庭園水晶   作:moon

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第三部ミッドガルド 帰還・表

オーディンの一閃

 

三度目のそれは細く、鋭く、本物の槍の様に、

シルメリアと、不死者王に突き刺さろうとしている。

軌道を読む。自分の胸を狙っている。

帯同しているエインフェリアと不死者王共々、串刺しにするつもりだ。

どうする?とシルメリアが思った瞬間。

 

背後の緊張が緩んだ。

 

守る!

シルメリアの小さな跳躍。

鋭利な一閃はシルメリアの下腹部に突き刺さった。

「!!」

それ以上の進入は許すまい、と両手で一閃を掴む。

自分の身体で緩和しきれない衝撃が辺り一体に弾け飛ぶ。

 

光、光、光。光の奔流。

無事か!?振り向こうとした時、

シルメリアは王呼の輪に捕まった。

 

----------

 

身体が、縛られ、動かない。

上半身は、魂と乖離してしまった。

不安定な場での発動。そのせいで術はのろのろと円を描く。

輪の中から、後ろを振り返る。

魂と一つであった部分が裂け、激痛が走った。

 

つい先程まで、悪条件の中

全神経を集中して紅い竜玉の転送をしていた。

自分がしたくても出来なかった事を、代わりにしてくれたのだ。

光の中に暗い焔が見えた。

器が失われているのか?!

魂は?!無事なのか?!

「ブラムス!!」

シルメリアの精神体は下半身で一つとなっていた自身の魂を引き裂く。

金色の精神は翻り、不死者王に駆け寄る。

魂を裂く苦痛が精神を支配する。だが、シルメリアは止まらない。

 

「シルメリア、いずれお前は引き裂かれるぞ。」

ブラムスの言葉。

私の思いと、オーディンの意思は、違う。

私はヴァルハラに逆らった。

私から乖離した魂は、ヴァルハラへと還った。

「仕方あるまい。」

シルメリアの精神は小さく呟くと、

前方にある暗い焔に両腕を伸ばし、引き寄せ、抱きとめる。

輪は、両手を胸に当てたシルメリアの前方で閉じた。

 

精神の転生が始まる。

 

何処へ還るのか。

還る場所など、何処にも無いのに。

薄れていく意識の中で

シルメリアはエインフェリア達と紅い胎動を感じた。

 

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「オーディン様・・・。」

「末というのは、厄介なものだな。フレイ。」

無表情でオーディンは言った。

フレイは答えが出なかった。

「シルメリアは・・・。」

あの時、王の輪は二重にシルメリアを取り囲もうとしていた。

守護陣が崩れ、自身が衝撃の最中にいる不死者王の輪は

僅かに発動が遅れ、途中で四散した。

「賢しくも、不死者王の魂を自身の保障とした。」

口許で薄く笑いながら、オーディンは言葉を続ける。

「だが、逆もまた真理だな。何時でもオーブの代用品が手に入る、という事だ。」

「ですが、シルメリアは自身の魂の一部が、精神体と共に在ります。」

「魂による神の力の具現化を危惧しているのか?

案ずる事でもなかろう。」

「何処に転生させたのですか?」

「ディパンだ。」

 

転生の軌跡を描きながら、

シルメリアは、邂逅の地ディパンに還る。

 

神の歪んだ歯車はディパンで廻り始めた。

 

 




FROM 「MIDGARD」 TO 「VALKYRIE PROFILE2 SILMERIA」
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