十鬼蛇王馬を捜す為に金が必要だった柳葉大樹は、ファイトマネーが高額な裏格闘技団体の煉獄で戦うことを決めて戦いに勝利していき、更に高額なファイトマネーを求めて煉獄のA級闘士まで登り詰めた。
柳葉大樹は名も無き武術の無手技では骨子である煉獄、金剛は使うことはなかったが、無極は積極的に使っていったようで、大抵の試合を無極を使ったカウンターの一撃で決めていた柳葉大樹。
無極で余力を引き出して火事場の馬鹿力を使ってカウンターの一撃を繰り出す柳葉大樹は、カウンターの名手として煉獄の闘士達に恐れられるようになり、カウンターの一撃で勝負を決めることからワンカウンターと柳葉大樹は呼ばれるようになる。
充分稼いだと思って煉獄を去ろうとした柳葉大樹は豊田出光に柳葉竜胆の関係者ではないかと思われて引き止められることになり、柳葉大樹が柳葉竜胆の育ての親であることを知ると、柳葉竜胆という友人の父親である柳葉大樹の手助けをしようと考えた豊田出光。
「人捜しなら手伝えると思うよ」と言ってきた豊田出光の申し出を受けた柳葉大樹は、日本一の資産家である豊田出光の協力によって日本国内に居る十鬼蛇王馬を捜し出すことに成功したようだ。
日本の各地を転々としていた十鬼蛇王馬は決まった住居を持たずに行動しているようで、行く先々でチンピラやヤクザに喧嘩を吹っ掛けては倒して金銭を奪うことで生活していた。
おかげで一部の裏社会では十鬼蛇王馬の姿は有名となっていたらしく、気付かれないように遠くから撮影した写真まで出回っており、写真を確認した柳葉大樹が本人だと確認して、それからようやく豊田出光が持つ情報網に引っ掛かって発見された十鬼蛇王馬。
柳葉大樹が出向いた先では、チンピラを倒していた十鬼蛇王馬の姿があって、元気そうだなと安心していた柳葉大樹が近付くと「新手って訳じゃなさそうだな」と気配に気付いて振り向いた十鬼蛇王馬は「飯屋の親父か、何の用だ」と言いながら構えを取る。
「二虎流を受け継ぐお前を引き取りに来たと言ったらどうする」と言うと柳葉大樹も名も無き武術の構えを取り、力付くでも十鬼蛇王馬を連れていくという意思を見せつけていた。
「悪いが生活には困ってねぇ、飯屋の親父には帰ってもらうぜ」と言って間合いを詰めた十鬼蛇王馬は二虎流の技で柳葉大樹を打ちのめそうとしたが、全てを打ち落とされた十鬼蛇王馬の腹部に柳葉大樹の拳が突き刺さっていく。
二虎流金剛ノ型不壊を使って打撃を受けた十鬼蛇王馬だが、部位鍛練によって鍛え上げられた拳と無極による火事場の馬鹿力を引き出された一撃は、枷をかけられている十鬼蛇王馬の完全ではない不壊では防ぎきれない威力であったらしい。
十鬼蛇二虎から学んだ二虎流が通用しない相手に対して十鬼蛇王馬が選んだのは、本来の名前は別にあるが「前借り」と十鬼蛇王馬が名付けた技を使うことであり、十鬼蛇王馬は心臓の心拍数を意識的に速めていったようだ。
速めた心拍数で血液循環の速度を爆発的に引き上げ、発生した熱量を運動能力に変換していった十鬼蛇王馬は上昇した速度で圧倒的に増加した手数で攻めていくが、その全てを捌いていった柳葉大樹。
達人の領域にまで到達している柳葉大樹は、剥き出しの攻撃性と凶暴性を露にしている猛獣のような十鬼蛇王馬と、今まで人が積み重ねてきた武という術で戦いを続けていった。
「前借り」を使っても倒せない柳葉大樹が強いことには気付いていた十鬼蛇王馬は退くことなく戦いを続けていき、逆転のカウンターとして気管を攻撃して脳への酸素の供給を断とうとしたが、気管を狙った貫手突きは受け止められてしまう。
十鬼蛇王馬の貫手突きを受け止めた柳葉大樹は、素早く三角絞めの体勢に入ると十鬼蛇王馬を僅か数秒で絞め落として、失神した十鬼蛇王馬を担いでその場から移動した柳葉大樹は拠点にしている家まで十鬼蛇王馬を連れ帰る。
十鬼蛇王馬を見つける手伝いをしてくれた豊田出光に感謝の電話をした柳葉大樹は「礼をしたいが何をすればいい」と聞くと「そうだね、これからも煉獄のA級闘士として頑張ってくれたら僕は嬉しいかな」と答えた豊田出光。
「わかった、これからも煉獄で戦わせてもらうが、ファイトマネーは弾んでくれよ」と煉獄で戦うことを約束した柳葉大樹は電話を終わらせるとソファーに寝かせた十鬼蛇王馬の様子を見に行く。
しばらく時間が経過してようやく起きた十鬼蛇王馬は自分が見知らぬ場所で寝かされていたことを警戒しているようで、構えていない柳葉大樹を前にしても臨戦態勢を崩すことはない。
「腹減っただろ、飯にしようや」と言って笑った柳葉大樹は肉を中心に用意された料理をソファーの近くにあるテーブルに置いて「さあ、食おうぜ」と言いながらフォークを十鬼蛇王馬に渡す。
自分が失神している内にいくらでも殺せたが、それをしてねぇってことは引き取りにきたってのは本当かもなと考えた十鬼蛇王馬は料理を食べていき、美味ぇが、懐かしい味だと思っていたようだ。
料理を食べ終わってから十鬼蛇王馬は「何で俺を引き取ろうと思ったんだ」と聞くと「師匠が二虎流の原型となった2つの武術と交流があったようでな、二虎流についても話を聞かされてたんで、十鬼蛇二虎とその弟子であるお前を前から気にかけてはいたんだ」と答えた柳葉大樹。
「十鬼蛇二虎が死んだと聞いてから、いてもたってもいられなくなってな、二虎流を受け継ぐお前を捜していたんだよ王馬」と言うと柳葉大樹は「一緒に暮らさねぇか王馬、衣食住は充分に用意できるぜ」と続けて聞いて十鬼蛇王馬からの返答を待つ。
「美味ぇ飯が食えるのは悪くねぇし、俺を倒したあんたを俺が倒すまでの間なら一緒に暮らしてもいいぜ」と答えた十鬼蛇王馬は「今の俺より強いあんたをいずれ倒して、俺は更に強くなる」と力強く宣言した。
「ちなみに俺の弟子は俺より強いからな、俺に勝てないようじゃ俺の弟子には絶対勝てないぜ」と、どこか自慢気に言った柳葉大樹に「そいつもいずれぶっ倒してやるから待ってな」と強気に笑った十鬼蛇王馬。
それからは柳葉大樹と十鬼蛇王馬の共同生活が始まっていき、色々な物の使い方を十鬼蛇王馬に教えていく柳葉大樹は、野生児に近い十鬼蛇王馬に常識も少しずつ教えていったらしい。
豊田出光から連絡を受けて柳葉大樹が煉獄に所属するA級闘士になっていることを知らされた柳葉竜胆は、現在柳葉大樹が暮らしている家の場所も教えてもらったようで、柳葉大樹の家まで向かってみることにした柳葉竜胆。
到着した柳葉大樹の家のインターホンを鳴らした柳葉竜胆がしばらく待っていると玄関が開き、中から現れた十鬼蛇王馬が「柳葉大樹なら今は居ないぜ、新聞なら取らねぇぞ」と言ってくる。
「トマト嫌いの王馬じゃねぇか、大樹と一緒に暮らしてんのかよ」と言った柳葉竜胆を見て「俺のことをそう呼ぶってことは、お前、飯屋のガキか」と言うと十鬼蛇王馬は「柳葉大樹より強い柳葉大樹の弟子ってのもお前だな」と断言した。
「おいおい、俺の名前忘れちまったのか、昔名乗っただろ、俺の名前は柳葉竜胆だ」ともう一度自己紹介した柳葉竜胆は「で、王馬が何で大樹と暮らしてるんだ?」と疑問に思ったことを聞く。
「柳葉大樹に負けて家まで連れてこられたんだよ、負けたままじゃいられねぇんでな、一緒に暮らさねぇかと柳葉大樹に言われて、柳葉大樹に勝つまでなら一緒に暮らしてやるって言ったが、まだ柳葉大樹には勝ててねぇんだ」と答えた十鬼蛇王馬。
「二虎流を受け継ぐ俺を引き取りに来たと柳葉大樹は言ってたぜ、柳葉大樹が使っている武術にも二虎流の元になった武術の技が組み込まれているとも柳葉大樹は俺に教えてきたな」と言いながら十鬼蛇王馬は家の中に柳葉竜胆を招き入れる。
「来客が家に来たら茶を用意するんだったな、茶の用意の仕方わかるか柳葉竜胆」と来客である柳葉竜胆に聞いてきた十鬼蛇王馬と自分用に茶を用意した柳葉竜胆は、茶の用意の仕方くらい教えておけよ大樹と思ったようだ。
茶を飲みながら落ち着いて話をしていた柳葉竜胆と十鬼蛇王馬は、互いに学んだ武術について話していき、名も無き武術と二虎流に共通する技があることを知って話が弾んでいた2人。
柳葉竜胆と十鬼蛇王馬が楽しげに会話していると柳葉大樹が帰ってきたようで、玄関にある靴を見た柳葉大樹は客が来ているみたいだなと思いながら、声がする方へと向かっていく。
現れた柳葉大樹を見た柳葉竜胆が柳葉大樹に駆け寄っていくと、自分に近付いてきた相手が成長した柳葉竜胆だと気付いていた柳葉大樹は両腕を広げて抱きしめる準備をしていたらしい。
しかし感動の再会とはいかないようであり、柳葉竜胆の拳が柳葉大樹を殴り飛ばした。頬を押さえて倒れ込んだ柳葉大樹に「俺を爺さんに売り渡した野郎への制裁は、この程度にしておいてやる」と柳葉竜胆は言い放つ。
「感動の再会かと思ったのに、育ての親になんという仕打ちを」と頬を押さえたまま言う柳葉大樹へ「俺を強引に連れ去ろうとする爺さんの手伝いをした裏切り者をパンチ1発で許してやるってんだから寛大だと思うぜ」と言った柳葉竜胆。
そんな柳葉竜胆と柳葉大樹のやり取りを見ていた十鬼蛇王馬が「腹減ったから飯作ってくれねぇか」と言ったので「じゃあ俺が久しぶりに王馬に料理を作ってやるよ」とキッチンに向かった柳葉竜胆は料理を始める。
「えっ、殴られた俺は放置?」と柳葉竜胆に殴られた頬を押さえている柳葉大樹が言っているが誰も反応することはなく、十鬼蛇王馬の好きな肉料理を作って持ってきた柳葉竜胆がテーブルに皿を置いていった。
肉料理を食べていった十鬼蛇王馬が「柳葉竜胆が作った飯は柳葉大樹が作った飯より美味ぇな」と正直な感想を言うと素直に喜んだ柳葉竜胆は「まだあるから沢山食えよ王馬」と笑う。
「ここ俺の家なんだけどなぁ」と体育座りで黄昏ていた柳葉大樹にもフォークを差し出した柳葉竜胆は「久しぶりに俺の料理食ってみろよ大樹」と言って肉料理の皿を渡す。
手加減されて殴られたので口の中を切っていたりもせず舌を噛んでもいない柳葉大樹は、肉料理をしっかりと味わって食べてみて、また料理が上達してんな竜胆、確かに俺より段違いに美味いなと思っていたようだ。
確実に料理人としても成長している柳葉竜胆に誇らしい気持ちになっていた柳葉大樹が、キッチンで皿を洗っている柳葉竜胆を見ながら、でかくなったなと伸びた身長に重ねた年月を感じ取っていく。
竜胆に渡そうと思っていた物があったと思い出した柳葉大樹は、柳葉竜胆がそろそろ帰ろうとしている姿を見て、慌てて以前購入していた高級な砥石を取り出して柳葉竜胆に手渡す。
「包丁は多分もう持ってるだろうし、渡せそうな物がこれくらいしか思い浮かばなくて悪いな」と言った柳葉大樹に「良い砥石だな、ありがとよ大樹」と笑顔で感謝した柳葉竜胆。
「また来る、それじゃあな」と言って去っていった柳葉竜胆が見えなくなるまで玄関で見送っていた柳葉大樹は「竜胆が元気そうで良かった」と、物凄く嬉しそうに笑っていた。
「いつも柳葉竜胆の自慢話ばかりしている割には、本人が来た時は褒めたりしねぇんだな」と言う十鬼蛇王馬に「竜胆には言わなくても伝わってるさ、自慢の息子だってことはな」と誇らしげに言った柳葉大樹。
「自慢の息子にぶん殴られてたけどな」と言って柳葉大樹の殴られた頬を見た十鬼蛇王馬へ「それ今言っちゃう?」と言いながら落ち込んだ柳葉大樹は「久しぶりの対面でグーはねぇだろグーはよ」と思い出して更に落ち込む。
柳葉大樹が面倒くさい状態になりやがったなと思った十鬼蛇王馬は柳葉大樹から離れていき、現在使っている部屋まで移動していくとベッドに横になって柳葉大樹を殴り飛ばした柳葉竜胆の動きを思い出す十鬼蛇王馬。
油断してたとはいえ柳葉大樹が反応できねぇ速度で殴った柳葉竜胆は間違いなく強いと思った十鬼蛇王馬は、柳葉大樹を倒したら柳葉竜胆を倒しにいくかと考えていたようで、強い戦意を抱いていたらしい。
もっともっと強くならねぇと柳葉大樹には届かねぇ、柳葉大樹より更に上の柳葉竜胆を倒すには、今以上に強くなる必要があると判断した十鬼蛇王馬は、強さを求めて戦いに明け暮れる毎日を過ごす。
柳葉竜胆は料理人として過ごしていたようで調理場で包丁を研いでいたが、調理場につまみ食いに来た片原滅堂に小皿に盛った料理を差し出して追い返そうとした時に「砥石を新しく買ったのかのう」と聞かれて「もらったんだよ大樹から」と答えた柳葉竜胆は嬉しそうな顔をしていたようだ。