だから俺は料理人だって言ってんだろ!   作:色々残念

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第9話、豊田出光

「出かけるぞい竜胆、服を用意してあるからのう、それに着替えたら出発じゃ」と言った片原滅堂は背後に控える直属護衛の鷹山ミノルが持つ服を柳葉竜胆に渡すように促す。

 

受け取った服に着替えた柳葉竜胆は「サイズぴったりだが、これ護衛者と同じスーツじゃねぇか爺さん」と言うと「もしかして爺さん護衛しろってことか?」と片原滅堂に聞いた。

 

「まあ、そういうことじゃな、他に連れていくのは、わしの直属護衛である2人だけじゃからのう、頼りにしておるぞ竜胆」と答えた片原滅堂。

 

柳葉竜胆と直属護衛である鷹山ミノルと王森正道だけを連れて片原滅堂が向かう場所は、裏格闘技団体煉獄主催者、豊田出光が所有している無人島。

 

決まった住居を持たず世界を転々とする暮らしをしている豊田出光が愛人に与えた無人島には豪邸が建ててあり、年に数回その無人島に豊田出光は逗留するようだ。

 

豊田出光から片原滅堂に連絡があり、久しぶりに直接会って話がしたいということで今回はヘリでその無人島に向かうことになった片原滅堂と他3人。

 

職業、日本一の資産家とも呼ばれる豊田出光の総資産額は、各企業が拠出した拳願会総資産額を上回り、その気になれば国を持つことができるほどの財力をたった1人で保有する男である豊田出光。

 

そんな凄まじい資産家の豊田出光と大日本銀行総裁である片原滅堂が直接会って会話をするという場面に何故か立ち会うことになった柳葉竜胆。

 

「直接会うのは久しぶりだね、片原のお爺ちゃん」と笑顔で話しかけてきた豊田出光に「久しぶりじゃのう豊田君」と言う片原滅堂も笑っていて、まずは穏やかな雰囲気となっていた2人は豪邸にある一室に移動していく。

 

自分用に水族館を作っていた豊田出光が水中にガラス張りの部屋を作っており、周囲のガラス越しに見える水中は確かに水族館のようで、そんな場所で平然と会話をしていく豊田出光と片原滅堂。

 

「そういえば、そこの彼は見慣れない顔だね、紹介してほしいな片原のお爺ちゃん」と言ってきた豊田出光に「名前は柳葉竜胆じゃ、本来は料理人として働いてもらっておるが、戦いの実力は牙以上じゃよ」と片原滅堂は言った。

 

「片原のお爺ちゃんは随分と柳葉君を気に入ってるみたいだね、僕は柳葉君の料理人としての腕が気になるよ、話してたらお腹も空いてきたし、そうだ、柳葉君に料理を作ってもらおうかな」と言い出した豊田出光。

 

「豊田君が良いなら構わんぞい、竜胆、料理を作ってくれんか」と言う片原滅堂に「構いません」と了承した柳葉竜胆は「何かリクエストは、ありますか」と豊田出光に聞き、作る料理を決めようとしていたらしい。

 

「じゃあ僕は、ハンバーガーが良いかな」と答えた豊田出光に「作ってきますので待っていてください」と言って部屋を出ると厨房にまで向かう柳葉竜胆。

 

丁寧に手際よく全員分のハンバーガーとポテトにドリンクを作り上げて戻ってきた柳葉竜胆が、その場にいる全員にハンバーガーを提供する。

 

ハンバーガーをかじって食べてみた豊田出光は「うん、このハンバーガー凄い美味しいね、ボスバーガーのハンバーガーよりも気に入ったよ」と嬉しそうに笑った豊田出光は柳葉竜胆が作ったハンバーガーに満足していたようだ。

 

ポテトとドリンクも豊田出光の期待以上のできであったらしく、柳葉竜胆に「柳葉君、僕の専属料理人にならないかい?」と思わず聞いていた豊田出光。

 

「ハンバーガーばっかり作らされそうなので遠慮しておきます」と断った柳葉竜胆の予想は間違いなく正しかったようで「柳葉君は他の料理も作りたいみたいだね、残念だなぁ」と残念そうにしていた豊田出光は柳葉竜胆にハンバーガーを作ってもらいたかったようである。

 

「じゃあこのハンバーガーのレシピだけ教えてもらえないかな柳葉君」と素早く考えを切り替えた豊田出光は柳葉竜胆にハンバーガーのレシピを教えてもらえないか聞くことにした。

 

「構いませんよ、メモに書いて渡しておきますね」と言いながらいつも持ち歩いているメモ帳にハンバーガーのレシピを書いた柳葉竜胆は、そのページだけ破り取って豊田出光に渡しておく。

 

「紙媒体の重要データを受け取ったのは久しぶりだね、最近じゃ電子化されたものばかりだからさ」と言うと大切そうにポケットにメモをしまった豊田出光は「個人的に柳葉君にレシピの報酬を支払いたいんだけど、口座教えてくれるかな」と言い出す。

 

「作った料理を美味いと言ってもらっただけで充分ですよ」と言った柳葉竜胆に「うん、最近じゃ僕のお金を欲しがる人ばっかりと接してたから柳葉君みたいなタイプは新鮮だね」と嬉しそうに笑った豊田出光は柳葉竜胆を更に気に入っていた。

 

「片原のお爺ちゃん、柳葉君の口座教えてくれる?是非とも報酬を受け取ってもらいたいからさ」と言う豊田出光に「うむ、構わんぞい」と言って柳葉竜胆の口座を勝手に教える片原滅堂。

 

「何してくれてんだ爺さん」というような目で片原滅堂を見る柳葉竜胆に「正当な報酬は、しっかり受け取っておくもんじゃぞ竜胆」と片原滅堂は言い聞かせていく。

 

物凄く機嫌の良い豊田出光が別れ際に「携帯の電話番号交換しようよ柳葉君」と言ってきたので、互いの連絡先を知ることになった柳葉竜胆と豊田出光の2人。

 

たまに柳葉竜胆に豊田出光から電話がきて話すようになった柳葉竜胆と豊田出光には繋がりができたようで、裏格闘技団体の煉獄の主催者である豊田出光から煉獄を一緒に観戦しないかと誘われることになった柳葉竜胆。

 

暇な時間ができた柳葉竜胆は豊田出光の誘いに乗って煉獄を観に行くことにして、豊田出光が待っている人里離れた山中に建てられた煉獄の闘技場に柳葉竜胆は向かっていった。

 

豊田出光が立ち上げた裏格闘技団体の煉獄は他の裏格闘技団体と一線を画するエンターテインメントを全面に押し出した路線が爆発的な支持を得ているらしい。

 

煉獄の闘士はA、B、Cの三階級に分けられているようで、今回柳葉竜胆が豊田出光と共に観戦することになる試合は、A級闘士同士の戦いであるようだ。

 

1人で豊田出光が来ることを待っていた柳葉竜胆に近付いてきた女性が1人いて「貴方は、お1人かしら、一緒に観戦しない?」と誘ってきた女性に「人を待っているので一緒に観戦はできません」と柳葉竜胆は断る。

 

何気なく近付いてきた脚の動きを見て、この女性、武術家だなと理解していた柳葉竜胆は、油断することなく女性とは一定の距離を保っていた。

 

「待っている人は女性?」と聞いてきた女性に「いえ、歳上の男性です」と答えた柳葉竜胆は、近付いてきた豊田出光を見て「あの人ですよ」と女性に待ち人である豊田出光を紹介していく。

 

「あら、煉獄の主催者と知り合いなのね、貴方の名前を聞いておこうかしら」と笑顔で言ってきた女性に「柳葉竜胆と申します」と名前を教えた柳葉竜胆。

 

「私は、泉初美よ、また会いましょうね竜胆君」と言った泉初美は豊田出光には興味がないようで軽く会釈をしただけで豊田出光と話すことはない。

 

「お邪魔だったかな」と言ってきた豊田出光に「ああ、そういう感じではないですよ、俺には結婚を前提に交際している彼女がいますから、浮気なんてしません」と言い切る柳葉竜胆は呉時子を大切に思っているようだ。

 

「そうなんだね、結婚をする時は僕にも教えてほしいかな、結婚式には友人として向かうからさ」と言うと豊田出光は柳葉竜胆の肩を軽く叩いた。

 

柳葉竜胆と豊田出光が揃ったところで煉獄の試合が始まっていき、A級闘士同士の激しい戦いが開始されていくと、戦いを観戦する柳葉竜胆と豊田出光は静かに会話をしていく。

 

「どうかな、煉獄のA級闘士達の戦いは」と聞いてきた豊田出光に「A級が一番上なだけあって攻防のレベルは高いですね」と柳葉竜胆は行われている試合を観て感じたことを素直に答える。

 

「片原のお爺ちゃんの番外の牙にそう言ってもらえると、煉獄の主催者としては嬉しいね」と言った豊田出光は本当に嬉しそうな顔をしていて、柳葉竜胆の言葉で素直に喜んでいた。

 

煉獄のA級闘士達の戦いが続いている最中に「竜胆君にちょっと頼みがあるんだけど、煉獄で弁当を売り出そうと考えてるんだよね、それで竜胆君にはレシピを考えてほしいんだ」と柳葉竜胆に言ってきた豊田出光。

 

「いいですよ、料理人としての仕事ですからね、報酬は売り上げが出てから決める感じでお願いします、前のハンバーガーの時みたいにいきなり振り込まないでくださいよ」と豊田出光の頼みを引き受けた柳葉竜胆。

 

煉獄で行われたA級闘士同士の戦いが終わり、勝者となったA級闘士が高々と拳を掲げて自身の勝利を誇っている姿を見た柳葉竜胆と豊田出光は、観戦を終わらせて移動していく。

 

「それじゃあ弁当のことは頼んだよ竜胆君、ここのスタッフにレシピを伝えておいてね」と豊田出光直々に出向いて柳葉竜胆を友人だと紹介し、スタッフと引き合わせてから豊田出光は去っていった。

 

残されたスタッフと柳葉竜胆は連絡先を交換していき、柳葉竜胆の弁当のレシピを再現できるようになるまで色々と動くことになった柳葉竜胆とスタッフ。

 

こうして煉獄では柳葉竜胆のレシピで作られた煉獄弁当が売り出されるようになり、その中でも煉獄焼肉弁当が一番人気の商品となっていたらしい。

 

煉獄弁当の売り上げは好調であるようで、柳葉竜胆の口座に振り込まれた報酬は凄まじい金額となっており、だいぶ増えたなと思っていた柳葉竜胆は、結婚式は問題なく行えそうだから良いかと考えていたようだ。

 

以前とは違って今度は片原滅堂の豪邸に豊田出光が遊びに来ることになり、片原滅堂の護衛である護衛者達が慌ただしく動くことになっていったようで、料理人として柳葉竜胆も働いていく。

 

やっぱり今回もハンバーガーを作ることになった柳葉竜胆は、豊田出光さんは本当にハンバーガーが好きなんだなと思いながらハンバーガーを作って運ぶ。

 

ハンバーガーを運んできた柳葉竜胆に「久しぶりに竜胆君のハンバーガーが食べたくなってさ、思わず片原のお爺ちゃんの家に来ちゃったよ」と言ってきた豊田出光は柳葉竜胆が作るハンバーガーを本当に気に入っていた。

 

柳葉竜胆と豊田出光が仲良くなっていることに気付いていた片原滅堂は、竜胆には人を惹き付けるものがあるようじゃのうと考えて楽しげに笑う。

 

「確かに竜胆のハンバーガーは美味いからのう」とハンバーガーをかじって言った片原滅堂は「わしは、いつでも食べられるがの」と豊田出光に言って片原滅堂は自慢する。

 

「たしかに竜胆君が作る美味しいハンバーガーがいつでも食べられるのは物凄く羨ましいね、レシピだけだと完全再現は難しいみたいだし、やっぱり僕の専属料理人になってくれないかな竜胆君」と言う豊田出光。

 

「ハンバーガー以外の料理も作りたいんで遠慮しておきます」と断った柳葉竜胆は、豊田出光さんは相変わらずだなと思っていたようで、断りながらも笑ってしまっていたようだ。




ちなみに今回登場したオリキャラである泉初美の容姿は、ケンガンアシュラ14巻のケンガンアシュラ外伝、女宴に登場する女性になった初見泉とそっくりです
泉初美は合気拳法の達人という設定もあるので次に登場するときは実力が見れるかもしれません
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