「呪術師にならない?」
一人の女性にこう問いかけられた。
女性に問いかけられた前の出来事である。
俺は、魔術師の家系に生まれ、家系の魔術を引き継くという運命である。俺は嫌だった。他人に自分たの運命を決められるのが嫌だった。それに魔術で人を助けることはできない。
それをわかってくれる仲間がいた。彼女達は俺を家から抜け出してくれた。
それが、災いを呼ぶことになった。
「優里!逃げて!」
「芽衣ぃぃぃーー!」
仲間が殺された。最愛の仲間である月輪芽衣が殺された。殺した相手は、親頼みで引き受けた魔術教会の魔術師である。
「日高優里。あなたは日高家の魔術を引き継く子。逃げるのはいけない。それに赤の他人に魔術のことを話したことは、彼女達を始末する対象となる」
一人の魔術師はそう言った。他人に魔術のことを話せば、魔術の質が大きく下がる理由で芽衣達は殺された。
「魔術のために俺の大切な人を殺したのかよ!?」
「しょうがないことだ。魔術の未来のため、知られれば魔術は弱まり消滅する。それは貴様も知っているはずだ?」
「知らない。クソ親父は、そんなふざけたことを教えてくれなかった!」
「あえて教えずに子の大切な者を奪う算段か…」
俺は怒りしかなかった。そんなふざけた理由で、大切な仲間を殺されたこと。クソ親父がその理由を教えなかったことを。
「ふざけやがって…親父もお前ら魔術師も…人の犠牲で魔術の未来を存続させるために汚い手を使って…俺は絶対許さない…人を都合のいい理由で平気で殺す…お前達のような奴に!」
俺はそれを喋った後、俺の影から一人の女性が現れる。ロングの髪をしていて赤い鬼の角が生えている。
「な、何者だ貴様!?」
女性は何も言わずに刀を抜き、魔術師一人一人の首を切っていった。
そして、気づいた時には…周辺が首がない魔術師達が倒れていた。
「ひどい有り様ね。少年…」
俺の後ろから金髪の女性が現れる。見たところ、タッパ(身長)とケツ(尻)がデカい。
「これあなたがやったの?」
「いいえ違います。これをやったのは、自分の影から出た女です」
俺はそう答えた。
「気配からすれば、呪霊がやったようね。一級二級呪霊じゃなく、特級呪霊…厄介な奴にとりつかれたようね?」
女性はそう答える。俺は何のことかさっぱりわからない。今の俺は今の状況のことをあまり把握できていない。
「あ、あの!あなたは?」
俺はそう言った。見ず知らずの女性に助けられて、誰なのか知らないと、その女性が魔術教会の魔術師である可能性がある。
「私は…通りすがりの綺麗なお嬢さん!」
「真面目に話してくださいよ…」
冗談好きそうな女性だ。話すに苦労するな。
「じゃあ、ちゃんと話すね…私は特級呪術師 九十九由基て言えばわかるかな?」
「じ、呪術師!?」
俺は驚いた。呪術師は怨霊とか悪い霊を払う人。それに魔術師と似た者同士に見えて、魔術師からすれば絶対認めない存在だと思える。
「その驚き方だと、あなた魔術師関係があるようだね?」
「はい」
「詳しく聞かせてもらおうかな?」
俺は自分の家系のことと、今あったことを話した。
「なるほど…悲惨だね。彼女達があなたの呪縛を解くために犠牲になったなんて」
「呪縛?」
俺はその言葉が引っかかる。九十九由基はこう言った。
「あなたは親の都合のいいようにされていたの。あなたの家系の魔術を伝承させるために。子であるあなたの意見を聞かず。自由を奪われて、選択権も与えられない」
それが、俺にかけられた呪縛。彼女の言うとおりだ。俺は、ずっと親の言うとおりにしてきて、いつの間にか嫌気がさしていた。芽衣達は、そんな俺のために動いてくれた。結果、俺のせいで芽衣達は死んだ。
「これからどうするの?まだあの家にいるつもりかな?」
俺は黙った。何せ芽衣達が死んだのは、俺のせいだ。俺が生きている価値があるのか?自害したほうがいいのか?自分の脳に過るのは、この2つだ。
「自分のせいで仲間が死んだと思ってるね?生きてる価値がない、死んだほうがいいと?」
「なんで俺が考えてたことを!?」
心を読まれた。俺が今考えてたことを。
「顔でわかるよ。これは、私の意見だけど、仲間達の分も生きればいいんじゃない?責任持って死ぬなんて、仲間があなたのために死んだ意味がないよ?」
彼女はそう言った。「死んだ意味がない」芽衣達は、俺のために動いた意味がない。
「俺は家には戻りません。しかし、俺はこれからどうすればいいですか?」
「そうだな…うーん…あ、君にいい提案がある!」
彼女の提案とは何なのだ?予想がつかないことこそが不気味である。
「あなたも呪術師にならない?」
彼女はそう提案してきた。
「私はあなたに自由を与えるよ。魔術師のように縛られた世界じゃなく、呪術師のように自由に生きられる世界に!」
俺はあまり理解できなかった。提案した理由がめちゃくちゃだ。けど、俺の心はそれを良しとした。彼女なら、俺の存在意義がわかるかもしれない。なら、答えは一つ
「呪術師になります!俺の存在意義がわかるなら、人を救えるような自由な呪術師になります!」
それが、俺の答え。彼女は笑顔で頷いた。
「よし!なら、今日からあなたは私の弟子で私の家族よ!」
「え?家族?」
「細かいことは気にしない気にしない!名前は?」
「日高優里です」
「ユウリ?女の子っぽい名前だね!」
まあ、よく女の子っぽい名前って言われるが、聞き慣れているからいいや。
「優里!これから、よろしくね!」
彼女は手を伸ばし、握手を求めてきた。」
「はい!九十九さん!」
「自己紹介は終わったし、さっそく質問!あなたはどんな女が好みかしら?」
「へぇ!?」
ここからが俺の呪術師の伝説が刻むことになる。
続く_