片原滅堂から突然「今日は休んで良いぞい竜胆」と言われて休みをもらった柳葉竜胆は特に予定がある訳でもないようで、料理の試作をする気分でもなく、近くの町を1人で歩いていた。
恋人の呉時子は仕事が入っているようで電話越しに銃声が聴こえていて、とても忙しそうにしていた呉時子を邪魔してはいけないと思って直ぐに電話を終わらせた柳葉竜胆。
1人で町を歩いていた柳葉竜胆は暇だなと思っていたが引ったくりを発見してカバンを奪って原付で逃走しようとするヘルメットの男からカバンを取り返して持ち主に渡す。
逆上したヘルメットの男は格闘技を用いて柳葉竜胆に襲いかかってきたが、柳葉竜胆に攻撃は当たることなく全て避けられていき、足を軽く柳葉竜胆に払われて転んだヘルメットの男。
実力差を理解していても止まらないヘルメットの男は「もう捕まっても構わねぇ、殺してやる」と言いながら折りたたみナイフを取り出すと柳葉竜胆に襲いかかっていこうとした。
しかしヘルメットの男の背後に忍び寄っていた泉初美によって、物凄い勢いで投げ飛ばされたヘルメットの男は完全に気絶していたようで、ヘルメットの男が立ち上がることはもうない。
「久しぶりね竜胆君」と嬉しそうな顔で言ってきた泉初美に「お久しぶりですね泉初美さん」と言った柳葉竜胆は、引ったくりの被害者の人に警察に連絡するように頼んでその場を後にする。
そんな柳葉竜胆に着いてきた泉初美に「何で着いてくるんですか」と聞いた柳葉竜胆へ「竜胆君が暇そうにしてたから一緒に楽しいことをしようかと思って」と答えた泉初美。
「まあ、確かに暇ですけどね」と言った柳葉竜胆は、この人押しが強いんだよなと泉初美を見ながら思っていたが、柳葉竜胆と一緒にいるだけでテンションが上がっていた泉初美は「さあ、竜胆君、お姉さんと一緒に行きましょう」と言って手を差し出す。
「手を繋ぐ必要は、あるんですかね」と言う柳葉竜胆に「竜胆君が手を繋いでくれないと、お姉さん悲しくて思わず泣いてしまうかもしれないわね」と言い出した泉初美は、よっぽど柳葉竜胆と手を繋ぎたいようだ。
手を繋がないと色々と面倒なことになりそうだなと思った柳葉竜胆は泉初美の手を握って「これで良いですか泉初美さん」と言ったが泉初美は「お姉さん嬉しいわ竜胆君」と物凄く喜ぶ。
手を繋いで歩いていく柳葉竜胆と泉初美は、ちょっと喉が渇いてきたということで喫茶店に入ることになって、店員にオススメされた紅茶とケーキを注文していった柳葉竜胆と泉初美の2人。
泉初美はイチゴのショートケーキを頼み、柳葉竜胆はチョコレートケーキを頼んでいて、どちらのケーキも店員にオススメされただけはあり、とても美味しかったようで満足した泉初美と柳葉竜胆。
それからは泉初美の行きたいところに付き合う形で柳葉竜胆は移動していき、1人で暇そうにしていた時よりかは楽しめていた柳葉竜胆は、泉初美に感謝の気持ちを抱いていた。
泉初美が尾行されていることにも気付いていた柳葉竜胆は、これは俺も巻き込まれることは間違いないなと考えていて、いつ何があっても対応できるようにしておこうと臨戦態勢を崩すことはない。
「追いかけ回されるのもいい気分ではないし、そろそろ排除しておきましょうか」と言った泉初美が柳葉竜胆を連れて裏路地に移動すると、続々と現れた武器を持った男達の集団。
デスファイトの参加者達である男達は武器の扱いには慣れており、武器を持った素人を相手にするよりも脅威であることは確実だが、素手と武器持ちで差があろうとも埋まらない実力差を持っていた柳葉竜胆と泉初美の2人。
それぞれが得意とする得物を振るう男達に接近していった柳葉竜胆は、振るわれた多種多様な武器を超人的な動体視力で完璧に避けていきながら拳の一撃を顔面に叩き込み、集団の数を確実に減らしていく。
柳葉竜胆1人で多勢を相手にしている間に、リーダー格の刀を持った男を相手にしていた泉初美は振り下ろされた白刃を両手で挟み込んで受け止め、白刃を折ると同時に三日月蹴りをリーダー格の男に叩き込む。
三日月蹴りで怯んだ相手の顎にジャブを打ち込み、顎ジャブで脳を揺らしてからイヤーカップで鼓膜を破り気絶させ、そのまま指で耳を掴んで後頭部を壁に打ち付けると、四指は耳を掴んだまま頭を固定し、親指を立てて目の中にねじ込んだ泉初美。
両目が潰れた相手の首を捻り折って襲いかかってきた男達のリーダー格を殺した泉初美は、他の連中がどうなったか確認したが、残りは全員柳葉竜胆によって顔面を潰されて死んでいたので、死体だけが残っていたようだ。
「この死体達の処理は専門業者に任せたから、私達は行きましょうね竜胆君」と言ってきた泉初美は襲いかかってきた男達の死体には全く興味がないようで、死体に目を向けることはなく柳葉竜胆だけしか見ていない。
それからも泉初美と過ごすことになった柳葉竜胆は、手を繋ぐだけではなく腕まで組んできた泉初美が積極的に距離を縮めようとしてきていることに気付き、距離を置こうとした。
構わず接近してきた泉初美は柳葉竜胆の身体に自然に触れてきて、自らの身体も柳葉竜胆に押し付けてきた泉初美は、それをわざとやっていることは間違いなく、ちょっと困っていた柳葉竜胆。
困っている柳葉竜胆を見て嬉しそうな泉初美は、やっぱり竜胆君は良いわねと思っていたようで、柳葉竜胆に対して強い好意を抱いていた泉初美が更に行動に移ると柳葉竜胆は更に困っていく。
数時間を共に過ごした柳葉竜胆と泉初美は互いのことを少し知ることができたようだが、積極的に距離を詰めてくるなこの人と思っていた柳葉竜胆と、竜胆君と一緒にいると楽しいわねと好意を増していた泉初美は互いに考えていることが違っていた。
もっと仲良くなって距離を縮めたいと考えている泉初美と、距離は縮めないでそのままでいようと考えていた柳葉竜胆は対照的であったが、柳葉竜胆は泉初美のことを嫌っている訳ではなく、恋人である呉時子を大事にしているから浮気にならないように気をつけているだけらしい。
物凄く泉初美に気に入られている柳葉竜胆は、完全にロックオンされていたがなんとか距離を保つことには成功していたらしく、これなら浮気にならないんじゃないだろうかと考えていたようだ。
柳葉竜胆と泉初美がそろそろ帰る時間になって「だいぶ遅くなっちゃったから私の家に泊まってく?竜胆君」と笑顔で聞いてきた泉初美に「いや普通に帰ります」と答えを返した柳葉竜胆は、凄いこと聞いてきたなこの人と思う。
「それはとっても残念ね」と言いながら合気拳法の足捌きで近付いてきた泉初美は、本気で柳葉竜胆に接近していき、柳葉竜胆の頬にキスをするためだけにデスファイトの参加者を殺した時以上に実力を発揮していく泉初美。
それでも柳葉竜胆には避けられてしまって残念な気持ちになっていた泉初美は「減るものじゃないんだから頬にキスくらい良いじゃない竜胆君」と言ってきたが「いや減りますよ精神的な何かが」と言った柳葉竜胆は泉初美の行動に困っている。
「覚えておきなさい竜胆君、次は頬にキスより、もっと凄いことしてやるんだから」と言い出した泉初美に「本当に止めてくださいよ泉初美さん、俺には付き合ってる彼女がいるんですから」と柳葉竜胆は言うと近付いてきた泉初美から離れていった。
「彼女がOKを出せばいいのね」と言ってニヤリと笑った泉初美は呉時子を説得する方法を脳みそを高速で働かせて考えていき、考えついた方法を幾つか実行に移すつもりであり、彼女公認なら色々できそうねと嬉しそうに微笑む。
泉初美の微笑みに危機感を感じた柳葉竜胆は、呉時子さんに泉初美さんの頼みには応じないように頼んでおこうと考えたが、呉時子に電話が繋がらず後手に回ってしまった柳葉竜胆。
いざとなったら逃げようと判断した柳葉竜胆が泉初美を迎えにきた高級車まで送ってから片原滅堂の豪邸にまで帰っていくと、まだ起きていた片原滅堂が「なんじゃ竜胆、てっきり朝帰りかと思っておったがのう」と言い出す。
「何でそう思ったんだ爺さん」と聞いた柳葉竜胆に「泉の嬢ちゃんに頼まれて、今日は竜胆を休ませたからじゃよ、竜胆を休ませるだけでかなりの額が振り込まれたぞい」と答えた片原滅堂は笑った。
「俺を売ってんじゃねぇよ!このクソジジイが!」と怒った柳葉竜胆を護衛者達と片原滅堂直属護衛の鷹山ミノルと王森正道が押さえようとするが柳葉竜胆は、止まることなく前に進んでいく。
「落ち着け竜胆、御前の前だ」と言って立ち塞がった加納アギトが片原滅堂の盾となり、始まった柳葉竜胆と加納アギトの戦いは激しさを増していったようで、5代目滅堂の牙と番外の牙の戦いは止まらない。
加納アギトに勝利した柳葉竜胆は戦いで怒りが発散できたらしく、落ち着いた様子で「泉初美さんがデスファイトの連中に狙われてる理由も爺さんなら知ってんじゃねぇか」と聞いた柳葉竜胆は冷静さを取り戻している。
「泉の嬢ちゃんの父親が、デスファイトへの出資を断ったことが泉の嬢ちゃんが狙われておる理由じゃよ」と答えた片原滅堂に「なら泉初美さんは何も悪くないな」と言って頷いた柳葉竜胆。
「泉の嬢ちゃんは上機嫌で、また竜胆を休ませてほしい時は連絡すると言っとったが、竜胆は泉の嬢ちゃんと何をしておったんじゃ」と言った片原滅堂へ「喫茶店行ったり、泉初美さんが行きたい場所まで一緒に行ったりしてたな」と言いながら、これもデートってことになるのかと考えていた柳葉竜胆は頭を悩ませていたようだ。
「なんじゃ、しっかり泉の嬢ちゃんとデートしておったようじゃのう竜胆」と言う片原滅堂は「竜胆はモテるようじゃな」と楽しげに笑うと「呉の嬢ちゃんにもフォローしておくんじゃぞ」と柳葉竜胆にアドバイスをしていく。
「まあ、今日あった出来事は全て呉時子さんに伝えておくよ、彼女に嘘はつきたくないしな」と言った柳葉竜胆は呉時子に休日の出来事を全て話すつもりであり、嘘で誤魔化すつもりは全くない。
「竜胆の誠実なところは呉の嬢ちゃんにも伝わるじゃろう」と頷く片原滅堂が「泉の嬢ちゃんについては、どうするんじゃ竜胆」と聞いてきたので、柳葉竜胆は「嫌いという訳じゃねぇが、どうすればいいのかわからねぇな」と素直な気持ちを答える。
「悩んで悩んで自分で答えを出すしかないのう」と言ってきた片原滅堂に「わかった、そうするしかねぇんだな」と言う柳葉竜胆は悩み続けていくが、そんな柳葉竜胆を見て楽しげに笑っていた片原滅堂は、泉の嬢ちゃんは手ごわいぞい竜胆と思いながら笑みを更に深めていき、柳葉竜胆の悩みすらも楽しんでいた。