【本編完結】転生したらブラック鎮守府の時雨だった話 改 作:chanhaya
昔からかなり病弱だった。とりあえず赤ん坊の頃はマジで大変だったと聞いている。
何回も風邪やらなんやらにかかりまくり学校も結構休んだ。提督になってからも場所が場所なせいで冬はよく体を壊した。
父は自衛官だった。何故か名前は思い出せない。父は「必ず帰る」とか言って戦争に行った。父は噓つきだった。噓つきは泥棒の始まりとかなんだとか言ってたくせに、帰ってこなかった。
母は優しかった。何故かこちらも名前は思い出せない。母はよく僕の頭を撫でてくれたりしていた。そんな母も支那のミサイルの爆撃に巻き込まれて死んだ。弟も行方不明になった。
その後、伯父に引き取られたが、扱いは酷いものだったと思う。
伯母はよく怒鳴っていた。何かあればすぐに暴力を振るわれたものだ。ただし、食費とかその他諸々は出して貰えていたが。
ある日のこと、中学の友人にコスプレに誘われた。僕の顔が中性的で背も低かったせいか、艦これとかいうゲームの時雨とかいうキャラクターのコスプレを着せられた。てか、今考えたらあいつなんであんなものを持ってたんだ?まあどうでもいいが。
なんかその後、時雨とやらの衣装とカツラを貰った。僕は自室でそれを着てみた。なんか結構似合ってた。そして毎晩その服を着ていたのを覚えている。何が楽しいのか全く分からなかったが当時は毎日楽しんでいた気がする。
しかしそんな楽しい生活は長くは続かなかった。
伯父に見つかったのだ。
そして僕は暴行を受けた。服を脱がされて写真を撮られまくったり、自分で言うのもなんだが短小だったアレをクリだなんだと散々弄繰り回されたこともし、無理矢理口に突っ込まれたこともある。最悪だったのは掘られたことだ。しかも何度も、本当に最低最悪の行為だったと言える。あの時の記憶はトラウマもので今でもたまに夢に見るくらいだ。もう死にたかった。
その後、なんとか高校まで卒業できたが、伯父に「妖精見えるんなら提督にでもなって金入れろ」と家を追い出された。
それから海軍の士官学校に入って寮生活をし、なんやかんやで網走鎮守府の提督になった。
そこに至るまで色々と苦労したことはここでは省略しよう。
それから十数年たったある時、私は大本営の秘密を知ってしまった。それがいけなかった。
愚かな私は大本営の坂本少将と対立し、最終的に大本営そのものを敵に回し、坂本により深海棲艦の襲撃を受け、鎮守府ごと消されてしまった。これが私の人生だったようだ。
『なあ、時雨、君は、神はいると思うかい?』
『さあ?いきなりどうしたんだい?』
『今のこの日本では日本古来の神道やキリスト教、終末論的なカルトが流行ってるらしい。なんならこの網走鎮守府にも神がなんだと言ってる艦娘もいるし。まあ、深海棲艦という謎の侵略者が現れたこの国じゃ皆生きるのに必死だし、そうなるのも当たり前かもしれないけど。だが私はそうは思わない。神はいない。いたとしてもそいつは人が苦しみ藻掻くのを見て楽しんで愉悦に浸るろくでもない奴だと思っている』
なんだこれは。誰だこれは?
『神は、助けを求める者や、慈悲を乞う者を救ったりなどしない。あれはただ人を道楽の為に苦しめるだけの害悪だ。そう、神は、いない。私は神とかそう言うのは嫌いだ。あるのは人間とその集団である国だけだ。私たち網走鎮守府はこれから、その国の腐った一機能である大本営の、その腐った部分を叩き潰すために行動する。例えその先が地獄の一丁目であろうと突き進むだろう』
『死にそうだから神に祈ろうとか考えてる者もいるだろう。だが、それは神への祈りではない。虚像に縋っているだけだ』
なんだこれは。誰だこれは?何を言っているんだ?
『皆、国の為に、国民の為に戦え!軍人ならば、戦い続けろ!敵を討ち倒せ!』
…………これは。
『戦い、戦い、戦い、勝て。戦いの果てに、勝利の果てに、報国の果てに、彼方の水平線に日は昇る。いつか雨は止む』
…………。
『呆れかえる程の戦いの果てに、報われる日が来る。惨めな私のもとに、哀れな私たちのもとに』
これは、私だ。私の言った言葉だ。私の口から出た言葉だ。
そして場面は切り替わる。私が死んだあの日の夜明け時だ。
私は杉野提督の姿で、傍らには大破した時雨が立っている。まさしくあの時と同じ状況だった。
「で?結局、君は、みんなは報われたのかい?」
時雨が私に向けて問う。
「分からない」
私は正直なところを口にする。
「みんな死んだよ。君に付いて行った艦娘は全員死んだ」
「それは知っている」
「君の作戦ミスで多くの艦娘が轟沈し、君の鎮守府は崩壊した」
「…………知っている」
「そして最後に残った君自身も、僕と一緒に深海棲艦の砲撃で死んだ」
ああ、分かっているとも。全部覚えている。
「で、君は別の鎮守府の時雨として転生したわけだけど。まあ、ブラック鎮守府に転生しちゃったみたいだけどね」
確かにな。私にとって鎮守府での日々は苦痛以外の何物でも無かった。
「毎日のように出撃させられ、毎日のように嬲られ、毎日のように犯された。そしてバケモノになった君は艦娘達からも忌み嫌われていたよね。毎日罵倒されて、毎日殴られて…………君は深海棲艦なんかより艦娘の方が怖いんじゃないかな?…………君は親に言われた嘘をつくなという言葉を馬鹿馬鹿しいくらい律儀に守ってきたよね?だからどんなにボロボロになっても約束を破らないために艦娘共を守ってきた」
「でも、自分には嘘をついたよね?艦娘は怖くないって、むしろ好きだって、君が一番わかってるんでしょ?身内以外の艦娘なんてどうでもいい、大嫌いだって思ってたでしょ?君はそんな自分が嫌でリストカットとか自傷行為をしていた。まあそれでも艦娘達は止めようとはしなかったみたいだけど」
ああ、全く持ってその通りだ。ずっと、ずっと辛かった。ずっと死にたかった。あの地獄から逃げ出したかった。
仲間達に拘束され、拷問のような仕打ちを受けた。
体の至る所を焼かれたり、爪を全て剥がされたり。思い出すだけで吐きそうになる。
涙を流す度に、自分が自分じゃなくなっていくような感覚を覚えた。
そして、いつの間にか泣かなくなった。いや、泣けなくなった。
西馬が逮捕されて荻原が新しい提督として着任しても、待遇が格段に良くなっても、僕は艦娘共が怖かった。
「で、何時ものように自傷行為をしようとしていたところで提督に見つかった。彼は君を止めたんだっけ?」
そうだった。提督だけは僕を止めてくれた。あの時はなんか泣きついたっけ。情けないったらありゃしない。
それからは少しづつ変わっていった。
提督にだけは本当の自分を見せられた。僕は素直になれなかったが、彼の前では心が楽になるのを感じていた。
深海棲艦を沈めて残機にするようになってから見るようになった幻覚も彼の前では見なかった。
彼に甘えるようになった。彼に寄り添うようになった。彼との時間が心地よかった。彼と共にいたいと思った。彼と触れ合いたいと思った。
彼と一緒のベッドに入って、朝を迎えるたびに愛しさが増していくようだった。
そして、提督を想えば胸のあたりがきゅっと締め付けられるような感覚に襲われるのだ。
これは恋なんだと自覚したのは最近になってのことだった。僕は提督の事が好きになっていた。好きになってしまったのだ。
提督を僕だけのものにしたくなった。提督とずっと一緒にいたいと思うようになっていった。
提督の傍にいたいと。そう思うようになっていた。
「でも、提督は他の艦娘共からも好かれている。彼も君を特別だとは思っているけど、他の艦娘共に邪魔される。おかしいとは思わないかい?君はずっと耐え続けてきたじゃないか。辛いことも苦しいことも。そろそろ報われてもバチは当たらないはずだよ」
確かに。提督は優しい。だからこそ他の艦娘にも優しくするんだろう。
…………僕はまだ死にたくない。こんな場所で死にたくない。たとえ心までバケモノに堕ちても。僕は提督と一緒にいたい。
「ねえ。このままだと確実に死ぬよ。バケモノに成り下がった神風とか言う奴に殺されて終わりだよ。ずっと提督と一緒にいたいんでしょ?好きな人とずっと一緒にいたいんでしょ?」
……ああ。そうだ。僕だっていつまでもこんなところにいるつもりはないよ。それに、私にはやり残したことがあるんだ。
「……そうだね。その意気だよ」
時雨は口を三日月のように釣り上げた。
◇
神風の短刀が時雨の心臓に迫る。
荻原と夕立はそれを黙って見ていることしかできない。
時雨の命を奪う凶器が迫っている。しかし誰も助けることは出来ないだろう。
何故ならもう時雨の死は免れ得ない状況まで来てしまっているからだ。
仮に時雨に危害が加えられなかったとしてももう既に致命傷なのだ。
だが次の瞬間。時雨は目を大きく開き、迫りくる短刀を掴んで止めた。手からは血が流れだす。
「な……なん……」
時雨が神風を見据えながら言う。
「僕が君なんかに簡単に殺されるわけないだろ……!僕は死なない!僕ようなバケモノに逃げた弱い奴は、
そう言いながら彼女は手に力を籠め始めた。短刀は徐々に徐々に押し返されていく。神風の顔が歪み、短刀を持つ手が震えだすがそれでも必死に押し返そうとしてくる。
(くそが……ッ!こいつ……強い……!)
その時、神風は強引に後ろへ吹っ飛ばされた。
「ッ!?」
「深海制御術式第0号、解放」
突然の出来事だった。目の前で起こっている出来事が何なのか全く理解ができない。ただ、今起きていることだけが確かなことだった。時雨の肌は青白く染まり、髪も白くなっていた。そして手首足首に鎖の付いた枷が付き、左目は隻眼ヲ級の左目のようになった。
後にマレー沖深海棲姫と名付けられるその深海棲艦は、全体的にパーフェクト駆逐棲姫の時雨verのような見た目だった。
荻原は後に「その姿はまるで堕落した熾天使のようであり、死神のようでもあった」と語った。
ただそこにいただけで、威圧感があった。圧倒的なオーラを放っていた。
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この時雨はその辺の艦娘には基本無関心で、横須賀鎮守府の迫害してきた艦娘たちは嫌いというか怖くて、仲のいい艦娘(夕立とか加賀とか迫害してこなかった連中&磯波etc…)は好きです。
あと、戦うのは艦娘だろうが深海棲艦だろうが大歓迎ですが、死ぬときは強い艦娘(自分と違って艦娘のまま強くなったような奴)に殺されたいと思ってます。
あと、熾天使というのは天使の階級で最上位に位置し、天使の軍勢を率いる統率者らしいです。
まあ、無神論者な時雨からしたら「は?」みたいな感じでしょうけど。
後日談書きたいんですが、読みます?
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読むから書け
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あったら読む
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好きにしろ
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読まない
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どうでもいい
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蛇足だから書くな
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串本の白露の話を書け