【本編完結】転生したらブラック鎮守府の時雨だった話 改   作:chanhaya

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今回のやべーやつ→時雨、網走時雨


63話 提督が提督なら艦娘も艦娘

 

 

 

 

「……お前は……瑞鶴か!?」

 

荻原は驚いたような声を上げたが、瑞鶴は心底興味なさそうに神風の遺骸を踏みつけている。

 

「ゴミよ。こんなモノ。人は死ねばゴミになる。ゴミに弔いなんていらないのよ。まあ、生きてるのにゴミみたいな奴もいるみたいだけど」

 

瑞鶴は時雨を見ながら言うと、第零艦隊の方に視線を向ける。

 

第零艦隊の生き残り(4人)は旗艦である神風の遺骸を踏みつけにしている瑞鶴に今にも襲い掛かりそうだ。

 

「瑞鶴ゥ!!」

 

第零艦隊副旗艦である叢雲が叫びながら槍を構え突撃して来たが、瑞鶴はオレンジ色の如何にも熱そうなワイヤーでそれを切り刻んだ。

 

「ッ!?」

 

叢雲は某サイコロステーキ先輩の如くバラバラになり、残骸は燃え盛ったまま地面に落ちるとジュワッと音を立てて消えた。

 

「む、叢雲!こ、このグッ!?」

 

陽炎も突撃しようとしたが隣にひょこっと現れたコズロフスキーに頭を散弾銃で撃たれ即死した。

 

そして残りの第零艦隊の艦娘も瑞鶴に切り刻まれ、全員死亡した。

 

「……それは翔鶴の技か」

 

「ええそうよ。翔鶴姉よ、あんたが沈めた翔鶴姉よ」

 

時雨は少し驚くような表情で呟いたが、瑞鶴は嘲笑いながら答えた。だがその目は怒りや憎しみで煮えたぎっていた。

 

「自分からバケモノになるなんて、哀れなものだね、瑞鶴」

 

「言ってなさいよ、クズ。私は誰の指図も受けずに、ここに立っている。私は私として立っている。瑞鶴として、深海鶴棲姫として立っている。私は私自身の殺意を以って、この夜明けに時雨、いや杉野、お前を殺す!」

 

その瑞鶴の様子を見て時雨は嘲笑うように、滑稽なモノを見たように言う。

 

「くくくくく、はははははは。僕を?殺す?はっはははは!!出来るわけないだろ。アホウドリ瑞鶴、お前は僕と同じバケモノなんだ。艦娘だった頃のお前の方が数千倍、いや数万倍美しかったのに、なんて醜い様だ。ああ実に、残念だよ、とても。哀れだな、惨めだな、愚か者だなお前は」

 

「……そうね!確かに私は愚かだ!でも、お前が言えたことなのかしら!?愚かにも大本営と喧嘩して死んで、律儀に約束守って気狂いになって、お前の方が哀れで惨めでしょうが!!!」

 

時雨は瑞鶴の言葉を聞いて、少し悲しげな顔をしたが、すぐに冷酷無比そのものといった感じの顔になった。

 

「…………提督、命令を寄越せ。アイツを殺せと、さあ、早く、アイツを殺させろ」

 

そう言う時雨の声にはいつものような温かみはなかった。

ただ冷たい声で命令を求めた。

 

「僕は殺せる、殺さねばならない。微塵の躊躇も無く、一片の後悔も無く殺し尽くす。この僕はバケモノだからだ。あのバケモノを建造したのは20年前の私だからだ。さあ命令を」

 

そう言い終わると再び時雨の右目から涙が流れたが、誰もそれには気づかなかった。いや気づけなかったというべきか。

 

そしてその涙を流しながら狂気の微笑を浮かべる少女の姿をしたバケモノはこう続けた。

 

「銃の手入れは僕がしよう、銃は僕が構えよう、照準も僕が定めよう、弾を弾装に入れてボルトを引き、安全装置も外そう。さあ、提督、引き金を引け、そしてその弾丸は勝手に戦うから君は夕立と露助の連中をぶっ殺しにいけ」

 

時雨の言葉を聞き終わると同時に萩原は彼女の背中を強く叩き、激励の言葉を送った。

 

「行け。そして終わらせて来い」

 

「了解」

 

荻原と夕立は東京湾に(二式大艇みたいに)着水した空中戦艦モスクワに向かい、この場には時雨と瑞鶴だけとなった。

 

「…………ふん、あの夕立がいなくても私に勝てるってこと?」

 

「はは、バカだなあ、お前は。まるであの頃から何も変わらない。命令無視して突っ込んで、翔鶴沈めて帰ってきて、僕に噛みついてきた。まるで、犬コロのようにな」

 

「黙れ!私はあんたの命令に一度も逆らわなかったし、反抗なんてしなかった!全部従って来たのになんであんな仕打ちが出来るの!?私の身体を弄んで!ふざけるんじゃないわよ!!」

 

時雨は心底愉快そうに大笑いした後、冷たい視線で瑞鶴を見ながら言った。

 

「……弄ばれたってお前……くふふっ。何言ってんだい?あの頃の僕のアレは短小だったから代わりに苦悩の梨突っ込んだだけでしょ?別に弄ぶもなにも無いじゃん。それに、信賞必罰って知ってる?それに則って罰を与えただけだよ。まあ、網走時雨がどっかから入手してきた拷問器具やらなんやらを試したかったってのもあるけど。あっそうだ!確かお前の体に空母ヲ級フラッグシップの体液注射したこともあったっけな?あの時の顔は傑作で……あぁすまない、話が脱線したね。要するに君の身体を改造して弄んだのは罰であり、正当な理由があってやったことで責められる言われなんてないんだよ、アホウドリ瑞鶴」

 

時雨が話し終えると沈黙が訪れていた。二人の周りには赤い彼岸花が咲き誇り、艦載機が飛んでいた。雨も一層と強まってきていた。

 

瑞鶴は少し間を置いた後、端から四肢を倍に増やして黒い球体を発生させ、ワイヤーを振り回しながら時雨に向かって走り出した。

 

「怒ったかアホウドリ!怒れ!怒れ!お前との馬鹿踊りも今日で仕舞いだ、噛み締めろ!」

 

元提督のバケモノと彼が最初に建造した空母の闘争が始まる。

 

共に正面から駆け寄り、時雨の手の平が瑞鶴の眼前まで来た時、動きが止まった。瑞鶴のワイヤーが時雨の腕を捉え、千切り落とした。そして黒い球体が時雨を吹き飛ばし、ワイヤーは足に巻きつき引き釣りビルの壁へと激突させた。

 

時雨が血反吐と共に立ち上がると瑞鶴は嘲笑った。

 

「はっ!やっぱり弱いじゃない、バケモノ。これで終わりよ!!」

 

そう言うと彼女は再び時雨の足にワイヤーを巻きつけ、上に引っ張り上げた。

上空に吹っ飛ばされた時雨は自由落下状態となり、瑞鶴の艦載機達が襲いかかってくる。時雨は機関短銃と主砲で次々と撃墜していく。

次々と墜とされていく艦載機たちはまるで七面鳥のようだ。

 

だが、巻き付いたままのワイヤーで叩き落とされる。

 

ビルの屋上に叩きつけられ、屋根やら床やらをぶち抜いて一気に下の階へ。更に次の階も突き抜け、地面まで落ちていく。

 

時雨は着地の寸前に受け身を取り、座った状態でメツェライを瑞鶴に向け、引き金を引きまくる。

 

「効かないわよそんなもの!」

 

瑞鶴は艦載機を盾にしたり、ワイヤーを幾重にも張り巡らして盾にするなりして銃弾を防ぐ。

 

時雨は左腕を闇に変化させ、その闇が巨大な魔犬のような形になり瑞鶴に迫る。

 

「なに?この大道芸は?」

 

瑞鶴はワイヤーでその犬を真っ二つにし、艦載機による攻撃でトドメを刺した。

 

「吠えるんじゃないわよ、駄犬。さあ、次は何をしてくれるの♪? 駆逐艦時雨。ただの駆逐艦め!」

 

瑞鶴の言葉を聞くと同時に時雨はメツェライを瑞鶴に向けて撃とうとするが、引き金を引こうとした瞬間、いつの間にかメツェライに巻き付いていたワイヤーでメツェライは破壊された。

 

「ッ!?」

 

「バカだねぇ〜!私に武器なんて意味が無い!私にはこの力があるの! だからもうお前は何も出来やしない。お前にできる事と言えば私に殺されることだけ!ははっ!さぁてどう料理しようかしら?」

 

瑞鶴は時雨の足にワイヤーを巻き付けると、思いっきり引っ張り上げ、東京湾(お台場の方)へ放り投げ飛ばした。

 

時雨は海面に接する直前にマレー沖深海棲姫の艤装を展開し、上手く着水できた。

 

そして瑞鶴自身も深海鶴棲姫の艤装を展開して東京湾へと向かおうとしたが、さっきの犬の様子がおかしいことに気付く。

 

数秒後、(確か第二章で)犬に喰われた深海山城(海峡夜棲姫)が現れた。

 

「っ!?え、何!?何が起きたの!?何が起きてるの!?」

 

山城はあまりの急展開に動揺していた。

 

ちなみにその頃の空中戦艦モスクワの艦橋にて。

 

「え!?なにあれ!?」

 

俺たちの同志クズネツォフは、突然のことに困惑していた。

 

「あ、あれ確か我々が深海化した協力者の山城かなんかです。多分、犬に喰われて取り込まれていた様です。犬が死んで支配率が変わり奴が顕現したのかと」

 

再び瑞鶴の方。

 

瑞鶴は山城in犬にワイヤーを絡ませる、というか皮膚にinして山城の体を操る。

 

チィッ… ギッビッ

 

「っ!?」

 

ギギギギギギギ…

 

「ぎ……があ……が…ぎゃ…あ あ ぎぃ い゛ い い゛い゛い゛っ」

 

「まさかあんたが出てくるとはね!山城!あんたは協力者なんだから戦わせてやるわ!」

 

瑞鶴は完全に山城の支配権を掌握すると、突っ込ませようとするが……

 

ビキッビキビキッ ビキ…ピキ…

 

「(やばい!体が!もう!?いいや、まだよ。まだアイツを、時雨を倒してない!)」

 

バキャッ!ブシュゥー ボタ、ボタタッ

 

音を立てながら彼女の腕は潰れた。

 

瑞鶴の腕は一応元通りになったが、彼女自身はダメージを負ったままで動けなくなっていた。

 

仕方ないのでワイヤーで操った山城を突撃させる。

 

「行けェ!!」

 

「っ!お前は!」

 

山城(犬とくっついてる)はそのまま時雨に向けて突撃し、彼女の左腕を食いちぎる。そのままに通り過ぎたかと思われたがUターンしてまた向かってくる。

 

時雨も時雨でもう体力がないのか左腕がなかなか再生しない。

 

「お前まだ消化されてなかったのかよ。糞になりかけの、わけわかんねえ外患野郎。面白いくぐつを手に入れたなぁ、瑞鶴」

 

時雨はその山城に向けて発砲。弾は当たらず、ワイヤーの巻き戻しによる打撃攻撃により、腹を思い切り殴り飛ばされる。

 

「うぐぇ!?お、ごぉおおおっ!!」

 

胃液を吐き、苦しそうにしながらも時雨は攻撃を続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

ギ ギ ギ ギ ギ ギ……

 

「ハア、ハア、ハア、ハア、ハア、ハア、ハッ、ハア」

 

瑞鶴はなんとか立ち上がる。息絶え絶えになっていたが、それでも彼女は時雨を殺すつもりであった。

 

「だめだ!まだだめだ!まだ死ねない!!まだ時雨を倒してない!!!」

 

瑞鶴は時雨を睨みつけ、3連装46センチ砲を発射する。

 

時雨は日本刀を抜くと、主砲で砲弾2つを撃墜し日本刀で砲弾1つを斬って防いだ。

 

時雨も瑞鶴も息絶え絶えになっているが、瑞鶴の方は膝をついてしまう。

 

 

 

空中戦艦モスクワ艦橋にて

 

俺たちの同志クズネツォフと博士はモニターに映る瑞鶴を見て言う。

 

「……やはり、我々としても新しい試みで、かなり無茶な施術でしたしねぇ」

 

「……我々の与える物は全てあの女に与えた。我々が奪える物はあの女から全て奪った。自分の人生、深海棲艦と化した姉、自分の仲間、そして自分の"元"上官。全てを賭けてもまだ足りない」

 

クズネツォフは少し間をおいてから言った。

 

「……だから我々からも賭け金を借り出した。我々はそういう者には協力を惜しまないからな。たとえそれが、雞鳴が暁を告げる時間になれば身を滅ぼすような、破滅的で法外な利息を伴うものであっても。10年かけてあの女は、あのバケモノと勝負するために全てを賭けた。暁の勝負に全てを賭けた。運命がシリンダーを回し、銃弾は1発!勝負は1度きり!相手は幸運艦と呼ばれた駆逐艦の化生!」

 

クズネツォフは時雨に目を向ける。彼は今の状況を見つめながら語る。

 

「さて、お前は何だ?正規空母瑞鶴!幸運の空母よ!」

 

 

 

 




瑞鶴の熱線ワイヤーは融点が高い金属で出来ている設定です。

後日談書きたいんですが、読みます?

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  • あったら読む
  • 好きにしろ
  • 読まない
  • どうでもいい
  • 蛇足だから書くな
  • 串本の白露の話を書け
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