ねこです観察日記はじめました。   作:彩辻シュガ

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遂に玄武登場です。キャラ多すぎて訳わかんなくなってきました。

※SCP-777-JPとその関係者の擬人化要素と、口調・人格捏造等があります。ご注意ください。


SCP-777-JP “鶴の翁” ①

 

 

『鶴の恩返し』、という昔話をご存知だろうか。

 

 むかしむかし、おじいさんは罠にかかった一羽の鶴を見つける。

 

 可哀想に、とおじいさんは鶴を助けてやった。

 

 その日の夜。激しく雪が降る中、おばあさんとおじいさんの住む家に、ひとりの女性が訪れる。

 

 雪のせいで道に迷ったので一晩泊めてほしい、と頼み込む女性を快く受け入れる2人。

 

 しかし、その女性の正体は────

 

 簡単にあらすじを説明すると、こんな感じ。

 

 けれど、僕はどうして、今そんなことを思い出したのだろう? 

 

 まず僕は19歳で、実家に4人暮らしで、今は梅雨明け、大学はもうすぐ夏期休暇。

 

 そして家にやってきたのは、美しい鶴ではなく、遠方に住む親戚である。

 

「えっと……お二人とも何故ここに?」

「……伯母上より事のあらましは聞いた。ゆえにひめ……否、八尋(やひろ)と共に参った次第なのだが」

「愛しい従兄弟のため、猿人蠢く猥雑な陸で暮らすのも、やぶさかではないぞ?」

「何も分かりません……」

 

 ブマロくんやイオンくんとは別方面で難しい言い回しをするこの2人だけど、今日はかなり意図が見えづらい。

 

 心なしか、足元のお塩さんが、2人を見て顔を顰めている気もするが、人間と猫じゃ表情の意味するところも変わるだろう。

 

 八尋さんは怪訝そうに眉をひそめると、隣に立つ幸彦(さちひこ)さんに尋ねる。

 

「……お前、よもや此奴(こやつ)に連絡を入れておらんのか」

「汝が入れたのではなかったのか?」

「我は竜宮の公務に追われていた。お前のが暇であろう?」

「えーっと……すみません。何の話ですか?」

 

 僕の問いかけに、八尋さんと幸彦さんがこちらへ向き直る。

 

「お前、蒐集い……知らない男を3人も家に招いたそうではないか」

「は、はい。そうですけど……」

「それが理由だ」

「んん?」

 

 駄目だ。まだ何を言っているのか解らない。

 

「そんな怪しい連中を斑一人で縛れるわけがなかろう。ゆえに、我らが来れば三対三で公平になる」

「……はい?」

 

 

 

 

 ××××

 

 

 

 

「────というわけで、親戚の綿津見(わだつみ)八尋さんと幸彦さんです。僕のことが心配で来てくれたみたいで……その、今日からここに住むそうです」

「「はあああああああ!?」」

「んっ!?」

 

 ブライトさんとバークレーさんが喫驚してお茶を噴きかける。セスさんはそんな2人に驚いていた。

 

「斑くん、正気か!? イオンとブマロの次は彼らか!? そもそも、この家に6人も住めるのか!?」

「何をほざくか人間。余所者はお前たちであろう。お前たちが去ればよい話だ」

「八尋……蒐集院を疎む気持ちは分かるが、穏便に事を進めぬか?」

 

 僕はブライトさんに肩を揺すられ、八尋さんが反論し、幸彦さんが肩身を狭そうにして取りなす。

 

 お塩さんは煩いのが嫌なのか、さっさと居間から出て行ってしまったし、“先生”の姿が見当たらないのはいつものことだ。

 

「████████████」

「あー……Sorry, (ごめんなさい、)Could you say that again?(もう一度言ってくれませんか?)

「……Who is this couple?(こいつらは何者だ?)

 

 そうか、バークレーさんは日本語が解らないんだった。ブライトさんとセスさんが普通に聞き取って話しているので、すっかり忘れていた。

 

 親戚って英語でなんて言うんだっけか。

 

「えっと……They are my relatives.(2人は僕の親戚です)あのひとがワダツミヤヒロさん、そっちがサチヒコさん……」

「斑くん、ちょっとバークレー借りてもいい?」

「構いませんけど……」

 

 ブライトさんはバークレーさんの腕を引っ張って、隣の部屋に入っていってしまう。

 

 残されたセスさんは、暫し上下左右を見回していたが、正座の姿勢で八尋さんを見た。

 

「俺の名はセスだ。勝手な事情ながら此処に世話になっている」

「お前はいい、お前の兄が斑に手を出す可能性を省けばな」

 

 問題は奴らであろう、と、八尋さんは襖の閉まった隣の部屋の方を睨む。

 

 彼女は、何故かブライトさんとバークレーさんへの感触が良くないようだ。どうしてだろう。

 

 しかし八尋さんは官僚だというし、エリートの勘みたいなものがあるのだろうか。

 

「斑、悪いことは言わぬ。()()はやめておけ。お前の手に負えるものではない。後発の種族の分際で、日向と日陰に線引きをするような輩なのだ」

「いや……確かに、もう少し大きな団体とかの支援を受けた方がブライトさんたちのためになるかなぁとは思いますし、その辺話し合うつもりではありますけど」

「そういうことではないと思うぞ、汝よ……」

 

 幸彦さんが苦笑いする。

 

 母曰く、幸彦さんは妹────僕にとっての叔母、幸彦さんの母親によく似て“ゆるふわ”系らしい。

 

 なるほど、これが“ゆるふわ”の笑顔。なるほど。19年間見てきているが、なるほど。

 

「……ところで、お塩さんはいいんですか?」

「たかだか畜生が1匹如きどうとでもなる。なぁ、お前よ」

「とよ、八尋……それを本猫の前で言うのはどうかと思うぞ……」

 

 

 

 

 ねこです。

 

 さくらのけんぞくがきました。

 

 はらいたいたいです。

 

 ねこがしゅうしゅういんをもとめたのはこれがはじめてです。

 

 おかえりください。ありがとうございました。さようなら。おかえりください。

 

 はよかえれ。

 

 

 




・八尋と幸彦(SCP-777-JP)
井上斑の親戚。苗字は『綿津見』。八尋は官僚、幸彦は農協勤めらしい。

その正体は、一度常世に連れ込まれたと推定されるSCP-777-JPとその伴侶。


・作者自身のためにもなる一人称・二人称メモ
井上斑・・・僕/あなた

ねこ・・・ねこ/あなた、おまえ

“先生”(SCP-3715)・・・私/貴方

ブライト・・・私/君

バークレー・・・オレ/アンタ

セス・・・俺/お前

八尋・・・我/お前

幸彦・・・われ/汝

バーチウッド(SCP-2316)・・・“俺”、彼ら/“君”、キミ、アンタ

SCP-2000-JP・・・ぼく/あなた

暗星豪・・・(うぬ)/(ぬし)

イオン・・・私/汝、お前

アイリス・・・私/あなた

アベル・・・私/お前

カイン・・・私/貴方


この作品はクリエイティブ・コモンズ 表示-継承3.0ライセンスに基づき作成されています。

SCP-777-JP “鶴の翁”
著者 tokage-otoko
http://scp-jp.wikidot.com/scp-777-jp
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