改変を望まぬ転生者   作:代理

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d[E]stiny

夢から覚める。

 

ごポッ、という音が口から漏れる。私は寝ていただけのはず、なのに何故水中の中にいるのだろう。死んだのか?ここは、どこだ?

 

「……、……を容認出来ない、という結論に至った。」

「全てのヨルハ機体の破壊は計画によって決定されている。」

「……ッ、―――」

 

ポッドと言おうとするも声は出ない。ポッドの声が聞こえる、会話からしてきっとEエンド前。頭だけがよく回って感覚を鋭くする。身体を見て確認するところ肩や腹、首の怪我がなく本当に水底にいるようだった。姿は見えないがポッドもどっかにいる。

もしかしたらスタッフクレジットの中かもしれないと唾を飲み込む。

 

「…生体反応を確認。人間、I・oの存在を視認。」

「―ガ、かハッ。」

 

ドボン、と水中に何かが入ってきてそれが私を引き上げる。いとも簡単に私の身体は水中から出てやっと呼吸をする。私はポッド042に釣り上げられていた。

 

「ポッド042、153!お前達無事だったのか!!」

「否定:現地点で無事とは言えない。」

「え?」

 

どういう事、と聞く前にポッド153が私を持ち上げる。二箱に引っ張られて横にスライドした形になる、が彼らの行動の意味が先程私がいた場所を見て分かる。

その場所に、弾幕が集中していた。

 

「お、おいこれはなんだよ。」

「プログラムが我々を攻撃している模様。」

「なんか私に出来ることは?!」

「報告:システムへの攻撃が可能。ハッキングシステムへと形態を変化。」

「うお、わわわ!!」

「人間、I・o。君も…君も、彼らの生存を望んでいるのだろう?」

 

……当然。

私の身体は矢印の中に組み込まれる。ここは意識だけの場所だと理解するのに時間はかからず身体を形成していたものは崩れ、ハッキング時の形状と一心同体になる。隣にもう一つそれが出来ていて、ポッド達も変化させた事が分かる。

 

「我々はヨルハ計画を完遂する為に造られた存在。」

「2Bや9S、A2に触れる事で感情が芽生えちゃったんでしょ?私だって人間だから分かるよそんなの。君達はこの"運命に抗う"という、"運命"にある。それを手伝う事が私の役割。な、ポッド042。」

「……」

「一緒に"抗ってみないか"。」

 

沈黙し続ける彼女。私はまぁいいと思いながら操縦をする。これが終わればEエンド、私の目的の終着地点。流れてくる文字に向けて、弾幕に向けて銃を向ける。

 

「……回答不能。」

「誰しも答えられない時はある、だがそれでいい。君達の存在は葛藤し、悩み、感情を持つ人間とそう変わりはない。」

 

私から見たら今の君達は最も人間らしく、勇ましい。弾幕を一つ喰らう。システムの攻撃もちょっとずつだけど増えて難しいものになっている。ダメージを受ける、散る。受ける、散る。散る、散る、ちる。

 

「ココデ 諦メ マスカ?」

「いいや、まだまだ。」

「アナタノ 負ケヲ 認メマスカ?」

「まさか。」

 

メッセージを受信。

その言葉が頭に流れ込む。まだ耐える、これは私とこの世界の我慢比べ。戦いと言うには程遠い。なんせ、私の戦いは既にあの"塔"で終わったのだから。だからこれは私が彼らを手伝い、導く為の我慢比べ。メッセージはきっと届く。

 

「全テハ 無駄 デスカ?」

「そんな訳ない。」

 

散る。痛みが何度も走りもう慣れてきた。だけど着実に進んでいる、大丈夫。

 

「ゲームナンテ 馬鹿ゲテイル ト 思イマスカ?」

「ゲームではない。この世界はリアル(・・・)だ。私達は生きている。ゲームだとしてもそれを私は認めない。」

 

昔、ゲームだと思い込んでいた。死んで普通の命だと彼らを見ていた。神に指摘されてそれに気づいた。私の痛みも苦しみも、彼らの感情も全部現実だ。

いいえを繰り返す。チャンスを掴め、まだその時ではない。

 

「コノ世界二 意味ハ 無イト 認メマスカ?」

「いいや、絶対に認めない。意味の無い世界に私は存在しない。」

 

このエンディングの時、一度だけ泣いた。画面を見て初めてシューティングゲームで泣いた経験。それはまだ頭にこびりついて今も私を離さない。身体はないのに涙が出てきたような感覚に陥る。声も、震え出す。メッセージが多数、出てきてそれらが私の心を打ち震わす。

 

「この世界は素晴らしいのだから、意味のある世界だから失わせない。諦めたりしない。君達の言うプログラムの先を読んで言ってやる。"絶対に諦めない"。」

「…」

「"神"カラ 救助ノ申し出ヲ 受信」

「!神って、奴か…!?」

メッセージの内容を見る。長い、他とは違うメッセージ。内容は…

 

"その言葉を待っていた。君がこの世界で僕の望まない行動をして、僕の望む最後に導くその言葉を。改変を望まぬ転生者(・・・・・・・・・)よ、僕は手助けしてやろう。君の目的の為に存分に使え、我が力を。真なる終わりへ。運命へ。"

 

「…私の目的は既に知っていたのか。」

 

この感動あって最後がある、だから改変しない。私がこの物語を変えたらこの感動は消えてしまう。それが、私を動かす唯一の理由だった。それを奴が知ってた上で私に変えろと言っていたのならかなり性格が悪い。が、

 

それでこそ"神"。あるがままの欲に食らいつく彼なのだろう。

 

「助ケテ モライ マスカ?」

「…私は、こいつは気に食わないけど。」

 

助けて貰わないという理由はない。

 

"はい"を選択する。私達の周りに多くのデータが集まる。

声が聞こえた、あの歌が徐々に聞こえる、優しい世界の歌が。ぶつかったデータが破壊されていく。どれも、努力で掴み取ったデータが零れ落ちていく。

 

「大丈夫、君ならやり遂げる。僕が見込んだ転生者だからね。」

「!!神…!」

 

背面から声が聞こえた。素晴らしいと言いながら彼は壊れたデータを拾っていた。ピンク色に染まった髪がふわりと爆風で綺麗に靡いていた。

 

「さぁ、終わりへ!」

 

最後の弾幕が途切れる。目の前が黒から白になって、私の意識は崩れ去った。最後にポッド達が何かを言っていたのを私は聞けなかったが、笑顔で別れを告げた。

 

「     」

 

 

 

 

 

 

 

 

鳩が飛んでいる。その音を聞いて目を覚ます。

肩と腹と首に包帯を巻き直してビルの中で食事を済ます。

 

「終末の延長線で、生き延びれるなんて。」

 

口にするだけで幸福感を得られる。

ヨルハの彼らやアンドロイドには会えない。本を開いてもあの兄弟の声は聞こえない。

 

「それでも、生きているならそれでいい。」

 

運命に捕らわれた者たちを探しながら私は、転生者I・oは今日も息をしている。

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