ねこです観察日記はじめました。   作:彩辻シュガ

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改めて記載します。

本作では、SCP-973-JPに関して、正体の解釈、口調・性格の捏造など、本家記事には記載されていない独自性の強い妄想ヘッドカノンを多量に付加しています。

具体的に言うと、SCP-973-JPが『ハイスペックチートだけど超ポンコツ体育会系イケメン(SCP-1500-JPとの関連性アリ)』になっています。

以上をゆるすぜ!という方も、ゆるさないぜ!という方も、どうかSCP-973-JPメインの二次創作を供給してください。それが私を救います。



SCP-973-JP “エターナル・ダークホース” ②

 

 

 SCP-973-JPは、黒鹿毛のオスのウマで、人間の記憶や認識を操る能力を持っているとされる。

 

 そして、ほぼ毎日、あらゆる大会に出場している。

 

 対象に関して特筆すべき情報といえば、それくらいだった。これまでは。

 

「てっきり人間に祓われたかと心配していたんだぞ? (うぬ)は勝ち馬の見極めが出来るが、(ぬし)はコミュ症だったからな。そうか、今はあやつに取り憑いているのか!」

 

 ペラペラと喋る暗星豪に、ブライトは口を挟めずにいた。SCP-973-JPが発話した、又は誰かと会話を交わした記録は、極めて少ないからだ。

 

(ぬし)はいいなぁ。世界が更新されたというのに、(うぬ)に相応しい取り憑き先は見つからなくてな。やはり世界の頂は(うぬ)が取るしかないのか……」

 

 SCP-040-JPはというと、無言、無視、無為を貫いていた。元々そういう性質のSCPオブジェクトだからということだけでなく、本当に、何も反応がなかった。

 

「……もしもーし。白虎、聞いてる?」

「……手応えがないようだが、君がそこの『ねこ』と面識があるのは真実なのか? 一方的な認知という可能性は?」

 

 ここでようやく、ブライトはSCP-973-JPとの対話を試みた。

 

 彼は財団職員であるブライトを邪険にもせず、馴れ馴れしく訴える。

 

「そんなわけないし? (うぬ)と白虎は、時の朝廷を荒らしまくった████年来の強敵(とも)だし? そうだよな、白虎?」

 

 へんじがない。

 

 ただのねこのようです。

 

 よろしくおねがいします。

 

「……や、ちょっと……(ぬし)、まさかだよな? 人間のように記憶の容量の限界があるわけではないだろ? な? (うぬ)のこと覚えてるよな?」

 

 へんじがない。

 

 ただのねこのようです。

 

 ありがとうございました。

 

「そ────そんな馬鹿なぁぁぁぁ!!」

 

 SCP-973-JPは激しく動揺し、竿立ちになり、その後地面に崩れ落ちた。

 

 黒い体躯が、嗚咽を響かせながら振動した。

 

「ひひーん……ひひーん……ひどい、(うぬ)は大会荒らしのついでに(ぬし)らを頑張って探してたのに……」

 

 泣き方が独特。

 

「ひひー……おいそこの人間!! 高貴で傲岸な妖怪変化が泣いているのにスマホを弄るな!!」

「SCP-973-JPの肉声は珍しいので、録音しようかと」

「これだから蒐集院は!! 黄竜の件はまだ怨んでるぞ!! うう、黄竜……ひひーん……」

 

 昔の傷口が開いたのか、また泣き出してしまった。存外打たれ弱いらしい。人間とは精神構造が異なることも考えられるので、演技の可能性も十分にあるが。

 

「お塩、ほんっとにこの黒いのに見覚えはないんだね?」

 

 へんじがない。

 

 ねこはおまえにはなすことはありませんです。

 

()()()にまけたやつなんて、ねこはそれをしることがないです。

 

「……SCP-973-JP。これは私の主観なんだが、知らんぷりされてるだけっぽいよ」

「なにぃ!? 白虎の馬鹿!! 食べてすぐ寝て太ればいいんだ!!」

 

 ねこはねこです。◾️◾️ではありません、ねこです。よろしくおねがいします。

 

「もおおお!! (ぬし)も朱雀も、いっつも(うぬ)につまんない意地悪するよな! ████年前にヘマやらかした(ぬし)らを庇ったの誰だったかなー!」

 

 ────なんというか。

 

 ────威厳もへったくれもないというか。

 

 恐ろしく意味不明かつ理不尽の権化であるSCPオブジェクトの中には、たまにこういうのもあったりするので、驚きはしないけれども。

 

「ひひーん……おいブライト!! 何故(うぬ)を慰めない!!」

「よーしよしよし、どうどうどうどう」

「違う!! 慰めるってそういう意味じゃないぞ!! 演舞とかないのか!?」

「ご老体が揃いも揃って何やってんの」

 

 不意に出現したのは、湖に浮かぶティーンエイジャーの集合意識。

 

 バーチウッドを名乗るSCP-2316は、大人たちの下らない歓談を聞かされて耳が腐りそうだと言いたげだ。

 

「大人たちの下らない歓談を聞かされて耳が腐りそうだよ」

 

 言った。しっかりはっきり、口頭で。

 

「……聴覚に干渉出来るタイプの死霊だったか。すまぬ、(ぬし)よ。この会話は他言無用で頼む」

「何が悲しくて、オジサンの愚痴を拡散させなきゃいけないんだ? こちとらそんなに暇じゃないんだ。今、ちょうど新入りの歓迎パーティー中でね」

「パーティーか。それは悪いことをした。(うぬ)はすぐに退散しよう」

 

 暗星豪が膝を折って謝罪する。

 

 それを受け、バーチウッドは大袈裟に嘆息した後、消えた。恐らくは湖の底に。

 

「……というわけなので、(うぬ)はあっちに戻るぞ」

「待て、私たちも連れて行ってもらわないと困る」

「無論そうする。あの組織がなくなって以降、(うぬ)は自分でいろいろやる羽目になったからな。財団職員である(ぬし)のことは丁重に扱わねば」

 

 SCP-973-JPは、再度ぶらいとをかかえました。

 

 あなたはぶらいとのほんしょうをわかっていません。あなたはざいだんをなめています。

 

 おろかな。

 

「んー? 聞こえないなー? 東風(こち)でも吹いたのかなー?」

 

 ぜっこう。

 

「ひひーん!! それだけはやめて!! (うぬ)が悪かったからぁぁぁぁ!!」

「早く帰れ!! 聞こえないのか!? 湖に沈めるぞ!!」

 

 




・暗星豪(SCP-973-JP)
ポンコツかわいい、草食動物SCP。基本何でも出来るし、育ちは良いらしい。
偽名がかっこいい。

ねこを『白虎』と呼ぶが、それはあくまで人間たちから逆輸入したもの。本来、彼らに名前という概念は存在しない。


・お塩(SCP-040-JP)
いつもは丁寧語だが、祟り神なので素の口調は悪いし性格も悪い。見た目で得してるタイプ。


・ブライト博士(SCP-963)
一応研究者としての精神は忘れていない。録音記録を後で確認したら、異なる種類の複数の動物の鳴き声に変換されていたようだ。


・バーチウッド(SCP-2316)
昔はキャンプとバーベキュー大好きなウェイ系高校生だった。最近、大人の事情に巻き込まれまくっている。


この作品はクリエイティブ・コモンズ 表示-継承3.0ライセンスに基づき作成されています。

SCP-973-JP “エターナル・ダークホース”
著者 perry0720
http://scp-jp.wikidot.com/scp-973-jp

SCP-2316 “校外学習”
著者 djkaktus
http://scp-jp.wikidot.com/scp-2316
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