【本編完結】転生したらブラック鎮守府の時雨だった話 改 作:chanhaya
「お前の負けだ、時雨」
………………負ける?一体誰が?僕が負ける?誰にさ。
『負ける?僕が?冗談はよしなよ』
『負ける?私は、私達は負けん。負けるはずがない』
…………。
何だ、何を見ているんだ、僕は。これは幻覚か、夢でも見ているのか。
何だこの情景は、この有様は。
彼女が眺めていたのは、東京湾に映る朝焼けであった。
ああ、そうだ。そうだった。
あの時もこんな日の光だった。
私が死んだ光景は、いつもこのこれだ。
忘れかけていた、思い出せなくなっていた記憶が蘇ってくる。
……………………日の光って、こんなに綺麗で、美しかったんだなぁ……。
時雨の体から力が抜け落ちていき……屍海もろとも離散し始めた。
その頃、クズネツォフとともに時雨の様子を見守っていた荻原は( ゚д゚)とした様子であったが、すぐに気を取り直す。
「何だ!何が起きている!?時雨に何をした!」
「なにも。ただ、少し現実というものを押し付けただけだ。今の時雨は越界棒という物を吸収した。越界棒は文字通り世界を超えて別の世界へ行くことができる性質をもつものだ」
「どういうことだ」
クズネツォフは鼻を鳴らす。まるで理解のできないものを侮蔑するかのように。
「わからないだろうな。我々だって原理なんてものを知らない」
クズネツォフの言葉通りだ。誰も知らない。なぜこの道具にその力があるのかすらも不明だ。だが事実としてあるのだ。その力が。
「だが、越界棒にはもう一つ性質があることが分かっている。それは、博士が考えたえ~っと、現実値だったか?私は細かいことは知らんが、越界棒はその現実値がほぼ0だ。この世界のほとんどの物の現実値は95.0らしいんだが、越界棒は……まあ、すごいね」
「……話が見えんぞ?どういう意味だ」
「頭の固い若者だな、全く。要するに水の入ったコップに角砂糖を放り込んだようなもんなんだよ、それは」
つまり。
「越界棒と時雨はまもなく同化しようとしている。低すぎる現実値のせいで、時雨の存在は今にも消えてしまいそうなほど不安定になってるんだ。それが今のあいつの状況だ」
「何だと……!そんなバカなことがあってたまるか!!」
「だから言ってるだろ。私だって信じちゃいない。そんなことがあるわけないんだから。だがな、事実だ」
「……そんなことが」
「ほら、この画面を見ろよ。もう屍海は霧と化したぞ」
いつの間にか屍海だったものが雲散し始めている。
「よく見たら時雨の方も若干半透明になってきているじゃないか。お前も見てみろ、な?」
クズネツォフは呆然と立ち尽くす荻原を顎で指す。
「時雨!」
荻原は時雨に向けて叫ぶ。
半透明になり、瞼を閉じていた時雨は、目を眠たそうに開けると声の方に視線を向かせた。
「時雨!しっかりしろ!!時雨ぇ!!!」
荻原は続ける。何度も、時雨の名前を、呼び続ける。
「命令だ!時雨!!消えるな!死ぬんじゃない!!お前はまだ……まだ……」
……僕は、僕を呼んでくれる人がいることを幸せに思った。僕の死を悲しんでくれる人のことを、愛しく思った。そして同時に怖くなった。
僕はこの人を……皆を置いていく。置いていってしまう……。
それが、堪らなく怖い。
「……っ……」
僕の頬には涙が流れていた。
「……ぁぁ……」
……ごめんなさい、提督……。
「……っぅ……く……」
……ねぇ、お願いだよ。最後に君の顔が見たい。君の瞳に、うつっていたいよ……。
「時雨!」
「…………ぁ…………てい、とく」
やっと言葉が出てきた。でもやっぱりうまく喋れないや。
でも良かった。最後の瞬間に彼の顔が見られて。
「…………さようなら……提督……」
「……時雨……」
そして時雨の体は完全に消えてしまった……。
後に残ったのは、彼女のつけていた髪飾りと刀、そして……越界棒だけだった……。
はい。SCP大好きです。
SCP-3001いいですよね。
後日談書きたいんですが、読みます?
-
読むから書け
-
あったら読む
-
好きにしろ
-
読まない
-
どうでもいい
-
蛇足だから書くな
-
串本の白露の話を書け