【本編完結】転生したらブラック鎮守府の時雨だった話 改   作:chanhaya

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マレー沖深海棲姫(深海時雨)の名前は史実での駆逐艦時雨がマレー半島沖で沈没したことに由来しています。


62話 マレー沖深海棲姫

 

 

 

 

 

「(なんだ!?なにが起こっている!?なんなのこいつは!?)」

 

神風は戸惑っていた。恐怖していたと言ってもいい。恐らく同じ種族だろう。だが、冷や汗が止まらないのだ。

 

怒り、憎悪、悲哀、恐怖、苦痛、苦悩、嫉妬、呆れ、軽蔑……ありとあらゆる負の感情、そして空洞のような左目は空虚な光を宿していた。

その瞳を見てしまった時。身体が動かないことに気付く。それは本能的な恐怖に近いものだった。

 

その時雨につられたのか、急に雨も降りだした。

 

一瞬停止した神風の思考は高速に回転する。現状を整理して、次にどうするかを考えるために。

 

そして導き出された答え、撤退だった。この状況で勝てる気がしなかった。そもそも勝負は見えていたようなものだ。神風が何をしようとしたのを感じ、時雨は止めた。

 

「逃げるのかい?僕を殺すんだろ?」

 

「ぐっ……!」

 

時雨の言葉に、思わず顔をしかめる。この状況下で勝てる自信はほぼ無く、さらに無理矢理深海棲艦化したせいで、これ以上戦闘すれば、たとえ勝っても体が自壊する可能性が高いこともわかっている。

 

「クソッ!いいわ、ぶっ殺してやるわよ!」

 

神風は叫びながら短刀を投げまくり、リボルバー型の14センチ砲を撃つが、砲弾はことごとく回避されてしまう。

 

「うおおおおおおお!!」

 

時雨も叫声を上げながら砲撃をし、銃弾を回避し、そしてそのまま神風に向かって突撃する。

 

いつもの如く回避せずに脳死で突っ込めばいいじゃないかと思うかもしれないが、正直なところ、30年くらい煮詰められた負の感情と他の艦娘から盗ってきた深海のやつで深海棲艦化する深海制御術式第0号解放よりも、残機を磨り潰しながら戦う深海制御術式2号、3号解放の方が強いのだ。

 

ついでに言うと、普段なら被弾しても残機を磨り潰して秒で再生できるのだが、今は残機が全部外に出ていて、マレー沖深海棲姫もレ級改のような再生能力があるにはあるが、被弾しすぎると流石にヤバいということもあってなるべく被弾しないように立ち回っているのだ。

 

「あがっ!?」

 

時雨は神風に急接近すると、顔面に膝蹴りを叩き込み、ついでに手に握っていた魚雷を投げつけ吹っ飛ばす。

そして今度はメツェライと12.7センチ連装砲改め5インチ連装砲で追い討ちをかける。

(レールガンは深海棲艦化時にぶっ壊れました)

 

神風はそれを食らったが、秒速で再生する。

 

「くそったれ!!」

 

神風は再び距離を取ろうとしたが、その前に時雨は神風に接近して殴り掛かる。時雨はそのスピードを生かし、拳を振る。一発目で肩口を粉砕し、更にもう片方の拳を腹に叩き込むと、腕が貫通した状態で、そのまま時雨は両腕を一気に引き抜きながら後ろに下がり、勢いをつけた回し蹴撃を繰り出して吹っ飛ばした。

 

「う……くっ……!!」

 

「…………」

 

神風はすぐに元通りに修復され、時雨は再び走り出す。

 

「はあっ……!」

 

時雨は右手で手刀を作り、神風の心臓めがけて突きを放った。

 

神風は回避しようとしたが、手刀によって心臓が潰され、彼女は倒れた。

 

「グ、グボッ……」

 

神風はそのまま口から大量の血を流しながらも必死に立ち上がろうとしたが。だが、立ち上がることが出来なかった。なぜならもう彼女の身体は持たないからだ。

 

そして時雨はゆっくりと歩いて近付いていく。その右目には、何故か涙が溜まっているように見えた。

 

(なによ……なんなのよこいつ……?)

 

神風の心の中で疑問が渦を巻くが、もうそれに応える者は誰もいない。もうじき死ぬ。だからその疑問はもう無意味なモノとなる。

 

「…………君は、僕だ。僕も同じような有様だった……僕も君と同じようにバケモノに堕ちたんだよ……」

 

時雨は語りかけるように、だが悲しみを感じさせる声で話した。

 

(意味分かんないわね……)

 

神風は、自分の心の中からそんなことを思っていた。何故こいつはこんなにも悲しい声を出せるのだろうか?そして何故泣いているのだろうか?

少しイラついたので、神風は最後の力を振り絞って口を開く。

 

「…………鬼が泣くんじゃないわよ、クソ野郎が。泣きたくないから鬼になったんでしょう。違う?…………笑いなさいよ、いつものように、人を見下すように、人を面白がるように、笑いなさい」

 

そう言って神風は不敵に笑い、こう続けた。

 

「……哀れで、本っ当に哀れなあんたは、一体いつまで生きるつもり?この世界に救いなんか無いのに。どうするつもりなの?」

 

「…………僕は、僕のまま生きてやるさ。君みたいな強者に殺されるその日まで。なにすぐさ、宿敵よ、いつか何処かで」

 

「へえ、じゃーねクソ野郎、また会いましょう。それまでせいぜい苦しむことね…………」

 

神風はそう言い終わると静かに目を閉じた。そして限界を迎えた彼女の身体は少しずつ風化していったが、その顔はとても安らかそうな顔をしていた……。

 

だが、神風の半身程が風化した時、深海化瑞鶴…………深海鶴棲姫が空中より舞い降り、神風の残骸を踏みつけにした。

 

「あら、久しぶりね、時雨。てかなんで泣いてんの?あんたにまだ泣ける人間性があったなんて驚いたわよ」

 

瑞鶴の言葉に対し、時雨は何も言わず、ただ見つめていた。

 

だが、内心での怒りに比例したのか左目から出る赤黒いスパークの大きさは増していた。

 

 

 

 

後日談書きたいんですが、読みます?

  • 読むから書け
  • あったら読む
  • 好きにしろ
  • 読まない
  • どうでもいい
  • 蛇足だから書くな
  • 串本の白露の話を書け
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