片原鞘香と片原烈堂が片原滅堂の豪邸に呼ばれて、一緒に食事をすることになった。事前に片原滅堂から片原鞘香と片原烈堂の好みを聞いていた柳葉竜胆は別々に料理を作っていく。
出された料理の数々を食べた片原鞘香と片原烈堂は、新しい料理人である柳葉竜胆が作った料理を物凄く美味しいと思っていたようで素直に喜んでいたらしい。
デザートを運んできた柳葉竜胆が今日の料理を作っていたことを片原滅堂から説明され、外見はともかく年齢的には自分に近い子どもが料理を作っていたことを知った片原鞘香は、とても驚いていたようだ。
興味津々で柳葉竜胆に質問していく片原鞘香を見て、腹違いの姉が興味を持っている柳葉竜胆に片原烈堂も興味を抱き、片原烈堂も柳葉竜胆に質問をする。
片原滅堂の子どもである片原鞘香と片原烈堂の2人から一気に質問されていく柳葉竜胆は特に慌てることなく落ち着いて質問の数々に答えていった。
初めて料理を作ったのは、いつ頃からなのかと聞く片原鞘香と、得意料理は何だと聞いていく片原烈堂は柳葉竜胆をもっと知りたいと考えていたらしく、質問が止まらない。
「初めて料理を作ったのは、もっと小さい頃からで、得意料理は肉を使った料理とデザートだ。今回は2人の好みを爺さんから聞いていたから、それに合わせて料理を作ったんだよ」と聞かれた質問に答える柳葉竜胆。
それからとにかく思いついた色々なことを柳葉竜胆に聞いていった片原鞘香と片原烈堂の姉弟は、片原滅堂も知らなかった柳葉竜胆に関する色々なことを知っていく。
思っていたよりも楽しそうじゃのうと自分の子ども達と交流する柳葉竜胆を見ていた片原滅堂は、わしの娘と息子が竜胆と良い関係を築けそうで良かったわいと嬉しそうに笑う。
どれ、わしも竜胆と交流を深めるとしようかのうと考えながら片原滅堂は、柳葉竜胆と交流している片原鞘香と片原烈堂の輪に加わっていった。
片原親子3人を相手にして話をしていく柳葉竜胆は、鞘香と烈堂は滅堂の爺さんと比べると随分と若いから、歳の離れた親子ってことになるのかと思いながらも特にその事を口に出すことはない。
体格がいい柳葉竜胆を見て、何かやっているのかと思った片原烈堂がそれについて聞くと「体格がいいのは生まれつきだが、育ての親の影響で武術もやってるぜ」と答えた柳葉竜胆。
強くなる為に自分も武術を学んでいる片原烈堂は特に興味を持ったようで「竜胆が学んでいる武術は何だ」と思わず柳葉竜胆に聞いていた片原烈堂は答えを待つ。
「武器術も含んだ古武術をベースにして複数の武術を組み込んだ独自の流派だと育ての親は言っていたが、名を広めることなく受け継がれてきたものだから特に名はないらしい」と柳葉竜胆は答える。
柳葉竜胆が身につけている武術がどんな武術であるか益々気になった片原烈堂は「その武術を使って俺と戦ってみないか竜胆」と柳葉竜胆に提案をした。
「中」から外に出てから好戦的な連中ばかりと会うなと思った柳葉竜胆が雇い主である片原滅堂を止めないのかという目で見ると「好きにせい竜胆」と言い出して止めることはない片原滅堂は楽しげに笑っていた。
場所を移して戦うことになった柳葉竜胆と片原烈堂は互いに準備運動をしっかりとして身体をほぐしてから戦いを始めることにしたようで、準備運動を行っていく。
充分に身体がほぐれたと判断した柳葉竜胆と片原烈堂の2人が戦い始めていく姿を片原滅堂と片原鞘香に4代目滅堂の牙が見守っていき、先手を放つ片原烈堂。
素手の武術の師匠から武術を学んでいる片原烈堂が、初手に選んだのは拳による攻撃であり、片原烈堂から放たれた拳による突きを避けた柳葉竜胆は鋭いローキックを放つ。
受けるのはマズイと片原烈堂が瞬時に判断して回避した柳葉竜胆のローキックは、加減していても強烈であることは間違いなく、加減をされていなければ喰らった足が容易くへし折れる威力を持っていることは確かだ。
蹴りを放てる距離にいることは良くないと考えた片原烈堂は距離を詰めようと動くが、至近距離で繰り出した拳を受け止められ、単純な腕力だけで投げ飛ばされたことに片原烈堂は驚く。
柳葉竜胆の武器は高度に身につけている古武術をベースにした特殊な武術だけではなく、異常に高い身体能力すらも柳葉竜胆が持っている武器だと判断した片原烈堂は正しい。
明らかに俺よりも格上だなと柳葉竜胆を認めている片原烈堂は、それでも簡単に負けてやるわけにはいかねぇなと思っていたようで、柳葉竜胆に怯むことなく挑んでいき、渾身の拳を連続で繰り出す。
繰り出されていく片原烈堂の拳を避け続ける柳葉竜胆が放つのは背負い投げと見せかけた間合いゼロからの発勁であり、門という名の技であった。
投球動作のように下半身に体重を移動し、蓄えた力を一点から一気に放つ発勁。それを繰り出す為の体重移動を背負った瞬間に終わらせて、相手の顎に留めておいた腕から間合いゼロで発勁を放つ門という技。
加減されていなければ顎が確実に砕けていた威力がある門をまともに喰らった片原烈堂は、しばらく立つことができない程度のダメージを受けていたようだ。
柳葉竜胆の勝利で決着となった戦いをしっかりと見ていた片原鞘香は、激しく戦っていた2人が大怪我をしなくて良かったと思っていたらしい。
心配していた片原鞘香が、まだ立てない片原烈堂の身体が大丈夫かと思って触っていくと「俺は大丈夫だから気にすんな姉ちゃん」と恥ずかしそうにする片原烈堂。
「そう、烈君が大丈夫なら良いんだけど、竜胆君は攻撃が当たってないから問題ないわよね」と言ってきた片原鞘香に「まあ、無傷だから問題ないぜ」と言いながら頷いた柳葉竜胆は心配されている片原烈堂を見る。
「こっち見んな竜胆」と物凄く恥ずかしそうな片原烈堂を手当てしていく片原鞘香は、荒事を見ることには慣れているようでとても落ち着いて手当てをしていた。
「ほっほう、流石に5代目滅堂の牙候補達を容易く倒しただけのことはあるのう、烈が手も足も出んかったのは初めて見るわい」と楽しそうな片原滅堂は柳葉竜胆の戦いを見れて喜んでいたようで機嫌が良い。
「それマジかよ親父、そんなに竜胆は強いのか」と驚いていた片原烈堂は、自分が戦っていた相手が本気じゃないことは理解していたが、想像以上に柳葉竜胆が強いと知って、本気がどれだけのものか知りたいと考えていたようだ。
「本気の竜胆は4代目滅堂の牙が1人では勝てない程度には強かったのう、竜胆の育ての親である柳葉大樹と協力してなんとか倒せた相手じゃからな竜胆は」と言う片原滅堂。
「それが何で料理人になってるんだよ」と聞いた片原烈堂に「それは本人が俺は料理人だと譲らなかったからじゃの」と答えた片原滅堂は、とにかく竜胆は頑固じゃからなと頷く。
「最初に料理人としてスカウトしてきたのは爺さんの方だろ、何で俺がおかしいみたいな感じになってんだよ、普通におかしいのはそっちだからな」と思わず突っ込んだ柳葉竜胆には雇い主を敬う気持ちはない。
「拉致同然に連れてこられたことは忘れてねぇからな」と付け加えた柳葉竜胆は、根に持っているようで気絶させられて連れ去られたことを忘れてはいなかった。
またそんな強引なことしたのか親父という目で片原滅堂を見る片原烈堂と拉致同然って普通に犯罪だよパパと呆れたような目で片原滅堂を見た片原鞘香。
「保護者の許可は取っとるから合法じゃよ、合法」と胸を張る片原滅堂に「いや本人である俺の許可も取れよ、どう考えても最初はそれだろ」と言う柳葉竜胆。
「まあ、強引な手段も時には必要となるんじゃよ竜胆」と言い聞かせるように言った片原滅堂へ「強引過ぎんだろ爺さん」と言って困ったような顔をした柳葉竜胆が少し可哀想になった片原鞘香と片原烈堂の2人。
「親父がやり過ぎるようなら俺達に言えばいい、これでも親父の家族だからな、止められることは息子として止めてみせる」と片原烈堂は言い出す。
「そうだよ竜胆君、困った時は私にも言ってくれれば少しは力になれるよ、パパの娘だから」と言った片原鞘香は柳葉竜胆に優しく笑いかけた。
「この家に来て初めてまともな人達に会ったような気がする」と感動していた柳葉竜胆は子どもらしい笑顔で片原鞘香と片原烈堂に感謝をしていく。
「何か無茶ぶりされるようなら竜胆も好きにやっちまえ」と言う片原烈堂の言葉で吹っ切れた柳葉竜胆は、護衛者を含めた片原滅堂に仕える者達を大いに振り回していくようになったようだ。