サイヤ人 in ヒロアカ 作:H & J
事の発端は雄英体育祭が終わった後の、その日の夜だった。
雄英体育祭を通して世間に知れ渡った彼の力は、その日の夜のニュース番組の話題を全て掻っ攫った。全国のヒーロー、市民、敵が、彼の桁外れの実力に注目した。
そんな中、家に帰った彼は考えていた。流石に次のステージへ進むべきだと。
体育祭という場で、生まれて初めて自身の力を人に使った事で露呈した気の精密操作の技術不足。いくら相手が弱過ぎるからといっても、本戦で当たったヒーロー科のほとんどが重傷を負う結果となった。最後の最後で何とかコントロールのコツを掴んだものの、まだまだ荒削り。
戦いの内容を振り返り、このままでは良くないとこの時の彼は考えた。
今まで積み重ねてきた修行の大半は重力室での高負荷トレーニングばかりで、相手の実力に合わせた気の精密なコントロールはほぼ度外視していた。だが、これから先もっと強くなるためにも、体育祭で判明した課題を野放しにするわけにはいかなくなった。
幼少の頃から重力室で毎日のように修行を積み重ね、2年前には遂に伝説の超サイヤ人にも変身出来るようにもなった。そんな彼が、判明した課題をどうやって克服しようとしたか。
その答えはすぐに見つかった。超サイヤ人のまま日常生活を送る事である。
これはドラゴンボールの原作で、完全体になった人造人間セルに少しでも対抗するために、当時悟空が編み出した修行方法。怒りによって変身する超サイヤ人を、興奮や苛立ちを抑えながら一日中維持して生活するこの方法は、急激に気を高めた時に掛かる体の負担を最小限に抑え、それにより爆発的な戦闘力の向上を可能にする。
更に、ただでさえ力の加減が難しく負担も掛かる超サイヤ人を維持した状態で日常生活を送るため、自然と気の精密操作の技術も劇的に向上するのだ。
つまりこの修行は、彼の戦闘力を更に底上げしつつ、体育祭で判明した課題も同時に解決出来る、まさに一石二鳥の方法なのである。
超サイヤ人に変身出来るようになったが故の達成感や高揚感。そこから生まれた傲慢さと慢心による現状維持のためのトレーニング。これら2つの理由により、超サイヤ人のまま過ごすという修行を怠っていた彼は、ここに来て2年ぶりに前進した。
とはいえ、最初から1日中超サイヤ人のまま生活するのは容易ではない。超サイヤ人は変身を維持するだけでも肉体に莫大な負担が掛かるため、体力の消耗が非常に激しいのだ。超サイヤ人の状態に慣れるというのはそれだけ難しい。
だから最初は、無理に1日中変身したまま過ごそうとはしなかった。学校から家に帰ってすぐ超サイヤ人に変身し、寝る直前までの数時間だけ維持し続ける。朝起きてから家を出るまでの数時間だけ超サイヤ人を維持し続ける。体育祭が終わって以降、職場体験の時を除きこれを毎日続けた。
校内でこの修行をしなかったのは、まだそこまで体力が足りなかったのと、何かの拍子にトラブルになる可能性を潰すため。まだ気のコントロールにブレがある状態で、超サイヤ人のまま誤って教室を吹っ飛ばしてしまったら洒落にならない。だから校内では流石に控え、修行場所を家の中に限定した。
ただ毎日続けていると体にも変化が現れる。超サイヤ人になった時の負荷が段々と軽くなり、維持できる時間もそれに伴って伸びたのだ。
6月最終週辺り、ヒーロー科との合同訓練を行っていた頃にもなると、休みの日は半日以上超サイヤ人のまま過ごす事を可能にしており、気のコントロールも修行開始に比べて劇的に向上していた。
それから更に1カ月後、超サイヤ人状態での生活もまあまあ板についてきた彼は本日、満を持して発目の前に超サイヤ人の姿で現れた。
そして現在、蛇腔総合病院から帰った後の発目の自室、発目の目の前で超サイヤ人の変身を解いたのであった──。
「──つまり今さっきまでの姿が『超サイヤ人』と呼ばれている、あなたが説明してくれた『サイヤ人』とかいう戦闘民族固有の強化形態ですか? 染髪とか、そういう類のものではなく?
……いやー、話は一通り理解しましたが、俄かには信じ難いですね。ただでさえ先程の金髪碧眼が変身によるものだっただけでも驚きなのに、その原因が個性ではなくまさかの種族由来だったなんて。
しかもその種族は地球には存在せず、宇宙中で暴れ回っている戦闘民族で、あなたはその種族の血を引いた宇宙人だとか。……これ、もうどこから突っ込めば良いのかさっぱりですよ」
超サイヤ人の説明から始まり、それに伴って戦闘民族サイヤ人の事まで長々と語った彼は、話のスケールの違いについて行けずに惚けている発目を見た。
いつもは自分本位な言動と行動の連続で担任や周囲の人を振り回し、鋼の精神力で大抵の事では動揺を見せない発目。だがそんな彼女を以ってしても、今の話を聞いて平常心を保つのは無理があった。
そもそも、同じクラスの仲の良い友達からいきなり「自分は宇宙人です」とカミングアウトされたのだ。急に頭がおかしくなったのかと心配になるし、とても信じられるような内容ではない。冗談にしても無理がある。
しかし、口では信じられないと言いつつ心の内ではどこか納得している発目だった。
彼の口から語られた内容は、いつもなら笑い飛ばし茶化していた事だろう。だが、普段とは違う彼の真剣な表情や口調から、どうしても嘘だと言い切れる自信がなかったのだ。むしろ数学の難問を解いた時の様な、スッキリとした晴れやかな気分をその身に感じていた。
「というか、あなたにとって人生最大とも言える秘密、私に話して良かったんですか? 仮に今の話が本当だとして、もし何らかの拍子で世間にバレてしまったら、それこそ大騒ぎどころの話じゃありませんよ」
秘密を知った発目が心配そうな眼差しで彼の顔を覗き込むが、その心配はいらない。
説明する前にも言ったように、今話した内容は死に物狂いで隠したい程の秘密ではないのだ。大っぴらに打ち明ける真似は決してしないが、バレたらバレたで仕方がないと割り切るだけの事。
仮にバレてしまったとして、その時は色んな障害が降り掛かってくると予想されるが、その程度で困り果てる彼ではない。むしろ中途半端に手を出して彼の怒りを買ってしまったら、それこそ宇宙にでも逃げ出さない限り相手の命はない。
その気になれば地球程度の惑星、一瞬で木っ端微塵に出来る戦闘力はある。なんなら金星や火星など、そこらにある近くの適当な惑星を破壊して牽制してやっても良い。
そんな物騒な考えを持つ彼とは裏腹に、発目は「そうですか」と一言だけ呟くと、今日はもう疲れたのか欠伸をしながらベッドに寝転がった。
「あなたがどうしてそんな重大な秘密を私に打ち明けたのか。それは謎ですが、少なくとも他の人に言いふらす真似だけはしません。だからそこは安心して下さい。どうやら私は、あなたに相当信頼されているようですからね。
……さあ、今日はもう寝ましょう。明日の朝も早いですし。ほら、私とくっ付いて寝ようが抱き枕にして寝ようが自由なので、ちゃんと寝られるベッドでしっかり睡眠を取りましょう」
そう言ってベッドの空いたスペースをポンポンと叩く発目。彼もその日は疲れていたので、お言葉に甘えて発目の隣に寝転がる。
寝返りを打てばお互いの唇と唇がくっ付きそうなほどの至近距離。それでも2人は一切の緊張を見せず、その夜は深い眠りに就いた。
──それから1週間後の7月最終週、某県某所の山の中にて。
この日は朝からヒーロー科1年のA組とB組が雄英に集まり、大型バスに乗ってそれぞれとある目的地へ向かっていた。
I・アイランドで起こった、敵の集団によるテロという前代未聞の大事件。それをオールマイトと共に解決まで持って行った功労者の緑谷は、今日から始まる林間合宿に胸を躍らせており、他の皆も同じ気持ちだった。
だが、意気揚々と始まったはずの合宿に行く道中、皆の心には早くも不安の種が芽生えていた。
「──というわけで、今回の合宿でお世話になるプッシーキャッツの皆さんだ。お前ら、ちゃんと挨拶しておけ」
合宿施設に向かう途中で止まったバス。しかし、止まった場所はどうみてもパーキングエリアには見えないただの広場。眼前には広大な森林と山々が連なっており、照り付ける真夏の日差しを浴びて強烈な緑の輝きを放っている。
そこで出会ったヒーロー、『ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ』のマンダレイとピクシーボブから唐突にこんな言葉が出た。
「ここら一帯は私らの所有地なんだけどね、あんたらの宿泊施設はあの山の麓にあるわ」
「えっ!? ……と、遠くないですか?」
マンダレイがそう言って指差した方向は遥か先の山。今いる広場から直線距離で測っても5km以上は確実にあるその場所に、今回の合宿で利用する施設があると説明された。
この時点で、もう既に嫌な予感しかしない。絶対に碌な目に遭わない。直感でそう思った皆の表情が僅かに引き攣る。
「い、いやいや、まさかそんなわけ……」
「バス、戻ろうか? 早く……な?」
嫌な空気が流れ出す中、誰かがポツリと呟いたその声を発端に、全員が一斉にバスへ乗り込もうと駆け足になる。
そこへ更に、マンダレイがA組に追い打ちを掛ける一言。
「今は午前9時30分。早ければ……そうねぇ、12時前後ってところかしら? なら12時半までに辿り着けなかったキティはお昼抜きね!」
止めとなる一言。
それを皮切りに、バスに乗り込もうとする全員が駆け足から全速力に変わる。
しかし時すでに遅し。バスへ戻る先頭集団の前に、地面に両手を着けたピクシーボブが立ちはだかる。
「悪いね諸君。合宿はもう……始まってる」
「いやああああああああ!!」
「あそうそう、私有地につき個性の使用は自由だから! 今から3時間、自分の足で施設までおいでませ! この『魔獣の森』を駆け抜けて!」
個性『土流』を持つピクシーボブの手により、地形を操作されて広場から森林の入口に放り投げられるA組の生徒達。
誰かの悲鳴が上がる中、後から相澤の淡々とした声とマンダレイの溌剌とした声が耳に入る。
動揺が生徒達の間で広がる。
「雄英ってこういうの多すぎない!?」
「というか魔獣の森って……!? 何それ!?」
「知るか! 今は取りあえず、急いでこの森突っ切って行かねえ……と……」
唐突な事態に未だ動揺が収まらないA組の前に、今度は地響きと共に土塊の巨大な猛獣が這い出てきた。
悍ましい見た目と圧倒的な体格差。その姿はまさに魔獣。とても現実世界に実在する生き物のようには見えない。
そのため崖の上から様子を観察していたプッシーキャッツ達は、いきなりこれらと遭遇すれば思わず及び腰になる者も現れるだろうと、そんな予想を立てていた。
だが、2人の予想は一瞬で覆される。
「スマッシュ!」
「死ねぇぇぇぇー!」
「凍れ……!」
「レシプロバースト!」
多くの敵を相手取り、既に戦い慣れている4人を皮切りに──。
「行け、黒影!」
「おらおらおらぁぁぁぁー!」
「行くよ梅雨ちゃん!」
「任せてお茶子ちゃん!」
「お待ちください皆さん、一塊になって行動を! そして交代交代で攻撃と休息を繰り返しながら進みましょう! 焦りは禁物ですわ!」
「罠と拘束はテープの俺と峰田に任せとけ!」
「ちくしょおおおおー! お前らのせいでトイレ間に合わなかったじゃねーか! これでも食らえ!」
「耳郎、俺達は後方に回って索敵に徹するべきだ!」
「確かに、ウチと障子が前衛は悪手か……よし皆、後ろは任せて!」
一瞬で状況を判断し、誰1人として戸惑いも躊躇もなく魔獣に攻撃を仕掛け、各々が自らの役割に徹して効率良く、最短ルートで森の中を突き進む。
とても高校1年生とは思えない対応の速さ、20人全員による見事な連携技の連続。多くの予想外にすっかり面食らったプッシーキャッツ達は、思わず相澤に問い詰めた。
「……ね、ねえイレイザーヘッド? 何だかあの子達、妙に手馴れてる感じしないかな? いくら何でも切り替え早過ぎない!?」
「確かにそれ思った! ある程度の連携は出来るでしょうと思ってたらびっくり! 1年生であそこまでの完成度とか聞いてないんだけど!?」
驚愕に染まった表情で見つめる2人を前に、相澤は静かに首を縦に振って言った。
「だから事前に言ったでしょう? 甘く見てると大変な目に遭いますよって。彼らは色々あって、例年の1年生に比べて大幅に成長してるんです。
とはいえまだまだ課題は多い。今回の合宿はそれを克服するためのもの。これから1週間お願いしますよ、プッシーキャッツの皆さん?」
「……12時前後って、私達ならって意味のつもりで言ったんだけどね」
「このペースだと、本当に12時半までに施設に辿り着きそうよね……ねえマンダレイ、どうしよう? どうせ夕方まで掛かるだろうと思って、ご飯の用意まだそこまで出来てないんだけど……」
「……急いで施設に戻るわよ。本当の意味でお昼抜きになったら彼らに顔向け出来ないわ! ラグドールと虎にも連絡しないと!」
車に乗って慌てふためく2人を横目に、相澤もバスに乗ってゆっくり施設へ向かう。
バスに揺られながら目を閉じた相澤の脳裏に浮かぶのは、先日行われたヒーロー科全員とサポート科1人による合同訓練の様子。あの一件以来、いつにもましてヒーロー科全体の士気が上がり、訓練により一層真剣に取り組むようになった。
そして3時間後、12時29分になって施設の入口にA組が現れ、初日から何度も度肝を抜かれるプッシーキャッツの面々であった──。
それから更に数日が経った、ある日の夜。
今日も研究に1日を費やした彼と発目の2人は、蛇腔総合病院を出て家に帰り、一通り入浴と夕食を済ませて部屋の中にいた。
「いやー、本格的に研究を始めてもう少しで2週間が経ちますけど、まだまだ先は長いですね。まあ、だからこそ作り甲斐があるんですけどね」
ベッドに転がった発目が一言。
同じベッドで一緒に寝るようになってから2週間近くともなれば、もうお互い服装の事など気にしておらず、相手に対する遠慮もほとんどない。
現在、彼はタンクトップに短パンというカジュアルな夏の恰好で、発目は黒のキャミソールにスポーツ用のショートパンツという露出の激しい恰好で室内を彷徨いている。
そんな2人は、殻木と共に進めてきた今までの研究を振り返っていた。
「とりあえず治療液の開発は、まあ概ね順調といったところでしょうか? 最終的に目指す性能を100点満点としたら、現在の完成度もとい進捗度は……そうですね、20点くらいですかね? 飛び切り甘く採点して、ですけど」
それでも確実に進んではいる。まだまだ課題は多いが、少なくとも2人だけの時に比べれば信じられないペースだ。
殻木の助力が想像以上に大きいからだろう。本当に協力関係を結んでおいて正解だった。長く生きている分、達観した人生観を以って話をするから勉強にもなる。
邪悪な気を多分に内包しているのが少し気になるところだが、そもそも科学者はある程度狂っていないとやっていけないので、殻木の持つ邪悪な気は科学者として正常だ。彼の両親や彼を除く雄英の人達などは例外だが。
何はともあれ、治療液の開発は夏休みが終わるまでには完成しそうだ。この勢いのまま研究を進めて行こう。
「あ、そう言えば今日は隣の町で夏祭りやってる日でしたね。道理で街中が閑散としているなあと思っていましたよ。研究に明け暮れていたからすっかり忘れてました」
これからの研究の日々に思いを馳せていると、唐突に発目がそんな事を口にした。祭りという言葉に反応して、彼は少し前の記憶を遡る。
確かに帰りの電車内は人でごった返していた。あの電車に乗っていたのが全員祭りのために行く人だったと考えると、恐らく相当な規模の祭りなのだろう。
そして重要なのは、何故発目は急にそんな事を言い出したのかだ。もしやと思うが、今から祭りを見に行こうとでも言うわけではあるまい。今調べてみたら、もう少しで閉会の時間だった。行ったところで大して回る事は出来ないだろう。
急にどうしたのかと尋ねる彼に、発目は部屋のドアを開けて言った。
「隣町でやってる祭りはですね、京都でも有数の規模の祭りなんです。で、例年その最後は数千以上の打ち上げ花火で締め括りなのですが……何とその花火、家のバルコニーからでも見られるんですよ。それも結構はっきりと。というわけで……」
彼の手を取り、リビングを抜けてバルコニーに出た発目は、夜空を見上げて満面の笑みを浮かべる。
「一緒に見ましょう、打ち上げ花火! 私、こういう夏の風情を感じるものが結構好きなんですよ。意外でしょう?」
確かに意外だ。発目の事だからてっきりアイテム開発以外は全く興味ないと思っていたが、ここで新たに発目の知らない一面を知った。
彼も花火は好きなので、発目の提案を快く承諾した。
「花火の打ち上げ、予定の時間までまだ3分はありますけど、何か飲み物でも用意します? ジュースもお酒もありますけど」
それは遠慮しておこう。今日はもう歯磨きまで済ませた。ジュースを飲んでもう1度歯磨きする羽目になるのは面倒臭い。それにお酒は駄目だ。年齢もアウトだし、明日大変な事になってしまう。
このようなやり取りをしている内に、あっという間に3分が経過した。
そして予定時刻になった瞬間、遥か彼方に見える山の頂上付近から火の玉が打ち上がった。
「おっ、遂に始まったようですよ! 3、2、1……せーの!」
タイミングを見計らい、打ち上がった火の玉が頂点に達して夜空に華を咲かせた瞬間、発目が山に向かって大声で叫ぶ。
「たーまやー!!」
発目と一緒に彼も大きな声で「たまや」と叫ぶ。
その時2人の声が微妙にずれてしまい、その可笑しさに思わず笑いが出てしまう。
ああ、やはり楽しい。発目と一緒にいると、戦闘でもないのに何故か楽しいと思う気持ちが湧いてくる。不思議だ。彼はそう思った。
「綺麗ですねー……」
最初の1発目を皮切りに、連続して絶え間なく光の華が咲く夜空を眺め、発目が小さな声でぽつりと一言。
その時の笑顔が、とても眩しく感じられて。
彼も首を縦に振ってその言葉を肯定し、綺麗な華を咲かせる夜空に目をやった。
それから1時間後、色とりどりの花火を見終えて満足した2人はその夜、非常にぐっすり眠る事が出来たという──。
──その次の日の早朝、発目の部屋にて。
寝相の悪さによりお互いに抱き合った状態から目を覚ました彼は、朝から部屋のドアを引っ切り無しにノックする音に引き寄せられ、部屋のドアを開けた。
開けた先にいたのは、発目の両親だった。
「おはよう、と言いたい所だが大変だ! 2人とも今すぐ起きてニュースを見てくれ! 雄英がとんでもない事になってるぞ!」
「ごめんなさいね、2人で仲良く寝ていた所を邪魔しちゃって! でもこれは流石に急いで知らせなければと思ってね! というわけで明を起こしてくれる?」
何やら切羽詰まった様子だったので、2つ返事で頷いた彼は急いで発目を起こし、一緒にリビングへ向かった。
そこで最初に目に入ったのは、大型テレビに映っているニュース番組。テレビの向こう側は何やら慌ただしい様子だった。
いつもなら朝食を口にしながら軽く聞き流す程度。だがしかし、今日の内容は流石の2人でも驚愕に目を見開いた。
何故ならその内容というのが……。
『速報です。昨夜未明、林間合宿中だった雄英高校ヒーロー科の1年生が、突如として敵の集団による襲撃に見舞われました。相手は『敵連合開闢行動隊』と名乗っており──』
誰が予想出来ただろうか。昨晩どこかで合宿中だったヒーロー科達が、いきなり敵連合の襲撃に遭うだなんて。
その被害の規模は甚大。多数の重軽傷者を出し、居合わせたプロヒーローも何人か重傷を負っていたという。
そして極め付けは、最後に伝えられた情報。
『──そして生徒の1人、爆豪勝己君が行方不明』
何とあの爆豪が、どういうわけか敵連合に誘拐されていた。彼は度肝を抜かれた。
一緒に花火を見る家デートって何か良くない? 想像してみ? めっちゃお洒落だと思うんだよね。個人的な感想だけど。
ちなみに、今の主人公の戦闘力は……
完全体セル(フルパワー状態)>>>>>>孫悟空&孫悟飯(セルゲーム開始時)>>>>>>主人公(不完全な超サイヤ人第4段階)>>>>>>越えられない壁>>>>>>第二形態セル
くらいを想定しています。
主人公が孫家よりも劣っているのは、単純に戦闘経験と修行量の差が原因です。どちらも同じ超サイヤ人第4段階でも質が全然違います。とはいえ主人公も発展途上、まだまだ成長の余地はあります。