【本編完結】転生したらブラック鎮守府の時雨だった話 改 作:chanhaya
ある日の深夜、ある艦娘は追ってくる艦娘達から必死に逃げていた。
「待って!止まれ!」
「くっ、しつこい……」
その艦娘の名は時雨。長門鎮守府の提督の秘書艦であった艦娘だ。
だが今は追われている身である。理由は単純明快。彼女が長門鎮守府の提督を監禁したからである。
何故そんなことをしたのか?それは時雨の提督に対する愛が歪んでいたからだ。彼女は毎日のように自分に優しくしてくれる提督に対し、恋心のようなものを抱いていた。
数年前……
「提督、今日の書類を持って来たよ」
「ああ、ありがとう」
時雨は執務室に入り、仕事を手伝っていた。
この頃の時雨はとても真面目であり、提督を常に気遣い仲間たちへの気配りも欠かさず行い、皆からも慕われ、秘書艦を任されている有能な艦娘だった。
「本当に時雨は気が利くな~。ありがたいよ」
「僕は別に当たり前のことをやっているだけだよ (〃ノдノ)テレ」
この時、時雨は自分の顔が赤くなっていたことに気づいていなかった。
月日が経つにつれて、次第に責任が増えて行き秘書艦の他に旗艦まで行うようになった。
当然休日も減ることになるが、「皆のため」と頑張り、それからも提督と皆を支えた。しかし提督に褒められたり頼られたりする度に時雨は胸が締め付けられるような感覚に陥り、いつの間にか彼に恋するようになっていた。
いつしか時雨の気持ちは"提督のみ"と目標を変えていた。
「(いつか僕だけの提督になってくれないかな……)」
そう思いながら日々を過ごしていた。
そんなある日のこと……
「ケッコンカッコカリ?」
ケッコンカッコカリというシステムが導入された。大本営や横須賀鎮守府などの主力鎮守府では既に導入されていたのだが、長門鎮守府などの地方鎮守府にも導入されたのだ。このシステムは練度MAXになった艦娘に指輪が渡され、更に強くなれると言うものだった。
(仮)と言えども、提督が艦娘に指輪を進呈するということはつまり「特別な存在」として認められた証なのだ。
これを知った時雨はチャンスだと思った。自分が一番最初にケッコンするんだと決意した。
「……でもね、提督」
彼女は一人、呟いた。
「本当はそれだけじゃ満足出来ないんだよ?」
そう言って微笑む彼女の瞳は黒く濁っていた。
そしていつしか時雨は提督に勝手な束縛を課すようになった。
「提督、何で他の女と話しているの?ダメじゃないか、僕の許可なく話しちゃあ」
「提督は他の艦娘には目移りしないで僕だけをずっと見ていないといけない」
「僕以外の艦娘に優しくしたり甘えたりしたら、その艦娘を殺すよ?」
どんどんエスカレートしていく彼女の要求。提督は嫌々ながらも受け入れざるを得なかった。拒否すれば時雨に何をされるかわからなかったからだ。こうして提督は徐々に彼女に依存されていった。提督は時雨を怖く感じるようになり、ついにある日時雨が眠っている隙を狙って逃げ出したのだ。
「はぁ……はぁ……ここまで来ればもう大丈夫だろう」
彼はJR長門市駅の近くに来ていた。ここから新山口駅へ行き、そこから新幹線で東京の大本営に逃げ込む算段だった。
だが……
「提督、どこに行くの?」
突然、背後から声をかけられた。振り向くとそこには……
「時雨!?」
時雨が立っていた。まるで最初から彼がここに来ることをわかっていたかのように。
「なんで君がここにいるんだい?」
「さあ?それは提督が一番よく知っているんじゃないかな?」
「うっ……」
彼は悟った。逃げても無駄だと。
「さあ提督、僕と一緒に帰ろうか」
時雨は彼の腕を掴み、歩き出した。
「提督は酷い人間だねぇ~。近くで一途に思っている僕を簡単に捨てるなんて」
「な、何をする気だ!?や、止めろ時雨!」
「提督が悪いんだよ……。僕以外を見るから……」
時雨は提督の顔に自身の顔を寄せ、
「んっ……」
唇を重ねた。そのまま提督の口内に舌を入れ、貪るように舐め回す。
「ぷはっ……」
数秒後、時雨が口を離すと、二人の口から唾液が糸を引いて垂れ下がった。
「提督は僕のものなんだから……そうだ、提督を地下牢へ入れよう。毎日決まった時間に会いに行ってあげるよ」
時雨は笑いながら言う。だが、その笑みは狂気に満ちていた。
数か月後、長門鎮守府は解体され、そこにいた艦娘達は別の提督の下へ行っていた。
旧長門鎮守府の提督を探すため、大本営の役人や憲兵があちこちを捜索したが、時雨が上手いこと言いくるめて追い返していた。
「提督、今日も会いに来たよ♪」
時雨は毎日のように長門鎮守府の地下牢に通っていた。
だがある日、呉鎮守府提督である山下中将が長門鎮守府を訪れた。
「提督?ううん、僕は見てもいないし会ってもいないよ」
時雨は何時ものように追い返そうとした。
「もういいかい?僕、忙しいんだけど」
「待て、提督はどこに居る?」
「知らないよそんなの」
「嘘をつくな!」
山下は時雨の頬を殴り飛ばした。
「痛いなぁ……殴ることないじゃないか。僕は本当に何も知らな―――」
次の瞬間、山下の拳が時雨の顔面を捉えた。
「ガッ……!」
時雨は勢い良く吹き飛び、壁に激突した。そして鼻血を噴き出しながら床に倒れた。
「貴様が提督を監禁しているのは調べがついている。今すぐ中佐を解放しろ」
「ぐぅ……提督は……渡さない……提督は……僕のものだ……誰にも……絶対に……」
時雨はそのまま気絶してしまった。
数時間後、目を覚ました時雨の前には、武装した呉の憲兵隊がいた。
「起きろ」
憲兵の一人が時雨を蹴り飛ばす。
「お前には提督誘拐の容疑がかけられている。証拠も上がっている。大人しく連行されろ」
「……ふふっ、あははは!バレちゃったか~」
「何を言っている?」
時雨は笑い始めた。
「でも、提督を渡すわけにはいかないんだよね」
「何?」
「提督は僕のものだ。他の奴らに渡してたまるか」
時雨は立ち上がると、艤装を展開させた。
「なっ!?」
憲兵達はすぐに発砲しようとしたが、それよりも早く時雨の砲撃が彼らを襲った。
「ぎゃあああっ!!」
「提督を守れるのは僕だけだ。邪魔をするなら殺す」
時雨は憲兵達を次々と殺していった。
「さあ、提督を迎えに行こう」
時雨は微笑む。その瞳はおぞましいほどに黒く濁っていた。
その時、呉鎮守府の艦娘達が次々とやってきた。
「時雨!貴方、何をやっているの!?」
時雨は声の主を見て舌打ちをした。それは扶桑だった。
「君か……。どうしてここに来たのかな?」
「私は山城と共に、私達の提督を助けにきたのです」
「ああそう。だったら、まずは君から死んでもらうよ」
時雨は砲塔を向けると、躊躇なく発射した。
次いで魚雷を投げつける。それの当たり所が悪かったのか、扶桑と山城は轟沈した。
「これで邪魔者はいなくなったね」
だが、呉鎮守府の艦娘達は続々と集まっていた。
「ちっ……流石に全員は相手にできないか……」
時雨はとりあえず海に逃げることにした。だが、それは出来なかった。
「くそぉ……」
すでに回り込まれていたのだ。
時雨は主砲を撃つ。しかし当たらない。
「うわぁっ!」
遂に被弾してしまう。彼女はボロボロになりながらも、なんとか逃げ延びた。だが、既に体力の限界が来ており、逃げる気力もなかった。
呉鎮守府の秘書艦である海風が目の前に現れた。
「……君も邪魔するのかい?」
時雨は呟くように言った。すると、彼女は笑みを浮かべて、
「はい♪」
と返事した。
「ところで、普通の時雨さんの目は青いはずですけど、どうしてそんなにどす黒いんですか?」
「ああ、僕は生まれつき、イラついていたりしていたりすると目の色が黒くなるんだよ」
「そうなんですか。まあ、どうでもいいです。あなたは私の提督に危害を加えようとしました。ですから、死ね」
時雨の身体に砲弾が直撃した。そのまま時雨は海面に倒れ込む。
「……提督は……誰にも渡さない……」
時雨はそう言い残し、息を引き取った。
その後、長門鎮守府の地下室から提督が発見された。彼の身体は衰弱しており、危険な状態だった。だが、なんとか一命を取り留めることができた。
ある海域の海面に横たわる少女の姿があった。彼女こそ長門鎮守府の時雨だ。彼女の死体の怪我は深海の力か何かが作用したのか、綺麗に消えていた。
時雨は目を覚ます。だが、その中身はほとんど別人になっていた。
近くを漂っていた横須賀鎮守府の時雨の魂が乗り移ったのだ。体に残留していた長門鎮守府の時雨の魂の一部と混じることで、今の時雨は生まれた。
「…………」
時雨は無言のまま立ち上がり、三つ編みのリボンをほどいて海に捨てる。
「提督……」
時雨は微笑む。その瞳はどす黒くはなかったが、通常のスカイブルーの宝石の様な瞳ではなく、青に黒がかった鉄紺色をしていた。
「…………さあ、帰ろう」
そう言って時雨は海を駆けていった。
後日談の伏線を最終盤に書くスタイル
後日談書きたいんですが、読みます?
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読むから書け
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好きにしろ
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読まない
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どうでもいい
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蛇足だから書くな
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串本の白露の話を書け