改変を望まぬ転生者   作:代理

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優しい言葉

バキン、ゴキッと機械が壊れる音だけが響く。無言で拳を叩きつける人間がそこにはいた。

 

「ストレス発散も体力を付けることも最近は出来ていなくてさ。9Sを運ぶのにも疲れたしこういう時こそ運動してリフレッシュしなくては。」

「いいなぁ、俺もやりたい。」

「お前らは私以外に触れるのか?」

「触れないっぽい…先程機械生命体を手がすり抜けるのを見た。」

「OK、情報提供ありがと2B。」

 

最後の資源回収ユニット、"神の箱"。その中で私は先に機械生命体を片していた。

9Sと一緒に行く前に機械生命体を処理していたらかなり負担が減る。それに9Sがいない今手帳もとい本の中にいる奴らとも会話が出来るので有効活用したい時間なのだ。

 

「もっと軽く動きたいんだが…どうしたらいいと思う。」

「まだ動きに余計な部分がある。それらをどうにかするんだな。」

「確かにアダムの言う通り。」

「ふむ、分かった。…ところで、君達に聞きたいのだが。」

 

私を恨んではいないか。

そう伝える。前前から気になっていたなのだが彼らは何かしら私と関わりがあるからして。アダムは私に殺され、イヴも兄を殺された挙句自分を攻撃してきた。2Bは目の前で殺されるのを止めることなく見られていた。それに対して彼らは今まで本の中から責めることはなかった。何故だろうと私は疑問に思っていた。

 

「あぁ、あれは痛かったな。」

「俺も殺してやりたかった。お前兄ちゃん殺したし。」

「私はあまり…仕方のない事だから恨んではいない。」

「2Bはともかく…アダムとイヴはちょっとでも恨んでいたのか?」

「今となってはその感情はないがな。」

「俺もー。こうして兄ちゃんに会えたからどうでもいいや。」

「…ま、機械だもんな。」

 

感情云々に関しては彼ら鈍すぎるからな。しかし、それでも罪悪感はあるものだし殺した奴と会話するのは気持ちがいいとは言えないと感じているのだが。

 

「なんだ、恨んで欲しいのか?」

「そんなんじゃ…いや、そうかもしれない。」

「……大丈夫、貴方は正しい事をしただけだから。」

「俺達殺すのもか?」

「あの時はそう。」

「やるか?喧嘩なら買うぞ2B。」

「コテンパンにしてあげる。」

「……相変わらずだな。」

 

2Bの言葉を聞いて少しだけ安心した。安心している私にも嫌悪を持っていたが彼らを見ているとその気持ちも安らぐ。

 

「そんな事言っている暇があるなら私達のいる本を守って欲しい。」

「2B私にも当たりがきつくなってるよ。」

「それがあなたの罰でしょ。」

「うむ、もっとシリアスな感じで言って欲しかったセリフ。」

「シリアス?」

「何でもない。」

 

こうして事無く我々は最上階の1歩手前の敵を全て破壊したのであった。

 

 

「9S、目が覚めたかい?」

「さっき起きたよI・o。」

「デボル、ポポル。また看病してもらってすまない。」

「大した事はしてないさ。それより…9Sなんだが、あれは大丈夫なのか?」

「精神的な問題でということか?正直私でもついていけないよ…」

 

無理無理とバツ印をつくる。人間でもあそこまで病んでると関わりたくないし既に直すどころではない、彼はこれからの運命の為にもあの"塔"で死ぬのだ。

 

「そう…ごめんなさいね、私達には何も出来そうにないのよ。」

「いえいえこちらこそ、私も何も出来ないので。彼を見ているだけしか、はは。」

 

乾いた笑みを浮かべる。この顔は苦笑に染まっているのだろう。ひらひらと手を振り二人に別れを告げ、まだ不機嫌な9Sに次の資源回収ユニットにてあらかた機械生命体を破壊しておいたという話をする。情報もなく最上階には行っていない、9S直々にコアを破壊して欲しいというとそれに対し彼はそう、と呟いてアクセスポイントに向かった。

遊園地まで、また私は手帳を開いて会話をしながらかつ先程よりも早くユニットに着くよう走ったのであった。

 

「ポッド、9Sの様子はどうだ?」

「報告:身体的な負傷は皆無。精神的ダメージの確認多数。」

「だよなぁ…」

「疑問:9Sの行動の誘導。」

「え、私が9Sの行動を誘導してるのか?」

「肯定。」

 

9Sが黙々と進む中ポッドと私はこそこそと話をしていた。こんな余裕は後で消えるのだから今の内に話しておきたい。彼らがEエンドの鍵になる事は知っているのでそれも踏まえてという体で話している。

 

「そう見えるか…いや、悪気はないんだ、すまない。気をつけるよ。」

「疑問:I・oの行動に何らかの目的があると推定。」

「あー…ポッド153、これが最後になるかもしれないからちゃんと伝えておくよ。」

「?」

「どうか9Sを信じてくれ。彼らを、見捨てるような判断はしないで欲しい。」

「…私は9Sの随行支援ユニット。見捨てるという判断はないと保証。」

 

そう言って私の頭をコツン、と軽く触れたのは覚えていた。

エレベーターがガタンと大きく揺れて止まる。最上階、そこには確か多数の穴が開けられた壁と

 

「モデル21O…」

「オペレーターさん……!?」

「仕掛けてくるぞ。」

 

青かった目を紅くしてこちらをみる金髪のアンドロイド。戦闘途中O型からB型に変えたとかいう情報を思い出しながらも腕を交差して機械生命体を操る彼女を見ながら私と9Sは散開する。

21Oは取り囲む機械生命体から弾幕を出してくる。

 

「オペレーターモデルが…どうして……」

「オペレーターモデルが他のモデルに変わる可能性は!?」

「B型に変換していたのか…」

 

コアを殴りながら9Sに問う。それを聞きながらも彼はハッキングをコアに試みる。それは成功したものの何回かやらないとあの機械生命体をどかすことは出来なさそうだ。

 

「9S、弾幕は気にするな。引き続きハッキングを頼む。」

「分かってます。オペレーターさん…」

 

9Sが何度もハッキングをし、その間にちゃんと弾幕を無効化するように殴る。しばらくしてから連結してから機械生命体がバラバラになって21Oが姿を再び現す。

 

「ガアアアアアアアッ!!」

「オペレーターさん…!」

「9S、ぼうっとすんなぁ!!!」

 

叫びながら彼女は9Sに襲いかかる。それを寸前で私が受け止めた。放心している9Sを突き飛ばして彼に叫んだ。そのまま拳を彼女の腹に叩き込む、後ろに吹っ飛ぶがそれだけだ。9Sが躊躇いながらもハッキングをしてダメージを受けたかのようによろよろと21Oは頭を抱えていた。

 

「場所…座標データを……転送…作戦……行動に関係ノ無イ発言…控えてくダ…ハイは…1回で……イイデ…」

「クソッ…ウウウッ…」

「カ…家族……ワタシモ…ミンナト……」

「21Oさん…」

「オネ…殺シテ…」

「大丈夫…大丈夫…!今……殺すからッ!!」

 

彼女の体力ももう無い。ハッキングをあと1回すれば彼女は力尽きる。9Sが手を当てて、爆発が起きて彼女が吹き飛んで倒れ込んだ。それを見た9Sも膝から崩れ落ちる。

だが、21Oは立ち上がって、9Sにまた攻撃をしようとして、

 

「……!」

 

後ろから何者かが剣を、突き刺した。9Sは顔を上げるが、もう一度21Oの顔を見ることはなかった。

突き刺した人は、A2であった。何度も刺しもうガラクタと化したそれを放り投げる彼女、私はそれをまた見ているだけであった。

私の横を通り過ぎる時私の肩に手をおいて彼女は言った。パスカルの記憶を消したと。やはり、パスカルは耐えられなかったか。少し唇を噛んで辛い思いをさせてすまないと呟いた。

 

「A2ッ!!!」

「優しい人に……優しい人になって欲しいと、2Bは言っていたぞ。」

「オマエが、オマエが2Bの言葉を語るなッ!!!」

 

怒りに満ちた9Sが剣を持ちA2にそれを振りかざす。その瞬間地響きが鳴り、9Sのいる床だけが崩れる。9S、と手を伸ばすが届かずその代わりにA2の後ろには連結させた腕を持つ二足の機械生命体がいた。

 

「A2、協力する。」

「…お前は一体誰の味方なんだ。」

「さぁな。」

 

神様の言う通りとしか言い様がない。私は肩を竦めながら機械生命体へと突っ込んでいった。

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