片原滅堂の豪邸にある広大な庭をひそかに畑にしていた柳葉竜胆によって実った新鮮な野菜が食卓に並ぶことになっていく。
庭師からの報告によって庭に畑が作られていることを知ることになった片原滅堂と護衛者達は、畑がある場所まで向かうことになったようだ。
畑を世話している柳葉竜胆を見つけた護衛者達が思わず「御前の庭を!」と怒りながら柳葉竜胆を追い回すが、柳葉竜胆が捕まることはない。
護衛者達の体力が尽きるまで走り回っていた柳葉竜胆は力尽きた護衛者達を放置して戻ると、畑を見ている片原滅堂に「どうだい、俺の畑は」と話しかけていた。
「うむ、悪くないのう、昔を思い出すわい、わしも昔は畑を作ったもんじゃ」と楽しげに笑った片原滅堂は庭に畑を作られても全く気にしてはいないようである。
「食い物は全て自給自足で、余った作物と生活必需品を物々交換して、余った物品は闇市でさばいて女遊びをしとったもんじゃ」と言った片原滅堂。
「昔から女好きだったんだな爺さん」と言うと呆れたような顔をした柳葉竜胆は、取れたてのきゅうりを洗って片原滅堂に差し出す。
受け取ったきゅうりを一口かじって「瑞々しいのう、良いきゅうりじゃな」と頷いた片原滅堂は新鮮なきゅうりに満足していたようであり「浅漬けにしてくれんか」とリクエストを言った。
「じゃあ、そうするぜ」と言って収穫したきゅうりをカゴに入れた柳葉竜胆は畑から片原滅堂が住む豪邸にまで戻っていく。
遠慮しなくなった竜胆は生き生きとしておるな、悪いことではないが護衛者達は振り回されておるのうと思った片原滅堂は、まあ、良いかと気にしてはいない。
柳葉竜胆が何かをすると苦労をするのは片原滅堂以外の大人達であり、片原滅堂は柳葉竜胆の行動をとても面白く思っているようで一緒に楽しんでいるぐらいだ。
後日柳葉竜胆の畑作業に一緒に参加していた片原滅堂は物凄く楽しんでおり、畑作業に参加させられていた護衛者達は遠い目をしていたようで苦労をしていた。
鍬を持とうとした片原滅堂を止めて、代わりに畑を耕した4代目滅堂の牙である王森正道は、俺は何をやっているんだろうかと思いながらも鍬を動かす。
同じく畑を耕していた柳葉竜胆は真剣に畑作業をしていて、参加した面々に注意しながら護衛者である鷹山ミノルに畑作業を教えていく柳葉竜胆。
無表情で畑作業をしていた護衛者であり、最近5代目滅堂の牙候補に選ばれることになった加納アギトが丁寧に作業をしている姿を見て、なかなか筋が良いなと思った柳葉竜胆は色々と加納アギトにも教えていく。
柳葉竜胆と一緒に楽しそうに畑作業をする片原滅堂に付き従って畑作業をしていく日々を過ごしていた護衛者達と護衛者見習い達は、すっかり畑に詳しくなってしまっていたようだ。
畑作業をすることが当然のことのようになっていた護衛者達と護衛者見習い達は何も疑問に思うことなく、柳葉竜胆が料理人として連れ出されている間に畑のことを手入れする係が順番で畑を回る護衛者達と護衛者見習い達。
「最近御前の護衛よりも畑作業をしている時間の方が長い気がするんだが」と言い出した1人の護衛者に「そうだな」と頷いた他の護衛者達もそう思っていたらしい。
「まあ、御前も非常に楽しんでおられるので現状維持だな」と言う護衛者は畑の手入れを丁寧に行っていき、他の護衛者に畑の水やりを頼む。
護衛者見習いも駆り出される畑作業は、何故か護衛者の仕事の一部のようになっていたが、そうなるように仕向けた柳葉竜胆と片原滅堂に気付いている者は護衛者にはいなかった。
楽しみたい親父と吹っ切れた竜胆が組むとこうなるんだなと思っていた片原烈堂は確実に気付いていたが、特にそれを誰かに言うことはない。
真剣な柳葉竜胆と楽しんでいる片原滅堂と今日も一緒に護衛者達と護衛者見習い達は、前よりもかなり広くなった畑で行う畑作業で良い汗を流す。
たまに片原鞘香と片原烈堂も一緒に加わって畑作業をすることもあり、その時は、やけに気合いが入っている護衛者もいるようだ。
庭が畑になってしまっていて仕事がないと困っている庭師に仕事を紹介する片原滅堂に戸惑っている庭師は実は潜り込んでいた暗殺者であり、片原滅堂の命を狙っている存在だった。
護衛者が睨みをきかせている片原滅堂を殺害することは難しく、料理に毒を仕込もうとしても料理人に見抜かれる現状で庭師の仕事まで奪われた暗殺者。
他の家での庭師の仕事を紹介する片原滅堂を見て、完全に片原滅堂に自分が怪しまれていると思った庭師に変装していた暗殺者は、潮時だなと暗殺を諦めて片原滅堂の豪邸から去っていく。
「捕まえなくて良かったのか爺さん」と言った柳葉竜胆は庭師に変装した暗殺者の存在に気付いていて、庭師の仕事を奪う為にわざと庭を畑にしていたらしい。
「諦めた庭師が去っていっただけじゃろう」と言う片原滅堂は間違いなく気付いているが、暗殺者が庭師として潜り込んでいたことを話すことはなかった。
「まあ、それならそれでいいさ」と言って深くは突っ込まない柳葉竜胆は、せっかく作った畑は残しておくとしようと考えていたようで畑作業に戻る。
護衛者達と護衛者見習い達が一緒に畑作業をして賑やかになっている畑で、竜胆が畑を作ってくれて良かったことは色々とあるのうと笑った片原滅堂。
誰よりも畑作業を楽しんでいる片原滅堂を見て「御前が楽しんでおられるなら何も問題はないか」と言っていた4代目滅堂の牙、王森正道は畑に生えた雑草を引き抜いていったようだ。
新しい野菜を植えることになった畑で、何を植えるかを決めていくことになり、全員で案を出していくことになった。
「苺が食べたいのう」と言った片原滅堂に「じゃあ一部は苺にするか」と言うとその場に居る護衛者達と護衛者見習いにも聞いていく柳葉竜胆。
「御前を差し置いて言うわけにはいかない」と頑なな護衛者達と護衛者見習い達に「自由に言ってよいぞ」と言い出した片原滅堂へ護衛者達と護衛者見習い達は驚く。
白菜やキャベツにブロッコリーと意見が出てくるようになって植える野菜を決めていった柳葉竜胆が「他は?」と聞くが他に意見はないらしい。
「じゃあ大根も決定ということで決まりだな」と畑に植える野菜を決めた柳葉竜胆は育てる野菜を用意する為に種と苗を買いにいくようで、片原滅堂も一緒に着いていくつもりのようだった。
当然護衛者達も片原滅堂と共に向かうことになり、かなり戦闘力の高い面々が畑に植える種と苗を買いにいくという奇妙な状態になっていて、思わず笑った片原滅堂。
無事に種と苗を買うことができた帰りに襲いかかってきた殺し屋は全員返り討ちになり、一番容赦が無かった柳葉竜胆に蹴られた殺し屋は、凄まじい蹴りで腕をへし折られることになる。
柳葉竜胆の蹴りを喰らい、刃先が丸まり容易に切る事のできなくなった斧で、筋肉を押し潰しながら腕を力任せに切られるような感覚を味わうことになった殺し屋。
腕の有無を確認する殺し屋に蹴りでの金剛を叩き込んで失神させた柳葉竜胆を見て「最初からその技を使えば一撃で済んだんじゃ」と聞いた護衛者の1人。
「わざわざ殺しにきた相手に優しくしてやる必要は、ねぇだろ」と答えた柳葉竜胆に納得した護衛者は「確かにそうですね」と頷いていた。
帰ってきたところで種と苗を植える作業をしていくことになった柳葉竜胆と片原滅堂に護衛者達と護衛者見習い達。
護衛者は人数が多く、畑での作業にも慣れており、畑で種と苗を植える作業は直ぐに終わることになったらしい。
畑作業を手伝った全員に柳葉竜胆の料理が提供されていき、良い汗をかいた後の飯が美味いことを知ることになった護衛者達と護衛者見習い達は、畑作業をこれからも続けようと考えていたようだ。
片原滅堂の護衛をする面々と畑作業をする面々に別れて行動するようになった護衛者達と護衛者見習い達は、すっかり畑作業が身に染みついている。
まさかこうなるとはなぁと思いながらも、まあ、人手が多くて助かってるから良いかと考えて護衛者達と畑作業を一緒にしていく柳葉竜胆。
これから新しく護衛者になる面々は、畑作業をすることを疑問に思うかもしれないが、今現在護衛者をしている面々は既に畑作業をすることに疑問を持ってはいない。
「武器持ってるより鍬持ってる方が安心するな」と言い出す護衛者までいるようで、完全に畑作業の虜となっていた護衛者達だった。