【本編完結】転生したらブラック鎮守府の時雨だった話 改   作:chanhaya

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ちなみに荻原の名前の由来は駆逐艦時雨の最後の艦長である荻原学少佐です。


第一章
1話 提督着任①


side提督

 

私の名は荻原大輔少佐。今日付けで横須賀鎮守府に着任する提督だ。

 

 

今から約25年前、第三次世界大戦の最中『深海棲艦』という存在が突如として姿を現し、人類と戦争を始めた。

 

人類はこれに立ち向かった。しかし、奇跡的に核兵器は使われていなかったものの、数年の大戦争により疲弊した人類はじりじりと制海権を失っていった。

ちなみになぜ深海棲艦と名付けられたのかというと見た目や機能が艦これとかいうゲームに出てくる深海棲艦という敵にそっくりだったかららしい。

(艦これは三次大戦のときにDMM本社が爆撃で吹っ飛びサ終した)

 

深海棲艦の出現から半年がたち、人類に厭戦気分が起こり始めた頃、日本で『妖精さん』と呼ばれる存在が現れた。それは限られた人間にしか見ることが出来ないものだった。しかし、深海棲艦の出現から1年がたった頃、その限られた者たちは妖精さんの協力により深海棲艦に対抗できる存在を作り出した。それが『艦娘』だった。

 

最初に建造された吹雪・叢雲・漣・電・五月雨の五体は初期艦と呼ばれ、日本近海の制海権を奪還していった。しかし、深海棲艦は巡洋艦、戦艦、空母、潜水艦と種類を増やしていき、それに対抗して国防海軍も建造を繰り返し艦娘の数と種類を増やしていった。

 

艦娘を指揮する海軍の軍人は『提督』と呼ばれるのだが、その提督になるには妖精さんを視認できることが絶対条件だった。故に提督は慢性的に人材不足だった。

大本営は増えた艦娘を指揮するため海軍の基地を流用して『鎮守府』をつくった。そこでは原理は全くもって不明だが座して待つだけで勝手に燃料、弾薬、鋼材、ボーキサイトの4つの『資材』が増えていった。

 

『妖精さん』『艦娘』『提督』『資材』があって人類(というか艦娘を開発した日本)は漸く深海棲艦に対抗できるのだ。

 

そして、艦娘は替えがきく。

 

妖精さんや提督は希少な存在だが、ほっとけば湧いてくる資材と妖精さんが作った艦娘核(原料は人間の死体)さえあれば艦娘は幾らでも建造できるのだ。

 

 

それ故に、艦娘兵器思想とともに捨て艦戦法という悪質な指揮が蔓延してしまった。

 

その結果、多くの艦娘が轟沈し、深海棲艦の戦力が増大した。

 

原理は全くもってわからないが、艦娘たちの恨みが蓄積して深海棲艦を生んだのかもしれない。

 

それによって悲劇が起きた。2047年深海大侵攻。捨て艦戦法や盾艦戦法、大艦巨砲主義を掲げ、とてつもない数の艦娘を轟沈せしめた室蘭鎮守府、大湊鎮守府、そして艦娘人間主義を掲げ二つの鎮守府よりは遥かにマシだったものの最近轟沈数が増加傾向にあった網走鎮守府が深海棲艦の大侵攻を受け、提督も含めて全滅したのだ。

 

 

この事実を受け、大本営は方針を転換した。提督らの反対を押しのけ、艦娘を軍人として扱うよう命じた。そして、提督が大本営の意志に反した場合のため海軍警察、通称『憲兵』の権限を強化した。

これが功を奏したのか年々艦娘の轟沈数は減っていった。

 

しかし、裏ではいまだに同じことが続いているのか深海棲艦の侵攻は止まらなかった。

 

 

 

 

私がこれから着任する横須賀鎮守府にて不正が発覚した。捨て艦戦法や盾艦戦法、大艦巨砲主義に加え、艦娘を性欲の捌け口にするという下衆の極みのような悪質な鎮守府だった。

 

車をおりると横須賀鎮守府の大淀が冷たい目で警戒してきた。

この状況を打開するためにはなにか会話をしなければ!

 

「鎮守府には何人の艦娘がいるんだ?」

 

「…ここに所属しているのは約80名です」

 

警戒色の濃い声音でそう応える大淀。予想よりも多く艦娘がいた。資料にも轟沈した数は少なかった。

 

「…失礼かもしれないが…多くないか?」

 

「…この鎮守府には、守り神がいますから」

 

守り神?どういうことだ?その守り神のお陰で彼女らは今まで生き残った?

 

 

そんな会話をしていたら、私たちは執務室のドアの前についていた。少々力みながらドアを開ける。

なんか机に突っ伏して寝てる艦娘がいるような気がするが気にしない。

 

「新しくここに着任する提督をお連れしました」

 

「ああ。大淀、ありがとう」

 

彼女は大淀にお礼を言い、そして私の目を見た。見定めるかの様な、鋭い目で。

 

「あなたが提督か。私は大和型戦艦二番艦、武蔵だ。よろしく頼むぞ」

 

武蔵はそう言って手を差し出してきた。こういうのは第一印象が大事なのだ。

 

「ああ、私は荻原大輔。階級は少佐だ。これからよろしく頼む」

 

差し伸べられた手をしっかりと握る。

 

それに驚いたのか艦娘たちは一斉に目を剥く。そしてすぐに元の真剣な表情にもどる。

 

「さて、他の面々と役職を紹介しよう。私は戦艦総括で、隣にいるのが正規空母加賀、役職は空母総括だ」

 

「ご紹介に預かりました。空母総括を務めさせている加賀です」

 

「次に重巡総括の古鷹型重巡洋艦2番艦、加古」

 

「加古だよ。よろしく」

 

 

「軽巡総括の球磨型一番艦軽巡洋艦、球磨」

 

「球磨だクマ。よろしくクマ」

 

 

ファーヨクネター

 

 

「駆逐艦総括の秋月型駆逐艦4番艦、初月」

 

「初月だ。よろしく頼む」

 

全員が手を差し伸べてきたが、瞳には警戒色が色濃く出ていた。

 

 

「あと、ここにはいないが第一種指揮権所持で第1艦隊旗艦の時雨がいる」

 

 

アレ?ナンカムシサレテネ?

 

 

「は?」

 

思わず声に出してしまった。

第一種指揮権を持っているということは前任の秘書艦だったということで、尚且つ1番出撃頻度の多い艦隊の指揮する立場にあるということだ。どんだけワーカーホリックなんだと一瞬思ってしまった。

 

「…まあ、そうなるな」

 

武蔵が後悔に塗れたような声音でこぼす様に言う。

 

 

オーイムシシナイデー

 

 

「どういうことだ?」

 

武蔵たちは目と目で相談している。私は完全に蚊帳の外だ。

 

「…提督、今から話すのは、言ってしまえばこの鎮守府の闇そのものだ」

 

闇そのもの。その言葉は、限りなく重い。ひとまず聞いてみるほかなかろう。

 

「時雨は…」「お゛い、無視しないでよ゛」

 

「「「「「ッッッ!!!!」」」」」

 

若干ドスの効いたその声に私を除く全員が息を呑む。

 

「いつからそこにいたんだ⁉」という顔で見つめる艦娘たちを無視して、珍しいロングヘアーの時雨は私の目の前に歩いてきた。

 

片目(・・)に若干イライラしたような感情を浮かべながら。

 

 

side時雨

 

 

転生時雨は激怒した。

必ず、目の前の連中に存在をしめさねばならないと決意した。

 

『いや提督なんでメロスみたいなナレーションしてるんだい』

 

うるさい。雰囲気台無しじゃねーか。

 

『僕の姿でアホなことをされると風評被害がヤバイからね。実際にpixiv版の別の転生時雨が魚雷(意味深)をやったせいで風評被害が出てるしね』

 

メタいからやめてくれ。キレる気力も無くなってきた。

 

『さっきから気になってたんだけどどうして怒ってるんだい?』

 

ああ。それはな…

 

 

(回想)

 

いつものように提督に犯された後。

 

「あ~提督が逮捕されるの楽しみだな~。あっそうだ。憲兵隊が来るのは早朝だから来るまで提督の机で待機してよっと」

 

スピー

 

(回想終わり)

 

 

『…それでそのまま寝ちゃったと?』

 

ああ。子供の身体って不便だよな。

 

『それ提督の自業自得だよね…』

 

ところで今、絶賛艦娘たちに無視されてるんだが。

 

 

「あと、ここにはいないが第一種指揮権所持で第1艦隊旗艦の時雨がいる」

 

 

……ここにいるけど?

 

『あれかな?僕は"どこにもでもいるし、どこにもいない"みたいな』

 

なにそのシュレディンガー准尉。

 

 

「…提督、今から話すのは、言ってしまえばこの鎮守府の闇そのものだ」

 

 

なんか武蔵の奴勝手に何かしゃべろうとしてるな。

 

「時雨は…」「お゛い、無視しないでよ゛」

 

何気に転生してから初めてドスの効いた声を出した気がする。

 

「「「「「ッッッ!!!!」」」」」

 

そりゃ驚くだろうな。

 

 

 

 

side提督

 

急に体がこわばった。

 

時雨からは覇気も威圧感もほとんど感じないのに、本能が『コイツはヤバイ、強すぎる。死ぬぞ』と脳に直接叫んでいる。

 

だがそんなものはすぐに消えた。

 

「僕は白露型駆逐艦時雨。これからよろしくね」

 

彼女はそう言って手を差し伸べてきた。彼女の右目からは歓喜や好奇心が感じられた。

地味にノイズが走っているように()()()で、はっきりとは感じ取れないが、負の感情は一切入っていなかった。

 

「じゃあ、邪魔になりそうだから僕はそろそろ行くね」

 

そう言うと時雨はそそくさと執務室を出て行った。

 

静寂が執務室を支配する。

 

艦娘たちからは様々な感情のこもった視線を向けられている。

 

このままでは私のSAN値が持たないのでひとまず武蔵に疑問を投げかける。

 

「なあ、あの時雨は左目が見えないんじゃないのか?」

 

「っ!あれだけで気づいたのか!?…さすがだな…ああ、ほぼ確実に失明しているな」

 

話忘れたが、私は相手の目を見るだけで相手の感情や思考が大まかに読めるという才能?というか能力を子供のころから持っている。

 

私が海軍に入ったのは、その能力のせいで嘘や偽りで塗り固められた人々の思いを感じ取りまくり疲れてしまったからだ。いや、社会から逃げたと言った方が適切かもしれない。

 

時雨からは最初、右目からしか怒りを感じず、穏やかな笑みを浮かべている時も右目からしか感情を感じられなかった。

 

「時雨についてはまた今度話す。私のSAN値がもうすぐ限界を迎えそうだからな」

 

(いやお前もかよ)

 

武蔵がそう言うと他の艦娘たちも執務室を出ていった。

 

 

 

「…先は長そうだな…」

 

誰もいなくなった執務室で私は誰かに言うわけでもなくそうつぶやいた。

 

 

 

だが、この時の私は気づけなかった。あの時雨がとんでもない爆弾を抱えていることに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side時雨

 

提督と会った後、僕は自分の部屋に戻ろうと廊下を歩いてた。すると前方から見覚えのある人物が近づいてきていた。

 

「あ、時雨ちゃん……」

 

……誰だっけ?この芋くさい奴は……吹雪か。何か言いたいことがあるらしいみたいだね。何の用だ?

 

「何の用だい?」

 

「えっと……」

 

僕の顔は自然と険しくなる。吹雪は何とも言えないような微妙な表情をしていた。まるで何かを言いかけて、躊躇っているようだ。

こういうのが一番面倒くさいんだよな……。

 

「……大丈夫だよ、吹雪」

 

安心させるように、なるべく優しく言う。

 

だが吹雪は黙り込んたままだった。

 

やっぱりめんどくさいなコイツ……。早くしてくれ。僕だってそこまで暇じゃない。

 

「焦らなくていいよ。待ってるから。言いたいこと、早く言って?」

 

なるべく優しい口調で言うように努めるが、やはりどうしてもトゲのある声になってしまうな。

 

まあいいや。

 

そう思案しながらしばらく待っているとやっと決心したようで、口を開いた。

 

「……時雨ちゃん。……司令官が変わったの。次の司令官がどんな人なのかまだ分からないけど……その、時雨ちゃんに負担をかけるようなことにはさせないから……!」

 

吹雪が涙ぐみながら言ってくるのを、無感動に聞いていた。正直言ってイラつくだけだ。

 

まあ、とりあえず返事だけしておこうか。適当で良いだろう。

 

「分かった。それじゃ」

 

「あっ……」

 

吹雪は僕のことを心配しているような顔だった。その表情に、心の中で舌打ちをしたくなった。なんだその、哀れむ様な顔は。

 

「僕は忙しいんだ。君にかまっている時間は無い」

 

自分でもびっくりするくらいに冷たい声が出た。そのせいか、吹雪は完全に固まってしまっている。だがそれも一瞬で、ハッとした顔をした後

 

「……そっか。ご、ごめんなさいっ……」と言いながら走り去っていった。

 

 

「…………ッ!!」

 

クソ、腹立つ!

 

僕は拳を力いっぱい握り締める。血が出る程ではないにしてもかなり痛かった。だけど痛みを感じるほどに、その衝動は収まった気がした。

 

気持ちを落ち着かせる。深呼吸を繰り返すうちに、徐々に冷静さが戻ってきた気がした。

 

 

 

 

後日談書きたいんですが、読みます?

  • 読むから書け
  • あったら読む
  • 好きにしろ
  • 読まない
  • どうでもいい
  • 蛇足だから書くな
  • 串本の白露の話を書け
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