だから俺は料理人だって言ってんだろ!   作:色々残念

2 / 25
第2話、片原滅堂との生活

「中」から外へと強引に連れ出された柳葉竜胆は、大日本銀行総裁である片原滅堂の家で料理人として働くことになる。

 

日本政財界の大首領とも呼ばれる片原滅堂が満足する料理を毎日提供していく柳葉竜胆は、並の料理人とはレベルが違った。

 

ある日料理を持ってきた柳葉竜胆を、戯れに本気で威圧してみた片原滅堂。枯木のような老人から放たれる活火山の如き熱量は、超自然を人型に押し込めたような圧倒的な存在感と常識外れな圧力となっていく。

 

しかしそれを受けた柳葉竜胆は平然としていて「元気だな爺さん、食欲もありそうで安心したぜ」と不敵に笑う余裕すらもあり、片原滅堂の本気の威圧を全く問題としていない。

 

柳葉竜胆の反応を見て、わしの威圧を受けても何も問題ないとは、やはり面白いのうと思っていた片原滅堂は目の前に置かれた料理達をフォークで刺して食べ始める。

 

片原滅堂は好物が肉全般と甘いもの全般であり、好みに合わせて肉を中心に作られた料理は、数々の美食に慣れている片原滅堂でも美味だと感じる料理だったようだ。

 

デザートもしっかりと作って出した柳葉竜胆が、よく働いてくれていると思っていた片原滅堂は、竜胆の武を曇らせるのは惜しいと考えて、護衛者達が鍛練する場所に片原滅堂が直々に柳葉竜胆を連れて向かう。

 

護衛者達の鍛練場では護衛者に成り立ての者達が集団で基礎訓練をしており、その基礎課程を終了した者は銘銘が自由に様々な鍛練を行っていた。

 

選りすぐりの護衛者の中から更に突出した者のみが、次期滅堂の牙の候補者に選出されていき、滅堂の牙候補となった護衛者達から、滅堂の牙が選ばれていく。

 

護衛者には実力を見込まれて外部からスカウトされた者も存在しており、現在の4代目滅堂の牙、王森正道もスカウト組出身であるらしい。

 

「で、何で料理人の俺をわざわざこんなところにまで連れてきたんだ爺さん」と片原滅堂に聞いた柳葉竜胆。

 

「たまには身体を動かすのも悪くないじゃろ、今から竜胆には5代目滅堂の牙候補達と戦ってもらおうかと思ってのう」と答えた片原滅堂は笑った。

 

「いや、何でそうなるんだよ爺さん」と物凄く嫌そうな顔をした柳葉竜胆は逃げようかと考えていたようで、周囲を見渡しながら逃走経路を探し始める。

 

既に片原滅堂から話は通してあったらしく、全ての護衛者達が柳葉竜胆を逃がさないように包囲していき、柳葉竜胆は凄まじい数の護衛者達で形作られた人壁に完全に囲まれていたようだ。

 

逃げるの手間取りそうだなと思いながらも、どうやって逃げるか冷静に考えていた柳葉竜胆は、実力的には大したことない護衛者成り立て連中が穴だなと判断して動き出す。

 

包囲を突破しようとしていた柳葉竜胆に「もし5代目滅堂の牙候補達と戦ってくれるなら、竜胆が欲しがっておった調理器具を買ってやってもよいぞい」と言い出した片原滅堂。

 

その片原滅堂の言葉を聞いて動きを止めた柳葉竜胆は「俺の給料じゃ手が出ないほど値段が高いやつでもいいのか」と思わず片原滅堂に聞いていた。

 

「うむ、戦ってくれるなら買ってやるぞい」と答えた片原滅堂は、これで竜胆がやる気になってくれるなら安い買い物じゃなと考えていたらしい。

 

「絶対買えよ爺さん、嘘だったら肉抜きで野菜中心のヘルシーな献立がしばらく続くと思いな」と言い出した柳葉竜胆は戦う気になっており、準備運動を始めていく。

 

最初に現れた5代目滅堂の牙候補を相手に、間合いを詰めた柳葉竜胆は肘を使って心臓を押す。重い金属で身体の表面ではなく心臓を強く叩くイメージから放たれる金剛という技。

 

間合いゼロから放たれた肘打ちは5代目滅堂の牙候補の心臓を強く叩き、強い痛みによる血管迷走神経反射性失神と心臓へのダメージによる心臓性失神を引き起こし、一撃で完全に失神した5代目滅堂の牙候補。

 

次々と現れる5代目滅堂の牙候補者達を相手に圧勝していく柳葉竜胆は、子どもであってもかなりの強者となっていたようで、戦いを見ていた4代目滅堂の牙が竜胆は更に強くなっていると驚愕した。

 

現在居た全ての5代目滅堂の牙候補者達を全員倒した柳葉竜胆は、これで終わりだなと思っていたが片原滅堂の「竜胆に挑みたい者は自由に挑んで構わんぞい」という発言によって血気盛んな護衛者達に襲われることになる。

 

「ちょっと待てや爺さん、何で他の連中も相手しなきゃいけねぇんだよコラァ!」と怒りながら次々と絶え間無く向かってくる護衛者達を捌いていく柳葉竜胆。

 

「5代目滅堂の牙に近い候補者達全員が竜胆に倒されてしまったからのう、新たに選出する必要がありそうだと判断したまでじゃよ、それには他の護衛者達の実力を見る必要もあるのでな」と言う片原滅堂。

 

「それでなんで俺が手伝うことになってんだよ爺さん、俺は料理人として雇われてんだぞ、普通は別の奴の仕事だろ」と文句を言いながら襲いくる護衛者達を殴り飛ばしていく柳葉竜胆は片原滅堂を横目で見た。

 

そんな柳葉竜胆に「ガンバじゃ竜胆」と言って親指を立てて笑った片原滅堂へ「ガンバじゃねぇよクソジジイ」と真顔で言った柳葉竜胆は普通に怒っていたようだ。

 

「御前に無礼な」と言いながら襲いかかってきた護衛者を一撃で打ち倒した柳葉竜胆はメチャクチャ面倒だなと思っていても仕方なく戦いを続けていく。

 

柳葉竜胆に挑んだ護衛者が倒されていき、立っている護衛者が少なくなると僅かに残った実力がある護衛者が柳葉竜胆に1人ずつ手合せを挑んでいった。

 

ボクシングの使い手でありフリッカージャブを放つ護衛者。フリッカージャブの打ち方は腕全体にスナップをきかせ鞭のようにしならせて打つ。

 

角度があるため相手から見えにくく、通常のジャブよりも伸びるように感じ、距離感が掴みにくいフリッカージャブ。

 

前の腕を下ろして構えるデトロイトスタイルで打つフリッカージャブの方が使い手によっては防御しやすく感じるようだ。

 

コンビネーションも最小のモーションで打つことがフリッカージャブなら可能。攻撃面での最大のデメリットは体重を乗せて打てない事だけらしい。

 

そんなデメリットのあるフリッカージャブでもヘビー級パンチは別であり、確実にダメージを蓄積させる威力がある護衛者のフリッカージャブを避ける柳葉竜胆。

 

完成度の高いフリッカージャブを掻い潜り接近した柳葉竜胆は、フリッカージャブを放っていた護衛者の腕を掴み背負い投げで頭から投げ下ろす。

 

一撃で気絶した護衛者を放置して次の護衛者を相手にする柳葉竜胆は、戦い続けていても全く疲れておらず、無尽蔵とも言えるほどの体力を感じさせた。

 

様々な武術の使い手であった護衛者と戦っていく柳葉竜胆は、その実力を見せつけていき、護衛者達には柳葉竜胆という子どもが5代目滅堂の牙になるのではないかと思わせるほどだったようだ。

 

4代目滅堂の牙である王森正道を除き、鍛練場に居た全ての護衛者達を5代目滅堂の牙候補者達を含めて倒した柳葉竜胆は「これで文句はねぇだろクソジジイ、約束は守れよ」と言い放つ。

 

「竜胆は前よりも強くなっておるようじゃのう、もちろん約束は守るぞい、欲しがっておった調理器具に調理家電もつけておくから安心せい竜胆」と言って機嫌が良い片原滅堂は、気前よく調理家電までおまけすることを決めていたらしい。

 

後日片原滅堂の豪邸に届いた調理器具と調理家電を使って料理をしていた柳葉竜胆は、物凄く嬉しそうに料理をしており、届いた調理器具と調理家電を使いこなす為に試作を作っていく。

 

僅か数日で高価な調理器具や調理家電を完全に使いこなした柳葉竜胆は、片原滅堂に料理を作っていき、更に進化した柳葉竜胆の料理を、とても素晴らしいと思っていた片原滅堂。

 

竜胆の欲しがっていた調理器具と調理家電を買って正解じゃったのうと考えた片原滅堂は、わしの娘と息子にも竜胆の料理を食べさせてやったらどんな反応をするか楽しみじゃなと思いついた片原滅堂は直ぐに行動に移す。

 

片原滅堂の娘と息子と出会う機会が迫っているとは知らない柳葉竜胆は、調理場で調理器具を丁寧に手入れしていて片原滅堂の企みに気付くことはない。

 

使い終わった調理器具と調理家電を綺麗にしていた柳葉竜胆は、欲しがっていた物が手に入ったことを嬉しく思っていて、その点に関しては片原滅堂に感謝していたようだ。

 

片原滅堂に気に入られている柳葉竜胆には、これからも色々な出来事が待ち受けていることは間違いなく、料理人としてだけ頑張るつもりでいる柳葉竜胆の願いが叶えられることはないだろう。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。