今回は主人公がアルフとしっかり話します。そして、後半は時の庭園という感じです。
相変わらず読みにくいですが楽しんでってください。
プレシアの心無い暴言により、心を折られたフェイトは精神的に負荷が掛かり過ぎて気絶した。
フェイトは直ぐ様医務室に運ばれ、アルフもそれに着いていった。
なのは達はそれを心配そうに見送った。
誰もフェイトにかける言葉が見つからなかった。当たり前だ。この中であそこまで徹底的に母親から拒絶されたもの等いないのだから。
「皆さん、フェイトさんが心配なのは分かりますが、今はプレシアを止める事に集中してください」
暗い雰囲気を漂わせるなのは達にリンディは声を掛ける。
「今はフェイトさんの容態よりプレシアの暴走の方が危険です。武装隊が負傷している今、プレシアを止める事が出来るのは貴方達だけです」
ジュエルシードを発動させたプレシア。その力で時の庭園を暴走させ、彼女の目的のアルハザードへの航行を強引にしようとしている。
そのままにしておけば地球を含めた次元世界に甚大な被害が及ぶ。
「それを止めるために貴方達に時の庭園へ行ってもらいます。かなり危険な任務です。ですが、行ってもらいます。分かりましたね」
拒否を認めないとでも言うような強さが、言葉の中にあった。
目の前にいるのは皆自分よりも、一回りも二回りも歳が下の子供達だ。
こんな子供達にこんな命令を、しかもほとんど現地協力者だ。ハッキリ言って命令する権限なんて有りはしない。でも、ここで彼女らにいなくなられたら終わりだ。
強要はしたくないが、今はそんな事言ってられる場合じゃない。
子供達に頼らないといけない自分に腹が立つ。リンディはそんな気持ちを抑えつつ、命令を出す。
「それでは出動してください」
『はい!!!!!!』
気絶して医務室に運ばれたフェイトは意外とすぐに目を覚ました。
しかし、目を覚ましただけ。
フェイトは濁った瞳で虚空を見つめている。他に何をするでもなく、ただじっと動かずにいる。
「フェイト......」
そんなフェイトの様子をアルフは見ていることしか出来ない。
どんな声を掛ければいいのか。どんな言葉を言えばいいのか。全く分からない。
自分は使い魔なのに、主人であるフェイトに何も出来ない。守ると決めたのに。どんな外敵からも守ると誓ったのに。
今のフェイトからは何も伝わってこない。さっきまでの気持ち悪さも、それより前の純粋な気持ちも。心が空っぽになっていた。
「やっぱ立ち直って無いよな」
そう言いながら誰かが医務室に入ってきた。
「ア、アンタは確か......」
アルフが入り口の方を見る。そこにいたのは悟だった。
「な、何でここに?」
「いや、そこのフェイトって子の気を感じたから」
アルフは戸惑いながら悟を見る。ハッキリ言って悟とは最初に戦って以来なのだ。いきなり戦いを挑み、そして見逃してもらった。更にはジュエルシードも渡してもらった。ただただ迷惑をかけただけ。正直言って気まずかった。
「こ、ここに来たのはアンタだけなのかい?他の奴らは?」
「いや、来てない。あの子が意識取り戻したって気づいたのは俺だけだからな。それに皆準備中」
「準備って何のさ」
「時の庭園に乗り込む準備」
アルフは息を飲んだ。
そうか。アイツを、あの女を捕まえるのか。
「こんな事言うのも何だけど、頼んだよ。アタシじゃあのクソババアをどうこう出来ないからね」
何か最近アタシ頼んでばっかだね。
アルフは心の中で苦笑した。
「ん。一応頼まれた」
悟は軽い調子で返した。
「アンタねぇ......。何でそんな軽いんだい」
「ぶっちゃけそこまで苦労するとは思ってないからな。ジュエルシードも多分抑えれると思うし、プレシアって女も俺にとっちゃそこまで脅威じゃない」
自信過剰かと思うかも知れないが事実である。元々転生特典でチートな肉体をしていて魔法なんてほぼ効かなかったが、ちょっと前に重症を負ってそこから復活したので、サイヤ人としての能力でかなりパワーアップした。
その事を悟も自覚していた。だからここまで余裕なのだ。
「アンタなら確かに余裕だろうね......」
アルフはプレシアの魔法を拳で打ち消した事を思い出し、なんとも言えない表情をして言った。
「にしてもあの子ずっとあの調子って事になんのかね」
フェイトを見ながら悟は淡々と言う。
「ああ、そうだね......。アタシじゃどうしようもないし......」
アルフの雰囲気が暗くなる。
そんなアルフをチラッと見たあと、悟はフェイトに近寄り
パンッ――
顔に平手打ちをした。もちろん手加減をして。
「うーん。これじゃダメか」
「な、何してんだいアンタ!!」
アルフはいきなりフェイトを叩いた悟に怒鳴る。
「いや、こうしたら正気に戻るかなって」
悟はそう言ってフェイトを見る。やはり元には戻っていない。こちらを見てすらない。
「おーい、聞こえてるかー?」
目の前で手を振って呼び掛けるが反応無し。
「いや、試す順番逆なんじゃ......」
アルフは思わずツッコミを入れる。
「気にすんなよ。結局意味無かったみたいだし」
「そりゃ叩いて無理なら呼び掛けも無理だろうさ」
ため息を吐いて少しジトッとした目を向ける。
「で?結局アンタ何しに来たんだい?アタシのご主人様を引っ張たきに来たのかい?」
「ちげーよ。ただ様子見に来ただけ。まあ、出来たら元に戻せたらなーって思ってたけど、ダメみたいだし」
チラッとフェイトを見る。相変わらず光の無い瞳で虚空を見つめている。
「ホントどうしたらいいのやら......。俺はこの子の事何も知らんし、母親に拒絶された事ってのも無いからなぁ」
うーん、と悟はあまり関心無さそうな雰囲気だ。
「どうしたらいいのか悩んでるならもうちょっとそれらしい態度取りな。フェイトがあんな状態なのにテキトウにされると腹が立つ」
悟の態度に少々苛立ちを覚えるアルフ。さっきまでの気さくな感じが嘘のようになくなった。
「そんなに怒んなよ。確かにちょっと無関心なのは謝るけど、俺も一応あの様子を見て心痛めてるんだぜ?それなりに心配して悩んでるよ」
悟はそう言った後、フェイトに語りかける。
「君の気持ちが分かるなんて言えないけど、でもいつまでもそのままじゃ本当に後悔するぞ。拒絶されたとしても自分の気持ちを伝えにいった方がいい」
その行動を見たアルフが疑問に思う。
「何やってるんだい?アンタ」
「いや、多分意味無いだろうけど一応何か言葉を掛けた方がいいかなって」
「本当に無意味だねぇ」
「うるせーよ。それでも口に出して言葉にしとかないと伝わるもんも伝わらんだろ」
「さっきフェイトに言ったことがアンタが伝えたいものなのかい?」
「まあな」
「それにしてはあまりフェイトの事を考えていないって感じだったと思うけど?」
「まあ、ぶっちゃけそこまでゆっくりしてる時間は無いから伝えたいことを簡潔に纏めたらあんな感じになっただけだよ。あの子の事を考えなかったってわけじゃ無い」
アルフは悟のあまりに遠慮の無い言い方に腹が立ったが、どう声を掛けたらいいか分からなかった自分にんな事言う資格は無いと思い、なるべく抑える事にした。
「そろそろ行くわ。もうみんな準備終わったと思うし」
そのままさらっと出ていく悟にアルフは言葉を投げかける。
「アンタ何でここまでしてくれるんだい?」
「は?」
悟は急になんだよと思いながらアルフの言葉の続きを待つ。
「だって、アンタは管理局員じゃないし、あのなのはって子たちみたいに何か強い想いがあるわけでもないんだろ?何でだい?アンタがここまでする意味があんのかい?」
微妙な表情を浮かべ指をあっちこっちさせる悟。「あー」っと気の抜ける声を出し、そのまま息を吐き出した。
「別に俺的にはそこまで何かしたってわけじゃない。一応協力するって言ったから協力してるだけだし、俺がしたことって言えば、あの雷弾いただけだぜ?だから、何かそこまで真剣に言われても困るんだが」
「でも、その協力ってのも強制じゃないじゃないか。わざわざプレシアを捕まえるのに協力してアンタにメリットがあんのかい?」
アルフは何故こんなに俺の事を聞いてくるんだろうか?疑問に思いながら悟は答えていく。
「そんなのなのはちゃん達もそうじゃん。何で俺限定?まぁいいけどさ」
「じゃあ答えておくれよ」
「ああ。えーと俺も捕縛に協力するのはあの女を殴るためだ」
「へ?」
予想外の答えにアルフは間の抜けた声を出す。
「いやさ、その子とあの女のやり取り聞いてさ、結構ムカついてるんだよ。でもそれは俺だけじゃないぞ?あの後その子運ばれた後、みんな心配と同時に怒りもあったからな。あの女を捕縛ってより多分ぶちのめす事を全員考えてるんじゃないか?」
何かちょっとあの鬼ババに同情しそうだよ。アルフは心の中でそう思い合掌した。
「じゃあマジで行くわ。じゃあな。その子復活したらよろしく言っといて」
そして、そのままちゃっちゃっと出ていった悟だった。
全員プレシアをぶちのめす事を考えてる。
悟がアルフに言った言葉は正にその通りだった。クロノやユーノや悟といった精神が大人な三人はある程度抑えられていたが、なのはと睦海と王幻の三人は自重せずに暴れていた。
「どけええええええええ!!」
「失せろおおおおおおお!!」
「邪魔なのおおおおおお!!」
道を阻むように大量に魔導人形が押し寄せてくる。しかし、そんなものは関係ないと言わんばかりになのは達は圧倒していく。
特に自重しないでぶっ壊していく三人に、まだ冷静なクロノ達は軽く引いていた。
「なんていうか、なのははフェイトって子との戦いで、まあぶっ飛んだ性格があるのは分かったけど、王幻や睦海まであんな風になるなんて......」
「いや、確かに驚くがむしろこれは好都合じゃないか?思ってたよりも早く事が終わりそうだ」
「怒るのは分かるけどあそこまでとはなぁ。正直俺ビックリ」
適当に言葉を交わしながら、魔導人形を潰していく三人。
「というかさ、こいつら多くない?ちょっとうざくなってきたんだけど。それに僕もプレシアとか言うあのおばさんに腹立ってるから早く殴りに行きたいんだよね」
「落ち着け。怒るなとは言わないが、今ここで怒りで魔力を使いすぎるとプレシアにぶつけれなくなるぞ」
「いや、別に魔法じゃなくて普通に殴ればいいんじゃね?」
「「それが出来るのは君だけだ」」
普通に殴るだけならいいが、殴るまでの過程が出来ない。相手は魔法を使ってくるのに魔法無しで近づけるか?普通なら否だ。クロノやユーノもそう答える。が、それが出来るのがこのとんでもチートボディを持つ悟だ。あの雷の魔法を弾いた悟ならいけるだろう。
(あれ?もしかして悟がいれば余裕なんじゃ......)
ユーノはそう思ったが止めた。これ以上考えると自分達はいらない存在かもしれないという恐ろしい結論に至りそうだったからだ。
「よし、そろそろ二手に別れよう」
魔導人形の数が大分減ったため、クロノが次にする事の指示を出す。今回クロノ達がこなす任務はプレシアの捕縛とジュエルシードの封印。そして、時の庭園の暴走を止める事だ。
だから、プレシアの方と動力炉の方へ行くメンバーに別れる必要があった。
「なのは、ユーノ、睦海。君たち三人は動力炉の方へ行ってくれ。それ以外はプレシアの所へ行く」
これは時の庭園へ潜入する前から決まっていた事なのだ。なので、みんなすぐに頷き行動をし始めた。王幻はあまり納得いっていないが、今回はプレシアへの怒りの方が強かったため、特に文句は言わなかった。
クロノは正直王幻には何か言われると思っていたが何も言われなかったから少々目を丸くした。
時の庭園に行く前にこの事を言った時も、王幻は何も言わなかった。
クロノの王幻への評価がちょっと上がって、クロノもプレシアの所へ行くべく行動を開始した。
そして、プレシアの所へ向かっている途中、悟が急に止まり少々遠くを見つめていた。
「悟、何をしているんだ?」
クロノが急に止まった悟に尋ねる。
「悪い。俺ちょっと今から単独行動していいか?」
「はぁ!?」
悟のいきなりの言葉にクロノは変な声を出す。王幻も不信そうな目を向ける。
「何で急にそんなこと」
「いや、向こうの方に誰かいるんだ。だから気になって」
「それはあれか。君の言う“気”というやつを感じたのか?」
クロノが何故“気”の事を知ってるかというと、単純に悟から教えてもらっただけだった。
「そうだ」
「......ハァ~。いいよ分かった。気になるなら行ってくれていいよ」
「いいのか?」
「付き合いが短くても、君がこんな事で嘘をつくような人だとは思ってないよ」
クロノはしょうがないなという雰囲気で悟にOKを出す。
「悪いな、すぐに戻ってくる」
そう言って悟は、クロノ達とは違う方向へ飛んでいった。
「おい、いいのかクロノ。一人で行動させて」
「安心しろ。あいつがやられるとこを想像出来るか?」
「いや、確かにそうだけどそれでもあっちが何してくるか分からねぇぞ」
「そうかもしれないが、そんな事を気にする時間は無いぞ。ジュエルシードのせいでかなりヤバイ事になっているから早いとこジュエルシードを封印して、プレシアを捕まえよう」
王幻が疑問を口にするが、クロノはそれよりも自分達がすべき事をするぞと言う。
そして、なんだかんで冷静になり、こっちの言うことを聞くようになってる王幻を見て、更に評価が上げたクロノ。
「そうだ!プレシアだ!あのくそ女!!自分の娘にあんな事言いやがって!あの澄ました面を崩壊させてやる!」
だが、かなり血走った目になって怒りのこもった声で物騒な事を言う王幻に少し評価を下げたのだった。
というわけで29話でした。
やっと時の庭園へ話を持っていけた。そしてやはり何人かキャラが空気になってしまう。
てーか、アルフと悟はいつの間にそんなフレンドリーな関係になったん?と書いてて思いました。まあ、二人のコミュ力の成せる技?ってことで。
次回、時の庭園 中編。復活の『F(フェイト)』。
......予定です。