なんだか重い雰囲気になってしまった気がしますが、できるだけ楽しくやっていきたいと思います!笑
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「提督…僕の声はちゃんときこえるかい?」
「あっ…ああ、大丈夫。ちゃんと聞こえる」
マイク越しに提督の声が聞こえてきた。いつもの提督の声…のはずなのに今にも波の音でかき消されてしまいそうなくらい小さな声だ。
今僕は鎮守府近海へと接近してきた深海棲艦を撃退するために海上を進んでいる。
提督からは1人で行くのは危ないと止められたが、他の娘達は入渠をしていたり遠征に出ていってしまっているので僕が出るしかないと言うと
渋々了承してくれた。
普段は、出撃した直後は心地よい潮風の余韻に包まれているのだが、今日に限っては潮風を感じられないと言っても良いほど僕の頭は混乱…している。
いきなり提督が記憶喪失になってしまうなんて…僕はどうしたらいいんだろう。
今朝の提督には少々…いやかなり驚かされた。今自分がどこにいるかとか、自分が何者であるのかもあやふやだったから。
…提督自身のことすら思い出せなかったのに僕のことを覚えてるわけない
そう考えてもどこか頭の片隅にモヤっとした気持ちが残る。
この気持ちはなんなのだろうか。僕のことを覚えてくれていなかったという嫉妬…ではないと信じたい。だってもしそうなら僕はとても承認欲求がつよいということに…
「ダメダメダメダメ!」
ブンブンとかぶりを振る
こんなことを考えてちゃだめだ。今1番辛いのは提督なんだから僕がしっかりしないと…
僕にできることは何かあるだろうか。提督のためにしてあげられることならなんでもしてあげたい。
提督の秘書艦として、そして…
提督とケッコンカッコカリした艦娘として
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「…ふぅ…」
先ほどまでのサイレンが嘘のように執務室の中は静かだった。
時折マイク越しに時雨の声が聞こえてくるが、深海棲艦とはまだ接敵していないようだ。
周りを見渡すと、右側の棚には何やら色々な書類がおいてある。
本棚のようなものだろうか。
近づいて1つ取り出してみると、掠れた文字で
「深海棲艦一覧表」
とある。パラパラめくってみるとそこには深海棲艦の姿を写したものと簡単な性能が記載されていた。
時雨がどんな姿の深海棲艦と接敵したのかを把握するために少々この書類をお借りすることにする。
提督机からみて左側には時雨のものだろうか。女性用の鏡やくしなどが置いてある。
時雨が使う部屋もあるのだろうが、秘書艦として執務室にいることが多いためここにもいくつか小物を置いているのだろう。
私は、ふと鏡で自分の姿を見る。
「…やっぱりか」
そこには普段私が見慣れた顔は写ってなかった…体格や時雨の反応から薄々察してはいたのだが。
年齢は20代後半だろうか、髪色や瞳の色は綺麗な黒色で髪の長さは3〜4cmほど-オールバックにするとちょうど良さそう-である。
朝起きてから整えてないため髭は少し無作法に伸びてしまっているが、全体的に整っており、割かしイケメンの部類に入りそうな見た目をしている。
ここでようやく、私がとんでもない状況に陥ってしまっていることを実感した。
夢…ではないと不思議と直感している。先程の時雨の表情一つ一つが『生きている』ということを彷彿とさせた。
もしこれが夢なら意外と私はイマジネーション力があったのだろうか。それなら今のブラック会社を辞めて小説家か漫画家にでも…
「あっ…」
よく考えたら昨日までの『私』は今どうしているのだろうか。
たった昨晩のことなのに遠い昔のように記憶が曖昧で思い出すことができないのだが、きちんと自室のベットで寝ていた…と思う
これが俗に言う『異世界転生』ならば、現実世界の『私』は死んでしまったことになるのだろうか。
「それにしてもなんで自分がこんなことに…」
異世界転生するならもっとそれらしい人がいただろう。なんでこんな社畜野郎を神様は選んだのだろうか。人選間違えてますよ〜神様
とりあえずなんとかして現実世界に帰る方法を…
「…あれ?」
いや、現実世界に戻って私はどうしたいんだろう。
また、今までと同じ自宅と会社の反復横跳びを続けるのだろうか。
私が本当にしたいことは……
「提督、敵艦を発見したよ」
不意にマイクから声が聞こえた。
次回は戦闘するとか言いながら結局戦闘してません!笑
次回こそ、次回こそはすると思われるので!笑