灰色の街   作:やーわは

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すんません私、この話を書く時に盛大にミスりまして。なんとこの前書きに書いてたんですね。もう放心状態ですよ。なので見てくれているかもしれない読者の方々には申し訳ないのですが、この前書きから見てやって下さい。気付いた時にはかなりいいところまで書いていたので、半分思い切りですが……。次はちゃんと小説投稿枠に入力します。それでは前書きからですが、本編どぞ。





















灰色の街が発生して以来、この世界のライフラインってのはそりゃあもうズタズタになった。だが、それでも僕がひょうひょうと生きているように、"まだ"人間様はくたばっちゃあいない…………まぁ、それでもかなりギリギリなんですけどね。

そんなギリギリの生き地獄がスリル満点に味わえるこの世界では、主に「3つの陣営」が存在する。

1つ目は僕と彩のように、世界各地に存在する基地を拠点として外を散策、情報を持ち帰って基地に提供する《観察者陣営》。

2つ目は観察者のようにあちらこちらを歩き回る事自体は共通するものの、その本質は特に目的を持たず、度重なる争いを繰り返し続ける者達の集まりである《放浪者陣営》。

3つ目はかなり特殊だ。《観察者陣営》と《放浪者陣営》…そのどちらにも属す事なく、ずっと決まった場所から動かない"存在者達"の住まう《翔天陣営》。聞いたところによると、人でも機械でもない、存在そのものが超常的と呼ばれる正にバケモノな御方達なんだとか。……何だその神話にしか存在しないような奴等は。

‥ま、この際《翔天陣営》は色々規格外なので除外するとして、今少々めんどくさいことになっているのは《放浪者陣営》と我等が《観察者陣営》だ。あの厄災の発生から、今の今までずっと長い間対立を続けてきた、いわば犬猿の仲って奴なんだが、ここ最近はちぃとアイツ等の動きが活発化してきている。
こちらとしても早めに手は打っておきたいのだが、いかんせんこんな世界状況だ。目的もなければ場所も持たない放浪者達の連中は、特定しようにも活動場所を次から次へとコロコロ変える。その為、何時如何なる時に襲ってくるのか、もっと言うと、そもそも何処で此方と鉢合わせるのかすらも予測が出来ないのだ。

「はぁ……気が重い。っと、着いた着いた」

……にしても相変わらず、この基地の扉はいつ見てもデカい。このアンデルセン基地は、厄災が起こってから比較的初期に建造されたモノの為、所々が錆びついてはいるが……その荘厳な佇まいは、未だに朽ちることを知らないかのように凛としている。ちなみに、こういった基地の外観や建造された場所というのは統一されているワケではなく、エリアによって姿形は異なる。ある場所では地下だったり、またある場所では火口の中だったり、凄い所になってくるとなんと天空にあったりと、様々な種類の基地があるそうだ。……これを風の噂で聞いた時は少し僕も行ってみたいと思ったのだが、言ったら彩に止められた。彼女曰く、

『アンタが居なくなったら誰がその分の仕事を肩代わりするのよ!!』

との事。まぁ自分から言うのも何だが、僕はこの基地内ではかなり重宝されている。この特殊素材を使用した身体は、普通の任務のみならず、並の観察者では赴く事が困難なエリアにまで足を向ける事が出来るからだ。勿論危険は伴うが、その分得られる観察報告や情報は非常に価値が高い。だからこそ、基地側からすると不用意な遠出は何としてもご遠慮願いたいのだろう。
それに、特殊な素材を用いて組み立てられるこの身体自体、そう何体も用意出来る代物ではない。自分以外の観察者にこの身体ごと任務を任せれば、と仮に考えたとしても、この身体を使いこなして任務を無事に果たせるかどうかは、個人個人で差がかなり大きいのだ。
…そんな訳で、また明日からも僕は駆り出されていくんだろうが、いい加減ここまで一人語りが多いと見てくれているかもしれない読者の方々に申し訳ないので、基地内に入るとしよう。
認証が完了して内部に入ると、さっそく彼女がお出迎え。

「お帰りアギア。待ちくたびれたわよ?」

僕の専属オペレーター、彩である。ピンク色の髪と若干つり上がったブラウン色の瞳、少々ゴシックの混ざった服装が特徴的な彼女は、端から見ても分かるくらいにはかなり御立腹のようで。

「ただいま~って、あ~…………何か怒ってる?」

「当ったり前でしょう!?だって貴方、また私が喋っている途中で通信切ったでしょ!!
おかげさまで激オコよ!激オコ!おまけに先輩にちょっとしたお悩み相談までしちゃった始末なんだからねッッ!」

いや最後のは僕関係なくね?

「わかったわかった…僕が悪かったよ。だから落ち着いてってば、あy…………"テレジア"」

「今更コードネームで呼んでも遅いっ!!」

少し強めに叩かれた。……痛い。























ーーアンデルセン基地内部ーー


長い渡り廊下を、少し怒気が収まったらしい彩と肩を並べて歩く。そのまま通信指令室へ向かっている道すがら、不意に彼女が口を開いた。

「それで、今日はどんな収穫があったのかしら?ご自慢のボディであれだけ好き勝手ほっつき歩いていたんだから、少しくらい価値のある報告はあるんでしょ?」

……うーんまだ怒ってる。

「特になし……かなぁ。何時も通りのつまんない灰色の風景だったよ。これといった異常もなかったね」

「ハァ?…普通、そこは何かしら有益な情報やらなにやらを持ち帰って報告するところでしょ?特にないってそんな……これじゃあ報告するだけ無駄じゃないのよ」

「まぁまぁ、でも何もない方が一番いいじゃないか。もう既に一回、過去に起こってしまったんだから。人間が自分の身体を機械に乗り替えないと、一分も持たずに生きていけないレベルのコトが、さ?」

僕がそう言うと、先程よりも平静になれたのだろう(或いは呆れたのかもしれない)。彩はさっきよりも幾ばくか落ち着いた声で

「それもそうだけど、まだ脅威は消えたワケじゃないのよ?最近は放浪者達の動きも怪しくなってきてるし、何より基地を存続させるには何らかの情報を報告してくれないと困るの。アギアだって、それくらいは分かっているでしょう?」

「あぁ分かっているとも。でもこの辺りの報告はあらかた片付けてしまったし、新しい場所へ行くのにも上の許可が必要なんだ。そう易々と遠くへ行かれてしまったら、逆に困るって言っていたのは他ならぬ彩自身だろ?」

「そうだけど!」

そう言っている間に、いつの間にか入り口に来ていたらしい。
三回ドアをノックすると、中から「どうぞ」、の声。
特に報告する事はないのだが、これもまた義務だ。「失礼します」、との声と共に中へ入ると、仄暗い髪を背中まで伸ばした女性が此方に向かって微笑んだ。

「お帰りなさい、アギア。今日はどうだった?」

この基地のオペレーター兼、元観察者のシズナさんである。












帰還と報告

「お·か·え·り?アギア」

 

シズナさんへの報告を終え、部屋に帰ってきた自分を出迎えるのは、無機質な部屋……ではなく彩様ご本人である。いや待て、そもそもーー

 

「何でここに居るの?部屋の場所なんて教えた記憶ないんだけど」

 

報告している最中にふと目を向けたらいなくなってたから、何処へいったのかと思えば……。ていうか仮にも先輩オペレーターであるシズナさんの前でよくもとんずらこいたなコイツ。

シズナさんは特に気にしてはいなかったみたいだけど。何なら少しニヤニヤしてたしねあの人。

 

「アンタの事ならね、私何でも知ってるのよ?」

 

「急に怖いこと言わないでくれません?」

 

「怖いとは失礼ね。別に私がアンタの部屋に居たって困らないでしょ」

 

いや困るんだわ。早く帰って欲しいんだわ。こちとら機械の身体とはいえ疲労は感じるように出来てるんですよ。それでいてとてつもなく眠たいのに、それを邪魔するたぁ言い度胸じゃないの、えぇ?すると何やら、自分の服をゴソゴソと漁り始める彩。

 

「ふっふーん。もっと言うと、私が持ってるコレ…シズナ先輩が渡してくれたのよねぇ~」

 

そう言って彼女が取り出したのは、鍵を紛失した時に貸し出されるスペアキー。

……え、というか今何つったの?それ渡したのまさかのシズナさん?共犯だったんかいぃ……。あぁ、あの人は、あの人だけは唯一安心して信頼出来ると思っていたのに。

でも思い返せば何か入室した時に彩とアイコンタクトしていたなぁ。あの時から全て仕組まれていたって言うのかよ。何故に気付かなかったのだ僕は。

……はぁ~。過ぎた事を悔やんでも仕方がない。シズナさんに対しては後で確認の為話し合うとして、今は彩だ。

 

「とにかく、早く出ていけって。もう寝たいんだよ僕は」

 

「んも~……つれないわねぇ。でも出ていかない!今日はアギアと一緒に寝ますっ!」

 

「弟大好きなお姉ちゃんかお前は。一人にしてくれってば」

 

「イヤったらイーヤ~!!一緒に寝るのぉ~~!!!!」

 

「だー!!分かった、分かったよもう!寝るから!一緒に寝ますから!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(*´∀`)♪エヘヘェ」

 

「ぁ~暑苦しい……やっぱり一人で寝りゃ良かった」

 

結局二人で寝る事になってしまった…。

そもそもこの部屋のベッドは狭いんだから、二人で寝るのには向いてないんだよなぁ。それにしてもコイツ物凄くくっついてくるんだけど。少しくらい離れたって落ちやしないってのに。まぁ、ここまで来るともう引き剥がす気持ちにもなれやしないから、こうして放置してされるがままになってるんですけどね。

 

「…………ねぇ、アギア」

 

「ん?」

 

「離さないでね。絶対に」

 

「…あいよ」

 

二人きりになると、彩は時たまこうやって寂しい声を出す。お互い、もう100年以上生きてるってのに。僕と違って、彩は少し子供っぽい所がある。もういっそのこと大人の女とやらになってしまえば、こんなに構う事も、一緒に寝る事もなくなるんだろうが…でも、なんだろうなーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それは少し、物足りないかな」

 

「んぅ…何か言った?アギア」

 

「いいや?何も言っていないよ。お休み………テレジア」

 

「も‥う…今は彩で………いい‥のに…」

 

少しだけ………何時もより暖かい夜が更けていくーーーーーー

ーーーーーーーー鈍く輝く彼の身体に、見てみぬフリをして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー放浪者陣営 ーーーー

 

 

「そうか……彼がようやく」

 

「えぇ、もう少しですよ。もう少しで、此方側へと加わる。そうすれば…今度こそ我等含めた"全て"の願いが成就される」

 

「あの女が傍に居るのは癪だが、お前の計画に乗ったんだ。ヘマはするなよ?"デルモンテ"」

 

「分かっていますともーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

我等が《放浪者陣営》の主人、ガルテア·ゲルゼウス様」

 

「"様"呼びはよせ、デルモンテ」

 

とある主人とその側近は、彼の輝きに思惑を巡らせる。全ての願いを、叶える為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー翔天陣営ーーーー

 

 

 

 

 

 

「遂に…」

 

全身を炎で包みし存在者…"焔の闘士"ギルメドが、端を発する。

 

「遂に.…………………………始まる」

 

「あぁ……始まる。厄災以来、最初で最後のヒトの足掻きが。

フフッ、かの放浪者共も動き出すだろうな。実に愉快だ」

 

それに応えるは、異様に長く伸びた胴と四つの手足、能面のような仮面を被った存在者、"暗影の長"ガーペンターズ。

 

「しかし、我等は既に何者でもない存在。干渉は此方へと"混ざった時"以外、控えなければなりません」

 

そんな二つの存在者の会話に口を挟む……鈴の音のように透き通る声。

東洋の昔話に出てくるような十二単を身に纏い、それとは相反して艶やかな漆黒の黒髪を降ろした、美しい美女の姿をしている存在者、"姫君"終焉ノミコト。

 

そんな彼女の言葉にーー

 

夥しい刺だらけの腕を持つ一つの存在者は、静かに頷き。

 

全身を骨と機械に覆われた一つの存在者は、その顔をケタケタと鳴らし。

 

緋色の鎧を着込んだ白髪の女性を象る一つの存在者は、それを俯瞰し。

 

崩れた秒針の時計を抱える、"ついさっきドレスを着た少女になった"一つの存在者は、ただ無言に傍観して。

 

山伏のような格好をし、黒ずんだ刀を腰に差した一つの存在者は、耳まで裂けた口と五つの目を狂えんばかりに歪めて。

 

応えたーーーーが。

 

「しっかしなぁ姫君さんよぉ。今回ばかりはそうもいかないんじゃあないかえ?」

 

「……どういう事です?八天狗。そうもいかない…とは」

 

先程の山伏のような格好をした存在者…"八つ裂きの分身"八天狗が、言葉を紡ぐ。

 

「何せぇこんなにも"染まる"こたぁ、今の今まで全く起きることのなかった事象だぁ。もぉしこれがハズれだったら…最悪、俺達も『無くなる』ぜぇ?」

 

少しばかり、空気が変わる。

 

「ーーーー今"それ"を考えるのは、時期尚早と言うものでしょう。まだ…その心配は不要です」

 

「カカカッ、そうかいそうかい。なら要らんお世話だったなぁ」

 

そう言って、八天狗は黙り込んだ。

瞬間、何時もと変わらぬ空気が戻る。自分に少し突っ掛かってきた八天狗を見やり、ため息の真似をした終焉ノミコトは、次いで口を開く。

 

「我々存在者達は、兼ねてよりヒトの世を見つめ続けてきました。しかし、あくまでも存在者は存在者。ただ其処に居、佇み、全てを見納める者ーーーー易々と介入は出来ませんが、あのアギアという者が、一体どんな"色"を見せるのか。その行く末を見定めるとしましょう」

 

 

 

 

超常たる存在者の一人は、彼の輝きに少しばかりの期待を寄せてーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう…朝か」

彼の一日が、始まった。

 




基本的に、観察者には専属のオペレーターが付きます。主人公はシズナさんに報告していましたが、シズナさん経由でなくても受付カウンターで任務の報告や受注が可能です。
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