呉時子とデートをすることになった柳葉竜胆は、一緒に買い物をしたり、映画館や遊園地とかに行けばいいんだろうかと考えてはいたがデート自体をしたことがないようで困っていた。
とりあえず仲の良い護衛者達にも「デートってのは、どうすりゃいいんだ」と聞いてみた柳葉竜胆だったが、出会いの少ない護衛者達にもデートをした経験がある者は皆無。
うまく助言をすることができなかったことを悔やんだ護衛者達は、妻も愛人もいる御前なら竜胆にも助言ができるかもしれないと考えて、片原滅堂に聞きにいくことを柳葉竜胆にすすめた護衛者達。
まあ、爺さんならデートしたことは、ありそうだなと思った柳葉竜胆は片原滅堂に「呉時子さんとデートすることになったけど、どうすりゃいいか教えてくれねぇか爺さん」と聞く。
「教えてもよいが、1つ聞こう、竜胆は、どんなデートをしようと考えておったんじゃ」と柳葉竜胆に聞いてきた片原滅堂に「買い物を一緒にしたり、映画館や遊園地に行ったりとかそんなところだ」と答えた柳葉竜胆。
「助言する必要もないようじゃのう、最初は、そんなもんで良いんじゃよ竜胆、これから相手のことを学んで、次からは相手が楽しめるようなデートをすればよいのじゃ」と言って片原滅堂は笑った。
「そんなもんなのか」と言う柳葉竜胆に「そんなもんじゃ」と言った片原滅堂は「まあ呉のお嬢さんなら買い物で武器を見に行こうとする可能性もあるがのう」と言いながら髭を弄る。
「武器ならある程度は俺も使えるし、目利きもできるから武器を一緒に見るのは問題ないな」と言って笑う柳葉竜胆に「なら何も問題はないようじゃな」と頷いた片原滅堂。
呉のお嬢さんと竜胆は話が合いそうじゃのうと思っていた片原滅堂は、これなら竜胆のデートもうまくいきそうじゃなと考えて安心していたようであり、まるで子どもを見守る親のような気持ちになっていたらしい。
柳葉竜胆と呉時子のデート当日に待ち合わせ場所に向かった柳葉竜胆は、呉時子よりも先に到着していて、しばらく待たなければいけないことになったが特に緊張することなく落ち着いて呉時子が来るまで待つ。
体格が良く筋肉も隆起して身長も高い柳葉竜胆は立っているだけで目立っていたようで、格闘家かと思われていたが柳葉竜胆本人が聞けば「俺は料理人だぞ」と迷わず言うことは間違いない。
待ち合わせ場所で待っている柳葉竜胆に「待った?竜胆」と言ってきた呉時子は動きやすいようにズボンを履いていて、懐にナイフを忍ばせているようであり、荒事があっても問題は無さそうだ。
「まあ、そこまで待ってはいないんで、さっそく買い物に行きましょうか呉時子さん」と言う柳葉竜胆へ「竜胆、時子って呼んでくれるとあたしは嬉しいな」と言い出した呉時子。
「じゃあ一緒に行きましょうか時子」と言って手を差し出した柳葉竜胆の手を掴んで「うん、竜胆」と言った呉時子は、とても嬉しそうな顔をしていたようであり、大好きな柳葉竜胆に名前を呼ばれて一緒に手を繋いでいるだけで幸せな気持ちになっていた。
柳葉竜胆と呉時子のデートが始まっていき、買いたいものがあるという呉時子が教える道を進んでいくと裏路地に入ることになった柳葉竜胆は、人気の少ない場所だなと思いながらも立ち止まることなく進む。
到着した店は裏の武器屋であり、非合法な武器が山ほど売られている場所で、刃物も各種取り揃えてあるらしく、商品に指紋が付かないように店主から渡された手袋を着けた呉時子が様々なナイフを見ていく。
裏の武器屋を営む店主は拳願仕合も知っており、番外の牙として有名な柳葉竜胆の顔も知っていたので、武器屋に柳葉竜胆が呉一族と一緒に来たことには物凄く驚いていたが、それを顔に出すことはない店主。
柳葉竜胆もナイフの目利きに加わって呉時子と一緒にナイフを見ていくと、ある1本のナイフが目についた柳葉竜胆は手袋を着けたままの状態でナイフの柄を握り、手慣れた様子でナイフを振るう。
それは高価なナイフであり、信頼性の高い職人的な作りでカミソリ並みの鋭い切れ味を誇るナイフは少々ラフな扱いをしても刃こぼれすることはない頑丈さも持ち合わせているようだった。
「そのナイフ良いね竜胆」と言ってきた呉時子に「じゃあこれを買いましょうか」と言うと柳葉竜胆はナイフを購入する為に財布を取り出して店主に近付いていき、ナイフの代金を支払って包装されたナイフを受け取ると呉時子にナイフを渡す。
「デートですからプレゼントということで受け取ってください」と言った柳葉竜胆に「買ってくれたこのナイフは大事にするね、ありがと竜胆」と言いながら呉時子は嬉しそうに笑った。
物騒な買い物を終えて今日は映画館に行くことにした柳葉竜胆と呉時子は、映画館に入るとどの映画を見ようかと迷うことになり、基本的にアクション系は、リアルなものを知っている柳葉竜胆と呉時子では楽しめないんじゃないかと判断していた2人。
デートということで恋愛系の映画を見ることになった柳葉竜胆と呉時子は、カップルの多い劇場内で映画を見ていき、今の流行りはこんな感じなのかと思いながら映画を見る柳葉竜胆は、すれ違っていた2人が最後に幸せになれたなら良いのかもしれないなと恋愛映画を見て思っていたらしい。
「ハッピーエンドで終わって良かったね竜胆」と恋愛映画を見終わった素直な感想を言ってきた呉時子に「初めてのデートがバッドエンドの映画にならなくて良かったと思っていますよ時子」と言う柳葉竜胆。
映画を見る場合は事前にある程度は調べておいた方が良いかもしれねぇなと思った柳葉竜胆は少しずつデートについて学んでいたようで、確実に成長をしていっている柳葉竜胆は、相手を楽しませる為に努力する。
デートをしている最中に昼食の時間になり2人で食事をすることになった柳葉竜胆と呉時子は、柳葉竜胆が匂いで選んだ店に入ると、メニューを見て注文した料理を待つことにした柳葉竜胆と呉時子。
注文した料理が届いて目の前に置かれていき、さっそく料理を食べ始めた柳葉竜胆と呉時子は美味しいと思っていたようで、この店を選んだ柳葉竜胆の嗅覚は正しかったらしい。
この味つけも悪くないなと思った柳葉竜胆は料理を食べただけで使われている調味料と隠し味を理解しており、再現しようと思えば再現することができる柳葉竜胆の料理人としての腕前はかなり高いようだ。
満足のいく食事ができた柳葉竜胆と呉時子は、デートということで柳葉竜胆が2人分の支払いを済ませると店から出ていき、それから腹がこなれるまでしばらく歩いてみることにしたようで、2人は町中をゆっくりと歩いていく。
並んで歩いていった柳葉竜胆と呉時子の2人は、とても穏やかな時を過ごしていたが、その穏やかな時間は長く続くものではなく、裏が関わる騒動に巻き込まれることになった2人。
裏の戦場の1つであり武器の使用すらも許されているデスファイトという裏格闘技に参加している男が、仲間を連れて1人の女を狙っている場面に遭遇してしまった柳葉竜胆と呉時子。
デスファイトの実力者であり武器の使い手である男と仲間達は、1人の女を殺す為に武器を持っていて、ちょうど襲いかかろうとした時に柳葉竜胆と呉時子が通りがかったようである。
襲われそうになった女は落ち着いて武術の構えを取っており、武器を持った手練れの相手が複数人いようが全く怯えはなく、荒事に慣れた実力者であることを感じさせていた。
「処理は専門業者に任せりゃいいんだ、ついでに目撃者も一緒に殺っちまえ」とリーダー格のレイピアを持った男が言い出すと柳葉竜胆と呉時子にも武器を使って襲いかかってくるデスファイトの実力者達。
襲われている女の顔を見て名前と顔を知っている相手だと理解した柳葉竜胆は、武器を持った連中に随分と恨まれているようだけど何をしたんだあの人はと考えながら泉初美のことを横目で見ていき、デスファイトの実力者を一撃で沈めていく。
呉時子に襲いかかろうとした相手も倒した柳葉竜胆は、目撃者を始末しようとしたデスファイトの連中の顔面を容赦なく叩き潰して倒していくと、最後に残ったリーダー格のレイピア使いと泉初美の戦いを見た。
レイピア使いの鋭い連続突きを避けている泉初美は袴を履いていて膝の動きが全く見えないようになっているようで、泉初美の動きを完全には読むことができていないレイピア使い。
戦況を変えようと「どうした、踏み込んで来い」と言い出したレイピア使いに「では、踏み込みましょうか」と言った泉初美は踏み込んだように見える動きをする。
それに釣られて突きを放ったレイピア使いは泉初美にレイピアが刺さらないことを驚くが、前進したと見せて全力で下がっている体捌きを披露した泉初美はレイピア使いに接近。
一度伸ばした腕は引かねば突くことはできず、懐に入られたレイピア使いは泉初美に腕を掴まれて天秤投げで投げられると持っていた唯一の武器であるレイピアを手放してしまう。
泉初美が合気の使い手であることに気付いた柳葉竜胆は、この戦いは泉初美の勝利だと確信していたようで、素手になったレイピア使いに素早くマウントを取った泉初美が鉄槌打ちを振り下ろしていく姿を見て、強いなと思っていたようだ。
付属技術で合気を活かし、合気で付属技術を活かす戦いをする泉初美は合気と総合格闘技を混ぜたような戦い方でレイピア使いを追い詰めていき、レイピア使いの顔面が腫れ上がっても鉄槌打ちを振り下ろすことを止めない。
レイピア使いが全く動かなくなっても鉄槌打ちを振り下ろし続けた泉初美が殺す気であると気付いていても止めることはない柳葉竜胆と呉時子は、生まれた環境が特殊な為に殺す気で襲いかかってきた相手が死んでも特に気にすることはなかった。
レイピア使いの息の根が完全に止まったことを確認して鉄槌打ちを止めた泉初美は「巻き込んでしまってごめんなさいね竜胆君」と柳葉竜胆に謝り、取り出した除菌ティッシュで手についた血を拭いていく泉初美。
「多分あたしより強いこの人、竜胆の知り合いなの?」と聞いてきた呉時子に「互いに名前と顔を知っているだけですから知り合いと呼べるかはわかりません」と答えた柳葉竜胆。
「知り合いってことにしておいて竜胆君、もっと深い関係になっても私は構わないけれど」と言い出した泉初美に「結婚を前提に付き合っている彼女がいるんでお断りします」と言って断った柳葉竜胆は呉時子に不誠実なことはしないように気を付けている。
「竜胆」と嬉しそうな呉時子を見て「そちらがその結婚を前提に付き合っている彼女さんかしら」と言った泉初美は微笑むと「綺麗な彼女さんを大事にしているのね」と頷いた。
携帯を取り出して処理をしてくれる専門業者に連絡し、襲いかかってきた連中全員を任せるつもりの泉初美は「目障りな連中を始末できて竜胆君に会えた今日は良い日かもしれないわね」と言うと柳葉竜胆に近付く。
「連絡先を交換しない?竜胆君」と言い出す泉初美に「彼女と一緒にいる男に聞くことではないですよ泉初美さん」と言った柳葉竜胆は泉初美から距離を取って少し離れたようだ。
離れた分だけ距離を詰めてくる泉初美に、この人メチャクチャしつけぇなと思いながら離れる柳葉竜胆に「連絡先教えないとこの人ずっと着いてくると思うよ竜胆」と諦めたように言う呉時子。
「連絡先を教えますが悪戯はしないでくださいね」と言って柳葉竜胆は携帯電話を取り出すと泉初美に自分の連絡先を教えていき、それから泉初美の連絡先も知ることになった柳葉竜胆。
「ありがとう竜胆君」と言いながら柳葉竜胆の頬にキスをしようとした泉初美から素早く離れた柳葉竜胆は「そういうことは困るんで止めてくださいね」と泉初美に言って呉時子の隣に移動した。
物欲しそうな顔で柳葉竜胆を見ている泉初美に「それじゃあ用件は済んだようですし、俺達はこれで失礼します」と言った柳葉竜胆は呉時子と一緒に泉初美から離れていく。
立ち去っていく柳葉竜胆と呉時子の2人に「また会いましょうね竜胆君とその彼女さん」と言う泉初美は柳葉竜胆をとても気に入っているようで、柳葉竜胆と連絡先を交換できたことを嬉しく思っていたらしい。
柳葉竜胆と呉時子のデートも終わりが近付いていて、夜景が綺麗に見える場所で2人きりになっていた柳葉竜胆は「デートをしたのは初めてだったんですが、楽しめましたか?」と呉時子に聞いた。
「うん、楽しかったよ竜胆」と笑顔で答えた呉時子に「それは良かった、武器を持った相手に襲われたりもしたので楽しめていたか心配だったんですよ」と安心していた柳葉竜胆。
「武器持ちの相手に襲われるぐらいは何ともないけど、竜胆は泉初美って人に物凄く気に入られてたね」と言う呉時子は、泉初美のことを思い出した柳葉竜胆が困った顔をしているのを見て、見たことのない竜胆の顔が見れてるなとちょっと嬉しく思ったようだ。
「とりあえず、今はあの人のことは忘れましょうか」と言ってきた柳葉竜胆に「竜胆がそうしてほしいなら、そうする」と言った呉時子は、少し離れていた柳葉竜胆との距離を縮めていき、ぴったりと柳葉竜胆に寄り添う。
夜景を見ながら2人だけの時間を過ごしていた柳葉竜胆と呉時子は互いを見て、徐々に顔の距離が近付いていき、自然とキスをすることになった柳葉竜胆と呉時子。
軽く触れただけで離れた互いの唇を見ていた柳葉竜胆と呉時子は、これ以上は今度にしようと考えていて、携帯電話で時間を見てから帰る時間だと判断した柳葉竜胆と呉時子の2人。
「それじゃあそろそろ帰りましょうか時子」と言ってきた柳葉竜胆が差し出した手を握って「うん、そうだね、帰ろう竜胆」と言った呉時子は柳葉竜胆と手を繋いだ状態で歩き出す。
仲良く手を繋いだまま歩く柳葉竜胆と呉時子の2人は、誰がどう見ても恋人同士に見えることは間違いなく、笑顔で会話しながら歩く2人は、とても幸せそうに見えていた。