去っていくアリサを見送った。

今のアルフは特殊な狼にしか見られてないハズだ。断じて犬では無い。ドッグフード出されたけど。だから、こちらの事情を話す事も出来ない。

 

(あの子が魔導士だったら、念話とかで意志疎通出来たろうに。そしたら、ここから出してもらえたかもしれないのに)

 

アルフは何とも言えないもどかしさを感じた。

そして、急に眠気が襲ってきた。まだケガが治っていないのと、無理して街を徘徊した疲労が取れていなかったからだ。

 

(くっ.....!早くフェイトを助けないといけないのに...!)

 

アルフは強烈な睡魔に勝てず、そのまま眠った。

 

そして翌日。

目を覚ましたのは夕方だった。

特にする事も無かったからアルフは周りを見ていた。

 

(それにしてもデッカイ家だね)

 

すぐ近くにある大きな屋敷と、目の前に広がる大きな庭を見て、そんな事を考えていた。

そして、三人の少女と一人の少年がこちらに向かってくるのが見えた。

その中に彼女がいるのを見て、アルフは安堵した。

一応彼女がやって来るのは魔力を感知して分かっていたが、実際見るとやっぱり安心感が違う。

アルフはそう思った。

そしたら、なのはが念話をしてきた。

 

《アルフさんだったよね?一体何があったの?》

 

アルフは少し戸惑った。本当なら今すぐここで全部話して、フェイトを助けてもらうように頼むべきだ。

しかしアルフは、この話をすれば長くなるし、例え念話を使ったとしても、なのはが友達に変な目で見られるかもしれないと、なのはの体裁を地味に気にしてしまった。

 

《.....話すと長くなるよ。だから、先にその子達と遊んできなよ》

 

アタシは後でいいからさ。と、本当は良くないのに、でもこちらは頼む側なので、相手の都合を無視するわけにはいかない。

 

《なら、僕が話を聞くよ》

 

そう言って、ユーノがケージの中に入ってきた。

 

《だから、なのはと睦海は友達と遊んできなよ。こっちの話も気になるかもしれないけどさ》

 

なのはと睦海は軽く顔を見合わせて頷いた。

 

《ならお願いね、ユーノ君》

《悪いけど頼んだ》

 

そして二人は、友達であるアリサとすずかと一緒に屋敷の中へ入っていった。

 

《早速だけど聞いていいかい?何があったのかを》

《......アンタが聞くって事はさ、管理局の奴らも聞いてるんだろうね》

 

アルフが言うと、また別の念話が聞こえた。

 

《時空管理局のクロノ・ハラオウンだ。一体君に、君たちに何があったのかを教えてくれないか》

 

簡単な自己紹介をした後、話してくれるよう促す。

 

《ああ、話すよ。でも、お願いだ...!フェイトは、フェイトだけは助けてやってくれよ!あの子は何も悪くなんてないんだ!!》

《君が全て話してくれたら、それも考慮して悪いようにはしないさ》

 

アルフの懇願に、クロノは冷静に応える。

 

そして、アルフは話した。ジュエルシードを集める理由。フェイトが今どういう状況なのか。他にも知っている事は全て話した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もっと、もっとジュエルシードを集めなくちゃ......」

 

フェイトは今にも倒れてしまいそうな程ふらふらだった。しかし、それでもジュエルシードを探す。

何故、フェイトがここまで必死になってジュエルシードを探すのか。それは母親のためだった。

 

フェイトの母親、プレシア・テスタロッサはフェイトにとっては優しい母親だった。頭を撫でてくれたり、美味しいご飯を作ってくれたり、一緒に本を読んだりと、いつもフェイトに愛情を注いでいた。

しかしある日を堺に、プレシアは豹変した。常にフェイトを罵倒し、暴力を奮う。虐待をしだしたのだ。

それでもフェイトはプレシアを嫌えなかった。憎めなかった。だって、母の優しさを、愛を知っているのだから。

そして、プレシアは魔導士としてかなりの資質を持つフェイトに、色々な命令をした。

フェイトはそれに光明を見いだした。

 

きっと私が頑張って言うことを聞けば母さんは元通りになるハズ。

 

そんな有り得ない希望に縋ってフェイトは動いている。

しかしフェイトはそうするしか無かった。あの優しかった頃の母を取り戻す方法をフェイトは知らない。だから、こうやって言うこと聞くしかないのだ。それに意味なんて無い事に気付かぬまま。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな事があったんだ」

 

なのはと睦海は、夜の海鳴を徘徊しながらユーノの話を聞いていた。

アルフが語ったフェイトの現状。それはなのはでは、想像もつかない事だった。

昔の自分の様だと思ったが、それ以上にひどい状態だった。

 

「親が娘に対してそんなことをするなんて、許せる事じゃないな」

 

睦海は憤っていた。そんなことは許されないと真っ当な感情を出していた。

 

「リンディさん達管理局の人達もちゃんと聞いたからね。多分、フェイトは捕まってもほぼ罪は無いと思うよ」

 

ユーノがそう言うと、実は着いてきていたアルフが怒鳴る。

 

「当たり前だよ!何でフェイトが罪を背負わなきゃならないんだい!」

「いや、別に罪って言うほどモノは多分無いから。後、うるさい」

 

ユーノがアルフを宥めていると

 

「遅かったな」

 

王幻がいた。

 

(うわー。何か今の王幻には別の意味で近づきたくないよ)

 

ユーノはそんな風な事を思い、そして王幻の奥に誰かいるのが見えた。

 

「あ、あなたは...」

「いやいや、どーも」

 

向こうもこちらに気づいたらしく、軽く手を振ってくる。

 

「あ!悟お兄さん!」

 

なのはが嬉しそうな声を挙げ、アルフと睦海は気まずそうな顔した。

 

「やほーなのはちゃん。それに他の子達も。てかさ、今更だけど場所ってここでいいの?」

 

天宮 悟は普通に自然体でそこにいた。

 

「な、何でここに?」

 

ユーノが聞くと、悟は

 

「いや、クロノと一緒にアースラに行って、そこからここに飛ばされたんだよ」

 

悟はユーノの質問に簡潔に答える。

 

「あ、あのさ。ちょっと聞きたい事あるんだけど」

「何ですか?」

「いやさ、ここで一体何があr「来たぞ」ってええ~...」

 

言葉を遮られた悟は『空気読めよお前』的な視線を王幻に向ける。

しかし、それは上から聞こえてきた声によってなくなった。

 

「何だか勢揃いしてるね」

 

声の方を向くと、そこには黒のバリアジャケットを纏った金髪ツインテールの少女、フェイトがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アルフ、ケガしてるみたいだけど大丈夫?」

 

なのは達を無視してフェイトはアルフに話しかける。

 

「えっ?あ、ああ。完治はしてないけどほとんど治ってるようなもんさ」

 

アルフは戸惑いを感じながら応える。

 

「そう。なら、早く帰ろっか」

 

当たり前のようにフェイトは言う。

 

「は?」

 

アルフは一瞬意味が分からなかったが、理解するとますます意味が分からなかった。

 

「な、何言ってんだいフェイト!」

「それはこっちのセリフだよ。早くジュエルシード集めなきゃいけないし、これだけの人数相手に出来ないよ。というより、今目の前にいる人達は皆敵なんだよ?アルフ」

 

淡々と言葉を紡ぐフェイト。

アルフは明らかにフェイトが普通じゃなくなっていると感じた。

 

(これがフェイトだって?こんな、こんなイカれてるフェイト見たこと無い)

 

今までなら有り得なかったフェイト。どれだけ罵倒され、虐待されてもその芯の通った純粋な心は失われていなかった。

しかし、それも今は見る影も無い。一緒にいたからこそ分かる。こんなのフェイトじゃない。

フェイトがこうなった原因。アルフが思い当たるのは一つしかない。

 

(プレシアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!)

 

あいつは、あの女は、フェイトの心までも壊すのか。あの子の、フェイトの母親を愛する気持ちを消すのか!!

アルフは今まで感じたこと無い怒りに襲われた。

許せない。あの女は絶対に許せない!

 

「アルフ?どうしたの?そんなに怒って」

 

アルフの怒りに疑問を抱くフェイトが尋ねるが

 

「フェイトちゃん」

 

なのはが割り込む。

フェイトがジロリとなのはを睨む。

 

「何?また君?いっつも邪魔してきてさ。鬱陶しいよ。それより勝手に名前で呼ばないでくれない?虫酸が走る」

 

今までのフェイトからは想像も出来ない程の罵倒。周りは皆引いている。なのはを除いては。

 

「フェイトちゃん、私と勝負しよう。お互いのジュエルシードを賭けて」

 

ピクッとフェイトの片眉が上がる。

 

「私達、じゃなくて?」

「うん。私とフェイトちゃんの一対一だよ」

 

フェイトはなのはを見る。

なのはは一切怯んだ様子もなく、真剣な目でフェイトを見つめる。

 

「冗談じゃ無いみたいだね」

「当たり前だよ」

「でもいいの?君は今まで私に勝った事がないんだよ?それでも一人で戦う気?」

「そうだよ。それに、確かに今まで負けてばっかりだけど、今のフェイトちゃんには負ける気がしないな」

 

なのはの言葉に、フェイトはバルディッシュを強く握りしめる。

 

「吠えるな、素人が」

 

そう言って、フェイトは空へ飛ぶ。

なのはも飛ぼうとすると

 

「待って!」

 

アルフが呼び止めた。

 

「アルフさんどうしたんですか?」

「いや、あの、本当はこんなこと言える立場じゃないんだけど、その」

 

アルフは言う。

 

「フェイトを助けてやっておくれよ」

 

その言葉になのはは

 

「任せて」

 

頼もしい一言で返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そういう理由で、今なのはとフェイトは戦っている。

 

「ハア!」

 

フェイトが高速で迫り、バルディッシュで攻撃を仕掛ける。

 

「プロテクション!」

 

なのははそれを防御する。

 

「やあ!」

 

今度はなのはがシューターを放つ。

しかし、フェイトは全て避ける。

そして、後ろに回り込みバルディッシュ降り下ろす。

なのはは天性の直感で、フェイトが後ろに回った瞬間に攻撃を防いだ。

そしてすぐに距離を開ける。

 

「チッ!」

 

フェイトは大きく舌打ちをする。

 

「何なの......?」

 

フェイトは苛立ちを抑いようともせず、なのはに怒鳴った。

 

「何なの何なの何なの何なの!!?君は!一体!どこまで!私の邪魔をすれば気が済むの!?」

 

なのははそんなフェイトに驚かず、自分の気持ちをぶつける。

 

「邪魔をしてるわけじゃないよ。ただ友達になりたいだけ」

 

フェイトはギリィッ!と歯を食いしばって、叫んだ。

 

「それがッ!邪魔だって言ってるんだあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」

 

ライトニングバインドッ!!!

 

電気を帯びたバインドがなのはの動きを封じる。

 

「っ!いつの間に!?」

「戦いが始まってすぐに、だよ。このライトニングバインドは設置型だから、生成時にしか見えない。だから、シューターと組み合わせればどのタイミングで設置されたかは分からない。飛んでくるシューターとの数を数えれば分かるかもだけど、戦いの最中にそこまで気が回るわけないもんね」

 

――じゃあ、そろそろ終わらせようか?

 

フェイトが呟き、そして魔力が上がっていく。

 

「フォトンランサー・ファランクスシフト」

 

どんどん魔力が上がる。

そして

 

「打ち砕け!ファイアー!」

 

圧倒的な魔力が金色の雨となって、なのはに降り注ぐ。

 

ズガアアァン!!

 

直撃した。

 

これを見た地上にいるユーノ達は唖然としたあと慌てだした。

 

「お、おい!あれ大丈夫か!?なのはは無事か!?」

「お、落ち着きなよ。大丈夫だって...。多分」

「不安になるようなこと言うなよ!」

「ああ......。フェイトが人殺しになっちゃったよう...。」

「だから、不安になるようなこと言うなって!」

「いや、ちゃんと非殺傷設定になってるだろ」

「何でお前はそんな冷静なんだ!」

「へー。結構な威力だな。俺もあれぐらいやれるかね?」

「あんたは論点が違う!!」

 

管理局員達も似たような状況に陥った。

 

フェイトは勝利を確信した。自分の全ての魔力を放ち、それが直撃したのだ。

 

「結局私には勝てなかったね」

 

そう言った直後

 

「いったぁ~い!」

 

なのはが煙の中から出てきた。

所々バリアジャケットが焦げているが、その程度だった。

 

「なっ...んで...!?」

 

フェイトは信じられないといった様子でなのはを見る。

 

「へえ。攻撃しちゃうとバインドも消えちゃうんだね」

「じゃあ今度はこっちの番!」

 

なのはがフェイトに向けて砲撃を放つ。

 

「ぐうぅ......!」

 

フェイトはなけなしの魔力を振り絞り、なんとか凌いだ。

が、

 

目の前にはさっきよりもかなり大きい魔力の塊があった。

 

(に、逃げないと......!)

 

死ぬ。確実に死ぬ。

 

フェイトはそう思った。

実際は非殺傷なので死にはしないが。

とにかくフェイトは逃げようとするが、

 

ガキッ!

 

「バ、バインド!?」

 

なのはのバインドで動きを封じられてしまった。

さっきとは逆の状態になった。

 

「さっきはフェイトちゃんが説明してくれたから、私も説明するね?と言ってもそんなに対した事じゃないんだけど、これだけの魔力を集められたのは周りに自分の魔力を少しずつばら蒔いていたから。本当に少しだったから、分からなかったかな?ともかく、拡散した魔力を今集束して、こうなったって感じだね」

 

あっさりと言うが、いくら戦い中とはいえ、自分の魔力を相手に感知されないようにばら蒔くのは、かなり至難だ。

しかし、なのははそれをやってのけた。如何になのはが天才か分かる一面である。

 

「よーし!じゃあいくよ!」

 

そんな軽い声とは裏腹にフェイトは

 

「あ、ああ...!ああああ......!」

 

思いっきり恐怖していた。

 

「スターライト・ブレイカーーー!!!!!」

 

ズオアッ!

 

ピンク色の極大の砲撃がフェイトを飲み込んだ。

 




フェイトの様子がおかしかったわけは次回説明します。
次回は時の庭園に潜入です。
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