改変を望まぬ転生者   作:代理

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泣きたい日もある

次に目を覚ました時、赤髪の少女が2人いた。

 

「め、目が覚めた!お前、9Sと一緒に倒れていたんだぞ。」

「…ここは。」

「レジスタンスキャンプよ。」

 

その少女達…デボル、ポポルは心配そうに覗き込んでいる。あの後、気を失ったかと思いながら私の手は首を触っていた。

首輪。私の首には似合わないであろうごつい金色の首輪がかけてある。また、斜め掛けしているショルダーバッグもその中にある本も存在していた。やはりあの状況夢ではないかとため息をつく。最悪な装飾だ。

 

「すまない、えっと…」

「デボルだ。」

「ポポルよ。」

「デボルさん、ポポルさん。看病ありがとうございます。」

 

礼を言っておく。名前は既に知っている。オートマタ前作のレプリカントで登場していたキャラクターでもある。詳しい事は言わないがとても姉妹愛のある方々だ。

…いや、ここはもうゲームの世界じゃないと言っていたな。キャラクターや登場人物などという表現は良くないかもしれない。

 

「、9S。」

「彼は…貴方よりも酷い状態で見つかったの。」

「そりゃ、まだ覚まさない訳か。」

「あ、あぁ。それよりもさ、あんたってもしかして」

 

人間?

 

そう不安がって問いかけるデボル。彼女らからしたら何故私が生きているのかなんて理解出来ないのだろう。なんせ人類滅亡という出来事は過去に起こっていたのだから。

 

「そうだ。正真正銘人、生き残っちゃったんだ。」

 

すぐに死ねたらどれだけよいのか。不死身という身体にまでされて死者まで見えるようになって更には巻き込まれ体質?そんな人生、小説や漫画でしか見たことがない。真っ平御免な役回りだ。

 

「いっそ誰かが殺してくれればなぁ…」

「?なんか言ったか?」

「いや何も。」

 

自殺願望や殺される事を望むなんてのも私もねじ曲がった性格をしてしまったな。変わり果てた私を見て神は笑うのだろうか。そう考えるとムカついてきた。あのベラベラと喋る面だけでなく全身に殴打を浴びせたい気分だ。

 

「それじゃあ私達は少し外に用事があるから大人しくしててね。」

「じゃあな!」

「うん…」

 

2つの足音が去っていく。上体を起こして鞄から本を取り出す。誰も私の事を見ている奴はいないと確認してから本を開いた。

 

「お、やっと目が覚めたか!」

「遅いな。」

「ごめん、I・o…」

 

3つの声が本から聞こえていた。

やはりか、と頭を抱えてしまう。あの神本当にやりやがった…やりやがった!

 

「クソ…!謝るのは私の方だ、本当にごめん…」

「私達は大丈夫、だから」

 

泣かないで。

ぽろぽろと流れている涙、あ、とかう、とか意味のない声を出しながらいつの間にか泣いていた。

私が不甲斐ないせいで彼らをちゃんと死なせてやれなかった。彼らの死を侮辱するような事をしてしまった。

私は、最低だ。

その背中を誰かがあやすように撫でていた。それさえ私は気にせずに私は、ずっと泣いていた。

 

 

「す、すまない。取り乱した。」

「貴方が泣く姿は見たことがなかったから、その…」

「え、俺、どうしたらいい…?」

「いや、ほ、本当にごめん。もう大丈夫だからそんな辛そうな顔をするな2B。あと後ろでニヤニヤしているアダムはその顔をやめろ。」

「本当に大丈夫なのか?」

「大丈夫…ではない。だがここで止まってはいけないんだ。心を切り替えるぞ。」

 

いつまでもグズグズしてはいられない。頬を軽く叩いて気合いを入れる。

そして具現化していたのか、と3人を見る。2人位オドオドしているがそれと真反対に1人だけ生暖かい目を向けている。やめてくれ。

 

「ていうか、2Bは死んだ判定でいいのか…?お前ら兄弟もあの"塔"崩壊時に出てきていたが…」

「もし身体の方が修復され、ブラックボックスまでもが復旧したらそちらに戻る…と思う。」

「我々もあの"塔"で情報集合体として管理されているが何故か此処と行き来出来るんだ。」

「成程…魂、とやらのたまり場と考えるか。」

 

どうやら身体が死ぬと魂がこの本に集まる(・・・・・・・・・・・・・・・)らしい。死んだ判定はきっと神がしているのか、はたまたそれが世界の真理なのか。

 

「触れる事はできるのか?」

「私たちからは。でもI・oからは出来ないみたい。」

「ふむ…」

「うぉ!?急に殴ろうとするな!」

 

すか、と私の拳はイヴの身体を通り過ぎる。こちらからは触れられないのか。なんともまぁ厄介な。

 

「痛みは?私に殴られた時の感覚はどうだった。」

「ほんとに切り替え早いなお前…感覚はちょっと体温下がった感じだけど痛みはないな。」

「そうか…」

 

次に本を見る。大きさを変えられると言っていたな、試しに手帳サイズを頭に思い浮かべる。

瞬きをした瞬間、それは手帳になっていた。

 

「…これは。」

「窮屈さはない、どちらかと言うとこの本を媒体として魂を映し出していると思おうか。」

「成程、説明助かるアダム。ついでに聞きたいが私が寝ている間の魂はどうだったんだ。」

「白い空間に閉じ込められている感覚だ。真ん中にテーブルと椅子があるが他には何も無い。」

 

私が最初に来た場所と似ている…のか?そうなると私は神が身体を用意しそれに入った魂とも考えられるな。なんとも言えないが、身体と魂が別物である事がわかった。深く考え込んでいるとデボル、ポポルが帰ってくるとイヴから知らせが入る。

 

「他にも分かったら教えてくれ。」

「サポートは任せて。」

 

さてと、それでは9Sの支援にでも入ろうか。

 

 

「う……」

「あ、気がついたみたいよ。デボル。」

「おはよう、よく寝たな。9S。」

「おはよう9S。」

 

9Sが起きる。そのまま立ち上がり9Sとデボル、ポポルは会話を始めた。2Bの安否と治療の感謝。ポッド153も会話に加わり話が広がる。その輪を遠めに見ていると、9Sが指摘した。

 

「I・o、その首輪と本は…?」

「これ?これは……戒めだ。」

 

死人を背負う者として、この人生を背負う者として。嫌なものだが何度そう言っても変わらない。事実だけが残っているのだから。

 

「そうですか…」

「私も、君が構わないのなら行動を共にしようと思う。強くなって君達を…いや、何でもない。」

「一緒に行きましょう。バンカーは落ち、貴方を完全に守る場所はもうないと思いますから。」

「あぁ。」

 

黒い帯を目につける。その、瞬間私は彼の目が憎悪に染まっているのが見えた。その憎悪はA2と、私にも向いている気がした。あの時何故A2と同じところにいたのか、2Bが刺されるのを何故見ているだけだったのか。そう疑っている瞳だった。

 

「何だ…これは?」

「大きい…建物、なのか。」

 

白くて、無機質。それが空まで続いている。画面外から見ていたがこれは中々高い。私の意識がない間の地震で生えたと予測する。

 

「あそこに我々の情報集合体があり行き来出来るんだ、I・o。」

「ん?何か言いましたかI・o。」

「!?いや、何も?」

 

急なアダムの声とまるでそれが聞こえているかのような9Sの疑問。何もないように言い手帳を確認し取り出す。僅かに開いているその中に小人のようなサイズの3人がいた。

 

「おいアダム、声が相手にも聞こえているぞ。」

「ほぅ…?ならば姿も見えてしまうかもしれないな。」

「これから話す時は周りに注意してから話せ。急用なら小さい声で頼む。」

 

9Sに聞こえないように小声で伝える。これから先は警戒を緩めるなんて事は難しそうだ。9Sはどんどん神経質にかつ病んでいくから私がちゃんとしなければ。

 

「とりあえず行ってみないと。」

「だな。」

 

行動。白い塔に私達は向かう。中にエレベーターがあるからそれで上に行くらしいがその前に資源回収ユニットとやらに寄らなくてはならない。案の定、メインユニットのドアロックの解除はサブユニットを解除してからとの事。ハッキングも弾かれ既に9Sが壊れかけているような雰囲気も伝わってきた。

 

「機械生命体は殲滅する。そして…A2を、殺す。」

「な、9S…?」

「I・oも手伝ってくれますよね。A2は2Bを殺したんですから。あの時何も出来なかったのはきっと彼女が何者か知らなかったからでしょう?」

「た、確かにA2さんとやらは知らないが…悪いやつなのか?」

「だって2Bを殺したんですよ?」

「そ、そうか…」

 

うむ、怖い。これで睨まれたら私は怖さで腰が抜けてしまうだろうと思った。とりあえずこれから先の会話は2Bには聞かせてはいけないとアダムとイヴにこっそり伝え彼女が聞くのを阻止してもらった。

 

「先にアクセスポイントから行っててくれないか?私はそれで移動出来ないから。なるべく早く向かうよ。」

「分かりました、待ってますね。」

 

近くのアクセスポイントに向かう9S。それを見て私はため息をつきながら手帳を開き、1つ目の資源回収ユニットのある森に向かうのであった。

 

 

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