改変を望まぬ転生者   作:代理

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やっぱり消失したかもしれない夢要素。


クソくらえユニット

「やっと着いたか…それじゃあ全員、大人しくしてろよ。」

 

手帳を閉じる。それだけで声が聞こえなくなり鬱蒼とした森の音だけが響き渡っていた。

 

9Sと別れてすぐのこと。

私と2B、アダム、イヴは作戦を練りながら目的地へと向かっていた。作戦というか雑談というか、緊張感は全然なかった。

A2については2Bくらいしか知らなかった。裏切り者、だけど昔に何かがあったみたいだという情報を得た。いや実を言うと真珠湾降下作戦の事も知っているがそれは黙っておいた。

A2に干渉するなどというのはさほど起きていないのであちらはきっと何事も変わらずにやってくれるだろうと思い信用した上で放っておく。パスカルの村については辛い事しかないというのも本心だが。

次に9Sについて。これは前提として2Bは知らない方がいいと釘を刺してから話をした。そう言われた張本人は理由を求めていたが今の9Sは見るに絶えない奴だからと絶対に駄目だと押し通した。アダム、イヴは全然大丈夫そうだった。これからも酷くなるだろうと言ったがイヴは興味無さげでありアダムはアダムで気になっていた。途中で出てこないで欲しいものだが。

 

「こんにちは!資源回収ユニットです。防衛態勢に入ります!」

 

可愛らしい声が聞こえる。ガシャンだとかゴトンだとかいう機械音も聞こえたがそんな事はどうでもいい。認証キーを手に入れる事が目的なのでとっとと入口のエレベーターへと向かう。天使文字?とか言いながらも2人で乗った。

そしてエレベーターが止まり扉が開く。暗い。

 

「この建物自体、内部まで機械で出来ているのか…」

「報告:機械の機能と関係ない無意味な部品を多数確認。」

「無意味な部品…?何のために。」

「奴らのやることに意味なんて無い。」

 

ばっさりと言葉を切られる。な、9Sそんな奴だったかと引き気味に見るが気づいていない様子。目を見なくても分かるこの冷たい感じは今後変わることがないだろう。

そうこうしている内に機械生命体も攻撃を仕掛けてくる。私は9Sの前に立ちそれらを殴った。

 

「その武器は。」

「……"悪魔の穢牙"。」

 

天使には戻れない。黒に染まった手を見て少し笑った。気を取り直してそれらで殴る。機械が弾けて、バラバラになって、吹き飛ぶ。やはり、拳で殴るのが私に合っていると再確認した。

 

1階から2階、3階へと順調に上がる。機械生命体を倒すだけの簡単な作業ではあるがそこそこに疲れる。私は機械相手に壊す気で戦う事などあまりしなかったので体力は徐々に減らされていった。途中イタイとかフクシュウとか機械生命体は言っていたが9Sがそんなものはお前らにないと言って一蹴していた。ひぇ。

4、5階に入ってからは機械生命体の声も多く悲痛になっていく。それに対し9Sも怒りを露わにしていた。私?私は…何も言わなかった。

 

「9S…」

「………」

 

無言。気まずすぎる。

そして6階。綺麗な空に資源が昇っていくのが見えた。塔は確かN2という赤い少女の改心によって方舟になったんだよなぁと記憶を辿りながら敵を殲滅した。

 

「助けて…助けて……」

「あー、…これはコアかなんかか?」

「どうでもいいです。エネルギー収束。近接射撃モード。最大出力。」

「9S…」

「発射。」

 

慈悲なく、コアらしきものに向けて発射される。この時ポッド153は何を言おうとしていたのか。吹っ飛ばされて壁にも穴が開くのを悠々と見ながらまだ生きている一体の機械生命体の近くにしゃがみ頭を彼方へと飛ばした。

 

「さてと、行こう。アクセス用認証キーは持ったか?」

「はい。」

 

 

若干キャラが崩れてきている9Sとその心理状態を心配するポッド153と離れ、また手帳と会話をする。手帳から出てきた3人は私の周りを等身大でふよふよと浮きながらついてきていた。

 

「あー…こう見ると幽霊っぽいな。」

「ユーレイ?人類の言うお化けとかの類?」

「似てるの?俺達。」

「まぁ多少は。それより、その身体に重みはあるのか?」

「重み?…試してみるか。」

「うっ、わ!?」

 

何かが上からのしかかったように私は地面に転ぶ。お、重い潰れる。そういやこいつら機械だからそれなりに体重はあるんだった。ふはははとか言いながらご満悦のアダムを睨んでもがく。

 

「も、もう分かったから早く乗っかるのやめてくれ。」

「兄ちゃん楽しそう!俺も乗る!!」

「ぐぇ、重!??!」

「私も。 」

「何故!?つ、潰れる潰れるイタタタ!!!!」

 

骨がミシミシ言っているこれはマジでヤバい。全体重乗せている訳では無いとは思うがそれでも1人100kg以上はあるんだぞ手加減してくれ。

その後、彼らが退いても私は背中を痛めしばらく起きることは出来なかったのであった。

 

「危ね…私からお前らをどかすなんて事も出来ないから加減に気をつけろよな。」

「ふふ、すまない。」

「反省の色が見えないなぁ!」

「ところで紙が傷ついたら私達も傷つくって本当?」

「それは本当。ちょっと破ってみるか。」

「痛!」

 

否定が来る前に先程の仕返しと言わんばかりに手帳の端を破く。全員が脚を抑えながらうずくまった。そんなにか、と言うと身体の内側からくる痛みとだけ言い彼らは手帳の中へと戻っていった。やれやれ。

 

「見えてきた。つぎは"魂の箱"だな。」

「I・o。随分遅かったですね。」

「すまない、途中機械生命体の集団に襲われて怪我を負った。」

 

怪我、といっても背中だが。なんなら機械に押し潰されただけの事故だが。私の事情を聞きながらもすたすたと防衛態勢に入った資源回収ユニットへと進む9S。

 

「また何か書いてあるな…」

「"魂の箱"…天使文字。」

「I・oも分かるんですか。」

「ん、あぁ。」

 

昔に習ったという嘘をついて読む。そのままエレベーターに乗るがそれ以降会話はなかった。その中でポッド153が私の緊張を解すためか私の手を掴み箱の上にそれを自ら乗せた事が救いであった。2Bがよくポッド042にしていた行動を思い出してエレベーターが止まるまで私はずっと撫でていた。

 

「敵が…いない?」

「真ん中に箱がある。ハッキングでしか開かない箱が。」

「開けてみます。」

 

9Sが手を箱に当ててしばらくすると箱が開いた。それと同時に奥のエレベーターも開いた。

その動作を見て思う。ここで私に出来る事はなさそうだと。

 

「成程…そういう仕組みか。」

「私は何も出来ないが、いざという時の為についていくよ。」

「頼みます。」

 

相変わらず素っ気ない9Sについていく。ハッキングでダメージを受けずに彼は階を上がっていった。その途中にはアナウンスの煽りや、当然"塔"システムやブラックボックスに関しての情報…真実を知るという事もあってか後ろにいる私が見えていないかのように静かに狂いながら屋上へと向かった。

 

そして、最後のコア。それをハッキングした9Sの景色を今でも私は鮮明に覚えている。恐ろしく、酷い有り様を。

 

2Bとの記憶の画面が多く存在しその真ん中に2B本体がいた事。その画面が消えていって2Bが2Bじゃない何かになってそれを倒して。

何回も刺している時には2Bの形をしていて。

私から見えていた光景はコアを叫びながら刺し続ける9S。止める事はしなかった、しても彼には無駄な事だと思っていた。

 

「ウッ…フフフフッ……フフッ」

「な、9S。さっきからどうしたんだ9S!?」

 

叫びが小さくなり笑い始めてから疑問の声をかけた。彼に疑われないように私も偽らなければならない。近づこうとしてその手を肩にかけようとして恐怖でやめる。本当にビビっているのもあるしこれが演技になるというのもある。だが、9Sはもう完全に狂ってしまったと知る瞬間であった。

 

その後スイッチがオフになったように気を失った9Sを引きずりながらも私はレジスタンスキャンプへと向かった。

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