【本編完結】転生したらブラック鎮守府の時雨だった話 改   作:chanhaya

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64話 うしろのしょうめんだあれ

 

 

 

ガガガガ! ギギギギギ! ボッグバッ!

 

 

ようやく再生した時雨の左腕を山城は再び食った。

 

そして追い打ちと言わんばかりに砲撃を時雨に向かって叩き込む。

 

ドゴォオン!ドゴォオン!

 

ついでにどっかから取り出した魚雷を投げつけながら突撃し、Uターンして再び時雨に襲い掛かる。

 

「カハッ、やるじゃあないか、海峡夜棲姫ぃ!」

 

時雨は血を吐きながら笑う。

 

「犬に喰わせておくには、もったいなかったな」

 

そのまま犬に胴体を噛みつかれるが、時雨は5インチ連装砲を山城の頭に押し付ける。

 

引き金を引いたが、いつの間にか壊れたのか弾は発射されなかった。

 

「チッ!」

 

仕方がないので右手を使って艤装の2門ある5インチ単装砲の右側を掴み、その砲身を山城の頭に押し付ける。

 

「チェック、メイトだ!」

 

バガァンッ!

 

山城の頭には約13センチの大穴が開き、山城with犬はそのまま消滅した。

 

時雨はそれを確認すると瑞鶴を殺すべく陸に上がる。

 

 

「ぐ、グボッ…………ッ、もうガタが来たのか…………」

 

時雨が吐血すると同時に身体に古傷や火傷痕が現れる。

時雨が残機をバケモノになる前に刻まれ、高速修復材でも完治できなかった傷だ。変成魔法でうまいこと隠していたが、体力が尽きかけているせいだろう。

 

「…………いけるか?」

 

時雨の目つきは鋭くなり、八重歯が牙の如く伸びる。そして、爪がナイフの様に尖る。

 

その姿を見た者は皆、悪魔だと口を揃えて言い出すだろう。

そう言われても不思議ではない程の姿であった。

 

瑞鶴もまた立ち上がり、時雨と相対する。しかし足がふらついている。そして、彼女はこう呟いた。

 

「まだ……まだ……まだ……負けてない」

 

瑞鶴は時雨を睨む。

 

「っ、人形が敗れたのね。でもね……追い詰めたわよ!時雨ぇ!!」

 

満身創痍の瑞鶴は同じく満身創痍の時雨に向けて叫ぶ。

 

「終わりよ時雨!!!」

 

「へえ、馬鹿踊りも終いにするかい?」

 

対する時雨は何故か余裕そうな表情だ。

 

「死ねぇ!!!」

 

「っ!?」

 

瑞鶴はワイヤーで時雨の四肢を切り落とし、皮膚にワイヤーを入れることで時雨を固定する。

 

「…………」

 

時雨は恐らく意識を失った。瑞鶴が奴を殺すことのできるチャンスは後にも先にも今だけだろう。

 

「ハア、ハア、ハア、ハア……早く……こいつの心臓を!」

 

瑞鶴は時雨が落とした日本刀を持ち、歩き出す。

 

「心臓を!心臓を!」

 

瑞鶴は時雨の胸元に刃を突き立てた。だが……

 

「……!?違う!こいつは……!違うッ!!」

 

瑞鶴が固定したと思っていた時雨は、時雨の変成魔法により見た目をマレー沖深海棲姫に変えられた山城だった。

 

「ああっ……そんな……なんで……!」

 

「はは、残念ハズレ~(笑)」

 

瑞鶴は時雨の声が聞こえてきた方角を振り向く。そこに時雨は居なかった。

 

いや違う。時雨は瑞鶴の背後にいたのだ。

 

「うしろの」

 

時雨の声が変わった。あの、聞くだけで虫唾が走るあの杉野の声に変わった。

 

「しょうめん」

 

瑞鶴の肩に手が置かれる。

 

「だあれっ?」

 

瑞鶴はぶん殴られ、前方に倒れ込む。

 

そして彼女の目の前に現れた時雨を見た。

 

「お、お前……!」

 

時雨は口の端を上げる。

そこには在りし日の、新米提督だった頃の杉野時雨少佐が立っていた。

 

「どうしたツインテ、立てよ」

 

時雨は瑞鶴に向かってゆっくり歩き出す。

 

「一発殴ってハイ、お終いって訳にはいかないんだよ。鉄屑」

 

瑞鶴は立ち上がろうとする。だが力が入らないのか上手く立つことが出来ない様子だ。

 

「ろくでもない外法で深海棲艦なんてものになるから、再生も回復もおぼつかない。まさか、中枢棲姫やら空母水鬼やらとのキメラになるとは思いもしなかったよ。だが、そんなキメラみたいな無理矢理の施術じゃあ、拒絶反応も出るってもんだ」

 

時雨は瑞鶴の前で止まって言う。

 

「今のお前は拒絶反応と疲労で体を磨り潰している。さあ、どうなるかな?もう、深海鶴棲姫の、その姿を保ってもいられんのだろう。じゃあどうなる?元の改二甲かな?いや、それとも……ガキに戻る」

 

瑞鶴(深海鶴棲姫)の体はみるみるうちに瑞鶴(未改装)に戻りつつあった。

 

時雨はその光景を見て、嘲笑うように言った。

 

「よう瑞鶴、15年振りだな」

 

「ッ!あんた、何のつもりよ!ふざけるな!」

 

瑞鶴が言っているのは恐らくリバイバル杉野提督(少佐)のことだろう。

 

「ふざけていなどいない。ふざけているのはどっちだ?お前の方だ。私はお前の余興につきあっているだけだ。お前のままごとにつきあっただけだ」

 

瑞鶴が反論する前に、時雨は話し続ける。

 

「姿形など私にとっては何の意味もない。何か月か前に見せたはずだ。私はなろうと思えば犬にも猫にもなんなら無機物にもなれる。物おぼえの悪い醜女だ」

 

「……ッ!」

 

「何の事はないさ。結局の所、突き詰めて行けばこんな物は、餓鬼の喧嘩なんだよ。だから餓鬼になったのさ。僕も!お前も!」

 

瑞鶴は顔を歪める。

 

「人は違う。この世に同じ人間はいない。趣味嗜好意見解釈、誰もかれも違う。闘争の本質だ。自分と違う者は認めない。認めない者とは敵対する。敵対した者とは闘う。闘う為に生きているようなもんだ。そしてそのためなら何もかもを引っくり返して叩き売りだ。そうしなければ生きることすらままならないそれが人というものだ。私たちのようなバケモノでもそれは変わらない」

 

時雨の声色が急変する。艦娘の時雨の声に戻る。

 

「私が憎かった?いいや、それもあるが少し違うな。僕に嫉妬したんだろ?僕と闘ってみたかったんだろ?だから殺したいんだろう?殺してみたかったんだろう?」

 

「っ……黙れ!」

 

「いいや黙らない。僕を殺さなきゃ、一歩も前に歩めなくなったんだろ?お前は」

 

瑞鶴は顔を押さえてしゃがみ込む。まるで涙を隠しているようだ。

 

「……違う!」

 

「違わない。進む術も知らんのだろう?無用者になるのが怖いか?ただの鉄屑同然になるのが怖いか?哀れな深海棲艦の姉と一緒に朽ちていくのが怖いか?僕に忘れられるのが怖いか?安心しろ。僕は多分お前のことなんて割とすぐ忘れるし、お前なんかよりその辺に転がったスクラップ共の方がずっと役に立ってる」

 

そこで一旦言葉を区切る。

 

「ふざけるな!ふざけているのはお前だ!!瑞鶴!!」

 

いつの間にか姿も艦娘の、深海に片足突っ込んだような、赤い瞳の時雨に戻っていた。

 

時雨は再び瑞鶴を嘲笑うように言った。

 

「お前は餓鬼だ。15年前から何一つ変わっていない、何も出来ないガリッガリの、文字通りの糞餓鬼だ」

 

瑞鶴の体がビクリとする。だが、それでもまだ足りない。まだまだ言いたいことはある。

 

時雨はニヤリと笑う。そして再び口を開く。

 

「さあおいで、糞餓鬼!」

 

 

後日談書きたいんですが、読みます?

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  • 蛇足だから書くな
  • 串本の白露の話を書け
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