【本編完結】転生したらブラック鎮守府の時雨だった話 改   作:chanhaya

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5話 言っちまったよ

 

 

 

 

あくる日、荻原はいつも通り執務を終えてソファでのんびりしていた。

 

ちなみに時雨も執務を手伝っていたのだが、割とすぐ自分の分を終わらせて自室に帰って行った。

 

「あ~疲れた」

 

すると執務室のドアをコンコンする音が聞こえた。誰だろうと思いながら扉を開ける。

 

立っていたのは第六駆逐隊の面々だった。全員揃っている。

 

荻原が「何しに来たんだ?」と思っていると、暁はこう言った。

 

「少し相談があるんだけど……入ってもいいかしら」

 

荻原は「ああ、別にいいぞ」と言って中に入れる。みんなが執務室の椅子に座るとまずは響が口を開いた。

 

「提督は……この鎮守府の現状を知っているかな?……いや、知っているよね。武蔵さんとも知り合いだしね」

 

「そうだな」

 

その一言で響以外の全員が顔色を悪くする。まぁ仕方ないか。この雰囲気では誰も喋ろうとしないしな。

 

「知ってるぞ、一応」と荻原は返す。

 

「それで相談ってのはなんだ?……もしかして時雨のことか?」

 

察して先に聞いてみる。どうやら当たっていたようだ。

 

「そ、そうよ、時雨のことよ」

 

「で、時雨がどうかしたのか?」

 

荻原が聞くと暁達は暗い顔をしながらも少しずつ話し始める。

 

曰く、第六駆逐隊を含む横須賀所属の艦娘のほとんどが時雨に嫌われているという。理由は、彼女たちが深海棲艦の回し者であるという誤った情報が、いつの間にか艦娘らの耳に入っていたということだ。時雨はそのことを聞かれた時には必死になって否定したという。しかし、艦娘たちはそれにさらに疑念を強め、時雨へのあたりが強くなっていったようだ。

 

特に駆逐艦の子らはその傾向が強かったらしい。そして、彼女に暴力や暴言を浴びせる艦娘も出てきていたようだ。

 

さらに、一部の艦娘たちは演習や実戦で時雨に故意のFFを撃つなどといったことを行い始めた。

 

彼女たちは戦闘時に時雨の指示に従わず自分たちの判断で勝手に動いていたため被弾することも度々あったようで時雨がそれを庇ったりすると更にその行為が激しくなった。

 

中には故意に他の味方を巻き込むような攻撃もあったらしく時雨はかなり追い詰められていたようだ。それでも時雨は何も文句を言わなかったらしい。ただ、時々泣いているところを見かけたという話を夕立がしていたそうだ。

 

時雨は元々は優しかったらしいが、今では見る影もなく、艦娘にもあまり笑顔を見せないようになったという。度重なる出撃や性欲処理、艦娘たちのいじめのせいで性格が歪んでしまったのではないかと言っていた。

 

それを聞いた荻原はあまりの酷さ、時雨があまりにも可哀想なこと、その元凶となった奴らに対する怒り、その他色々な感情が混ざりあってなんと言ったらいいか分からないほど複雑な気持ちになった。

 

「なるほどな、大体は分かった。確かにこれは酷いな」

 

「そうでしょう!?私達がなんとかしようと思ったけど、時雨には『気にしていないから放っておいて』と言われたの。でもやっぱり見ていられないのよ!」

 

「う~ん、なあ暁、時雨がどこにいるかわかるか?」

 

「え?……多分自分の部屋じゃないかしら。でもどうしてそんなことを?」

 

「ちょっと話がしたいんだ。だから案内してくれないか?」

 

「え!?今から行くの?」

 

「ああ、なるべく早い方がいいからな」

 

 

 

荻原は執務室を出た後、時雨の部屋の前まで来た。コンコンとノックするが、中からの反応はない。

 

「時雨、私だ。開けてくれるかい?」

 

「……うん、大丈夫だよ。ごめん、待たせたかな?」

 

中からの返事があった。どうやら鍵はかけていなかったようだ。

 

荻原はドアを開けて部屋の中に入る。

 

中に入ると時雨がいた。だが少し、いやだいぶ様子が変だ。

 

服は乱れて髪はボサボサだった。目は若干虚ろでクマもあるし、なんだか痩せこけているように見えた。そして、少し血生臭い匂いがした。

 

そして、その右目は逆に何も感じ取れないほど()()()()()が錯綜していた。それも、支離滅裂で滅茶苦茶な。

 

そう思って確認のために時雨に話しかける。

 

「少し話したいことがあるんだ。いいかな」

 

「僕に話す事なんて無いよ」

 

時雨はそう言いながら血の付いたカッターナイフを隠した。

 

おいおいマジかよ……予想以上じゃねえか……。これ下手したら取り返しつかないくらい拗れてるぞ……!これがこの鎮守府の闇か……。

 

「……君は一体何が目的でこんなことをしているの?僕の事が嫌いなら嫌ってくれればいいし、殴りたいのなら殴ってくれてもいいよ。……ほら、どうぞ。遠慮しないでやっていいんだよ?提督」

 

時雨が自虐気味に言う。荻原はそれが余計腹立つと同時に、とても悲しい気持ちになった。

 

時雨を抱きしめてやりたい気分だった。そして、彼女の頭をそっと撫でる。時雨の身体が小さく震えた気がした。少しの間沈黙の時間が流れる。

 

やがて荻原は静かにこう切り出した。

 

「君は何も悪くない。私は知ってるぞ。本当は優しい娘だってことも。みんなに誤解されながらも頑張ってきたことも。今までよく耐えたな。もう大丈夫だから、私が全部受け止めるから、全てさらけ出して欲しい。ここには君を傷つける奴も汚す奴もいない。もしいれば私が守ってやるから」

 

時雨の目からはポロリと涙が流れ出す。それを手で拭いながら荻原は語りかける。

 

「君は何も悪くない。悪いのは周りの方さ。君は決して悪くない。だから自分を責めなくていい」

 

時雨は泣き出しそうになっていたが、何とか我慢して荻原の胸に顔を押し付けて声を押し殺して泣いた。

 

それからしばらくの間時雨を慰めた後、荻原は自分の胸の中で寝てしまった彼女をそっとベットに運び布団をかけると、そっと部屋から出て行った。

 

ちなみにその後、通りかかった艦娘達に話を聞いたところ、彼女らは相当ストレスが溜まっていたらしい。

 

時雨は誰にも迷惑をかけないようにしていたがそれは逆効果でさらに艦娘達の不満を大きくさせたようだ。そのことがさらに時雨を追い込んでいく悪循環に陥ったという。

 

翌日、荻原はとりあえず艦娘達に話を聞いて回った。そして時雨への態度を改めるよう促した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、「全てさらけ出して」という荻原の言葉によって、時雨が今まで抑え込んでいたものをぶちまけた結果、えらいことになるのは誰も想像できなかったであろう。

 

 

 




慇懃無礼、傲岸不遜、サイコパス、差別主義

後日談書きたいんですが、読みます?

  • 読むから書け
  • あったら読む
  • 好きにしろ
  • 読まない
  • どうでもいい
  • 蛇足だから書くな
  • 串本の白露の話を書け
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